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お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

眼と眼で通じ合う

本日は勤労感謝の日でございます。アメリカの、サンクスギビングデーはまた別物なんですね。時期近いからごっちゃになりました。

報告遅れましたが、来年2月22日の高桂オンリー、スペースいただけたようです。よかったー(どきどき)。
本に関しては、まず1月25日の東京シティに、桂花美人様に投稿させていただいた、沖桂の総集編を予定してます。てこれ、何ページになるんだ。一番短いエピソードで3P、長い「扇子」と「猫の恋」は10P、平均して5~6Pの話が20近く………うわぁ(笑)。
2月の全国はまだサークル参加できるか未定ですが、そっちにはコピー本になりそうです。
で、五月のスパコミ参加できないので、ハルコミを視野に入れると………。うわぁ(笑)。

予定だけ立ててるのに、なかなか実行速度が遅くなっております。すみません。
そして、こんなサイトに足を運んでくださり、本当にありがとうございます。拍手押してくださった方はもちろん、それ以外の方も。

という感謝の気持ちをこめまして、小ネタだったんですが小説としてアップです。今日、偶然テレビで見まして。ありがとう、日テレ。







「神楽ちゃん。テレビばっか見てないでこっち手伝ってよー。」
 仕事のない日曜日、朝からテレビに釘付けの神楽に、新八は掃除機をかける手を一旦止めた。
「ほら銀さんも。布団はあげときましたから、自分の部屋くらい自分で片付けてくださいよ。」
「んー。」
「そのジャンプ、何回読んでるんですか。もう一週間でしょ。」
「バッカお前、これ昨日出たヤツだよ。まだ十一回しか読んでねーっつの。」
「はいはい。早く片付けないと、溜ったぶん捨てますからね。神楽ちゃんも。君の押し入れ君しか入っちゃいけな」
 新八はそこで言葉を飲み込んだ。不意に体を起こした神楽に、じーっと見つめられたからだ。
「え、な、なに?」
「………。」
「か、神楽ちゃん」
「………。」
「あの、どうし」
「十秒。」
「は?」
「ドキドキしたアルか?」
 繋がりの判らない言葉に新八はうろたえた。
「神楽ちゃん、なにドキドキって。」
「ドキドキしたアルか、私にふぉーりんらぶアルか?」
「いや、だから何」
 問われて神楽はテレビを指差す。
「今やってたアル。十秒見つめあうと恋に落ちるって。」
「いやないないないっ」
 新八は慌てて否定した。
「あー顔真っ赤ネ。やっぱり私にメロメロアルか。」
「いやないからっ。ていうかそもそも僕はお通ちゃん一筋だからっ。」
「よーし、明日ヅラに教えてあげよー。」
「神楽ちゃんっ。あの人本気にしたらどーすんのっ。」
 叫ぶ新八をよそに銀時は、あーアレってそーゆーことかあと呟いた。
 物珍しさはあっただろう。松陽から何か言われたかもしれない。
 それでも銀時ぎんときと、アイツはまっすぐ自分につけられた名を呼んで、自分をまっすぐ見てくれた。
「………て何これ。誰かつっこんでよマジで。」
 何で今更、と一人ごちる。根付いたものの深さを、十何年も経って思い知らされるなんて。


「なるほど、この手があったかぁっ!」
 テレビを見ていた近藤が、急に声を上げた。
「十秒見つめあうと恋に落ちるかあ、よし、早速お妙さんに」
「はぁ?」
 書類から顔を上げた土方は、画面を見て眉を寄せた。テレビの中では「実践」とか言って、ベテラン女優が若手タレントの頬に手を添え見つめあっている。
「これ男のほう逃げ腰じゃねぇか。効き目あんのか?」
「土方さんも試してみりゃあいいじゃねぇですかい。」
 アイマスクをつけたまま、沖田は口を挟む。
「て総悟、仕事しろ。」
「うまくいったら童貞卒業できっかもしれやせんぜ。」
「だっ誰がドーテイだよっ。てか仕事しろ仕事ぉっ。」
 怒鳴る声を無視して寝返りをうつ。
「こら総悟っ!」
「トシ、気にするな。俺だって素人童貞とか言われちゃってね? でも大丈夫、俺にお妙さんがいるように、お前だってその気になれば相手なんていくらでも! で、トシの相手って誰?」
「いねーよんなもんっ!」
 騒ぐ背後を無視して、沖田は一人ごちた。
「ま、そう簡単にいくんだったら誰も苦労しやしないけどなぁ。」
 十秒、だって? 長すぎる。視線をこっちに向けることだって至難の業なのだ。
 こっちはひたすら、アイツを追い続けてるってのに。


「頭。」
 画面に見入っていたら、髪の毛を容赦なく引っ張られた。
「痛い痛い陸奥抜ける、ストパー矯正ならもっと優しくー。」
「何をアホなことをゆうとるんじゃ。しゃんしゃん書類に目を通さんか。」
 無理やり机に視界を戻させられた上に、テレビまで消された。
「情報収集してたんじゃなかったかえ? こがなわけの判らんバラエティなんか見て。」
「いやいや、これが馬鹿にこたわんちやー。こういう番組から今の流行りがじゃ?」
「ほがなことゆうて、今度地球に降りたら試そうらぁ思っちゃーせんろうな。」
 目が泳ぐ。
「おんしはさいさいゆうたら~~~。」
「い、いひゃいいひゃいギブギブ~~~。」
 ほっぺをつねりあげられ、坂本は両手を上げた。
「たいてえ、こがなものが当てになるわけないろうが。十秒目を合わせるばあで恋に落ちる? そう簡単に人が動くわけないがは、おんしもよっく判っちゅうろうが。」
「いや、結構当たっちゅうぞ?」
 ひりひりするほっぺをさすりながら、目を細める。睨みつける陸奥の、色の薄い瞳が思い出と重なる。
 あの強い瞳が相手にどんな思いを植え付けるか、自覚させたときにはもう遅かった。彼はそれを、武器として使うすべにすり替えてしまった。
「陸奥は、そうなっちゃあかんぜよ。」
「何がじゃ。鼻の下伸ばしおって。」
「い、いひゃいいひゃいってばー。」


「………なんだ。」
 じーっと自分を見つめてくる相手に眉をひそめると、また子は慌てて目を逸らした。
「すいませんごめんなさいっす!」
 耳まで真っ赤になりながら手足をばたばたさせる部下に、とりあえず大した用事じゃないんだろうと判断した高杉は、煙管の灰を盆に落として武市からの報告に意識を戻した。それを、邪魔したのは副官ののんきな声だった。
「あぁ、さっきテレビでやってたことでござるな?」
「ちょっ、万斉何をっ!」
「あぁ私も見ましたよ。」
 しかも武市がそれに乗った。は、と息を吐きながらも、止めるでもなく耳を傾ける。
「しかし眉唾ですよね。以前にも聞いたことがあって試したことがあるのですが、相手のに泣かれてしまいましたよ。」
「そりゃそうでしょうよ武市変態。」
「武市殿に見つめられたらまず泣くでござろうな。特に子供は。」
 万斉の言葉に異議はなかったが、話がまったく見えない。ぶすっとしながら煙草を吹かせていると、黒いサングラスの端がきらっと光った気がした。
「………何だよ。」
「気になるでござるか?」
「うざってぇ言い方は止せ。」
「テレビの話ですよ。」
 勿体ぶりたかっただろう万斉の思惑や真っ赤になるまた子をよそに、武市が種を明かした。
「好きな相手の落としかたで、十秒間じーっと見つめ合うと恋に落ちるという。」
「へー、そりゃぁ武市にやられりゃ相手泣くだろうなぁ。」
「む、失礼な。」
 武市は機嫌を損ねた、ようだった。コイツの感情は顔からは読めない。
「晋助はどう思うでござるか? 瞳の魔力について。」
「さぁなぁ。」
 ククっと喉を震わせる。
 邪眼、まさにそう呼ぶに相応しい、見つめる相手を魅了する眼の持ち主を、自分は知っている。けれど。
「それだけで上手くいくなら、苦労はねぇな。」
 想いを寄せ合うだけですべてが手に入れられるほど、世界は優しくはない。





                            ~FIn~

by wakame81 | 2008-11-23 23:10 | 小説。  

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