お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

~Melody of the Dusk~風薫る唄と運命の喇叭:2

まるで焦らしプレイのように、じわじわとアップ(爆)。
ちなみに、その1で桂さんが言ってた「全日本退魔師協会」とゆーのは、「GS美神」の「GS協会」とゆーより、退魔関係の法人に許可を出す公的機関みたいなものとお思いください。






 スティックを打ち鳴らす音と共に、曲あわせが始まったのはその時だった。
 ドラムとベースとギターとそして歌が、合致した呼吸で曲を奏で出す。
「お前それでも人間かァッ♪ お前の母ちゃん××だァァ!!♪ お前それでも人間かァッ♪ お前の母ちゃん××だァァ!!♪ いい加減にしねぇとそのホクロひきちぎるぞーッ♪」
 生の歌に、思わず新八は奇声もとい歓声を上げそうになった。
 何回もコンサートで聴いたしCDだって持っているが、改めて思う。やっぱり良い曲だ。良い声だ。お通がどれだけ歌が好きで、そしてこのデビュー曲がどれだけ彼女の中で大きいか、肌で感じる。
 一曲を通してから、気になったところを拾い上げて合わせ直す。その合間に、新八は興奮した声で桂にささやいた。
「………やっぱり良いですね、お通ちゃんの歌っ。」
「………………あぁ。」
 肯きはしたが、桂の顔つきは微妙だった。どちらかというと、しかめているような。
「桂さん?」
 お通の歌が気に入らないのだろうか。思わず呼ぶ声に険が混じる。
「いや、凄い音量だな。」
「そうですか? だいたいこんなものですけれど。」
 ハードロックだったらもっと音がきつい。これくらいは耳に心地よいくらいだ。いや、お通のための伴奏なんだからそんなものではない。あの歌声が乗れば、それはさながら天上の歌声だ。
 そう新八は思うのだが、桂にはそうではなかったらしい。
「………すまない。少し出てくる。」
「あ、はい。」
 そう断ってドアから出て行く後ろ姿を見送った。
 少しだけ、心配に思う。できればコンサートまでお通の護衛をしたいのだ。霊障が場所に固定されないなら、その可能性は高まるだろう。コンサート会場でもこんな風に逃げられたら困る。
 CD貸そうかな。毎日聴いてもらって、この音量に慣れてもらわないと。
 そう考えているうちに、練習は2曲目へと移る。新八の意識は、ものすごい勢いでそっちに傾いた。
 曲を合わせることでメンバーの意識も重なる。そこに霊気の動きがあるかもしれない。そう桂に言われていたから、もちろん気を読むことにも意識は残していた。
 が、やっぱり、歌うお通の姿に次第にのめり込んでいく。
 それは、今度のコンサートで初お披露目となる新曲の練習になったときに、頂点に達した。
 かわいいかわいいかわいすぎる。。
 歌詞もメロディーもかわいいが、振り付けもかわいい。これで舞台衣装なんか着た日にはどうなるんだ。最前列なんか気絶するんじゃあるまいか。なんかラブソングにも聞こえなくもないが、気のせいだ。てか「お前の母ちゃん何人だ!!」だってラブソングなんだから、心境の変化とかじゃないはずだナイナイナイそれはない。
 そう思いながら、一方で曲と振り付けを覚えるのに夢中だった。
 本番では親衛隊がこれに合いの手を入れるのだ。何とかして覚えないと。
 そっちに集中していた新八は、気づくのが遅れた。
 ドラマーの手からスティックが飛んだ。単純なミスかと思ったが、そうではなかった。
 それを手始めにしてアンプが倒れる。演奏が思わず止まったのに、パツンパツンと何かが割れるような音がする。
 霊障だ。
 はっと立ち上がり眼をこらした。空気が震えている。まるで、雷雨の時のようにちりちりと緊張している。
 いつ放電するか判らない空気に新八は慌てた。桂は新八の眼を評価してくれたが、逆に言えば眼以外に大した能力がないのだ。
「桂さんっ。」
 呼ぶ声に、答えてくれた。勢いよくドアが開かれ、抜き身の刀を手にした桂が飛び込んでくる。その刀身は既にほのかな光を帯びている。
 コンクリートの壁すら斬る桂の力を思い出して一瞬焦る。
 桂はゆっくりと刀を左から右へと払った。そして刃が円を描くように回される。
「掛けまくも畏き伊邪那岐大神 筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に御禊祓え給いし時に生り坐せる祓戸の大神等諸の禍事、」
 舞うように刀を振りながら朗々と謳われるは、新八が初めて聞く祝詞だった。
 そしてこれこそが祓詞。
「祓いの宗教」と呼ばれるほど浄祓を重要視する神道の、もっとも基本的であり根底にある祝詞。
「罪穢有らむをば祓え給い浄め給えともうす事を聞食せと恐み恐みももうす」
 言霊と、そして薙ぎ払われる刃が放電しそうだった大気を鎮めていく。
「神火清明、神水清明、神風清明」
 三度その言葉を繰り返す。そして刀を大きく右に払った。
 薙いだその姿勢のまま、動きを止める。
 空気は既に、澄み切っていた。室内とは思えない、木々に囲まれた神社にいるようだ。
 新八もお通もマネージャーもバンドメンバーの誰もが、息を殺してその姿を見つめる。
 シン、と静まりかえった空気に、不意にくぐもった拍手が響いた。
「いや、お見事でござる。」
 桂が刀を鞘に収めた。我に返った新八が顔を上げる。
「巫女というからたおやかなものと思っていたが、凛々しく美しい。まるで魔を祓うという鈴の音のような女人だ。」
 ドア入り口の所に、黒皮のジャケットを着た男がいつの間にかいた。逆立てた黒髪、目元を隠すサングラス。どことなく常人ではない空気をまとっている。
「戦乙女とは欧州のみのものかと思ったが、日本神道にもかような乙女がいるのでござるな。」
「あの?」
 睨む桂の代わりに新八が声をかけた。どちらさまですか。それを問う前に答えはもたらされた。
「つんぽさんっ。」
 嬉しそうに彼の下に駆け寄った、お通によって。


「つんぽさん、ねぇ。」
 報告を聞いたギンタは、めんどくさそうに鼻をほじくる。
「びっくりしましたよ。まさか本物に出会えるなんて! 可哀想に落ち目になっていたお通ちゃんをプロデュースして、不死鳥のように蘇らせた救世主ですよ救世主!!」
「………お通殿のプロデューサーは、彼女の父御ではなかったのか?」
 首をかしげる桂に、よくぞ訊いてくださいましたと言わんばかりに振り向く。
「デビュー時はそうだったんですよ。今でも、お通ちゃんのレッスンは寺門さんがやってます。でも、CD以外の演出とか売り上げ戦略とか、そういうのを今一手に引き受けて、お通ちゃんを売り出してるのはつんぽさんなんですよ!」
 新八は熱弁を振るった。お通の魅力をさらに引き出して、暗闇から救い出してくれた人物として、ファンの間では崇め奉られている。
「救世主といっても所詮男ネ。そのうち電撃結婚とかでフライデーされるに決まってるアル。」
 神楽の言葉に新八は石化した。
 それこそが、今ファンが最も恐れる事態なのだ。歌手とプロデューサーがくっつくことは珍しくない。まして、お通にとってつんぽは救世主。恩義を感じていないはずがない。
 もしかすると、それ以上の感情も………?
「………新八ー。息してるアルかー?」
 神楽が指で新八をつっつく。が、微動だにしない。そこで今度は油性ペンを持ち出してみる。
「額に肉とはべったべただなぁ神楽。」
「これこそ王道アル。みんなに判りやすいネタだからこそ、ベタとして残るアルよ。」
「どーせだったら顔中変な文様書いてマティウスにしちまえー。」
「Tales of Innocecceってちゃんと注釈つけないとわかんないネ。」
 かきかきかき。
 神楽によって新八の顔がペインティングされていく中で、ギンタはふと視線を別方向へと向けた。
「ん? どーしちゃったのヅラくん。」
「ヅラくんじゃない桂くんだ。」
 ぼーっとしていた桂は反射的に答え、顔を上げる。
「何か気になることでもあったー? そーいやお通ちゃんのマネージャーはあの子のお母さんとか言ってたよな。まさかまた人妻好きが出たとか?」
「………そうだな。夫と子と共に仕事に励み、二人をリードする良き妻、母だった。」
「マジでか。」
「冗談だ。」
 一瞬冷や汗が垂れたギンタだったが、我に返って桂を殴る。
「いや、良き妻で母なのは本当だがな。」
「うっせー! それ以上言うな、おめーが言うと本気っぽくて怖ぇんだよっ。俺はやだぞ、そんな昼ドラ展開間近で見んのはゴメンだぞぉぉぉっ!」
「だから違うと言ってるだろうが。」
「じゃぁなんだよ。」
 桂の眼が遠く、というか焦点が現在から離れる。
「………奴の気配でも感じたか?」
「いや。」
 ゆっくりと、桂は頭を振った。
「そうじゃない。そんな、はっきりしたものじゃなくて、何だかもっともやもやしたものが。」
「もやもや、ねぇ?」
 ギンタは横目で新八を見やった。未だ石化は解けず、ペインティングはどんどん新八の原形をとどめなくなっていく。
「今回ばかりはこいつの眼も頼れないかぁ? お通ちゃんに夢中じゃなぁ。」
「彼を降ろすかはさておき。そっちはどうだった。」
 桂に問われ、別行動をしていたギンタは頭を掻きむしる。
「んー、ぼちぼちって感じ? まぁ霊障が嫌がらせだとしても、すぐに犯人割れるほど世の中甘くねーしなぁ。」
「嫌がらせぇぇぇぇっ!?」
「あ、解けた。」
「嫌がらせって誰相手だ誰がターゲットだまさかお通ちゃんじゃねーだろーなぁ犯人は誰だ吐け吐け吐けぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
「ぐぇぇぇぇぇぇぁぁぉぉぉぉぉぇぇぇぇぇぇっっっ。ギ、ギブギブーーーーーっっっ!」
 正気に戻った新八に締め上げられ、ギンタの顔が真っ青になる。
 やっとこ新八を剥がしたギンタは、瞳孔開いた新八に話せば判ると言わんばかりに手をかざす。
「(ぜーぜー)まぁターゲットはお通(ぜー)ちゃんだな。霊障(ぜーはー)受けてんだ(ぜー)から。」
「息を整えてからにしろ、銀。」
「何でお通ちゃんがそんな事されなきゃいけないんですかっ!?」
「世の中、妬みそねみは溢れてるものアルよ。利害関係含めたら、容疑者なんてどれだけいるか。」
「そんなことのために………っ。」
 拳を振るわせる。
 お通の歌は希望の音楽だ。それを、妬みとか売り上げ妨害とかで邪魔をするなんて。
「ま、これは可能性の一つだしな。」
 やっと落ち着いたギンタがそう言うが、新八の耳には半分も入っていない。
「コンサート会場の場所が場所だからってーのも当たってみたけど、そっちは関係なさそうだったぜ。ま、毎年第九コンサートやってるし、堀江由衣がクリスマスコンサートなんかやっちゃってるし、今更だろ。」
「しかし、夏場所直前というのがな。初日は次の日曜だったか。」
「で、コンサートはG.Wの最終日。ま、こんなもんだろ。ヤツらがなんかやるってったら、コンサート自体にじゃね?」
「なんかって、何ですか。」
 再度新八は、鋭い目でギンタを見つめた。
 ギンタは一度、桂に視線を向ける。小さく、しかしはっきりと頷かれるのを確かめてから、新八に向き直って口を開いた。
「お通ちゃんのコンサートが、呪術的な儀式に利用される可能性がある。ま、状況証拠ってだけだけどな。」
「………え?」
「お通殿は、今一番売れっ子の歌手の一人だ。ファンも多く集まるだろう。コンサートは物凄い熱狂に包まれるはずだ。」
 ギンタの言葉を受けて、桂が補足する。新八は頷いた。
「人間の熱狂するエネルギーは、呪術においても強力なエネルギー源となる。それを、利用される可能性がある。」
「別にお通ちゃんでなくても、他のアイドルライブでも有り得ることだけどな。」
 ただ、霊障が気になっただけだ。
 何か企まれてるとしても、奴等はコンサートの成功を目的としている。お通に危害を加えることはないはずだ。
 ギンタと桂の説明を受けながら、新八は身体が震えるのを感じた。
 この震えを、きっと怒りと呼ぶ。



                               ~続く~
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by wakame81 | 2008-05-11 00:18 | 小説:ギンタマン  

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