お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

勇敢じゃない恋の唄:中

二つ分けだと、微妙に収まりきらないんです(爆)。むしろ、前編の内容に謝罪するべきかなー?






 日が傾いて、風も出てきたらしい。そうなるとまだ肌寒いのだが、神楽ははしゃいでステップを踏む。新八は桂からバイト先を効いて、そこから安売りをしているスーパーへのルートを割り出しているようだ。先を行く銀時は、ふと視線を感じた。後ろ、桂の隣から。
「………何だよ。」
『イエ別に。』
 そうプラカードを掲げたエリザベスは、何か探るようなまなざしを向けた。つぶらな瞳にじっと見据えられる。何なんだ。口を歪めてみせるが、エリザベスは動じる様子もない。そこへ桂に話しかけられ、視線を戻す。
 収まりの悪さに舌打ちして、前を向いた。その時だった。
「銀時。」
 そう名を呼ぶなり、桂は神楽と新八を突き飛ばした。ふりむいて二人を抱き止めた銀時は、彼らのいた場所が轟音とと爆風に包まれるのを見る。
「桂さんっ。」
「ヅラぁぁぁっ!」
 子供達の悲鳴を掻き消すように、再び爆音が響いた。数メートル離れた道路が特撮さながらに吹き飛ぶ。巻き上がる煙の向こうに、黒髪をたなびかせた姿を見て、新八と神楽はほっと息を吐いた。
「かーつらぁぁぁっ!」
 煙の向こうから声が響く。爆撃の犯人に、神楽が判りやすく顔をしかめる。銀時が腕を掴んでいなかったら、走り出していただろう。
「どうしましょう、銀さん?」
 問う声に、銀時は応えなかった。
 風に吹き飛ばされた煙の向こう、バズーカ砲を構えて部下を引き連れた一番隊隊長と、その狙いの先の桂の姿を凝視する。身軽さを生かして桂は屋根にあがり、沖田はそれに狙いを定めている。第三射が放たれたと同時に、桂の方からも煙幕が放られた。遮られる視界に一般隊士達は狼狽えているが、沖田は微塵も動揺を見せない。バズーカをさらに発射させる。最初の爆撃で付近の市民達が逃げているからよかったようなものの、そのままだと人的被害が出ていただろう。
 砲弾の一つが、桂の行く手を爆破した。一瞬たたらを踏む隙に、沖田が屋根の上に駆け上がる。バズーカを放り捨てて腰に手を伸ばした、その表情を見た途端、銀時の中で何かがふち切れた。
 神楽を抑える腕はそのまま、新八だけを放して開いた手で道ばたのがれきを広い投げる。狙いは違わず、沖田の足下の川原を弾き飛ばした。
 振り返った沖田の、赤茶の瞳が銀時達を捕らえる。一瞬それは剣呑の光を放ち、けれどすぐに表情を隠して沖田は口を開いた。
「旦那ぁ。そんなノーコンじゃ甲子園狙えないでさぁ。やるならあっちか、土方のヤローにしてくだせぇ。」
「あーらごめんねぇ。ゴミが落ちてたからゴミ箱に狙ったつもりだったんだけどー。」
 言いながら、銀時の視線は沖田を通り過ぎる。
 今のうちに逃げればいいものを、桂が一瞬こちらへと振り返った。遠く離れているのに、琥珀に浮かんだ表情が見て取れてしまう。
 かすかに細められた眼は、揺らいでいるように見えた。
 案じている。
 どっちを?
「つーか、ゴミがそこら中に散らばってるんだけど何これ? 誰かレレレのオジサン読んだ方がいいんじゃない?」
 早く行け。
 そう念を込め、睨みつける。届かないはずがない、そう自分に言い聞かせる。
 はたして桂は、踵を返して走り去った。逃げる気配を感じ、沖田が顔だけそちらに向けてそれを見送る。
「銀さん、どうしましょう。」
 抑えつけなければどんな暴言を吐くか判らない神楽を抑えていた新八が、小声で囁く。公務執行妨害と言われてもおかしくはない。現に、一番隊の隊士達は半ば眉を吊り上げて、こっちを見ている。
「沖田隊長、彼らの言うとおりですぞ。」
 張り詰める空気を破ったのは、隊士達の一人だった。四角く刈り上げた頭に、おでこのほくろがやけに特徴的だ。
「桂を捕まえるためとはいえ、街中をこんなに破壊してはいけません。汚れた街は人々の心も嵐、治安は悪くなるばかりですぞ。さぁ、そうとなったら今すぐ掃除をっ!」
 なんだコイツ。銀時達だけでなく真選組の皆からもじと眼で見られていることに、その隊士は気づいていない。
 抜きかけた刀を鞘に収め、沖田は屋根から飛び降りる。
「隈無の言うとおりだな。おいみんな、ここ片付けろぃ。」
 途端、隊士達からブーイングが起こる。が、サド隊長の視線を受けて皆すごすごとがれきを取り除き始めた。
 部下達に掃除をやらせて、沖田自身は何もせずそれを見ている。とりあえず、何とかはなったと銀時は子供達を促そうとする。今にも沖田に殴りかかりそうな神楽を引っ張って、新八は一足早く歩き始めた。後に続く銀時はに、強い視線が注がれる。
 一度だけ振り返って、そのまなざしを受け止めた。睨み合いは数瞬、すぐに沖田は視線を逸らす。銀時も、無言で顔を背けた。
 何のつもりだ、などと。お互いに、聞くつもりはなかった。


 なんだか何もかも面白くない。原因は分かっているのだが、それが尚更腹立たしい。
 神楽は邪魔をした沖田へのブーイングを途切れることなく垂れ流すし、新八はそれをなだめるのに必死だ。右から左へと聞き流すのも面倒になって、仕事のないのをいいことにとっとと逃げたしてしまった。
 神楽の愚痴を聞いていると、思い出したくないことまで思い出してしまう。
「何だってんだよ………。」
 今更だ。
 あんな眼を銀時は、何度も見てきた。戦争末期など、もっと酷かった。桂のために。その理想のために。目指す道のために。夜明けを迎えるために。桂が望むなら、命すら惜しまない。たとえそれが、絶望への行軍だったとしても。そんな連中が向けた視線はもっと必死でまっすぐで縋りつくようで、そして何も求めてはいなかった。
 それに比べたら、あんなもの。
「つーか、ガキじゃねーかよ。」
 何度もそう言い聞かせる。けれど、銀時は気づいていた。
 今まで何度も捕り物を傍観してきた、その中で見た子供がオモチャを見つめるような、遊び心の溢れた視線じゃない。
「だーから何だってんだよ………」
 それを問い詰めたい訳じゃない。むしろ、あんな眼などとっとと忘れたい。なのに銀時の足は、自然とある家へ向かっていた。
 今日はいないかもしれない隠れ家に、明かりが点っている。庭に面した雨戸を開けているのか、やけに明るい。
「猫に餌でもやってんのか?」
 餌付けして庭をねこねこランドにするのが夢だと、昔言っていたのを思い出す。無駄なことなのに、と思った。特に野良猫は、構い倒されるのを嫌う。遠くから餌をやるだけでは我慢できなくなってかいぐりかいぐりしようとして逃げられるか、今は隠れ家を引き払うのが先だろうに。
 開いているのなら遠慮する必要はない。表玄関を通らずに裏木戸から庭へ回り、そこで足を止めた。





                                  ~続く~
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by wakame81 | 2009-04-16 23:57 | 小説。  

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