お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

Step & Jump!!:後

昨日からディスプレイが調子悪いです。なんか、リク大会やるごとにトラブル起こってるような。
愛の試練ですか。受けて立とう!







 猫は軽やかとは言えない足取りで、屋根の上を走る。と言っても普段と比較してのことで、それでも滅多に捕まえられるものではない。その猫と距離を引き離されることなく、桂とエリザベスも屋根を走る。坂本はといえば、足下で下駄ががちゃがちゃと瓦を馴らし、とても全力疾走できたものではない。そこを、瓦を一枚も乱さず駆けていくのだから、まるで風の神が走っているようで、坂本は思わず目を細めた。
「おお~~い、待ってくれ、ヅラぁ~~~。」
「ヅラじゃない桂だっ。」
 振り向かなくても追っ手の気配を感じたのだろう、猫はふいっと屋根と屋根の隙間に飛び込んだ。
「逃がさんっ。」
 桂も続けてその隙間へと飛び下りる。さすがに通らないエリザベスは、網を持ったまま屋根の上を走る。二手に分かれて猫を挟み撃ちにしようというのか。
「しょうなぁー。」
 隙間に追いついて下を覗き込んだ坂本は、感嘆の声を上げた。二人の阿吽の呼吸だけではない、まさに猫しか通れない狭い場所を、桂はスピードを緩めず猫の後を追っていく。
 自分じゃ無理だと判断して、坂本は屋根の上から隙間沿いに走った。それを見たエリザベスが、スピードを速める。坂本は頷いて、猫と桂の行く先を追った。一人と一匹はブロック塀の上を走り、まっすぐに走っていく。その先には、人も通れる路地にぶつかる。
「そこで捕まえるぜよ、エリザベス!」
 坂本の指示に、エリザベスは頷いたようだった。丸い頭がわずかに傾き、彼は屋根の上から路地へと飛び降りる。
「「今だっ!」じゃぁーっ。」
 桂と坂本の声が唱和した。それに導かれるようにエリザベスは網を振るい。
 猫はほんの僅かな隙間から、するりと抜け出てしまう。
「あぁ、およけないっ!」
『しまった!』
「すごいな………!」
 桂は一瞬目を輝かせてその神業に見惚れた。が、すぐに表情を厳しくし、路地から木を伝ってまた屋根の上に出た猫の後を追う。
「待て、話せば判るっ! 君が今咥えている魚には、この馬鹿もじゃが勝手に中に入れた有害な物体Xが入っているのだっ! いいか、この馬鹿がしたことで、俺は全くこれっぽっちも関与していない。だから、君に有害な物体Xを好んで食わせようとしたのではないことを、どうか判ってくれっ!」
「あっはっはー。酷い言いぐさぜよー。」
『自業自得です、坂本さん。』
「その上で敢えて頼む、そうかその有害物体Xをどうか取り除かせてほしいっ! それだけさせてもらえれば、我々はそれ以上君たちに何も望まないっ! できれば肉球をふにふにさせてほしいなーとか、喉をごろごろ撫でさせてほしいなーとか、そんなことは望んでいるけれど望まないからっ!」
「あっはっはー。ヅラは正直もんじゃー。」
「ヅラじゃない桂だっ!」
 猫はそんな桂の説得にも応じず、どんどんと屋根を書けていく。道に下り、狭い場所を通り、垣根の穴をくぐりまた屋根にあがり、それでも諦めず、距離を開かせる事なく追い続ける桂達に、ぎょっとしたようだ。走る足がさらに速くなる。
「あ、待ってくれっ! 怯えなくていい、怖くない怖くないからーーーっ!」
「うーん、やっぱり猫にゃ人間のゆうことが判らんんやか?」
「そんなことはないぞ坂本っ! 心を込めて呼びかければ、その思いはきっと種族をも超えるっ!」
「いや、どうやろうかー。」
「ダメだというなら翻訳こんにゃく持ってこいっ! 桃太郎印の吉備団子でもいいぞっ!」
『マジックハンドでもいいのでは?』
「うーん、快援隊では22世紀の発明品は取り扱っちゃーせんからなー。」
 猫はさらに走る。桂もエリザベスも坂本も、さらに走る。閑静とはいえ住宅地の屋根の上をそんな風に疾走するものだから、公園でたむろっていた奥様や学校帰りの子供達が、何事かと三人を目で追う。
「あっはっはー。わしら人気もんじゃーっ。」
『そろそろまずいのでは。』 
 エリザベスの不安が当たったのは、まさにその時だった。
「かーつらぁぁあっっ!」
 はっ、と桂は振り返った。猫と桂に襲いかかろうとしていた砲弾を、エリザベスが叩き落とす。車一人通るのがやっとの狭い道を、ドリフトかけながらパトカーが追ってくる。
「待ちやがれぃっ、かーつらぁぁぁっ!」
 二発目が放たれる。これも、エリザベスがピッチャーライナーで打ち返した。跳ね返された砲弾を、パトカーはすでのところで加速してかわす。
「おい総悟っ! 街中で無闇にバズーカぶっ放すんじゃねぇぇっ!」
「土方さん、もっとちゃんと運転してくだせぇよ。当たりゃしねぇ。」
「だから撃つなっつってんだろーがっ!」
「なんじゃぁ? 賑やかぇ連中じゃのー。」
『ええい、このクソ忙しい時にッ!』
「彼奴ら、何を考えているっ? エリザベスがいなければ猫さんに当たってるところだったろうがっ!」
 それだけ言うと、桂は前を振り向いた。どうやら猫は二発の砲撃の余波も食らわず、まだ先を駆けていく。
 ばっとエリザベスが立ち止まった。
「エリザベス?」
『ここは自分が抑えます、お二人は猫を。』
「………すまんっ!」
 桂の手が懐に伸びる。何が出てくるのか悟った坂本は、慌てて桂の横に並び出た。
「んまい棒、混補太呪っ!」
 煙幕が炸裂し、二人の後ろが煙に閉ざされる。しばらく後ろを振り向いていた坂本は、エリザベスのつぶらな瞳の奥が獣のように光ったのを見逃さなかった。
「なんちゃーがやないかぇー。」
「たおやかなエリザベスを一人残して行くのは俺も心配だが、ここは任せる他あるまい。ああ見えて、エリザベスは俺と共にカス共の追撃を何度も振り払っている。そうそう捕まりはせんさ。」
「いや、エリザベスじゃのうてへちの坊や達の方………。」
 よほどの恨みでも買っているのか、エリザベスの目は本気だった。まぁいいか、と気持ちを切り替え、前を走る猫へと意識を集中させる。
 長い距離を走らされ、猫もだいぶ疲れてきたようだ。距離が少しずつ、縮まってきている。この調子なら、いける。桂と目配せし、坂本は横へと逸れた。
 この先は大通りになっていて、猫はいやでも屋根の上から下りなくてはいけない。エリザベスに託された網を持って、坂本は先に屋根から飛びおりる。屋根を見上げ網を構えて、今か今かと待ち構える。
「あ、そっちじゃないっ!」
 桂の声が響いたとたん、坂本から数メートル右へそれて猫が飛び降りてきた。しまったと慌てて追うも、自分の足ではすぐにこの差を縮めるなどできはしない。後を追おうとする坂本の上へ、桂が飛び降りる。猫は周囲も見ずに、道路へと飛び出した。
 そして桂も。
「待て小太郎ぉっ!!」
 伸ばした腕は届かなかった。桂の姿は行き交う自動車の間に消え、いくつものブレーキオンが坂本の呼ぶ声を掻き消した。
「こたろっ………!」
 自分も飛び出したい気持ちをかろうじて堪える。車が玉突きを起こしながら急停止する、それを確かめてから走りだした。足が震える、自分はこんなに臆病だったかと、笑いたくなる。
 あの時全てを振り払って宙へ出たのは、全滅するしかなかった運命を見たくなかっただけではない筈なのに。
「小太郎………。」
 渡りきった歩道の上に、桂は倒れていた。抱え込んだ腕の隙間から、魚のしっぽと猫の足が見える。
「小太郎。」
 抱え起こすのを躊躇う。震える手でケータイを取りだし、119を鳴らす。場所が判らなかったが玉突き事故の報告は既にいっていたらしく、すぐに到着すると告げられてケータイを切った。
 そしてやっと、その場に膝をつく。
「小太郎………! すまん、わしがあがな悪戯心を起こしたりせんと………っ!」
「判っている、そんなこと。」
 はっと顔を上げた。琥珀の瞳が優しく、こちらを見上げてくる。
「小太郎、傷はっ!」
「平気だ。惹かれたわけでもないしな。」
 体を起こそうと動く桂の腕から、猫がするりと抜け出した。あ、と伸ばされた桂の手の甲が思いっきり引っ掻かれる。
「うっわ、なんちゃーがやないかヅラっ!」
「ヅラじゃない桂だ。平気だ。」
 傷を気にするでもなく、桂は猫の走り去っていった先を見つめた。
「驚かせてしまったな。あの猫さんには悪いことをした。結局、家族に魚を持って行ってやることも邪魔してしまったし。」
「………すまんかった。」
「まったくだ。」
 細い頬がぷくーっと膨れあがる。常にない幼い表情に、思わず坂本は吹き出した。
「しょうまっこと、傷はなんちゃーがやないか?」
「あぁ。猫さんにした我々の仕打ちと、肉球の感触を思えばこれくらい。」
「しっかと堪能してたんか。さすがはヅラ。」
「ヅラじゃない、桂だ。」
 むっつりと、これは本気で怒ったらしい桂の手をそっと取る。四本の赤い筋からは、血がうっすらと滲んでいる。
「痛むがか?」
「平気だ。」
 小さく苦笑をもらして、その傷に唇を寄せた。滲む赤を舐め取れば、形のいい眉がかすかに歪む。
 不意に、桂が顔をあげた。手を振るその視線の先には、エリザベスがプラカードを振っている。
「無事だったか、よかった。」
「しょうまっことなー。」
 走ってくるエリザベスが桂の怪我を知れば、きっとまたこっぴどく怒られるのだろう。それでもいい、と思った。むしろ嬉しかった。
 こうやって、自分たちは怒ったり笑ったりできる。まるで、家族のように。






                                       ~Fin~
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by wakame81 | 2009-04-08 22:48 | 小説。  

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