お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

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リク小説「50訓表紙のような、仲良し坂桂エリー」。
リク主さまの意図を取り違えたような気がするのが、微妙なタイトルに現れています(爆)。







 時々、この男についてきたことを後悔する瞬間がある。
 思いつきで宴会をするのは良い。仲間も皆酒を飲みながら騒ぐのが好きな連中だし、士気が上がる。宴会に見知らぬ輩を巻き込むのも良い。その縁が巡り巡って商談その他が上手くいったことも少なくはない。
 船酔いが酷く、毎日便所とお友達なのも仕方ない。好きでそんな体質に生まれた訳じゃないだろう、奴の責任ではない。
 女癖の悪いのも、まぁ大目に見てやらんこともない。英雄は色を好むものだ。色を好むのが全て英雄とは限らないが。
 ふらふらとどっかへ消えてしまうのも、もう諦めた。体内に残留する発信器の情報を掴んだから、今度手に入れて酒の肴にでも仕込んでやる。
「………何やっちゅうじゃ、頭。」
 いそいそと厨房に立ち、包丁を振りかざした男に問う。彼の目の前には巨大まな板の上に乗せられた、あまり食欲のわかない形の巨大魚、だが決して、それを捌く為に包丁を手にしているわけではない。
「おぉ、陸奥えぇところにっ。今からコイツをこの中に入れるところじゃったがだ。」
 そう指し示されたのは、銀色の指輪だ。これにも、魚にも見覚えがある。かのひとへの土産として、ウキウキと選んでいたものだ。
「こがな指輪ケース、どこの女も喜ばないろう。」
 贈られる先は男ではあるが。
「いや陸奥、考えてもみろ。コイツを食うちょるときに硬いモノが口にあだつ、骨か鱗かと取り出してみたら指輪なんじゃぞ?」
「で?」
「ろまんちっくじゃろー!」
 ツッコミを入れるのも止めて、深い深いため息をつく。
 これが、いいトシをした男のやることなのだから、陸奥の頭痛は止むことがない。


「ヅラーーーーーーーーーーーーーーっ(はぁと)」
 飛びつこうとする坂本をピッチャーライナーで跳ね返したのはプラカードだった。芯を捕らえた鋭いバッティングに、ぱちぱちと拍手が上がる。
「さすがだエリザベス、いつの間にそのような打撃を身につけたとは。次回のだぶりゅびーしーとやらも、これで日本の優勝は約束されたな。」
『必ず桂さんを、甲子園に連れて行きます。』
「それは頼もしい。ふははははははははははははは。」
「おお~~~い、ヅラぁ~~~。」
 桂の高笑いを遮るように、垣根に刺さった足が揺れ、下駄が落ちる。
「ヅラじゃない桂だ。む、坂本いたのか。」
「あっはっはー、助けてくれーーーい。」
 桂とエリザベスの二人がかりで、坂本を垣根から救出する。小枝やら葉っぱやらが刺さって鳥の巣頭のパワーアップした坂本は、今度こそ訪ねた相手をハグしようとし、『桂さんを潰すな。』というプラカードに阻まれた。
「なんじゃぁステファン、おんしのボディガードっぷりも板についてきたのぅ。」
『ありがとうございます。』
 エリザベスがぺこりと頭を下げる。桂は桂で、腕組みしながら首をかしげた。
「しかし何だって今回は、垣根などに突き刺さっていたのだ。屋根をぶち破られないだけましと言えばましだが。」
「ほりゃあ不幸な事故があってなぁ。」
「そうか。何はともあれ、息災のようで良かった。」
「ヅラ………っ!」
 琥珀が細められ、口端がやわらかく持ち上げられる。それに惹かれるように、坂本は腕を伸ばし。
「ヅラじゃない桂だと何度言ったら判るのだ貴様等ぁぁぁっ。」
 地を這うようなアッパーに再び吹き飛ばされた。


 尼存星の大型肉食獣をかたどったぬいぐるみに海洋生物のなめし革に、舞羅汁星の豆茶や豆茶製品、屁流宇星の猛禽類の風切り羽で作られた羽根ペンや遺跡をモチーフにした皿や肩掛けや湯飲みに様々な星の様々な酒が広くはない隠れ家の居間に並ぶ。
「こっちはドライフルーツぜよ~。」
「干した果物か。ところでそばはないのか?」
「あっはっはー。相変わらずそば好きじゃのー。」
「当たり前だ、美味いし栄養価も高い、何よりどんなに痩せた土地にもよく育つ、まさに侍のような穀物ではないか。」
 取り出される品を一つひとつ確かめる桂の脇で、エリザベスが酒瓶を包んでいた新聞紙を丁寧にたたみ、星ごとに仕分けていく。
「こちらは後で目を通させてもらうぞ。」
「印火星の言語は難しいけんど、なんちゃーがやないか?」
「案ずるな、俺にはいくつもの星を股にかけて活躍した猫耳族の教師がいる。いっぱい聞けていっぱいしゃべれるぞ。」
「そうかそうか、ほりゃあ良かった。」
「む。これは魚か?」
「そうじゃー、尼存星の珍味じゃぁ。」
「ほう。」
 桂はしばし考えこんで、ぽんと手を打つ。
「リーダー達にも食べさせてやろう。こんなに大きいのだからな。」
「だぁぁ~~~っと、ほりゃあちっくと待ってぇぇぇっ。」
 いきなり肩を掴んでくる坂本に、桂は目を瞬かせた。
「どうした坂本。大声など上げて。」
「金時のところにゃ、これとぶっちゅうモノこじゃんと届けてあるからっ。」
「そうなのか? 」
 首をかしげながらも、桂は納得したようだ。日当たりの良い縁側において、冷凍された魚を溶かすことにする。何せ、坂本が、調理法にちと難があって、自分がいないと捌くのも大変だからと言い張ったので。
 そんな調子で、一刻もかかって土産物の検分はすんだ。酒瓶は床下にしまい、ぬいぐるみは寝室に飾り、羽根ペンは文机の上におき、そしてエリザベスが豆茶を淹れる。
「………なんだこれは、随分と苦みのある茶なのだな。」
「へちの人はこれに砂糖を入れるのが定番じゃぞー。」
「なら、ますます銀時にはやれんな。」
「糖尿の具合、わりぃがか?」
「いつ、予備軍の文字が取れてもおかしくはないな。新八君や俺が注意してはいるのだが。」
「ほりゃあおおごとじゃのー。」
 万事屋ご一行様行きの土産に既に包まれているのを、言わないでおくべきかと思案する。桂は苦い顔をしなからも、結局砂糖も何も入れずに飲みきった。
「修行と思って飲めばいいかもしれんな。リーダーにはこっそり勧めておこう。」
「あのいとさん何か修行でもしちゅうがか?」
「地下の件で、な。」
 それだけで事情を察した坂本は、「難儀じゃのー」と笑う。
「しっかし、金時がまさかあの子達を連れて行くとはのー。」
「あの子らも、銀時と共に戦いたいと言っていた。日々成長しているのだな。」
 そう笑う桂の顔は、どこか陰りを帯びていた。大人として、彼らの先を行く者として、今は成長を見守るべきだと判っていても、心配は拭いきれないのだろう。
「まぁ、何らぁなるだろ-。わしらが何らぁなったがうに。」
「………坂本。」
「アイツのことは、まだ決定的にダメになったわけでもないんだし、これからなんぼでも取り戻せるぜよ。それに、おんしや金時が不安そうにしてたら、あの子達も余計に不安になるじゃろー。」
「………そうだな。」
 桂が小さく息を吐く。多少強引な流れでもこうして笑ってくれることが嬉しくて、坂本は豆茶の湯飲みを一息に煽る。
「騙されたと思うて、今度は砂糖を入れて飲きみないか?」
「甘くしてしまうのか?」
「へちの人は別に修行のためにのきるわけやから。まっことの美味い味というものも、たまにゃ試してみないか?」
「………そうだな。エリザベス。」
 名を呼ばれた忠実なペットは、既にプラカードを掲げていた。ただしその内容は、主人の言葉に従うものではなく。
「「『あ。』?」」
 書かれた文字を口に出して読み、二人は首をかしげた。そしてつぶらな目が見つめる先を追い。
「「あ。」」
 二人して、まったく同じ声を上げた。その声に、一匹のさび色の猫がこちらを振り返り、たっと縁側から飛び降りる。その口に咥えられたのは間違いなく。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! ヅラの魚ぁ~~~~っ!!」
「持って行ってしまったな。」
 慌てて坂本は後を追おうとする。そのコートの裾を、桂が掴んだ。
「何するがだ、ヅラっ。」
「ヅラじゃない、桂だ。構わんではないか、きっとあの猫さんのおうちでは、病気の母親と小さな弟妹達が、お腹を空かせて待っているに違いあるまい。そんな彼らに魚の一匹くらい、分けてやるだけの懐もない奴ではないだろう?」
「いや、その。」
 後から思うと、よほど慌てていたのだろうと坂本は思う。他に、口先三寸で桂をごまかす言い訳などいくらでも出てきただろうに、つい、本当のことを言ってしまったのだから。
「指輪に偽装させた記録媒体だとぉぉぉっ!?」
 血相変えて立ち上がった桂に、襟首を掴まれがくんがくん揺さぶられる。脳震盪を起こすかと覚悟を決めたときに手はほどかれ、坂本はばったりと倒れ込んだ。頭の周りを、ぴよぴよと鳴きながら鳩が回る。
「こうしてなどいられん。あの猫さんを捕まえねばっ。」
「そ、そうこなくちゃ~。何しろ、重要な情報があの中に仕込んやきからな~。」
「馬鹿者っ。猫さんが飲み込んだら大変ではないかっ。行くぞエリザベスっ!」
『がってんです桂さん!』
「ま、待ってくれぇ~~~。」
 既に捕獲用の虫取り網を手にしたエリザベスが、颯爽と垣根を跳び越えて行った桂の後を追う。頭を振って鳩とお星さまを追い払い、坂本もよたよたと走り出した。





                                     ~続く~
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by wakame81 | 2009-04-08 22:43 | 小説。  

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