お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

「梅三景」

てことで、無事に入稿をすませてまいりましたー。日曜イベントの準備でお忙しいところ、ありがとうございます印刷屋さん。これで、22日に新刊が一冊出ます。

「梅三景」高桂です。

d0124342_2312184.jpg


全年齢対応です。ぎりぎり(爆)。
攘夷戦争中、終戦直後の話になります。「More」以降に、サンプルあげてあります。
お値段200円になりますー。
2月22日開催の、高桂オンリーイベント「艶舞」での販売になります。多分、ハルコミにも持ち込むことになると思います。
どちらも行けない、あるいは売り切れが心配(まぁないでしょうが)という方は、取り置きもしくは通販をお申し込みください。
方法は、こちらでお願いします。

以下、サンプル-。




壱の章

 緩やかとは言い難い山道を登ること一刻、やっと見えてきた板葺き屋根に、高杉は知らず息を吐いた。後ろでも、皆のざわめきに空気が揺らめく。一つ一つは小さな吐息や歓声だろうが、数が合わさるとそれなりにうるさい。大半の木が葉を落とし、獣たちも寒さを逃れ眠る中だからか、余計に耳についた。
「おー、ようよう着いたー。」
「まだ着いてねぇよ。見えただけだ。」
 すぐ近いところでの歓声に、そっけなく答える。視線を後ろに向けると、皆がしゅんと口をつぐんだ。
「簡単に気を抜くな。敵襲の可能性は、ゼロじゃぁねーんだからな。」
「そうじゃのー。高杉の言うとおりじゃ。下手したら城が落ちてて、敵さんがわし等を待ち伏せしてるかもしれん。」
 続けられた声は内容のとんでもなさとは裏腹に、やたら明るかった。むしろ、冗談にとった者達が多く、少なくない人数がそっぽを向いて肩を震わせている。
「とにかく行くぞ。」
 前を向き、手綱を引く。促された馬はぶるるんと鼻を鳴らして歩き出した。
 縁起でもない。
 冗談に紛らせた警告の重要性を、高杉も判っている。が、頭の別の部分でそれがあり得ないことも知っている。あの二人がいて、敵襲の跡を全く残すことなく退却するなど、兆に一つもない。
 門の上に立つ歩哨が見え、向こうもこっちを確認できる位置まできて、高杉は左手を掲げた。すぐに知らせは走り、門がゆっくりと開かれる。入城すると、補給部隊の到着にわらわらと人が集まってきた。寒いのに元気なことだ。
  門が閉じられたのを確かめてから、荷を下ろすように指示を出し、手綱を走り寄ってきた一人に渡す。そして振り返って、少し離れたところに目立つ白髪頭を見つけ、今度は自覚して息を吐き出した。
「よーお、遅かったじゃん。」
 頭どころかまとう羽織も細袴も何もかも白い男は、のんびりと近づいてきてにへら、と笑った。
「遅くねぇよ、期日通りだろ。」
「銀さんは待ちくたびれましたー。」
 言うなり身をかがめ、くんくんと鼻を鳴らす。そこまでないはずの身長差をわざと強調するような仕草に、近づいた頭をぐいと押し戻す。
「土産なんてねーぞ。」
「晋ちゃんのけちー。」
「俺はヅラほどお前に甘くねーよ。」
 顎で、荷をほどいては歓声を上げている集団を指し示すと、銀時はそちらへと歩き出した。すれ違いざまに頭をぽんぽん叩かれたので後ろから蹴りを入れると、ひょい、と逃げられる。舌打ちをしていると、「高杉!」とやや高めの声音が耳を打った。




弐の章

 斥候がそれを告げると、一緒にいた奴等がどよめいた。又聞きで知らせを聞く奴も同じような反応をするんだろうと思うと面白くなって、それを隠すことなく声音に乗せた。
「どうした。奴等が来るのがそんなに意外かよ?」
「いやでも、高杉さん。」
「だってあの人ですよ? 俺らにとっては雲の上の人たちですって。」
「未だ負け知らずで天人軍を蹴散らし続ける常勝の部隊ですよ。驚かずにはいられやせんて。」
「俺も昔、その部隊にいたのは知ってんだろ。」
 まるで彼らの総督は雲の上でもなんでもないような言い方に、わざと不機嫌な声を上げる。
「ですけど。」
「ねぇ?」
「テメェら………。」
 凄んで見せると、部下達は一斉に「すんません」と頭を下げた。それがわざとらしいのもふざけてるように見えるのも、高杉が本気で怒ったわけでないことを皆判っているからだろう。
「で、奴等は今どこだ。」
「ここから歩いて一日半くらいのとこの、南側の山です。どうやら東へと向かっているようで。」
「ふーん?」
 顎に手を当てて考える。こっちから連絡はしてないから、おそらく高杉が、いや攘夷軍の一部隊がここにいることを知らないのだろう。東の方には天人の、割合大きな拠点があったはずだ。そこを叩くつもりか。いや、目立ちすぎだろう。
 《白夜叉》を有し、《狂乱の貴公子》と《雲龍奔馬》に指揮された部隊とはいえ、あの規模の天人軍と真正面からというのは、厳しいはずだ。
「使いを出すぞ。」
 部下達は再びどよめいた。誰か足の速い奴を、と言いかけた高杉は、その動揺っぷりに顔をしかめる。
「なんなんだよ、テメェら。」
「だって、それってあの人達と一緒に戦うってことですよねっ!?」
「《白夜叉》の戦いが間近で見られるってことっすよねっ!」
「いや、《狂乱の貴公子》に決まってるだろっ!」
「《雲龍奔馬》だろっ何しろものすっごくでっかい男だって聞くぞっ。身の丈十丈とか。」
 どこの巨人だ、でかいの意味が違う。そう思ったが、あえて訂正はしなかった。部下達の浮かれっぷりに呆れた笑みを浮かべながら、駆け足の速い一人を指名し、後で文を渡すと伝える。
「お前ら、これくらいで浮かれてんじゃねーぞ。これから奴らと手を組むことは、増えるだろうからな。いちいち騒ぎ立てんな。」
 何せ、奇襲に長けた(逆を言うと奇襲以外はろくに使えない)高杉の部下達の命を預けても良いと思える、唯一の部隊なのだから。




参の章

 意識がぼんやりと浮かび上がっていくのと、冷たい空気が頬を撫でる感触と、どちらを先に感じただろう。視界は薄暗く、目の前に白い顔がぼやけて見える。
 頭の中の回路が繋がって現状を理解するより、冷たい空気に鼻の奥をくすぐられる方が早かった。くしゃみをする寸前、顔を背け口を押さえることができたのは、幸いと言うべきだろう。鼻水はもとより、唾でも引っかけたのがばれれば、半殺しではすまない。
 すぐ側にいたくせに、耳元でのくしゃみに目を覚ます様子はなかった。むずがるように眉をひそめ、けれどまたすぐに妙ないびきを立て始める。高杉はほっと息を吐いて、眠る顔を見つめた。
 間違いなく頬が痩せた。顔色も良くないのは、部屋が薄暗いだけではないだろう。人にはしっかり食って静養しろというくせに、当の本人が食事の量を減らしている。気づいてないとでも思っているのか。
 体力の衰えは顔だけでなく、細くなった腕やあばらの浮いた胸元や冷たい指先や、治りの遅い傷など全身に現れている。唯一黒髪だけが、前と変わらぬ艶と滑らかな手触りを保っていた。手を伸ばして髪に触れる。指先は抵抗なくくぐり、掬いあげれば名残などないように手からこぼれ落ちる。
 こいつは死んでも、髪だけは永遠に美しいままなんだろうな。ふとそう思い、己の空想に舌打ちした。
(誰が死なすものか。)
 髪の毛の一筋まで残さぬように、腕に力を込め抱き寄せる。寝息を立てる口元が首筋に当たってこそばゆい。向こうは息苦しいようで、「むー」とかなんとか言いながら高杉の腕から逃れようと手を突っぱねる。
 息をしやすいように身体の位置をずらしてやると、逆に身体をすり寄せてきた。離れれば寒いからと判っていても、常にない仕草に、思わず頬が弛んだ。
[PR]

by wakame81 | 2009-02-08 22:23 | オフライン。  

<< 第247訓。 第142話。 >>