お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

キミ の ツバサで

最後のリクですお待たせしました!!
「かぐづらとスザンヌ、+銀さん」。新八も入れてみましたー。






「こんにちわー。スザンヌですけど、リーダーはいますかー?(桂裏声)」
「うっせぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
 呼び鈴と共に玄関先で響いたうざい声の持ち主を、ドアごと蹴り倒した。いつもならもう少し無視を決め込むのだけれど、今日はそれができなかった。理由はもちろん。
「痛いではないか銀時。もしスザンヌに当たっていたら、大変なことになっていたぞ。なぁ。」
「そうよそうよ。(桂裏声)」
 全然萌えない顔をした、役に立たなさそうな人形を身を挺してかばったあげく、メキメキと自分でドアを破って顔を出させ、首をかしげてみせる。そのアホなやりとりに、ドアから突き出した頭を思いっきり殴った。
「てか何人んち壊してくれてんだ、何アヤシイ人形持ち歩いて人んちの前立ってたんだ。うちがアヤシイ万事屋だって思われんだろっ?」
「アヤシイ人形ではない、スザンヌだ。貴様が俺に託してくれたのだろう。それと、俺がうろつかなくても充分ここはアヤシイ万事屋だ。」
「もうお前黙れっ。」
 倒れたドアを立て直す。名を呼ぶ声を無視して戻ろうとすると、入れ違いに神楽が出てきた。
「あーヅラアル。よく来たアルな、まぁあがるヨロシ。」
「うむリーダー、そうしたいのは山々なのだが、今俺は身動き取れんのだ。」
「任せるネっ。」
 その言葉に破壊音が続く。あーあー何でみんな俺んちのドア壊そうとするの、と、己の所行は棚に上げて銀時はため息をついてソファに寝っ転がる。
「あれ? 銀さん、桂さん来たんですよね?」
 台所にいつの間にか引っ込んでいた新八が顔を出した。その後ろから湯の沸く音がする。どうやら、茶を淹れるためにお湯を沸かしていたらしい。
「あー? 知らね。」
「知らねって、そこにいるじゃないですか。」
「ちっ、来ちまったか。」
 舌打ちをしながら顔を上げると、ドア破壊の影響かボロボロになった桂が神楽と一緒に応接間の入り口に立っていた。間抜けな顔した人形片手に。
「つーかヅラくん、一応うちの神楽も新八もお年頃なんだから、そんなもの持ち込むのはやめてくんない?」
「ヅラじゃない桂だ。なぜいかんのだ。」
「なぜって、お前それがどうやって使うのか判ってねーの?」
 今ここで説明しろと言われたらどうしよう。言ってしまってから銀時は悩む。まぁ新八は判ってるみたいだし、いざとなったら神楽をどっかに移してしまえばいい。問題は、神楽も知りたいと駄々をこねたときだ。
「無論、知っているぞ。」
 そんな銀時の心情をよそに、桂は平然と答えた。
「今日は、そのためにリーダーに呼ばれてきたのだからな。」
「は?」
「そうアル。ヅラ、さっさとスザンヌを貸すネ。」
 目を丸くする銀時と新八の前で、言うなり神楽は人形を奪い取った。両の手で人形の手首をつかみ、自分の小さな体に当てる。新しい服を鏡の前で自分にかぶせ、似合うかどうか見るそぶりにも似ていた。
「何やってんの神楽。まさか胸パッドのつもりか、それで大っきくしたつもりか?」
「神楽ちゃん、それはあんまりにも無理があるよ。」
「違うぞ二人とも。リーダーはな、」
「食らえヅラぁぁぁぁっ!!」
 説明をしようとする桂の顔に、神楽(とスザンヌ)の拳が思いっきり入った。よけることもできなかった桂は、鼻血を出して飛んでいく。
「ちょ、神楽ちゃんっ?」
「てぇぇぇぇぇいっ!!」
 さらにみぞおちに蹴りが入る。立てずにうずくまった桂を、神楽はさらに殴り、蹴る。
「何やってんの神楽ちゃんっ。」
「何って修行アル。」
 羽交い締めにして止めた新八に、神楽は平然と答えた。
「修行?」
「そうアル。ヅラに勝てるようになったら、私も一人前ネ。さぁ立つアルヅラ、そんなことじゃ日本の夜明けは拝めないアルよっ!」
「る、ルージャ。」
 よろよろと立ち上がった桂に、さらに人形がぶん投げられる。
「ちょっと神楽ちゃんっ! これじゃ神楽ちゃんじゃなくて桂さんの修行になってるじゃないっ。ていうか、桂さん絶対に君に手はあげないんだからこれは意味がないぃぃぃぃぃぃっ!!」
 止めに入ると、今度は新八が投げつけられる。互いにいいところに入ったらしい。新八は脇腹を、桂は鼻を押さえて悶絶している。
「つか神楽ぁ。」
 さらに人形を持って構えた神楽を、銀時が猫つまみして持ち上げた。
「家ん中で暴れんじゃねぇって何度も言ってるだろーが、外でやれ外で。」
 そう言うなり、窓から神楽と桂と人形を放り出す。どっちかが着地に失敗したのか(おそらく桂)、派手な音が後に続いた。
「………いいんですか。」
「何が。」
 やる気なさげに答えながら、桂が持ってきていたらしい紙袋を拾い上げる。中の箱が少し潰れていて一瞬顔をしかめるが、その中身は無事だったことにほっと息を吐く。
「神楽ちゃんと桂さん、あのままにしておいて。」
「いーんでねぇの? 死なねーだろヅラも。ヅラなんだから。」
「ヅラなんだからって意味判りませんよ。それに、死ななくても大怪我くらいはするでしょう。」
「ダイジョブだって、慰謝料払うようなコトにはさせねーから。………お、この栗ようかん栗丸ごとじゃん。」
「そっちの心配ですかっ。」
 大声を上げる新八に、「いちご牛乳ー」と目で指し示しながら栗ようかんにかぶりついた。窓の外からは破壊音が次第に遠のいていく。
「全く、せめて切り分けてくださいよ。それ銀さんだけのものじゃないかもなんですからね。」
「(ごっくん)酢昆布もあったし、神楽にはそっちだろー。ぱっつぁんの分は銀さんが食べといてやるから安心しなさい。」
「むしろ心配ですよ。それにしても。」
 新八はそう言いながら、窓の方へと顔を向けた。
「なんで神楽ちゃんは、あんな人形なんか………。」
「まぁアレだろ、卒業式とかに女の先輩のスカーフもらいたがるようなもんだろ。」
「え、第二ボタンじゃなくてですか?」
「まーねー。」
 新八がいつまでたっても包丁を持ってこようとしないので、そのままようかんの半分くらいを頬張る。新八は、ため息をついて台所に戻った。
 それにしても。
「筆とかすずりとか、そんなの同じもん使ったって字が上手くなるわけでも頭が良くなるわけでもねーのになぁ。」
 ようかんをかみ砕く、その合間につぶやく。
 神楽とまったく同じ事をしていた、記憶の中の小さな二つの姿が自然と思い浮かぶ。
「はい銀さん、いちご牛乳です。」
「お、さんきゅー。」
 差し出されたコップを手に取った、その瞬間だった。
「隙ありぃぃぃっ!!」
 いきなり振り下ろされる竹刀を銀時は軽々とかわし、大きい動きのおかげでバランスの崩しかけた体を後ろからこづいてやる。踏ん張りきれず新八は、ソファの上に転がった。
「っつ~~~、もう少しだったのに。」
「なーにがもう少しだよ。まったくお前は、こないだから銀さん襲おうとしてなんなの。新銀ですか下克上ですかざけんじゃねーぞー。」
「そんなわけないでしょう僕はお通ちゃん一筋ですっ、銀さんみたいなマダオな中年冗談じゃありませんっ!」
 一息に言い放って新八はぷんすかしながら台所に引っ込んだ。今度こそ包丁を持ってきて、残り少ないようかんを切り分けるつもりだろう。まさか、包丁で斬りかかってきたりはしないだろうが。
「つーか、隙ありって自分で言ってちゃ世話ねーよ?」
 自分で道は切り拓け、と突き放した手前がある。だから銀時は、聞こえないようにつぶやいて笑った。


 路地裏で桂は壁に体をもたれさせた。きれいな髪はぐしゃぐしゃに乱れ、羽織も小袖もずたぼろになって汚れている。肩で息をしながらこっちを見上げてくる彼の前に、神楽は仁王立ちに立った。
「参ったアルかっ。」
「参った、降参だ。」
 桂が両手を挙げる。その顔に、もう一度人形を叩きつけた。
「べふっ。」
「何が降参アルか、もっとやるネっ。」
「ルージャ。」
 よろよろと桂は立ち上がる。差し出された人形を手にするやいなや思いっきり人形パンチを食らわす。真正面から受けて、桂は吹っ飛んだ。
「り、リーダー、ナイスパンチ………できたら肉球のほうが………。」
「うるっさいアルっ。なんでよけないアルかっ。」
「いや、よける間もない、見事な攻撃だった。」
「嘘つくなアル、ヅラだったらもっと簡単によけられるはずネっ!」
 自分が夜兎で桂が地球人だからとか、そんなのは言い訳にもならない。それくらい、桂は強い。けれど、いやだからこそ桂は自分の拳をよけようとしないし、自分に手をあげることもない。
 理由なんて知らない。ただ、神楽を思いやってのそれは、逆に今の神楽を傷つけた。
「本気でかかってくるヨロシ、そうでないと、」
 そこで言葉を閉ざし、神楽は唇を噛みしめた。桂の澄んだまなざしが、自分をじっと見つめてくる。この眼に見つめられたから、違う。
 桂が本気にならなかったら、自分は彼をどうするつもりだった?
「リーダー。」
「うるっさいアルっ!」
 人形で殴りつける。人肉を殴打する、その感触が伝わってきて神楽は震えた。
 強くなりたい。
 こんな強さじゃない。これじゃ、届かない。
 桂が地球最強と呼ぶ、星吐の変種を封じた人形の力を借りても、あいつにも桂にも届かない。
「リーダー。」
 再び呼ばれ、手が伸ばされた。大きくて細い手のひらが、神楽の頭に触れる。
「ヒントなぞ」「いらないアル。」
 意地だった。ダメな大人たちに頼らないと決めた。それがどんなに遠回りになっても、そこだけは譲りたくなかった。
「俺の話、なのだがな。」
 柔らかい声音が言葉を紡ぐ。神楽が妨げないでいると、桂は少しだけ声を揺らがせた。
「俺が過激な攘夷活動を控え、穏健派に路線を変えたのは、リーダーたちのおかげだ。」
「私が、天人だからアルか。」
「それもある、がそれだけではない。」
 桂の手は優しく頭をなでる。この手が好きだった。遠い昔、まだ家族が壊れていなかった頃を思い出すから。
「リーダーや新八君、エリザベス、幾松殿、西郷殿にてる彦君。お登瀬殿やたま殿やキャサリン殿。他にもたくさんだ。お前達と出会ってから、俺にはこれだけの、大事なものが増えた。彼らのためにも、俺は過激なテロで江戸を破壊してはいけないと思った。」
「………ヅラじゃなくても、誰かがやってしまうヨ。」
 言ってはいけないかもしれなかった。けれどその言葉は、意識する前にこぼれ落ちた。
「そうだ。だからこそ、俺がテロを行ってはいけない。俺が、それらに対抗する新しい流れを作らなくてはいけない。」
 無血革命という道を。
「それを、俺の弱さの証と言うものもあるし、強くなったというものもある。俺個人は、後者でありたいと思っている。」
 神楽はゆっくりと顔を上げた。目が合うと、きれいな琥珀は優しく細められる。
「リーダーは、銀時が好きか?」
 問われ、神楽は頷いた。
「新八君は?」
 少し考えて、頷いた。
「定春殿は?」
 大きく頷いた。
「お妙殿は?」
 大きく頷いた。
「お登瀬殿は?」
 頷いた。
「たま殿は?」
 頷いた。
「キャサリン殿は?」
「キライアル。」
「エリザベスは?」
 頷いた。
「そうだな………沖田とかは。」
「キライネあんなやつっ。」
 噛みつくように言うと、桂は少しだけ笑った。
「父御殿は。」
 小さく、頷いた。唇がかすかに震える。
「兄御殿は。」
 答えずに、じっと桂の顔を見つめる。噛みしめた唇に桂はゆっくりと頷いて、ぽんぽんと神楽の頭を叩いた。
「それを忘れなければ、大丈夫だ。」
 眼をぎゅっとつぶる。溢れ出てきそうなものを、つばと一緒に飲み込む。神楽が再び目を開けるまで、あたたかな手はずっと頭をたたき続けていた。
 目を合わすと、桂はもう一度頷いた。離れていきかけた手を、今度は神楽がつかむ。
 さっき、彼が言わなかった名に、応えなきゃいけない。
「リーダーは、部下を大事にするものアル。」
 震えそうな声で紡がれた言葉に、桂は眼を丸くする。やがて、小さく口元をほころばせて、「ルージャ。」と応えてくれた。



                    ~Fin~

 
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by wakame81 | 2008-10-16 19:17 | 小説。  

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