お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

≪太陽≫の花は真実を照らすか~判決編:前

いよいよ判決編です。金田一君でいうと、解答編です。つまり、犯人が誰だかはっきりするとゆーわけで。←犯人あてクイズしてないだろ。





 翌日。被告人控え室へとやってきた新八と妙は、先に来ていた桂を見てぎょっとした。
 眼が、ぎろっと見開かれている。それでいて睨まれているのではない。むしろ焦点があってなくて、どこか空ろだ。白目の部分が血走っていて、さらに。
「ぬ”~~~、ぬ”~~~。」
 怪しい呻き声に新八は桂を揺さぶった。
「桂さんっ、どうしたんですか桂さん、具合悪いんですかっ?」
「………む、新八君か。」
 二、三度目を瞬かせたあと、桂は目をこすった。再び開かれた瞳はしっかりと新八を捉える。
「もうそんな時間か。お早う。」
「お早うございます、桂さん。」
「って、え? 寝てたんですかっ?」
 妙は平然と挨拶をしたが、新八の動揺はまだ収まらなかった。
「うむ。新八君にも気づかれなかったのなら、まずまずだな。」
「どーこがまずまずだってぇっ?」
 後ろから声がした。分厚い本(後から見たらジャンプだった)が空を切って飛び、桂の顔に激突する。
「ゴフッ!」
「明らかに怪しかったろ、新八も驚いてただろっ。これのどこがまずまずだって、どの口が言うか、えぇっ?」
 新八と妙を抜いて桂の前によった銀時は、白い頬をむにーっと摘み上げる。
「ぎんひょき、いひゃいいひゃい。」
「いひゃいじゃねーっ。そもそも明らかにいびきかいてたろ、仮に俺が許したとしても、絶対松方のオッサンから退廷命令出るぞっ。寝るくらいなら出んなっ。」
 桂は銀時の手を振り払って睨みつけた。
「そもそも俺が昨日眠れなかったのは誰のせいだと思っている。寝かさなかったのは貴様だろう銀時。」
「誤解を招くような言い方すんじゃねぇぇぇっ! つーか誰が徹夜で証言の裏取れって言ったぁっ? おめーの自業自得じゃねーかっ。」
「何を言う。真実を明らかにし、正義の所在を知らしめるのが法廷に関わる者の使命だろう。手抜きなどこの俺が許さんぞ。」
「だったら審理の進行邪魔しそうな睡眠不足ヤローは自重しろってのっ!」
「いいのか銀時。俺の証言が要るだろう。というか、この話の視点は新八君だ。解説役がいないと話が進まんぞ。」
「いるのはおめーの証言じゃなくておめーの用意した供述調書だけですーっ。それに解説役うんぬんてのは、後からこれ書いたやつが何とかすっからいーんだよっ。とにかく出るな、ここで寝とけっ!」
 どこから持ってきてたのか、毛布をばすっと桂の上に覆い被せ、ソファの上に押し倒す。毛布に絡まった桂が脱出する前に、新八と妙を引っ張って部屋の外へ出た。
「………いいんですか? 桂さん。」
「あぁ?」
 呆然と、なすがままに引っ張り出された新八はやがて口を開く。
「置いてっちゃって。」
「いーんだよ、アレがいたって大して変わんねーし。むしろ邪魔されたくないし。」
「はぁ。」
 控え室のほうを振り返る。桂はあきらめたのか、追ってくる気配はない。
「でも桂さん、姉上のために徹夜で調べ物してくれたんですよね。」
「いーんだよ気にしなくて。アイツの性分みてーなもんだし。つーか、アイツに恩感じる必要はどこにもねーぞ?」
「だって、僕が頼んだから桂さんは。」
「アイツがあんたらの弁護人じゃなくて、よかったな。」
 新八の言葉を遮って、銀時は別のことを言い出した。
「え?」
「もし、途中でやっぱりお妙が犯人だってことになったら、あいつ怖ぇーぞ? 裁判中にいきなり断罪しだすからな。」
 まるで見たことがあるかのように、弁護士ではない桂について語る。新八は目を丸くしたまま返す言葉を捜す。
「今現在だってそうなんだから、おめーらがアイツに感謝するいわれはないの。弁護士は依頼人の利益をまず第一に考えるべきっつーのをまるっきり無視するような奴なんだから。」
「はぁ………。」
 銀時の言葉を口の中で繰り返す。
 つまり、妙が真犯人なら桂は敵に回っていたかもしれないということか?
「ふふっ。」
 それまで黙っていた妙が急に笑い出した。銀時は嫌そうな顔で妙を見る。
「何だよ。」
「いえ、別に?」
 向けていたジト目を妙からそらし、目を閉じて頭を掻く。はーっ、とため息をついて、顔を上げた。
「んじゃ、行くとしますか。」
「はい。」
「姉上をお願いします。」
 深々と頭を下げる新八に、銀時は赤いふちのメガネに手をやって笑ってみせた。


「これより審理を再開する。」
 松方裁判長が重々しい声で告げる。
「弁護側は、最初の証人を喚問しなさい。」
 端で聞いている新八ですら、唾を飲み込んだ。これから銀時のターンだ。予備審問で起訴棄却ができなくとも、本審で勝てればいい。そこで有罪判決がなされるまでは、妙は「容疑者」であって「犯罪者」にはならない。
 それでも、裁判にかけられるというだけで世間からは白い目で見られる。妙の有罪を崩すのではなく無罪を証明してこれが冤罪であることを知らしめなくてはならない。そう教えてくれた人は、今は隣にいない。
 昨日よりもはるかに心細い。縋るような思いで、新八は壇上に立った銀時を見つめた。
「では、弁護側最初の証人として、小銭形警部を喚問いたします。」
 昨日と同じ、ハードボイルドにサングラスをかけて小銭形は登場した。ただし、銀時のほうは決して見ようとしない。
「では小銭形警部。あなたは、事件発覚直後、現場検証をしたとのことですが。」
「はい。」
 小銭形は不自然なほど目をそらして小声で答えた。銀時に怯えているようにも、やましいことがあるようにも見える。ふと歯牙の方へ視線を向けると、眉を寄せた不機嫌そうな顔をしていた。
「そこで、金加瀬氏に借金のあった人のリストを作成しましたか?」
「はい。」
「容疑者候補のリストに成り得ますからねぇ。それで、そのリストは今はお持ちですか?」
「いえ、検察庁にあります。」
「裁判長。ここで私は提案します。そのリストを、証拠として提出するようご命じください。」
「異議あり!」
 歯牙が叫んだ。
「そのリストは事件に関係のない人の名も記されています。直接関係があるとは思えないものを、このような場に持ち出すのは個人情報保護の点から倫理にもとるものと思われます!」
「裁判長。私は別に、そのリストに載っている名をすべて公開してほしいと言っているのではありません。それに、そのリストはさっきも申し上げましたとおり、被告人と同じ動機を持つもの、つまり容疑者になりえるもののリストでもあります。」
「しかし、そのリストに名のある者すべてのアリバイや捜査をやり直せというのは横暴です。被告側はそうやって、時間稼ぎをして審理を曖昧なものにしてしまおうと目論んでいるものと思われます!」
「裁判長。私は時間稼ぎのためにリスト提出を要求するのでも、名のある者すべての捜査をやり直せと要求するのでもないことを、この弁護士バッジに誓います。」
 そう言って銀時は、ひまわりに天秤をあしらったバッジを外して掲げた。まるで舞台のような動作は、法廷内の皆の視線を集める。
「異議は却下する。証拠提出を求める権利は、弁護側にも用意されている。ただし、そのリストを証拠として扱うかは、保留とする。」
 そう告げ、松方は人を遣ってリストを取りに行かせた。
「リストが届くまで、休憩とするか?」
「いえ、届く前に証明したいことがいくつかあります。先にそちらを進めさせてください。」
 松方はうなづいた。銀時はニヤリと笑って、高らかに声を上げる。
「次に、検死ならびに凶器の鑑定を行ったホワイトジャック先生に証言台に立っていただきます。」
 名を呼ばれ、ホワイトジャックが舞台に上がる。銀時の視線がちらりと歯牙に向けられたのを、新八は見逃さなかった。歯牙の端正な眉が一瞬ぴくりと動く。
 初めての証人ではないので、宣誓は省略される。
「ホワイトジャック先生。あなたは昨日の証言で、『凶器となった壷の表から検出されたのは、被害者。そして難波小吾氏。それから、志村妙のものだ』とおっしゃいましたね?」
「いかにも。」
「では、壷の内側はどうでしたか?」
 ざわりと法廷が揺らめいた。「静粛に」と松方が注意を促す。
 ざわめきが収まるまで黙るホワイトジャックに、銀時は再度口を開いた。
「お答えください。私の予測だと、壷の内側にも指紋がついていたはずなのですが。」
「異議あり!」
 歯牙が声を上げた。
「憶測で証言を求めています! それにこれは、誘導尋問にもなりえます!」
「裁判長。私は、証人の答えを促しているだけです。証人が答えてくれれば、私はそれで充分ですよ。」
「異議を却下する。証人は質問に答えよ。」
 松方に言われ、ホワイトジャックは口を開いた。
「指紋は、確かにあった。」
 その言葉に再度法廷はどよめく。
「どこに、ですか?」
「壷の、縁の裏側だ。」
「それが誰のものか、判明していますか?」
「いや。」
「その位置に指紋がつくように壷に触れるとしたら、どのような状況が考えられるでしょうか。」
「無造作に、壷を手にした場合だろう。」
「壷をしっかりと掴んで持ち上げた場合にも、同じような指紋がつくのではないですか?」
「異議あり! これは誘導尋問です!」
 再び歯牙が声を上げた。今度は松方は異議を認め、銀時の質問は遮られる。けれど、銀時の言わんとしていることに、新八は気づいた。
 銀時はそこで尋問を終え、歯牙が反対尋問に立った。
「証人に尋ねます。たとえば、被害者に毎日壷などの骨董品を磨く習慣があったとして、その内側の指紋も消されるものでしょうか?」
 何だよそれ、と新八は思った。そんなの、検察医に聞くことじゃないだろう。
 妙もそう思ったらしく、がたっ、と被告席が音を立てた。
「被害者がどの程度几帳面に壷を磨くかによりますな。」
 答えになりきらない答えが返る。ツッコミどころ満載のやりとりなのに、銀時は異議を申し立てようとはしなかった。


「次の証人は、魔破のり子さんです。」
 証言台に立ったのは、ピンクの髪の女性だった。職業を、宅配会社勤務と告げる。
「なお、原作であった風を感じないと死んでしまうとゆー設定は、ここだと邪魔なだけなんでお忘れください。」
「異議あり! 今言うことではありません!」
「異議を却下する。」
 段々、この裁判で妙の行く末が決められるという事実に新八は腹が立ってきた。
「魔破さん。あなたは宅配業者でバイク便の仕事についていますね?」
「はい。引き受けたら空を駆けてどこへでもお届けします。」
「異議あり! 今回の事件とは何ら関係のないことです!」
 歯牙の妨害に、銀時は松方へと振り向く。
「この証人の行う証言が事件とどう関係あるのか、これからはっきりすることです。今しばらく、お待ちください。」
 異議は却下された。銀時と歯牙の間で、何かがぶつかりあうのを新八は見た気がした。
「この住所にある金加瀬金融会社という事務所に、宅配をしたことはありますか?」
「はい。」
「それはいつのことですか?」
「九月十六日の、夕方の便です。お届けしたのは六時半でした。坂田さんに言われたとおり、受取書の控えを持ってきました。」
「荷物は、何でしたか?」
「壷です。ワレモノ注意と書かれてありました。」
 ここで銀時は尋問を終え、法廷内を見渡した。笑みを浮かべて、皆に何かをアピールするように。


 次に、銀時は某キシリ●様風の女性を喚問した。
 取引先の重役という彼女は、部下から贈られた壷を金加瀬が気に入ったので彼に譲ったと証言した。宅配を、のり子の所属する業者に頼んだことも。
 人に譲るために、壷を古美術商に頼んで内側まできれいにしてもらったことも。
「その壷は、これでしたか?」
 銀時は、割れた壷の写真を見せる。新八にも覚えがあった、それは凶器として提出されたものだ。
「その通りだ。」
「ありがとうございます。質問は以上です。」
 反対尋問もなくキシリ●様は証言台を降りる。そこへ、松方が銀時に声をかけた。
「坂田弁護士。これはどういうことか?」
 銀時はメガネを押し上げて直し、口端を持ち上げる。
「凶器となった壷が被害者の事務所、つまり犯行現場に置かれたのは、事件当日の夕方ということですよ。」
「それが?」
「事件発生は壷が届いた約二時間後。送られる前に壷はきれいに洗浄され、梱包も余計な汚れがつかないように細心の注意を払って行われました。つまり、あの壷に指紋がつけられたのは、届いてから、事件が発覚し警察に押収されるまでの二時間半の間ということです。さて。」
 銀時の視線が法廷内をめぐった。誰かを探すように往復し、一点で止まる。
「次の証人を召喚いたします。難波幾松さん、お願いします。」
 その場のすべての視線が、一箇所に集まった。薄い色の頭をわずかに下に向けたまま、幾松は立ち上がる。
 集まる視線のどれとも目を合わせない彼女は黙ったまま証言台に立つ。心なしか、手が震えているようだった。
「難波さん。」
 宣誓を省略し、銀時が幾松の名を呼ぶ。
「あなたが、金加瀬氏を殺したのですね?」




                             ~続く~
[PR]

by wakame81 | 2008-10-05 13:21 | 小説。  

<< ≪太陽≫の花は真実を照らすか~... 今日の仕事先のできごと。 >>