お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

≪太陽≫の花は真実を照らすか~審理編:中

うっわ、担当刑事の尋問、1ページで収まらないでやんの(笑)。





 銀時はゆっくりと立ち上がった。証言が終わってあからさまに肩の力を抜いていた小銭形は、赤茶の瞳に見据えられ、びくりと身をすくませる。
「まず、現場での聞き込みの結果、目撃証言が出たのは被告人のみですか?」
「はい。」
「被告人を見たというのは、その客一人ですね? あとは、店主は物音を聞いたけれど姿は見ていない。他の客も、上の階の人間も見ていない。そうですね?」
「はい。上の、英会話教室は子供向けの塾で、午後八時には塾を閉めてみな帰宅していたそうです。」
「見取り図を見ると、被告人が目撃された非常階段は、ビルの裏手に通じている。店の表からそちらを見る機会は少ないと思いませんか?」
「は、はい。」
「それでは、被告人のほかに誰かが非常階段を上り下りしても気づかれない可能性が高いのでは?」
「異議あり!」
 今度は歯牙が声を上げた。銀時は眉をひそめてそちらを見やる。
「これは、仮定の質問です、証人に答える義務はありません。」
「裁判長、私は捜査の信憑性におけるさまざまな可能性を提示しているだけです。仮定であっても、意味は十分にあると考えます。」
「異議を却下する。証人は質問に答えなさい。」
「は、はい。その可能性は、あると思います。」
 小銭形は気弱そうな声で答えた。最初のハードボイルドなイメージはがた落ちである。
「では次に。現場から紛失した借用書のコピーは、見つかりましたか?」
「い、いえ。」
「それは、どういうことでしょう。」
「どうもこうも、コピーを持ち出した被告人が処分してしまったものと。」
「小銭形警部。持ち出したのが被告人だと、どうして言えるのですか?」
 低い声で問われ、小銭形は縮こまった。もはや、蛇に睨まれたおたまじゃくしだ。
「その借用書は、被告人の父親名義のものなので。」
「ですが、持ち出した現場を見たものはいない。そもそも発見されてないのですから、証拠にはなりえない。そうですよね?」
「いえ、その。」
「つまり、第三者が持ち出し、処分したという可能性も」
「異議あり! 根拠がありませんし、反対尋問は証人の証言された事柄にのみ行うものです。これは反対尋問の定義から逸脱しています!」
「検察側は動機のひとつを被告人の父の借用書を奪うこととしており、小銭形警部の証言はそれを裏付けようと目論まれたことです。被告側はそれに対し、借用書の紛失が動機の証拠になりえないという可能性を示唆しただけのことで、反対尋問から逸脱したとは思いません!」
 松方は少しの間目を伏せる。法廷中が息を呑んで見守る中、やがて目を開いた。
「被告側の言うとおり、反対尋問から逸脱しているとは言い切れん。が、根拠がはっきりとしていないのもまた事実。異議は認めざるを得ない。」
「ありがとうございます。」
 歯牙は深く頭を下げた。先ほどの銀時より、優雅に見える動作で。
「判りました。以上で反対尋問を終わりにします。」
 銀時も頭を垂れた。再びあがった顔は、ふてぶてしく笑っていた。


「次の証人は、被告人を目撃した石田・ピエール・源八左右衛門氏です。」
 長ったらしい名を呼ばれ、きれいに禿げ上がった初老の男が現れた。筋肉のついた立派な体、職業が大工との証言に新八は納得する。
「あなたは事件のあった九月十六日の午後八時半ごろ、現場階下のラーメン屋にいましたね?」
「おう。幾松っちゃんのラーメンは安くてうまいからなぁ。おまけに美人だし。俺も女房と出会う前に幾松っちゃんと出会ってたら、どっちにしようか迷っただろうなぁ。いや、女房は今でも愛してるぞ?」
 話が長くなりそうだ。そう思ったのは新八だけではなかったらしい。歯牙も、かすかに眉をひそめて質問を続ける。
「八時半過ぎ、あなたは店を出て裏手に行きましたね。」
「そっちの方が、駐車場に近いんでなぁ。いつもそこ通るようにしてんだよ。」
「そこであなたは、何を見ましたか?」
「ん~。ばたばたって、そこの姉ちゃんが階段降りてきたんだ。何とかよけたけど、危なくぶつかるとこだったぜ。」
 そう言いながら石田は妙を指差す。
「確かですね?」
「真正面から見たしなぁ。かわいかったし。俺も女房と出会う前に」
「ありがとうございます。それは、具体的に八時何分のできごとでしたか?」
 話を途中で切り上げて、歯牙は次の質問をした。石田は気を悪くするそぶりを見せず、首をかしげる。
「ん~? よくは覚えてねぇなぁ。半は回ってたと思うけどなぁ。」
「他には誰か、何か見ましたか?」
「いや? 姉ちゃん見送ったあと、すぐにトラックに戻ったからなぁ。」
「ありがとうございます。質問は以上です。」
 小銭形を相手にしたときと違い、スムーズに終わった。次は反対尋問だ。再び、銀時が立ち上がる。
「石田さん。あなたは被告人を正面から目撃したのですね?」
「そうだなぁ。非常階段は表側向いてるし、姉ちゃんは降りてきてまっすぐこっち向かってきたし。」
「では、被告人の姿をはっきり見たと、そうおっしゃる。」
「まぁな。」
「では、被告人が何かを手に持っていたか、覚えていますか?」
「手?」
 石田は首をひねった。
「ん~~~。かばん……とかは持ってたっけかなぁ?」
「本当に? 推測ではなく本当に、真実、間違いなくかばんを持っていたと言えますか?」
「異議あり! 質問に答えています!」
 銀時はきっと松方に向き直る。
「これは、例の借用書のコピーを持ち出したのが被告人か否かということに関する重大な質問です。あいまいなままにはしておけません。」
「異議あり! それは反対尋問から逸脱しています!」
「異議は認める。が、被告側の言うとおり、重大な質問であることもまた確か。証人は、はっきりと、確信がもてるならば肯定しなさい。記憶が不確かであれば、そのように答えるように。」
「んんんん~~~~~~?」
 石田は腕組みまでして首をひねった。皆が息を飲んで彼を見守った。カチカチと、時計の針だけがやけに響く。
「覚えてねぇなぁ。」
 やっと出された答えに、法廷中を息を吐く音が満たした。
「では、次の質問です。あなたは、被告人が音を立てて階段を駆け下りてきた。その後、本当にまっすぐにトラックに戻ったのですか?」
「何?」
 石田は眉をひそめた。
「二階、或いはさらに上の階で何かが起こり、あなたにぶつかりそうになるほど慌てながら被告人は階段を降りてきた。それに何の興味も示さず、まっすぐにトラックに戻ったと?」
「何が言いてぇんだ?」
 石田の声が低くなる。銀時は、人の悪い笑みを浮かべて続けた。
「階上のできごとに興味を示して二階に上がることはなかったと、本当におっしゃる?」
「異議あ「どーゆーこった、俺が嘘ついてるとでも言うのかぁっ?」
 歯牙の前に石田が声を荒げた。銀時の言葉にか石田の様子にか、傍聴席も騒ぎ始める。
「異議あり! 被告側は証人を貶めようとしていま「つまり俺が犯人だって、そう言いたいのか、あぁっ?」
 石田が歯をむいて怒鳴った。銀時は答えない。口端を持ち上げて、ただ佇んでいる。
「静粛に!」
 深い、よく響く声を松方が上げる。
「静かにできない者は退室を命じる。証人も、落ち着け。」
 法廷内を静めてから、松方は銀時を見やる。
「弁護人は、不用意な発言を慎むように。」
「はーい。」
 一見よいこのお返事を返す。
 新八は、今までの様子をただ呆気にとられながら見ていた。その肩に、桂が手を置く。
「気にするな、いつもの手だ。」
「え?」
「大丈夫だ。」
 その切れ長の眼は、証言台から降りる石田をじっと見つめていた。


「次の証人は、第一発見者の難波幾松さんです。」
 証言台に、色の薄い髪の女性が立った。すらりと背が高くて気の強そうな美女は、現場下の、ラーメン屋の店主と名乗った。
「午後二時くらいでしょうか、金加瀬さんに頼まれて、出前のミソチャーシューとチャーハンセットを届けました。その食器の回収に行ったのが、午後九時です。出る前に店の時計で確認したので、間違いありません。チャイムを鳴らしたけれど誰も出なくて、でも明かりはついてたし鍵もかかってなかったので、中に入りました。」
「事務所内は、どうなってました?」
「………荒らされてました。いろんなものがひっくり返されてて。書斎のドアも開いてて、そこから人の足が見えたので中を覗きました。そうしたら、金加瀬さんと義弟が倒れていました。」
「おとうと?」
「………はい。難波小吾は、私の夫の弟です。」
 幾松は手をぎゅっと握り締めながら答えた。法廷内がまたどよめく。
「二人とも、白目を向いててただごとじゃないと思いました。どうしたらいいのか判らなくなって、とにかく誰かに知らせなきゃって思って、通報しました。」
「発見当時、あたりに誰かいませんでしたか?」
「いいえ。」
 きっぱりと幾松は答える。質問はそこで終わり、反対尋問に入る。
 銀時は眼鏡を押し上げ、口を開いた。
「難波さん。あなたは倒れた二人を発見して、まず警察を呼んだんですよね?」
「はい。」
「どうして、百十九番じゃなかったのですか?」
「え?」
 幾松が少しだけ身を引かせる。
「人が倒れていたら、普通は救急車を呼ぶものじゃありませんか?」
 幾松は目を見開いた。
「それは。」
「なのにあなたは警察を呼んだ。どうしてですか?」
「ど、動転してたもので。それに、金加瀬さんは頭から血を流していたし、てっきり死んでると思いました。」
「あなたは医師免許、看護士免許、ほか医療に携わる免許をお持ちなのですか? お持ちでないのなら、素人判断で医療機関に見せることを放棄したということですよね? しかも、うち一人はあなたの身内だというのに?」
「異議あり! 証人を不当に貶めています!」
「異議を認める。」
 尋問を邪魔されたというのに、銀時の顔から余裕の笑みは消えない。逆に、歯牙は鋭い目で銀時を睨みつける。
「質問を変えます。あなたは医者を呼ばずに警察を呼ぶほど、動転していた。なのに、発見当時周りには誰もいなかったことを、どうしてそうきっぱりと証言できるのですか?」
 幾松の顔が、かすかに白くなる。が、落ち着き払った声で口を開いた。
「私を、疑ってますか?」
「質問にお答えください、難波さん。」
「異議あり! 弁護人は、関係者に片端から疑いをかけることで審理を混乱させようとしています!」
 今度は銀時が眉をひそめる。
「異議を認める。弁護人は不用意な発言を慎むように。先ほども、申したな?」
「はーい。」
 三度目はない。そう言外に匂わせた言葉に銀時はふてぶてしく答える。
「この手はもう使えないか。」
 小さく、桂はつぶやいた。今度こそ新八は尋ねる。
「どういうことですか?」
「歯牙が言ったろう。片端から関係者を疑ってるんだ。依頼人だけではない、第三者にも反抗の可能性があったことを証明するためにな。」
「疑うって、あの人が犯人かもしれないってことですか?」
 新八は幾松を見つめる。きれいで意思が強そうで、どう見ても人を殺すようには見えない。
「いいか、新八君。君の姉上が犯人でないなら、どこかに必ず真犯人はいるのだ。」




                                ~続く~
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by wakame81 | 2008-10-03 22:26 | 小説。  

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