お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

Into Your Eyes:後

先週のチャットをしながらプロット直してたせいか、山→桂要素乱入(爆)。すみません、すみません!! 
これが一番、リク内容から外れている気がしてなりませぬ。





「………早かったな、沖田。」
「………なんで、ここにいるんでさぁ。」
 柄に手をやる。問いかけた声が、かすかに上ずる。
「用があったからだ、決まっておろう。」
「その用ってやつを聞いてんでぃ。」
「それは、秘密という奴だ。」
 桂は右手を持ち上げ、人差し指を立てた。秘密、という単語にあわせて指を軽く振る。左手はキーボードに置かれたまま。それが数回キーを打つと、大きな画面が高速でスクロールを始めた。
「な………っ?」
 声を上げたのは、這いずって部屋を覗き込んだ山崎だった。桂の視線が沖田からそれる。
「ほぅ、気づいたか。目が良いな。」
「いや、ていうか、え、うそだろっ?」
「嘘ではないぞ。気のせいを望んでも無駄だ。」
「………何がどうだってんでぃ。」
 苛々と口を挟む。桂はちらりと沖田を見やった後、山崎にあごをしゃくってみせた。促され、恐る恐る口を開く。
「………あの画面に表示されてるのは、帳簿でも取引の書類でもないです。」
「じゃぁなんでぃ。」
「女の子の名前です。それと、髪の色とかの外見の特徴と、年齢と、スリーサイズと………。」
「取引の書類ではない、というのは間違いだな山崎。これは立派な、『商品』の目録だ。」
 弱くなる山崎の語尾を桂が受け継ぐ。その内容に、沖田は桂を睨みつけた。
「内容が人のことでそれを商品だ? 無血革命を掲げた党首様が随分と落ちたじゃねぇかぃ。」
「俺ではないぞ。この商家のものだ。」
「で、でも、これってまるで………。」
「そう、人身売買の目録だよ。」
 桂の口調は平坦で、まるで近所の八百屋の大根の話でもされているように思う。惑わされるな、と沖田は自分に語りかけ、柄へと伸ばした手に力を込める。
「そいつぁ大した悪党じゃねぇかぃ。日本の夜明けとか言っときながらなぁ。」
「だから俺ではないと言うておろうに。」
 肩をすくめ、桂は続ける。
「あの攘夷浪士たちは、パトロンを得たつもりで、その悪事に参加させられていたのだ。目先の金に囚われて、その出先がどこなのか、碌に調べもせんかったからな、パトロンが春雨と繋がっている事も気づけぬとは自業自得だが。」
「春雨っ?」
「正確には春雨の名も名乗れん下部組織だがな。」
 コンピューターが電子音を立てて、フォルダ移動の終了を告げた。桂は視線をわずかにキーボードに向け、さらにいくつかのキーをたたく。
「そいつをどうすんでぃ。」
「顧客リストは既に手に入れた。貴様らにはやらんぞ、これは我々が使わせてもらう。」
「………っ、寄越しやがれっ!」
「断る。」
 刃を抜き、斬りかかる。タッチの差でメモリスティックをコンピューターから抜き取った桂は、ひらりと身をかわした。「沖田隊長っ? 何を」と声を上げる山崎を無視して、構える。
「そいつは俺たちの仕事だろぃ。」
「貴様らに何ができる。お上に揉み消されて終わりだぞ。それとも、お取潰しを覚悟で動いて、蜥蜴の尻尾でも切り落としてみるか、煉獄館の時のように。」
「んだとぉ?」
 不覚にも、その一言で刀を止められた。それを見た桂は、やれやれと肩をすくめる。
「気づいていなかったのか。とんだ芋侍だな。」
「煉獄館がしっぽ切りって、どーゆーこってぃっ。」
「あの時貴様らが逮捕したのは、現場の責任者までだ。其奴に指示を出していたもの、そして最高責任者が野放しでは、ほとぼりが冷めたころにまた同じことを始めるのは当然のことだろう?」
「な………っ!」
「この件も同じだ。」 
 桂はひらひらとメモリスティックをかざして見せる。
「顧客リストに名のある者を捕らえ、商品を救い出したとしても、大元を絶たねばまた同じことが起こる。地下吉原が落ちても、市場は他にもあるのだ。」
「大元を絶てばいーんだろぃ?」
「天導衆相手に、本気でそれができると?」
 切り返され、口ごもる。桂の言うとおりだ。幕府を操る奴らを相手どることなどできない。下手をすれば、真選組が潰される。
「抑止力としての貴様らは、それなりに価値があるのだ。過激派の浪士や、小物の犯罪者にはいい牽制になる。無論、真実を見抜くものには効かぬが。」
 だから、無理はするな。
 優しく告げられた言葉に、逆に沖田は憤った。斬りかかる。再びかわす桂の手が懐に伸びる。叩きつけられる煙幕、風が動く気配。後を追おうとして呼ぶ声に遮られた。
「待ってください沖田隊長っ!」
「なんでぃ、邪魔する気かぁ。」
 見当をつけて刃を下ろす。根拠の何もない勘だったが、煙が晴れてみると切っ先はしっかり山崎の鼻の先を捉えていた。
「敵に肩入れするやつぁ士道不覚悟で切腹だぜぃ。」
「いや俺は別にそんな滅相もなくっ、ていうか、沖田隊長こそっ。」
 慌てて手を挙げる山崎に、沖田は眉をよせた。
「肩入れ、しないんですか。」
 鼻で笑ってみせた。
 確かに山崎には不思議だろう。こいつも桂にはほだされている。沖田ほど積極的には動かないけれど。
「なーんであいつに肩入れしなきゃいけねぇんでぃ。」
 鼻のてっぺんをつっついてやる。ぎょっと眼を見開くが山崎は逃げようとしなかった。いい判断だ、もし逃げるなら逆に沖田の刃が反射的に襲い掛かることを山崎はわかってる。それでも。
 山崎には理解できない。こいつは≪眼≫だから。自分のような≪刃≫とは違う。
「だって、同じだろぃ?」
 想いを寄せることも。斬ることも。
「おき、」
「んじゃ、行ってくらぁ。」
 刃を収め、沖田は走り出す。


「かーつらぁぁぁぁっ!!」
 連なる屋根を走る姿を運良く見つけた。バズーカを置いてきたことを少しだけ悔やむ。この距離を詰められるか、とにかく飛び込んで抜いた刃は当然のようにかわされる。二件先の屋根へひらりと降り立つその鳥のような動きを眼で追う。
「今日はしつこいな。」
「たりめーでぃ。あんなこけにされて、ハイそーですかって諦めてたまるかってんだ。」
「こけ?」
 きょと、と首が傾ぐ。まさか、そんな意図もなくあんな台詞を吐いたのか。唇を噛んで、沖田は屋根瓦を蹴った。
 突き出した刃は身をひねってかわされる。それを横に薙げば、さらに距離をとられる。踏み込んで追う。桂は逃げる。その左手は、握り締められたまま。そこを狙うという手もあっただろう、けれど沖田は頑なに桂本人を斬ることを選んだ。
 無理はするな、だと?
「いい加減に、しろぃっ!」
 間を取られ、対峙する。沖田へと向ける視線は鋭い、が、同時に周囲へと気も配っている。どれだけ追い詰めようと、桂からその余裕を奪えない。
「てめーの相手は俺だろ? 他所見てんじゃねーや。」
「それは、貴様だろう。」
 返された言葉に覇気がわずかにそれる。やばい。てか何を言い出す気だ。
 微笑すら浮かべながら。
「貴様はいつも、近藤を見ているくせに。」
 あっけにとられた。今それを、ここで言われるとは思わなかった。いや、だからそんないい笑顔で言うような台詞かそれ。
「それでも良いのだがな。俺とて同じだ。いや、………俺のほうが酷いか。」
 眼を細められ、少し俯きながら言われる。消えそうなそれを追って沖田は踏み込んだ。刃ではなく手を伸ばす。
 桂は逃げなかった。引き寄せられるがままに口付けを受ける。
「………近藤さんには、んなことしねぇや。したいとも思わねーし。」
「………馬鹿者。情の深さの問題だろうが。」
 口では何を言っても、貴様は俺より近藤を選ぶだろう?
 その言葉を、沖田は否定しなかった。ただもう一度、唇に触れる。
 至近距離の琥珀に映る、まぁるい茶色の瞳。
 桂は沖田の姿をその眼に収め、そしてゆっくりと瞼を下ろした。






                               ~Fin~
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by wakame81 | 2008-08-06 09:40 | 小説。  

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