お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

共犯者たち:後

えーっと、先に謝っときますごめんなさい!!!


次のリクは、桂花投稿の後になります。リク主様申し訳ありません!!!






 江戸での小太郎や晋助の師のこと。ともに留学した級友たちのこと。師の友人の焼いた「パン」なる舶来の食べ物のこと。軽業や曲芸、受けを狙ったおなら芸などの見世物。唐辛子売りや十六文そばなどの食べ物屋のこと。
 江戸での話はおやつ、夕餉を終えてもなお続き、ついには夜更けになってしまったため、小太郎は松陽邸に泊まることになった。
「つーか長ぇよ話が。そばについてなんでそんなに長く語れんだよ。つーか物売りするために女装するおっさんの描写なんて誰も聞きたかねーよ。」
「面白いではないか。江戸の物売りは、客を寄せるために様々な工夫をするのだ。見世物の居合い切りの中にも目を見張る腕の者がいるのだぞ。」
「知らねーよ。てかそんなに自慢したいんだったらスイカの一個も土産にしろっつーの。」
「腐るではないか。というか、まだ今年は出回ってないぞ。」
 銀時の部屋では、布団を敷きながら子供たちのにぎやかな話し声がしている。いくつかふすまを隔てた松陽の私室にも、その声は響いてきた。
「………………。」
 声を潜めたらしい。その銀時の言葉は松陽には聞こえず、小太郎の答えだけが耳に届いた。
「こんな時間に帰れぬよ。父上も母上も、眠られているだろう。」
「お前、萩ついてから真っ直ぐにここに来たろ? いいのかよ、登城とかしなくて。」
「それは、明日するさ。もともとその予定だ。」
「………たくっ。」
 舌打ちひとつ。松陽は目を伏せ、ゆっくりと息を吐く。
「そんなに急いで帰ってくんならマジで土産持って来いっつの。」
「土産話はしたろう?」
「んなもんじゃ腹膨れるわけねーだろバカヅラ。」
「バカヅラじゃない、桂だっ!」
 それから聞こえてくるのは、いつもの喧嘩のようなやりとりだった。それもやがて波が引くように消え、耳に届くのはおけらの引っ切り無しに鳴く声のみになる。
 しばらく、松陽は書物に目を落としていた。やがて、喧騒がやんでから半刻は経ったころ。頁をめくる手を止め、顔を上げる。
「………先生。」
 潜むようにふすまの向こうから聞こえてきた声。松陽は眉尻を落とし、微笑んだ。
「どうぞ。」
 促せば音を立てずにふすまが開く。髪をほどき、襦袢の姿の小太郎が座してそこにいた。
「遅くなりまして、申し訳ありません。」
「いえ。………君も疲れているでしょうに。」
「平気です。」
 一礼し、小太郎は部屋へと入る。松陽は書物を閉じて立ち上がり、その傍へとよった。細い肩から滑り落ちる黒艶の髪をそっと撫でる。
「銀時は?」
「寝ています。ふりかも知れませんが。」
 その言葉に、ため息とともに笑みをこぼした。
「あの子にも、申し訳ないことをしていますねぇ。」
「ですが、これは先生と俺の秘密ですから。」
 至近距離で見る、真っ直ぐな琥珀。書物机の側にある行灯の光は松陽の背によって遮られ、薄暗闇の中でそれは深い色合いを見せる。
 幼いころの小太郎が持ち得なかった、色。
「………お出で。」
 畳につかれた手を取り、立ち上がらせる。誘われるまま布団に横たわった小太郎の、黒髪が白布に散る。一つしかない枕の代わりに腕を差し出せば、少しためらいながらも小さな頭を預ける。空いた右腕で掛け布団を引き寄せ、その髪を梳く。
 それを合図として、小太郎は口を開いた。
「………品川台場へ行きました。」
「どうでしたか?」
「酷いものでした。天人へと対抗するために奴等の技術を盗んでまで作られた砲台のすべてが天人によって破壊されていました。それも、奴等の最新鋭の大砲によって。明らかに、威嚇のためです。江川先生曰く、これで幕府の攘夷の意思はほとんど挫かれてしまったと。」
「………大樹公には未だ御子がありません。そのため、幕府は世継ぎを巡って二派に分かれているそうです。」
「………老中が開国の許可を今上帝に得ようと、近々上洛するという噂が立っております。また、近々天人の大使の大樹公への謁見を進めようとしているそうです。」
 銀時のいる前では口にされなかった、江戸と幕府の情勢。それを小太郎は、時折唇を噛みながら震える声で語る。松陽は黒髪を梳きながら、その言葉に耳を傾けた。


 予定の日よりも一日早く帰郷した、その疲れに小太郎は健やかな寝息を立てる。白い頬をそっと撫でてみるも、彼が目を覚ます様子はない。
 松陽は、後悔していた。
 己の教えを継いだ弟子たちは、いずれ行動を起こし始めるだろう。今の日本の現状を放っておけるほどこの子らは穏やかでも、大人しくもなかった。けれど。
 まだこの子らは、元服して間もないのだ。まだまだ学ぶことも多い。志士としてではなく人としての経験も、もっと積んでほしい。今しかできない楽しみを、もっともっと追ってほしい。
 だが、小太郎自らが望んだ。江戸留学が決まったことを報告するその口で、「先生の目になりたい」と、そう告げたのだ。
 時流が松陽の予測どおりに進むなら、近いうち自分は死ぬだろう。自分の思想を目ざわりと思う幕府によって。この、情事のまねごとは、その時に小太郎に火の粉が及ばぬようにとの、せめてもの願いだった。それすらも、いずれ小太郎を傷つけることになるだろうと知りながら。
「………いずれ、教えねばならないね。小太郎。」
 目を伏せ、そっとささやく。
 絶対の信頼を失うだろうことはわかってた。それでも、報いてやりたかった。
 親友たちを欺いてまで、共犯者になろうとした愛弟子に。




                                    ~Fin~
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by wakame81 | 2008-07-23 00:22 | 小説。  

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