お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

March for the SweetbreadHero

「桂花美人」さまのお題「雛罌粟」を書こうとして、「お題:あんパン」になってしまったシロモノ(爆)。ポピーシードはあんパンによく使われてるとゆーことから派生。
沖桂です。


それと、拍手も更新しました。吉原編は桂神萌をベースにしていきたいと思います。もちろん、銀さんの太陽とか、神威と会ってたら高杉絶対桂自慢してるよねとか萌え要素はあるのですが。





 確かに、張り込みの定番と言ったらあんパンと牛乳だろう。だが、コロッケパンや焼きそばパンやがコンビニに並ぶ今日び、好きでもないのにそれを選ぶのはないと思う。
「そりゃオメーの我儘だろ。」
 助手席であんパンの袋を破りながら、土方はそう言った。
「買ってきた奴に失礼ってもんだろ。それに、パンの種類で好き嫌い言ってどーすんだ。」
「アンタみてぇに犬のエサ以下にするほうが、よっぽど失礼でさぁ。」
「俺はより美味く食えるようにしてるだけじゃねぇか。」
 溢れそうなほどマヨネーズが盛られたあんパンに、土方はかじりつく。とても、食欲増進とは言えない光景に、沖田は運転席のドアを開けた。
「総悟、少しは食っとけ。もたねぇぞ。」
「あんパンは嫌いなんでさぁ。」
「おいっ。」
 好き嫌いを咎める土方を尻目に、外へ出た。清風が、甘さと脂っこさのこもった空気を吹き飛ばしていく。それが心地よくて、沖田は背伸びをする。
 土方は舌打ちをして、食事に戻った。こうなったら何を言っても聞かないことを、長年の付き合いで熟知しているのだろう。
「………嫌いでぃ、あんパンなんか。」
 それは、気に入らない奴を思い出させる。


「俺は、好きだが。」
 いつものように隠れ家に夜襲をかけ、それをかわされ、砲撃でボロボロになった部屋で茶をすすりながら、その気に入らない奴はそうのたまった。
「天人の持ち込んだパン食という文化に、日本人に馴染み深いあんこを合わせる。天人に対し完全に迎号するのではなく和の心を貫くその姿勢は、美しいとは思わんか。」
「アンタはそうだろうねぃ。」
 焦げた畳に寝っ転がり、沖田は呟く。
 桂からその言葉を聞くと、余計にあんパンが嫌いになりそうだ。
「確か、買い置きがあったはずだ。食べるか?」
「いらねぇでさ。」
「そうか、賞味期限がもう切れるのだが。」
「………アンタが食えばいいじゃねぇかぃ。」
「甘すぎて一個は多すぎるのだ。」
 じゃぁ何で買い置きなんか、と問おうとして止める。答えは何となく察しがついたし、それを桂が素直に言うとは思えなかったからだ。
 白ペンギンがいそいそとあんパンを皿に乗せ持ってくる。桂はそれをはむっと頬張り、お茶で流し込んだ。
「………美味いんかぃ?」
「甘い、な。」
 やはり、丸ごとひとつは多い。桂はそう呟いて、あんパンを二つに割った。白ペンギンに差し出したそれを、沖田は奪い取る。
「こら。いらんと言ったのは貴様ではないか。」
 桂の手が伸び、沖田からあんパンを取り返した。
「食べたいのなら、こっちをやる。エリザベスから奪うのは許さんぞ。」
 そう言って、自分の分をさらにもう半分こにして、沖田の手に押し付けた。
 一口で頬張れるほどに小さくなったそれを、沖田はじっと見つめる。桂はさっさと自分のノルマ分をお茶で流し込み、沖田を見やった。
「それはあまり甘くないはずだぞ。ケシの種も乗っているしな。香ばしいはずだ。」
「………へぇ。」
 桂を一瞥して、あんパンを口に放り込む。口の中に広がる甘味。………何が「香ばしいはず」だ、甘ったるさに味が完全に負けているじゃないか。
「どうだ?」
 それでも吐き出すことなく飲み込んだ沖田に、桂は尋ねる。
「甘ったるいでさ。」
「そうか、茶でも飲むか?」
 そう言い立ち上がりかけた桂より早く、白ペンギンが部屋を出ていった。桂はそれを見届け、浮かしかけた腰を下ろす。 口元をこする沖田を見て、「うむ」と頷く。
「なんでぃ。」
「食わず嫌いはもったいないからな。それ以前に、食べ物を粗末にするのは百姓とパン職人と田畑の神に申し訳ないことだが。」
 腕組みをしてうんうんと首を縦に振る姿は、満足げに見えた。
 
 そうやって。
 敵対してるはずの沖田のことまで気をかけて。
 全部を自分で背負ってるような顔をして。愛と勇気だけがトモダチだとか謳っちゃって。
 そういう態度が。

「気にいらねぇってんでさぁ。」
「ん? 何か言ったか?」
 小声での呟きは、聞き取れなかったようだ。顔を背ける沖田へ耳を寄せるように桂が身を近づける。
 にじり寄る気配とタイミングを合わせてその手首を掴んだ。二の腕を取って捻り上げる。黒い髪が宙を舞って、桂は畳の上に倒れ込む。起き上がろうとするのを上から押さえつけて。
「………………沖田。」
「………『ぼくの顔をお食べ』とか言ってあんパン押しつけんのは、脅迫だよなぁ?」
「何の話だ、一体。」
 状況は判ってるくせに。
 冷静さを崩そうとしないその顔に、歪ませた口を寄せる。
 まっすぐな琥珀の眼差しを強く見据えながら。その唇に噛みついてやった。




                     ~Fin~

 
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by wakame81 | 2008-06-05 02:38 | 小説。  

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