お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

第一幕への前奏曲

突発的にできあがった話。本当は拍手の予定でしたが、予想外に長くなりすぎたのでこっちにアップします。

音大パロ。桂一年の学祭。ちなみにタイトルは、銀さんが振るとゆー設定の曲。超有名なアレです。
これに伴い、音大パロカテゴリ化しました。以前書いた「BOLERO」もこのカテゴリに引っ越ししてます。(万斉誕生日は「君想ふ唄」のままです)



………高杉の立ち位置、銀さんポジのような(爆死)






 高校の文化祭に比べ、大学のそれはだらけている。
 自由参加であるから、企画参加者はそれなりのやる気を持って望んでいるはずだが、日頃の活動をここぞとばかりに発表する文化系サークルはともかく、射的やらヨーヨー釣りやらスピード籤やら、縁日かとつっこみたくなるような体育系サークルやゼミの模擬店に高杉は呆れた視線を送った。
 クラス強制参加の高校の方が、熱意も意気込みも充実度合いも高いというのはなんたることか、貴様等それでもいい大人かと、彼の幼なじみなら怒るだろう。その一言一句から眉のつり上げ具合までリアルに想像できて、思わずため息をつく。
 いい加減、腐れ縁だとは思う。
 家が近所で、高杉の母のピアノ教室に毎日のように通ってきて。父からチェロを習っていた高杉と、もう一人の音楽に何の興味もなかった幼なじみ(人付き合いなんかめんどくさいという顔をしておきながら奴は人恋しいタチだったりする)と、三人でつるんで早十何年。まさか、三人そろって同じ音大に入ろうとは、あの頃は思いもしなかった。
 ましてや、学園祭のために奴を迎えに行くことになろうとは。
「どんだけ仲良しこよしだよ………。」
 我が身を振り返ってみると、何となく薄ら寒いモノを感じるが。
 それでも。
 いずれ大学を卒業し、それぞれが別の道を歩き出したとしても、この腐れ縁が切れることはないんだろうと。確信している自分を自覚しながら、地下のカフェテリアへと続く階段を下りた。


「来たか、高杉。」
 『蕎麦処・笑』と掲げられたのれんを、首をかしげながらくぐると。紺の矢絣の浴衣に身を包んだ腐れ縁が出迎えた。
「遅かったではないか、昼時をとっくに過ぎているぞ。売り切れになるかと心配したではないか。」
「………テメェ、確か漫才研究会所属だったよな………?」
「そうだが?」
 きょとん、と瞬きをしながら桂は首をかしげた。
「のれんにも、『笑』と書いてあるではないか。」
「普通、学祭にはトークライブとかをやらねーか?」
「もちろんやるぞ。今日の部はもう終わってしまったがな。貴様が来るのが遅いせいだ。それに、漫才と蕎麦は相性がよいのだぞ。三遊亭楽春師匠もそうおっしゃっていたではないか。」
「そりゃ漫才じゃなくて落語じゃねーか。」
「あり?」
 首をひねる桂に、高杉は額を抑えた。頭痛が痛い。 
「とにかく行くぞ。時間だ。」
「もうそんな時間か?」
 桂は壁の時計に目をやり、「少し待て。」と言い置いて店の奥へと戻っていった。
 その間、高杉は店内を見渡す。
 富士山や五重塔をあしらった百均で売ってそうなのれんやら掛け軸やらが壁にかけられ、招き猫と狸の信楽焼が鎮座ましまししている。和を、というより似非ジャポニズムを追求したような店内。見れば、奥にステージが作られている。あそこでトークライブが行われたのだろう。
 客足は殆ど途絶えている。無理もない。ここをはじめ、大抵の模擬店はもう店じまいを始めても良い時間だ。
「片付けを手伝えなくて、すまない。」
「構わないですよ。僕も去年はそうでしたし。」
 ガタイのいい、鬼のような形相の男と話しながら、私服に着替えた桂が出てきた。柿色の浴衣を着ているところを見ると、あの大男も漫才研究会のメンバーだろう。
「僕も後で行きますから。」
「ありがとう、屁怒絽先輩。………待たせたな、高杉。」
 大男に手を振られながら、桂は高杉の側へと駆け寄った。高杉は「どーも。」と軽く頭を下げ、踵を返す。
「こら。仮にも先輩に向かってその態度はなかろう。」
「俺の先輩じゃねーし。」
「同じ大学に通う者、皆先輩ではないか。それに、屁怒絽先輩は弦楽器コースだ。直接の先輩だぞ?」
「チェロ科じゃ見たことねーよ。」
「コントラバス科だから近いと思うのだが。科が違うと、全く会わないものなのか?」
 桂は首をかしげる。「さぁ?」とだけ答え、高杉は一足早く階段に足をかけた。
「銀時に連絡はついたか?」
 一歩遅れて階段を上る桂が、前を行く高杉の顔を覗くようにして尋ねる。
「一応メールはしたけどな。うんともすんとも返事がきやしねぇ。」
「本番をすっぽかすほど無責任とは思いたくないが………まさかまだ寝ている等ということはないだろうな?」
「知らねぇよ。てか奴の動向を俺に聞くな。」
 といいつつ、それはないだろうことを高杉は何となく感じていた。
 あの馬鹿が、桂の舞台に遅刻などありえない。ましてや、奴も指揮台に上がるのだから。
 立ち止まり、ポケットからケータイを取り出してメールを打つ桂を見ながらそう思う。やがて、受信したメールを見て顔を上げた。
「構内にはいるそうだ。今あんみつ待ちだと。」
「またかよ。いい加減糖尿になるんじゃねぇか?」
「全くだ。甘味で腹を満たすなら、蕎麦を食いに来ればよいものを。」
 とにかく、大遅刻の可能性だけはないことを確かめ、桂はケータイをしまう。
 階段を上がりきると、中庭に出る。そこに設けられた特設ステージでは、ちょうどチアリーディング部の発表が行われていた。
 はきはきとしたかけ声に合わせて足を振り上げ、ポンポンを掲げ、ポーズを決める女子を少しの間見やった後、二人そろって足をコンサートホールへと向ける。
「高杉は軽音部のライブには出ないのか?」
「俺は裏方だからな。本番には出番はねぇよ。」
「だが、演出はしたのだろう? 明日は何時だ?」
「なんだ、見てぇのか?」
「当たり前だろう。」
 むっつりとした顔で頷かれる。だが、その瞳がいつもより二割増で輝いていることに、高杉は軽く眼を瞬かせた。
「………なんだ、随分テンション高いじゃねぇか。」
「コンサート直前だからな、当たり前だろう。」
 お前はそうじゃないのか?と桂は高杉の顔を覗く。
「別に、舞い上がるほどのことでもねーだろ。」
「まぁ、お前はそうだろうが。」
 桂の視線は、高杉から前方へと向けられた。教室や研究室のある一号館の向こうに、目指すコンサートホールが見える。
「初めて、だからな。こんな大人数でのコンサートは。」
 僅かに高潮した口調で、桂は話す。
「特に、打楽器の人数がこんなに充実したコンサートは滅多にないぞ。高校の時なぞ、あの人数で全楽器をカバーするのに苦労したからな。」
 学祭のメインの一つ、一年によるビギナーズオーケストラ。弦楽器、管楽器、打楽器、指揮、時には声楽やピアノやジャズコースまで巻き込む、この大学でもっとも大規模なコンサートの一つだ。その人数は過去200人近くにまで達したという。
 確かに、これだけの規模のコンサートは、滅多にない………アマチュアならば。
 プロになれば、その限りではない。オケに所属するなり、個人で活動するなり、どちらにせよ可能性はゼロではない。
 その気になれば、プロを目指せる力を桂は持っている。
 けれど彼の夢は、己の道を究めることではなく、広く音楽の楽しさを伝えることに向いてしまった。
 口惜しい、と思う。幼い頃から彼の音楽を側で見てきた者としては。
 かつて同じ夢を、見ていた者としては。

 だが。

「………空中分解しなきゃいーけどな。」
 感傷を押し隠すように、皮肉っぽく笑う。案の定桂は、むっとした顔で食いついてきた。高杉の心情など気づくそぶりもなく。
「何を言う。そうならないように、今まで練習を重ねてきたのではないか。」
「練習以上の力が本番で出るわけねーだろ。テメェはともかく他の小心者の連中がとちらなきゃいーけどなぁ。」
「お前こそ、勝手なスタンドプレイなぞするなよ。オケのチェロは協調性が大事なのだからな。周りをよく見て、己の役割を決して見失うな。」
「へーへー。………つまんねーの。」
「高杉!」
 声を荒げる桂をシカトするように、わざと歩調を早めた。置いていかれかけた桂が小走りにその後を追う。
「だいたいお前はプロを目指す者としての気構えが足りんのだ。己の技量を高めるのも大事だが、ソリストだけがチェロ奏者の道ではあるまい。時にはアンサンブルやオケの舞台に上がることもあるだろう。その時、今のような態度で良いとでも思っているのか?」
 うざったいお小言。だがたまに、それが心地よい瞬間がある。
 それは、いずれ来る分かれ道を予感するからであり。
 それが桂の本質だと知っているからでもあり。

 だからこそ、彼の夢を否定しきれないのだ。




                            ~Fin~
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by wakame81 | 2008-05-25 01:26 | 小説:音大パロ  

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