お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

~Melody of the Dusk~風薫る唄と運命の喇叭:9

これで第五章はラストです。

………ラストったらラストです。







「桂さん………!!」
 視界に飛び込んできた光景に、新八は息を飲む。
 これが一瞬の白昼夢なら良かった。或いは幻とか。とにかく、現実でなければ妄想でも何でも構わなかった。
 桂が、殺される。
 思わずギンタを見上げる。弦の檻の中でミカエルを睨みつけるその拳は、血が滴るほどに握りしめられている。
「ヅラがやばいアルか。」
 神楽に問われ、頷いた。身体が震える。悪寒が酷い。気持ち悪い。何より、自分の見るだろうものが恐ろしい。
「睨み合ってる場合じゃなさそうアルな。ギンちゃん、新八は私に任せるヨロシ。」
 髪留めを外し、長い耳をさらした神楽が新八とお通に覆い被さる。抱きしめる腕が熱い。
「………神楽。」
「仕方ないアル。東京の歪みは横浜にも影響を与えるアル。歪みを祓うのにヅラは欠かせないし、ふざけたガキがいるならお仕置きくれてやらなきゃナ。」
 ギンタは新八達へ振り返った。赤茶の瞳が、紅い。まるで血の色をしたそれは禍々しいはずなのに、新八にはギンタが泣きそうに見えた。
「悪ぃ。」
「酢昆布百年分、後で献上するヨロシ。」
 手を振って、ミカエルに向き直る。
「よぉ。そこどけや。」
「嫌でござる。」
「そーかよ。」
 踏み出す。数歩歩くだけでギンタの身体は弦に触れた。鋭いそれは、触れただけで小さな傷をギンタに与える。
 その弦を無造作に掴んだ。血が、手から滴る。
「ギンさんっ!」
「もう一回だけ言う。どけよ。」
「嫌でござる。」
 ギンタは手に力を込めた。滴る血の量が増える。引き千切ろうというのか、だがその前に指が落ちるだろう事を新八は予感した。
「だったら、力づくで通らせてもらうぜぇぇぇぇっ!」
 濃い空気がギンタの身体を取りまいた。渦になり乱れるように流れる空気が擦りあい、火花を散らす。静電気を帯びたように白銀の髪が逆立つ。その合間に見えるあれは。
「つの………?」
 大気が放電する。小さな雷がギンタの身体を覆う。それは腕から弦に伝わり、電流が辺りを走る。
 スパークする。
「でぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええっ!!!」
 ギンタが咆えた。弦が引き千切られる。
 同時に、銃弾が降り注ぐ。新八目掛けて。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「お通ちゃんしっかり抱えてろヨ!!」
 その銃弾の雨を、神楽の腕が足が弾き返す。少なくない数の弾が白い身体を貫く。それを、兎の白い綿毛が覆う。
 第一波を己の身体で受けた神楽は、すぐさま反撃に転じた。掴み取った弾丸を空に向けて放つ。何体かの人造天使が頭部を或いは翼を貫かれ地に落ちる。が、残りの人造天使そしてレミエルは再び銃を構えた。
 第二波が発射される。再び新八を庇おうとした神楽の頭上に、霊壁が出現する。それは銃弾を受け飛び散り、そして神楽を守りきった。
「砲撃隊、てぇぇぇーーーーーーーーっ!」
 伊東の号令が走り、バズーカを構えた隊士達が一斉に霊弾を発射した。
「第一掃射班、下がれっ! 第二掃射班、前へっ! 構え、てぇぇーーーーーーっ!」
 波状攻撃をたたみかける。思わぬ砲撃に、人造天使は次々と撃ち落とされる。
「なっ、真選組がぁぁっ!」
「大人しくお縄についてもらうぞ、レミエル。」
 勝ち誇ったように笑う伊東目掛けてレミエルは銃を発射した。その弾は、霊壁に遮られる。
「ちっ、………退くっすよっ!」
 レミエルが号令をかける。人造天使の腹部がぱっくりと開き、バズーカとも言えそうなほど大きな銃口が覗く。
「撃ち返せっ!」
 伊東の号令に応え、発射された砲弾をバズーカの霊弾が迎撃する。破裂したそれは目映い閃光を放つ。眼を伏せた新八と神楽、そして隊士達が顔を上げた時には、レミエルの姿も人造天使達も、その場から消えていた。
 ギンタと、ミカエルも同様に。


「ヅラぁぁーーーっ!!」
 桂を探して、ギンタは国技館へと駆け込んだ。そこら辺にいる隊士達を捕まえ、姿を見なかったか尋ねる。運良く五人目の隊士が、地下二階へと下りたエレベーターを見ていた。礼もそこそこに後を追う。
 エレベーターを降りた途端、ギンタは顔をしかめた。
 血臭。
 おぞましい霊気。憶えがある、≪獣≫だ。
 その臭いの元へ辿り着いたギンタは、言葉を失った。
 全裸の男。そいつのまとう、禍々しく歪な霊気。白い身体を彩る返り血。
 その足下に、血の海のただ中に手足を投げ出し倒れ伏す。
「………ヅラ………?」
 散らばった黒い髪。地で汚れた顔。真っ赤に染まった白装束。他に誰もいない。血を流すような者は誰もいない。なら、あの血は全て桂のものか。
「……のクソちびィィィィィィっ!!」
 叫び、飛びかかった。右手に雷が走る。叩きつけようとしてためらった。彼にではない、その足下の桂の姿に。
 迷いのある攻撃など、彼は簡単にかわした。振り下ろされる爪。それを雷をまとった左手で受け止める。本来なら大ダメージを与えるはずの雷を、≪獣≫はまともに受けた。右手を撃ち込む。むき出しの下腹部、人体で霊気の巡り溜まる、丹田目掛けて。
 その一撃は≪獣≫の腕に防がれた。
 至近距離で視線が交わる。怒りに燃える紅と、地と殺戮に酔い歪む深緑がぶつかり合う。
 互いの腕を互いが封じ、対峙する。脚は地を踏みしめるために動かすことができない。膠着状況に陥ることをギンタが覚悟したその時。
 ヒュッと音を立てて飛んできた弦が、ギンタの右腕に絡みついた。切断する勢いで引っ張られるそれを、まとう雷気で灼き切る。その隙にギンタを斬り裂こうとした≪獣≫の腕を、次いで放られた弦が止めた。
「そろそろ、潮時でござるよ。」
 ミカエルの制止を、最初≪獣≫は振り切ろうとした。が、すぐに力を緩め、拳を退く。その顔から、狂喜が、全ての表情が消える。
「ミカエル、てめぇっ!」
「良いのでござるか?」
 サングラス越しの視線は桂へと落ちた。猛る雷気を、ギンタは堪える。
「当面の目的は果たしたでござる。ま、仕切り直しというところでござるな。」
「ふざけんなっ!」
「ふざけてないでござる。全ては、世界の浄化と安寧のために。」
 舞台から退場する演技者のように仰々しく頭を垂れ、ミカエルは踵を返した。その後ろを、あれほどの猛威を振るった≪獣≫が大人しくついていく。
 怒りと衝動を意志で抑えつけ、ギンタは足下へと視線を落とした。
 力なく倒れ伏す桂の側へ、膝をつく。かすかに開かれた口元へ、地に汚れた襟から覗く首筋へと手を当てた。
「………………っ!」
 生きていた。
 思わず上を向く。が、目尻から零れる熱いものを堪えることができなかった。
「ヅラ……………っ。」
 霊気を鎮め、そっと触れる。がくりと落ちた首を支え、抱きしめる。
 護れなかった。
 その後悔と共に。






                       ~Fin~
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by wakame81 | 2008-05-13 23:18 | 小説:ギンタマン  

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