お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

~Melody of the Dusk~風薫る唄と運命の喇叭:1

てことで、一話目のみアップ。
………あ、アニメ見てないや(爆)。






「………ヒマだぁ。」
「ヒマアル。」
「暇ですねー………。」
 三者三様に呟き、同時にため息をこぼした。その合間を縫うように、神楽の膝の上の定春もあくびを漏らす。
 四月末某日。日なたでなくとも空気の冷たさを感じず、ノンビリと昼寝するにはもってこいの昼下がり。
「………って、昼寝してる場合じゃないんですけどっ。」
 向かっていたパソコン机から立ち上がり、新八は叫んだ。もっとも、今更それくらいでだるだるモードを解除するようなギンタや神楽ではなかったが。
「どーすんですかこれで一週間仕事なしですよっ。貯金もう尽きちゃうじゃないですか。ここの事務所の家賃どーするんですか。光熱費どーするんですか。てかアンタらの食費どーするつもりですかぁぁぁ!!」
 長台詞を一息にまくしたて、肩で息をする。が、ギンタは何度も読み返したジャンプのページをめくるばかりだし、神楽もドラマの再放送を流すテレビから目を離そうとしない。
「ま、一日くらい食わなくても死なねーよな。糖分だけ摂ってりゃさぁ。」
「どうせヅラがまた何か差し入れ持ってくるアル。しけた量だけどナ。」
「アンタらね………。」
 今ここにはいない、長髪の非常勤の祓霊師に申し訳ない気持ちになった。
 桂が今日不在なのは、除霊の依頼を受けたからだという。所長からして胡散臭い万事屋ギンタさんではなくその筋では有名らしい桂個人の名指しの依頼は少なくない。その収入の大半が、実はギンタや神楽の胃袋に収まっている。何か本当に、申し訳ないやら情けないやら。
「てかギンさん。桂さんから頼まれてたやつ、どうしたんですか?」
「あーあれぇ? 総一郎くんから交換条件持ち込まれちゃってさー、ヅラくんに相談したら『だったらいい』ってさ。」
 その言葉に、新八は眉をひそめた。
 オートマタ三体による桂小太郎誘拐事件が起きたのは、三月半ば。その黒幕に当たる人物が口封じのため殺害され、警察は犯人の行方を追っている。同時に、黒幕の会社へのガサ入れが行われた。
 黒幕とその殺害犯は、桂の求める情報を握っている可能性が高いとして、警察特に真選組からその情報をかすめ取ってくるよう、ギンタは頼まれていたのだが。
「目黒コーポや研究所の情報は坂本の方からも探ってるから、ムリはすんな、だと。」
「ムリって………。」
 沖田の交換条件とやらは見当がついた。新八にとってそれは、どうしてもムリだとは思えない。
「………どうして桂さんは、沖田さんに何も教えてあげないんでしょう。何か知ってるんでしょ?」
 おそらくだけれど、それはギンタも。
「知らない方がいい、知らなくてもいいモンってのが世の中にはあるってことよ、ぱっつぁん。」
「でも、沖田さんは、知らなきゃ前に進めないって。」
 そう桂に詰め寄った沖田の顔を、今でも覚えている。桂もその顔を、すぐ側で見たのに。
「知ったら前どころか、どこにもいけなくなる。アイツはそう思ってんだろー?」
「どこにも?」
「ヅラは、ただ怖がってるだけアル。」
 ドラマの再放送が終わり、夕方のニュースが始まった。神楽はチャンネルをかちゃかちゃと回す。
「この時間はニュースしかやってないネ。仕方ない、神田山陽でも見るアルか。」
「『日本語であそぼ』はもう終わる時間だよ、神楽ちゃん。」
「うるせーお前は『TOKYO MX』のアニメ再放送でも見てろヨこの駄眼鏡。」
「神楽ちゃーん、一時間したらニュースに変えてー。結野アナ出るから。」
 ダメだ、こりゃ。
 自分だけが顧客整理とかメールチェックとかそういう事務作業をしているのがバカらしくなってくる。気分を切り替えるために、新八はブクマしているとあるブログを開いた。
 そして。
「ギンさん、神楽ちゃん、仕事ですっ!!」
 大声で叫び、だるだるモードの二人をディスプレイ前まで無理矢理引っ張った。


『コンサートまであとすこシカの糞。

 やっほーみんな、こんにちわかめスープっ。国技館でのコンサートがあと少しで、毎日ギザ忙しのお通デスノートっ。前売りチケットも完売して、ホントにありがと海平さん(波平さんのお兄さん)っ。
 みんなの応援に少しでも答えるために、新曲の練習もがんばってまスーダラ節。おかしなラップ音とかポルターガイストには負けないゾンビ議員!!
(後略)』


「………確かに、お通は最近怪奇現象に見舞われていますが。」
 都内某所の芸能事務所の応接室で、額に傷のある角刈りの男性とボブカットのメガネの女性が新八、神楽、桂を見やった。女性がお通のマネージャー、男性はサウンドプロデューサーで、どちらもお通の両親である。
 二人は微妙に眉をひそめている。視線が、明らかに新八達を信用していないことを物語っている。
 まぁそうだろうとは心のどこかで思った。
 自分は黒の僧衣に身を包んだ山伏風の格好(鼻眼鏡つき)だし、神楽は霊幻道士(というかむしろキョンシー)の服装だ。桂に至っては巫女さんの衣装を身に纏っている。しかもそれが三人の中で一番違和感がないから恐ろしい。
 その方がらしく見える、というギンタの言葉だったが、逆効果なんではなかろうか。
「ですが、ポルターガイストといっても機材の電源が落ちたりするだけのことですし。特に大した被害は出ていませんから。」
「そんなこと言って、いつお通ちゃんに割れた窓ガラスとかマイクスタンドとかが襲いかかるか、判らないんですよっ。ラップ音だって、コンサート間近のお通ちゃんにそれだけ精神的苦痛をもたらしているかっ。調査だけでもやらせてください。報酬が欲しいんじゃないんです。お通ちゃんが心配で心配でたまらないんですっ。何でしたら報酬はいらなげぶぅっ!」
「報酬はもちろん頂くアル。」
 新八の熱弁を物理的ツッコミで遮り、神楽が後を続ける。
「奥さんー。ま・さ・か、タダで安全が買える世の中だと思ってるんじゃないアルなー。今時そんなの、生まれたばっかりの子供しか信じてないネ。ほんのはした金で歌姫様の安全が保証できるなら、安いモンだと思わないアルか?」
「何脅してるの神楽ちゃんっ。それどこの押し売りっ? てか君にはボランティア精神てのがないのっ?」
「甘いんだヨぱっつぁん。そんな博愛精神も、一人一人は持つことができても社会という大きな枠組みになると大勢を救うためと称して金がかかるのは当たり前ネ。世の中世知辛いものアルよ。」
「そんな社会福祉の理想と現実のギャップなんて今はいらんわぁっ。今は、お通ちゃんを守るのが大事なことでしょっ?」
 普段完全下位に位置していても、お通が絡むと新八は強い。神楽を思いっきり睨みつけると、マネージャーの方へと向き直る。
「お願いです! 僕たちにお通ちゃんを護らせてくださいっ!」
「でもねぇ。」
 土下座する新八だったが、二人のの胡乱げな表情は変わらなかった。
 そこへ、今まで黙っていた桂が懐から紙入れを取り出す。
「マネージャー殿。サウンドプロデューサー殿。我々は何も、手を抜いた調査をしてぼったくろうとしているのではないし、詐欺に合わそうというつもりもない。正式に、≪出雲≫と全日本退魔師協会からの認可を得ている事業所なのだ。貴方方の身に起きている霊障を些細なものと判断するのもよいが、まずは見せて頂けないだろうか?」
 桂が見せた「万事屋ギンタさん」の事業証明書に、二人は黙って目を通した。やがて上げられた視線を、桂はじっと見つめる。
「………そ、そうだな。」
 先に視線を外したのは、サウンドプロデューサーの方だった。
「あなたっ。」
「コレ見る限り、詐欺じゃねぇってのは確かみてぇだし。見てもらうくらいいいんじゃねぇか?」
 桂からも己の妻からもわざとらしく眼をそらしている、頬がかすかに朱い。
「………まぁ素人判断するのも何でしょうし、見てみるだけ見てもらいましょうか。」
「やたっ。ありがとうございます!!」
 這い蹲る勢いで新八が頭を下げる。その後契約などをすませて、「それではちょっとお待ちください」と二人は出て行った。
「ありがとうございます、桂さん。」
「色仕掛けとはやるアルな、ヅラぁ。」
 嬉しさのあまり涙を浮かべた新八と、にんまりと肘で突っついてくる神楽に、桂は困惑した表情を浮かべる。
「リーダー、色仕掛けじゃない礼儀だ。それとヅラじゃない桂だ。」
「礼儀?」
「そうだ。話をするときは人の眼を真っ直ぐ見て話せ、そうすれば多少の無理も聞き入れてくれると坂本が言っていた。」
 銀はこの意見には反対だったが。
「それ、立派な色仕掛けですよ………。」
「そうなのか?」
 きょとんと首をかしげた桂に、新八はがっくりと肩を落とした。


「まめまめまめまめまめみもむもみめまー♪」
「お、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお~~~~~~………!」
 新八は今、モーレツにカンドーしていた。
 憧れの、お通ちゃんの生練習風景である。
 華々しいデビューから他のアイドル歌手とのスキャンダル、そしてイロモノ芸能人の道を経て春の新曲オリコンチャート一位を引っさげての復活。不死鳥と言われた彼女は、天性の素質などではなく、努力に裏打ちされた歌手だった。
 父親に指導され、基礎の発声練習をみっちりとこなす彼女の姿に見惚れていた新八は、とんとんと肩を叩かれて我に返った。
「桂さん?」
「のんびりしている場合ではないぞ。見えたか?」
「あ、はい。」
 パチン。両の頬を引っぱたいて気を引き締める。山伏衣装はそのままだったが、メガネだけかけ直して、先ほどとは違う真剣な眼で練習スタジオを見渡した。
 お通だけではなく、他のバンドメンバーもそれぞれチューニングを確かめたり、曲をさらったりしている。いろいろな音が混ざり合う。一つにまとめられる以前のそれは、新八にはただの音の集合体にしか聞こえない。
 お通ちゃんの歌声が聞こえづらいなぁ。
「何かあったか?」
 つい顔をしかめていたことに不審を感じた桂が声をかける。
「あ、いえそういうんじゃなくて。えーっと、空気は今のところ、変なモノは感じないです。」
「そうか。」
 防音のために締め切った部屋が、全体的に淀んでいるのは仕方ない。密室ではどうしてもそうなると、桂も言っていた。これでも歌い手の喉を考慮して、空気自体は清潔を保たれているのだ。
 それでも鋭い目つきで、桂は部屋の隅を見つめた。
 巫女装束で化粧も落としてはいないが、その姿は違和感なく似合っている。けれど、その琥珀色の眼光はやっぱり桂のもので。
「桂さんは、何か気がつきました?」
 桂だ、と思えることに、何故か酷く安心する。
「いや。」
 四隅を睨んでから、打って変わって穏やかな視線で新八を見つめる。
「隅には淀んだ気がたまりやすいのだがな。普通の室内以上のものはないよ。新八君が見たとおりだ。」
 じっと見つめられ、微笑まれる。新八は思わず視線をそらした。本当にこの人は、自分の眼差しがただの礼儀の範疇だと思っているのか?
「いえ別に、僕の見えるモノなんてたかが知れてますしっ。」
「そうではないぞ。」
 火照る顔をごまかすための言葉だったが、桂はそれを否定した。
「新八君は自分の眼をもっと高く評価した方が良い。見ること、感知することに関しては君ほどの逸材はそうはいないぞ。九年前にも滅多にいなかったな。」
 しかも真っ向から褒められた。新八はどんどん居たたまれない気分になっていく。
「だが、それ故に気をつけた方が良い。感知力が高いということは、周囲の影響を受けやすいということだ。」
「はい。」
「………すまなかったな。」
「はい?」
 今度は急に謝られ、新八は面食らった。
「そのリスクを判っているのに、お前を巻き込んだ。」
 最初きょとんとしていた新八だったが、すぐに桂の言わんとしていることに気がついた。
「やだなぁ、よしてくださいよ。僕だって万事屋ギンタさんの一員なんですから。」
「しかし。」
「あのオートマタのことだって、僕の方から何か力になることありませんかってギンさんに頼んだんだし。それに過ぎたことですから、気にしないでください。」
「いや、それだけではなくてな。」
「大丈夫ですよ。坂本さんからもらったお守りだってあるんですから。」
 胸をどんと叩いて笑う。桂の方はまだ困惑の表情を浮かべていたが、もう一度新八は頷いてみせた。



                              ~続く~
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by wakame81 | 2008-05-10 01:19 | 小説:ギンタマン  

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