お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

いつかこの我が侭を

23日の未明に、ここのブログ元でメンテナンスのために接続できなくなるそうです。………もうすぐじゃん(爆)。
連絡遅くなってすみません!!

昨日思いついた、209訓ネタ桂神。あのすぐ後の話。
短いし、小ネタなんて拍手にしようかとも思ったのですが、正式に小説としてアップします。






 それは、突然だった。
 それまで、神楽や定春や或いは桂に躍りかかっていた猫たちが、一斉に痙攣しだしたのだ。
 イカでも食べたかのように身体を丸めて苦しんでいた猫たちの身体が、薄青い光に包まれる。何匹かいた巨大猫の喉の奥から、嫌なグルグルという音が聞こえる。
 何を、と構えた次の瞬間。
「「「「ぐぇろぐぇろぐぇろぐぇろぐぇろ~~~~~~~~~~~~~~~っ!」」」」
 空を向いた猫たちの口から、まるで噴水のようにゲロが噴き出した。
 小さな身体のどこに、こんなに入っていたのかと思うほど、大量に。そのゲロが一団と高く噴き出されたとき。

 ウォゥ。
 ウォゥ。
 ウォゥ。
 ウォゥ………………。

 低い呻き声と共に、青白い光が空へと射出された。
 それは、中空で渦巻きながら一つにまとまり、そして遙か空の彼方へと飛んでいく。
「………同じ、声だ。」
 神楽を庇うようにして側に立った桂の、落とすような呟きが耳に届く。
「哭いて、いるのか。」
 戦いの意味を、全て失って。
 その言葉は、実際に桂から零れた言葉か。それとも、神楽のうちから溢れた言葉か。
 その区別がつかないまま、神楽は側に立つ男の顔を見上げる。
 視線に気がついたように、桂は光の飛び去った空から神楽へと視線を落とした。
「………大丈夫か、リーダー。」
 そう声をかける桂の全身はゲロにまみれていて。
「大丈夫じゃ、ないアルっ。」
 神楽はそう言うと、右手に人形を抱えたままの桂を殴り倒した。
「ぶべっ?」
「何やってるアルかヅラぁっ。お前の持ってた人形が、一番臭いゲロ吐いたネっ! お前がそれ持ってたから私ゲロ思いっきり引っ被ったアルよっ。嫁入り前の娘にゲロかけるとはどーゆープレイアルか、この変態、変態ヅラぁぁぁぁっ!!」
「リーダーすまん、てかこれは不可抗力でそれでもってヅラじゃない桂だっ。ほら、Ω美ちゃんも謝ってるからっ。」
「ゴメンねリーダー(はぁと)(桂裏声)」
「うるせぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!」
 ジャブジャブ右フックアッパー止めに後ろ回し蹴りを食らわせた後、神楽は踵を返して走り出した。ワン、と一声鳴いて、ゲロまみれの定春が続く。
 星喰を滅ぼした後、ゲロと共に宿主の体内から脱出する。それが星吐の名の由来。
 星喰から聞いた話が真実だとすると、あのゲロとあの光は。
 つまり。
「………………。」
 土手の上に駆け上がった神楽は、そこで立ちつくした。後から来た桂が、視線の先で倒れ伏している老人にまず近寄った。
 手首に触れ、首筋に触れ、鼻先に手をかざし、まぶたをめくる。
 それから今度はその数メートル先で倒れている犬に近づき、やはり脈と呼吸と眼球運動を確かめる。
 そしてしゃがみ込んだまま、神楽へと振り向いた。
「リーダー。」
「言わなくても、判ってるアル。」
 拳をぎゅっと握りしめ、神楽は小さく答えた。
「じーさんも死にそうだった、金太郎も死にそうだったネ。判ってたアル。」
 くたばれと言ってこい。
 隣でくたばってこい。
 そう言ったのは、自分だ。
 犬を抱えて桂は立ち上がった。老人の傍らに犬の亡骸を横たえ、そして神楽の側へ寄る。
「判ってたアル。」
 桂の大きく、そして細い手が、神楽の頭にそっと乗せられた。
「判ってたアル。それに、こいつらは昨日会ったばかりネ。じーさんに至っては名前すら知らないアル。」
 自分は、ただ居合わせただけだ。
 彼らの意地の張り合いの、その最期の瞬間に。
「だから。」
「リーダー。」
 いつもより少し低く、そして柔らかい声音で名を呼ばれて。
「それは、リーダーの泣かぬ理由にはならない。」
 神楽はぎゅっと、まぶたを閉じた。
「彼らは己の生き様を貫き通した。満足、なのだろう。けれど、それとリーダーの心中は関係ない。リーダーは泣いて構わない。」
「ヅラぁ………っ。」
 裏返りそうな声で神楽は口を開き。
「………ゲロまみれの手で頭触んじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!」
 全力の掌底突きを鳩尾に食らわした。
「ついちゃったじゃないカ、髪の毛までゲロついちゃったじゃないカぁぁぁっ。拭き取るネ、これお前の身体で拭き取るネっ!!」
 吹っ飛んだ桂に馬乗りになり、その胸ぐらを引っ掴んで羽織に頭をこすりつける。
「リーダー、汚れる汚れる。」
「うるさいアルっ。誰のせいだと思ってるアルかっ!」
 羽織をゲロまみれの頭でぐちゃぐちゃにされながらも、桂は抗わなかった。ただ黙って、神楽の好きなようにさせる。
 おそらく気づいているだろう。
 罵る声も、着物を掴んだ手も。小さく震えていることに。
 けれど、何も言わない。
 ただ、されるがままになる。
 桂はいつも、神楽に甘い。
 何をされても怒らない。
 どんな我が侭も、許す。

 一番聞いて欲しいことは、聞いてくれないくせに。

「………ヅラ。」
 やがて神楽は名を呼んだ。頭をこすりつけるのは止めて、けれど顔は上げないで。
「リーダー命令ネ。私の許可なくくたばるなアル。くたばる時は、万事屋に酢昆布百年分献上するヨロシ。」
 いずれえいりあんバスターとして飛び出すだろうけれど、今は安全に守られてる自分より。きっと、桂の方が今は死に近い。
 先々はどうなるか判らないし。
 置いていかれる苦しみを、これ以上コイツにも味あわせるのかとも思うけれど。
 自分を子供だと思って甘やかすなら、これくらいの我が侭は許して欲しい。

 死んだ魚の目をしたアイツだって、手の届かないところで逝かれるよりはずっとマシだろう。

「………リーダー、ヅラじゃない桂だ。」
「返事が違うアル。」
「………ルージャ。」
 それで、いい。
 もし約束破るなら、あの世から呼び戻して殴り飛ばしてやるから。




  ~Fin~
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by wakame81 | 2008-04-22 22:33 | 小説。  

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