お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

子供のプライド

リク小説「「仔沖田と桂」か「沖田と仔桂」パラレル。テーマは(ネタばれにつき以下略)」

年下攻めはこれからもどんどん書いてくと思うので、「沖田と仔桂」。
沖田くん高校生、小太郎くん小学校低学年。






 鉄棒を逆手に掴み、地を蹴り足を振り上げる。空めがけて伸ばされた足はけれど目的地に届くことなく、重力に引っ張られて地に落ちる。
 何度もそれを繰り返す、男の子にしては少し髪の長い子供を、沖田は風船ガムを膨らましながらのんびりと眺めていた。


 一月ほど前になるだろうか。
 理由もなく、ほとんど気まぐれで通った道で。公園の大きい木の上の二人の子供と、その下の一人の子供を見かけた。根元には小さなランドセルが三つ、放られている。
 木の下の子供は、たるい通り越して死んだ魚のような目で、上を見上げる。そして木の上にいる髪のやや長めの子(最初女の子かと思った)は、枝の先にいるもう一人の子供に、手を伸ばしているようだった。
「大じょうぶだ、晋助。おちついてこっちに手をのばせっ。」
「うるせーっ。てかおまえジャマっ。」
「ジャマとはなんだ、登ったままおりられなくなったお前を助けにきたのに、なんてこというんだバカ晋助っ。」
「たのんでないし、おりられなくなってないっ。つーかおまえがおりろバカヅラっ。」
「バカヅラじゃない、桂だっ。」
「てかさぁ、おまえがそっち登ってくと、えだがたれ下がってきてんだけどー?」
 木の下の子が言うように、子供二人分の重みで枝は少しずつしなってきている。けれど、せっかくの指摘に木の上の子供達は気づく様子もなく、枝先に向かって髪の長い子は向かおうとし、短いほうの子は逃げるようにさらに先端へとにじりよる。
 枝はさらにしなり。
「………おいっ。」
「「うわぁっ?」」
 がくんと下がった枝にバランスを崩して、まず髪の短い子が枝から落ちた。続けて長いほうの子が、落ちるというより飛び降りるように枝から手を離す。それまでだれていた木の下の子は眼の色を変えて走り出し。
 べちゃ。
「べぎゅ。」
 下にいた子を押しつぶすようにして、髪の長い子は落下した。
「おい、大じょうぶかヅラっ?」
「づ、ヅラじゃない、桂だっ。」
「つーか、どけぇェェ~~~。」
 先に落ちたはずの髪の短い子は、器用にも枝先をつかんでぶら下がることに成功していた。さっきよりも近くなった地面へ、ちょっと危うい感じで飛び降りる。
「ったく、なにがあぶないから動くなーだよ。おまえの方があぶねーじゃねーか。」
「おまえが木に登ったりしなかったら、こんなことにならなかったんだぞっ。」
「おまえまで登ってきたからよけいにあぶなくなったんだろ。」
「おれの上でけんかすんなぁぁぁ~~~。」
「あ、ごめん銀時。」
 今気づいたというように、髪の長い子は下敷きにしていた子からのいた。そしてのたまうには。

「ていうか、あぶないから下がってろっていったじゃないか。何をやってるんだ銀時。」

「おまえがいうなぁぁぁぁぁぁっ!」
 下敷きになっていた子にガツンと叩かれる。その理由にまったく覚えのない顔でほほを膨らませて見せたその子供に。
 思わず吹き出した音が聞こえたのだろう。子供たちは一斉に沖田へと振り返った。


 その子供たちとはそれから何回か会った。
 幼馴染たちに何かと世話を焼いてお兄ちゃんぶろうとする小太郎と。
 一番世話を焼かれてそれに反発するような態度を取りつづける晋助と。
 やる気なさそうに見えながらも二人に気をかけている銀時と。
 三人のやりとりはそこはかとなく面白くて、掃除当番や週番をさぼって、何度もその公園に足を運んだ。
 最初、「知らない人についてっちゃいけません」と警戒心丸出しだった小太郎が、一月経った今、一番自分に懐くとは、………実は予想内だったりする。


 長くなってきた夕暮れ時ではあるが、もうとっぷりと暗くなっている。
 小さな街頭が時折点滅しながら公園を照らす。いつも小太郎と一緒にいる、晋助や銀時の姿はない。幼馴染たちに内緒で、小太郎はここにいる。
 逆上がりの習得を、銀時のみならず晋助にまで先に越されたのが、相当悔しかったらしい。夕暮れのチャイム以降の子供一人の外出は許されないからと、小太郎は沖田一人に秘密の特訓とやらの付き添いを頼んだ。
 沖田はアドバイスをするでもなく、ただひたすら逆上がりに挑む小太郎を眺める。
 小太郎の気持ちは、判らないでもない。
 負けたくない、認めさせたいという想いを、沖田も知っている。
 それが、目上に追いつきたいと思うか、目下に追いつかれまいとするかの違いだけで。
(アイツも、こんな風に思うのかな。)
 目つきの悪い一こ上の先輩を思い浮かべ、むかついたので脳内で爆殺する。
 そして立ち上がり、「小太郎。」と名を呼んだ。
 何十回にも及ぶチャレンジに息の上がった小太郎が、沖田をきょとんと見た。
「ちょっと見てろ、見本みしてやる。」
 同じように小さいころ、見返してやりたい一心で鉄棒に向かったことを思い出す。あの時、もう一人沖田が認めてほしい、尊敬する先輩のおかげで逆上がりができるようになった。ただ、彼がどう自分に教えたか、それが思い出せない。
 ただ。何度も練習して身につけた技だけは、まだ体に染みついているはず。
 小太郎が練習していたやつの三つ隣の、高めの鉄棒を逆手で握った。勢いをつけて足を蹴り上げ、鉄棒を腕で引き寄せながら下腹部を押し付け、回る。
 久しぶりだったが、簡単にできた。
 そのまま空中前回り、空中逆上がりまで披露して鉄棒から飛び降りる。小太郎は眼をきらきらさせて大きな拍手を送った。
「すごいっ。すごいですそーごさんっ。」
「ま、俺くらいになればこんなの朝飯前だぜぃ。」
「どうやるんですか今のくるくるーって。」
「お前にはまだ早ぇよ。まずは逆上がりできるようになりな。」
 小太郎はもう一度、鉄棒に向かった。今度は沖田も側に立ち、小太郎のやり方を見守ってやる。
「うーん、もうちょっと腕で鉄棒引き寄せてみ?」
「んしょっ。」
「もうちょっとだ。ぐーーって腹を鉄棒にくっつけるかんじで。」
「んしょっ。」
「ほら、もうちっと。」
「んしょっ!」
 手は出さず、のんびりとした声で指示を出す。
 疲れているだろうに小太郎は、ただ足を蹴り上げていたさっきよりも着実に、フォームを形にしていき。
「………できたっ!」
 ついに、鉄棒の上へと身体を持ち上げることに成功した。

 同じ気持ち、だったのだろうか。
 追いつかれまいと、土方は努力したのだろうか。
 少しずつステップを昇る子供を、近藤は微笑ましく感じたのだろうか。

「ありがとうございます、そーごさんのおかげですっ。」
 満面の笑みを浮かべる子供に。こんな想いを彼らは抱いただろうか。

「まだまだだぜぃ。これがまぐれとかじゃなくできるようにしないとなぁ。」
「はいっ。」
 大きく頷いて、小太郎は鉄棒へと向き直った。
 さすがに、疲れきった腕では奇跡は二度も起きず。それどころか手を滑らせ、尻餅をつく。
「おいおい、大丈夫かぃ?」
「はい、平気ですっ。」
 声はやたらと大きいが、根っこが生えたように小太郎は動かない。その前に、沖田はしゃがみこんだ。
「ま、今日は遅いし、こんなもんだろ。」
「えー………。」
 疲れてるのは小太郎自身なのに、不満そうに口を尖らす。その頭をぽんぽんと叩きながら、ニっと笑った。
「そんじゃ、がんばった小太郎に、ご褒美やろうかな。」
「ごほうび?」
「あぁ。眼ぇ閉じてみろぃ。」
 言われて素直に眼を閉じる。本当に、最初見せた警戒が嘘のようだ。沖田に対しあからさまに毛を逆立てる晋助や、さりげなく小太郎の後ろに立つ銀時の気持ちがよく判る。

「とじました。」
「おぅ。」
 多分。
 こんな風に思うのは自分だけだろう。
 それを自覚しつつ沖田は笑い。

 そして無防備な唇に自分のそれを重ねた。




                             ~Fin~
[PR]

by wakame81 | 2008-02-23 03:17 | 小説。  

<< 中盤消化~ midnight blue >>