お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

midnight blue

リク小説「坂本×桂で金魂設定、ヅラ子さんと金持ちボンボン坂本。 R15」

坂本22~23歳。桂くん高校生くらい。

金魂なのか疑わしいし、ヅラ子さんじゃない気がするし、金と権力で迫ってるか微妙だし、話の展開的に無理があるし、言い訳しだしたらきりがありません(爆)。

一応R15ですよー。中学生以下のお嬢さんは読んじゃだめですよー。






「テメェこのガキがっ。」
「待ちやガレっ!」
 一本裏の通りから聞こえてきた罵声に、坂本は眉をしかめた。
 独特の訛り。天人か。関わりあわないに、越したことはない。そう思い、帰途を急ごうとしたが。
「ぶワっ?」
「テメェっ!」
 ビールケースを崩す派手な音とともに、天人の声が上擦った。
 彼奴らに立てつく、肝の座ったヤツがいるのか。好奇心に駆られ、裏通りを除きこむ。
 と。
「危ないっ!」
「どぇあぁっ!?」
 いきなり視界に飛込んできたのは、細く白い足。
 しなやかなその足に思わずみとれた坂本は、自分を飛び越えようとするその足の持ち主を避け損ねた。一緒にもつれあって、道に転がる。
 受け止めた体は、細く軽い。
「すまない。」
 ぶつかってきた体の主は、短く謝罪して坂本の上から退こうとした。その体が、小さい悲鳴とともにのけぞる。
「ようやく捕マえたゼぇ。」
「ガキが、てこずらせてんジャネぇ。」
「離せっ!」
 髪を掴まれ引っ張られながら逃亡者は暴れた。着ているブレザーと丈の短いプリーツスカートが揺れる。
 足がたたらを踏んだ拍子に、バランスを崩す。
 倒れそうになる、細い体を。
「ぷぎゃ。」
 手を伸ばそうとして足がもつれてこけた坂本の背中が受け止める。
「いっつつつつ~~~。」
「な、なんダテメェっ。」
 今日は何だか転んでばかりだ。縁起悪い。そう呟く坂本に、天人達が怒鳴る。
「テメェっ、おレ達を誰だと思ってやがルっ!」
「ここら一帯オ取りしきる、ネヅミーハウスだぞッ?」
「あー、ネヅミーハウスさんか、その節はお世話になりゆうー。」
 へらへら笑いながら、坂本は男達を見上げた。名刺を出そうとして、それが内ポケットの中だと重いたる。
「お嬢ちゃん、ちっくとどいてくれんかぇ?」
「おら立テっ。」
「ぅあっ!」
 男達は髪を引っ張り、坂本の上から逃亡者をどかした。痛みに涙を浮かべる瞳に、申し訳なく思いながら坂本は立ち上がる。
「ワシ、こういうもきす。そちらの社長さんとはこないだエロチャットでお世話になりまして。」
 差し出した名刺を、天人は受け取った。坂本と名詞を、胡散臭そうな顔で見比べる。
「今度、約束の猫耳娘調教もの、お貸しするがでとお伝えおせ。で。」
 にっこりと、坂本は笑った。
「このお嬢さん、ワシに譲ってもらえやーせんか?」
「なっ?」
 男達は色めきたった。
「フザケルなっ!」
「このガキが、おレたちに何をしたと思ってルっ?」
「存じやーせんが、ほきもこがな女の子によってたかってというのはアレがやないがでか? もちろん、ただでとは言いやーせんよ。」
 懐から封筒を取り出す。分厚いそれを見せて、ちょっとだけ惜しいと思ってから、男達の前に放った。
 目で促されて、男の一人がそれを拾う。中を覗いて、目を見張った。
「ざっと200万はあるがでから。その子が何をしでかしたかは知りやーせんが、ほき許してやっとおせ。」
 顔を見合わせ、少し考えてから男達は手を離した。突き飛ばされて倒れこむ体を、今度はしっかりと受け止める。
 肩が細い。痩せているだけでなく、骨のつくりからして華奢にできている。
 かわいらしい顔立ちをしていることは、夜目にも気づいていた。俯いたその顔を上げ、至近距離で見たい誘惑を抑え、散々引っ張られた髪を優しく撫でてやる。………体同様細くて少し固くて、さらさらだ。天パの自分からすると、すごく羨ましい。
「今回ハ大目にみてやル。」
「次やったら、承知しねェかラナっ!」
「ありがとさんー。」
 立ち去る男達にひらひらと手を振り。「さて、」と腕の中の小さな顔に手のひらを当てる。
「………いつまで触ってるつもりだぁぁぁぁっ!」
「ありゃーーーーー?」
 瞬間、飛んできたアッパーに坂本は吹き飛ばされた。


 新宿歌舞伎町では、外国系マフィア通称天人の台頭により、地元の任侠ヤクザや中国系マフィアは衰退の一途にあった。金髪碧眼の外国人イケメンホストの進出は、その象徴とも言える。
 そのあおりを食らったのは、貿易系の会社を立ち上げたばかりの坂本も同様だった。
 物のわかる、筋道の通ったお得意は次々と倒産し、ただ利益を追求するばかりで無理難題を押し通そうとする客ばかり残る。
 プライベートでも、それは同様で。
「………おりょうちゃんに、なんて言おうかの。」
 結婚してもいいかもと本気で思った女性の顔を、思い浮かべる。あの200万は、彼女へのプレゼントを買うつもりだった。いや、買おうか迷っていた金だ。
 たとえ何を贈っても、彼女が天人ホストのものだということに変わりはない。それは、よく判ってるつもりだった。他の男からものを送られたら彼女が殴られるくらい、相手が独占欲が強いということも。
 あの金を手放して、むしろ未練を断ち切った。そう思おう。
「だから離せっ。この人さらいっ!」
 代わりに買ったのが、顔立ちはやたらといい、そしてやたらと偉そうな野良猫ちゃんだとしても。
「俺をどこへ連れて行くつもりだっ!」
「どこと言われても、ワシん家やけど?」
「離せっ、はーなーせっ!」
 だいぶ元気のある野良猫ちゃんだ。
 暴れる猫ちゃんをお姫様抱っこにしたまま、坂本はねぐら代わりのビジネスホテルへと戻った。フロントに声をかけ、簡易ベッドを入れてもらい、部屋に戻る。
 元から入っていたシングルベッドに下ろすと、手を離したとたん引っかかれた。
「いつつっ。………こりゃあーしょうまっこと、野良猫ちゃんじゃのぅ。」
「誰が猫だっ。」
「おんしのことちや、お嬢ちゃん。」
「お嬢ちゃんじゃない、桂だっ!」
「かつらちゃん、ね。下の名前か? それとも上かの?」
「上だっ! それからイントネーションが違う、桂だっ!」
「じゃぁ、下はなんていうんじゃ?」
「小太郎だっ!」
 にやにやと楽しそうに笑っていた坂本の顔が、その一言で止まった。
「………えーと、なにちゃん?」
「なにちゃんじゃない、桂小太郎だっ。」

 ………………。

「ひょっとして、男の子かの?」
「見れば判るだろうっ!」
 いや、判らない。
 坂本は改めて、野良猫ちゃん改め桂小太郎くんをまじまじと眺めた。
 まず真っ先に目に付く、長く黒い髪。蛍光とはいえ光の下で見ると、エンジェルリングが見えるほど、つややかな髪をしている。
 小さい顔。通った鼻筋。けれど決して高すぎはしない。切れ長の瞳は坂本を睨むようにきつく細められている。強く結ばれた口と、薄そうな唇。少し血色はよくないが、派手な口紅をさしてない分だけかわいらしく見える。そう、彼は化粧をしていない。
 細い体にまとった、紺のブレザー。そこから覗く、襟元まできっちり閉じられたブラウス。デザイン的にリボンかネクタイが欲しいところだがそれがない。おそらく、逃亡の途中でなくしたのだろう。スカートはひざ上の、紺と青と水色のタータンチェック。それにやっぱり紺のハイソックス。ローファーは黒。その制服が、違和感なく身に着けられている。
「やっぱり、男の子だと判らんぜよ。」
「なら、お前の目が節穴なんだ。」
「いやマジで、かわいい女子高生にしか見えん。」
「そうか?」
 小太郎は、少し得意げに口の端を持ち上げる。
「お前のような胡散臭い奴を騙せるのなら、俺の変装もなかなかということだな。」
「ほきコタローくんは、変装までしてこがなげに何をしてたんなが?」
 尋ねると、小太郎のまなざしはまたきついものになった。
「お前に言う理由はない。」
「理由ならあるぜよ。ワシは君の命の恩人やきな。」
「………頼んでないっ。」
 キッと坂本を睨み、小太郎は叫んだ。
「だいたい、お前があんなところにいるから、彼奴らに捕まったんだ。お前のせいだお前の。慰謝料払え。」
「残念ながら、あの200万でワシの財布すっからかちや。」
「だったら、割り込まなきゃよかっただろう。助けてくれなんて頼んでない。俺一人であんな奴ら、コテンパンにしてやったぞっ。」
「この足でか?」
 小太郎の右足に触れる。とたん顔をしかめて、小太郎はのけぞった。
「やっぱり、ネンザしとったか。」
「うるさいっ。」
 叫ぶ小太郎にかまわず、ローファーとハイソックスを脱がした。かすかに熱を持つそこへ、フロントに届けさせた冷たいお絞りをあてる。ぴたりと大人しくなった小太郎に笑いかけ、荷物の中から冷シップを取り出した。
「………すまない。」
 貼ってやると。少し俯き、小さく言われる。
 思わず坂本は破顔する。
「いやいや、かまんよ。その代わり。」
 頭を軽く撫でて、上を向かせた。いくぶんか険の取れた瞳を覗き込む。
「女の子のカッコウまでして何をしちょったのか、教えてもらえんかぇ?」
 小太郎は眼をそらした。少し首を傾け、その視線を追う。するとまた逃げる。逃げる視線を追いかける。
 しばしの追いかけっこの後、ため息とともに坂本の眼を見上げ、小太郎は口を開いた。
「………金儲けだ。」
 その言葉に、坂本は唖然とする。
「それって、売ってたってことデスカ?」
「まさか。売るようなものなど何も持ってないのは見て判るだろう。」
 そういう意味で言ったのではないのだが。とりあえず、坂本は先を促す。
「………天人どもの財布を、拝借してだな。」
 えーと、つまり。
「スリ?」
「ちゃんと返すつもりだったぞ、入れ物はっ!」
「いや、中身の永久拝借は泥棒ながら。」
「泥棒は彼奴らのほうだろうっ!」
 そう叫ぶ声は高く上ずり。まるで泣きそうに感じられた。
 小太郎の眼には、涙など影も見えないのに。
「それはさておき。なき女の子のカッコウで。それじゃ、動きづらいんやか?」
 そらした話題にほっとしたのか、一息おいて少し落ち着きを取り戻した顔で小太郎は答える。
「………こっちの方が、油断を誘える。」
「いや、さかしーに危ないんやか?」
「何でだ。」
「この街は治安が悪ぃから、かわいい子と見ると見境のない連中が山のようにおる。ほがな奴に捕まったらどうするがじゃ?」
 そう言うと。
 きょとんとした顔で、小太郎は首をかしげた。
「どうするって………。そもそもそんなへまはしないし、第一俺は男だぞ?」
 どうしようもないだろう。
 そういう顔はとてもとぼけているようには見えず。
 まいったのーと、坂本は頭を掻いた。

 こういう子を見ると。

「コタローくんは知らんようやけど。」

 からかいたくなる。

「世の中にゃ、男の子でもいい、男の子がいいっちゅー輩がこじゃんとおるんじゃぞ。」
 そう言って、顔を寄せ。
 さっきまであれほど警戒していたはずの、小さな唇に己のそれで軽く触れる。
「………………っ。」
 一瞬眼を瞬かせ、それから何が起きたのか理解した小太郎が後ずさった。それを追うように体重をかけ、ベッドの上に押し倒す。
「な、なにをっ?」
「なんちゃーじゃ知らんコタローくんに、この街の危険を教えちゃおーと。」
「ふざけるなっ!」
 飛んできたアッパーを交わして手首を捕らえ、ベッドに押し付ける。ひねられる痛みに、小太郎は顔をしかめた。
「ワシはまぁ、男の子でもかまん口けんど、ネヅミーハウスの社長さんはどっちも大好きって人でな。あのままじゃったらコタローくんはや恥ずかしうて言えないようなことされちょったぞ?」
「それがどうしたっ。お前には関係ないっ。」
「ほがなピンチからコタローくんを救った恩人さんに、ほがな言い方はないじゃろー。」
「だから、頼んでないっ。」
「頼きのうても。」
 顔を近づける。
 数センチの距離で、小太郎の瞳を覗き込んだ。わざと酷薄なまなざしを向ければ、怯えたように小太郎は息を飲む。
「君を助けるために、ワシは200万出したがだ。会社の金がやない、ポケットマネーじゃ。それがどんばあワシに痛手か、いいなやも判るじゃろ?」
「だが………っ。」
「おんしはワシが買ったがじゃ。」
「俺は、モノじゃないっ!」
 悲痛な声で、小太郎は叫んだ。
「第一、人を売り買いなんてできるものかっ!」
 あーダメじゃ。唇だけで、坂本は呟いた。
 小太郎の言うことは、正しい。
 けれど。
「それがまかりとおらんことらぁて、世の中にゃ掃いてふてるばああるちや。ましてや、この街じゃー。」
 絶句する小太郎の唇を、もう一度ふさいだ。
 今度は触れるだけではない。
 閉じることも忘れた口の間から、舌を差し入れる。歯列を撫で、舌に触れる。
 驚いてそらそうとした頭を押さえつけ、絡めるように舌を動かす。
 噛んでしまえばいいものを、思いつかないのかためらいがあるのか実行しないのは、小太郎が≪いい子≫だからだ。そんないい子を、坂本はかわいらしく思うし。

 同時に、いじめたくなる。

 小太郎の舌は、逃げるように奥へと引っ込められる。それをいいことに、坂本は口の中を舌でかき回した。口壁中を舐めまわし、そして奥へと伸ばす。縮んだ小太郎の舌はすぐに見つかる。つつくように触れ、そして絡める。
 好きなように蹂躙すれば、開いたままの坂本の口から唾液が小太郎の口内へと落ちる。
 捕らえた舌を強く吸う。泣くような声が、喉の奥で鳴る。
 やがて顔を引き、唇を一舐めし、小太郎を解放した。
 肩で息をするその眼はとろーんとし、目尻に涙が浮かぶ。その涙をぺろっと舐めれば、びくっと細い体は震えた。
 おりょうを諦めたことで自棄になっているわけでもないが。
 小太郎の表情に、自分の欲望が反応し始めている。
「おんしは、ワシに買われたんじゃ。」
 耳元でそうささやき、そのまま口に含む。
「やっ、」
 逃げようとする小太郎を、己の体で押さえ込んだ。わざと音を立てて耳たぶを嬲る。
「いやだっ。」
 上ずる声。泣きそうな声音は、嗜虐心をあおるだけに過ぎない。

「いやだっ………晋助………………っ。」

 動かしていた舌をとめ、坂本は顔を小太郎から離した。背けられた顔を、覗き込む。
 荒い息を無理やり押さえ込むように唇は噛みしめられ、眼はきつく閉じられている。そして小刻みに震える肩。
 体を起こした。
 重みから解放されても、小太郎は逃げようとしなかった。ただ、坂本から顔を背け、震えるのみ。
 髪をすくように、そっと撫でる。癖のある自分の髪と違い、すくってもはらりと手から落ちる。
 幾分か羨ましく思いながら、しばらくそうして。
「晋助というんは、おんしの大事な人か。」
 できるかぎり優しい声で、そう尋ねた。
 小太郎は応えず。震える体はまだ止まらない。
「止めじゃ止めじゃ。ワシにおんしは買えん。」
 わざと大きく、明るい声を出した。本当はささやいてやりたいが、耳を嬲られた直後ではそれは恐怖をあおるだけだろう。
「心は時価やきなー。どればあ金を積きも、想う相手の住きる心は買えん。ありゃあ星よりも高いもんじゃ。」
 だから。
 小さな頭を、ぽんぽんと軽く叩く。
「およけないが、200万は諦めるぜよ。」


 それでも小太郎の震えは止まらなかったので、坂本は「今夜一晩、ゆっくりし。」と言い残し、外へと飲みに行った。翌朝そのまま事務所へ行くと、唯一の社員の陸奥に、こてんぱんにのされた。二日酔いとも相まって、ろくな仕事にならない一日だったが、それでも陸奥は解放してくれず。やっとホテルに戻ったのは、日付も回るころだった。
「コタローくん?」
 フロントで、連れ込んだ(外見)美少女がまだ出て行ってないことを聞かされた坂本は、半信半疑でドアを開ける。
「………コタローくん?」
 薄暗い中、佇む少年に声をかける。部屋には寝巻きも備えついていたし、それを小太郎の枕元において昨晩部屋を出たのだが、彼は今もあのブレザーを着ていた。
 そして足元に、真っ二つに割れたケータイ。
「どうしたがだ。こがなことして。」
「頼みがある。」
 小太郎はまっすぐに坂本を見つめた。
 強い、決意を秘めた。けれどどこか陰りのある瞳。
「俺を、買ってほしい。」
「はぁ?」
「俺にはどうしても、金が必要だ。だが、俺は俺しか持っていない。売れるようなものが、他に何一つない。お前の言い値でいい、俺を買ってほしい。」
「………意味わかってゆうてるか?」
 問うと、はっきりと頷く。
「鉄砲玉でも使い捨てでも何でもやる。俺には身寄りがないから、何をやらせても足はつかないぞ。」
「いやいやいや、うちヤクザ屋さんやから。天人とのつきあいあるけど、違うから。」
 首を横に振る。
 ずずいと、小太郎は坂本に迫り寄った。
 近くで覗き込むと、その瞳が切羽詰っているのが判った。
「コタローくん、あせりは禁物ちや。第一、心は時価だとゆうたじゃろ?」
「あせりでも、無理でも。」
 細くて白い手が、ぎゅっと握りこまれる。
「頼む。」
 必死の表情。
 一日で小太郎に、なんの心境の変化があったかは知らない。踏み込むのも面倒だし、何より小太郎がそうされたくはないだろう。
 けれど。
「昨日よりもっと、しょうことするぞ?」
「うん。」
「ワシのポケットマネーはすっからかんやき、めっそう多くは出せん。出せっちゅうならワシのがとして、稼いでもらうことになるぜよ?」
「うん。」
「稼ぐってゆうたち、スリらぁがやない。ワシがこれからすることを、他の男にもさせろってことぜよ?」
「うん。」
 琥珀のように薄い瞳はかすかに揺れたが。
 それでも小太郎は頷く。
「なら、商談成立じゃ。」
 そう言って手を差し伸べる。
 受けとった細い腕を引いて腕の中に閉じ込め、そして口元に触れるようなキスを落とした。




                                   ~Fin~
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by wakame81 | 2008-02-23 00:44 | 小説。  

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