お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

ふりむけば、そこに。:後

二つに分けて入りきるか不安なんですが、とりあえず二つで。






「てことで、次は警らでさぁ。」
「えー休憩はー? おやつはー? 糖分はー?」
「酢昆布はー?」
「うるせぇっ!」
 ごちゃごちゃと騒ぎながら、万事屋ご一行様&マヨ&サドは屯所から出る。
「つーかさ、車ないの? アッシーくん。」
「誰がアッシーだっ! オメーらが壊したんだろっ?」
「あ、そーかそーか悪かった、トッシーくんだったねー。」
「反省の色がねぇぇぇっ!」
 大人気なくケンカする大人たち。
 一方、年少組はというと。
「いたいけな乙女に休みも与えず過酷な労働をさせるアルか。血も涙もない連中ネ。まるで鬼アルよ。悪魔アルよ。」
「ばっかだなぁお前、鬼だって斬ったら血ぃ出んだろーがぃ。さては斬ったことねーなぁ?」
「さも鬼を斬ったことあるのは世のトレンドのような言い方しないでください。」
「あるぜぇ? 二月三日とか。」
「その鬼本物じゃないからっ! ていうか勝手に斬ったら犯罪になっちゃうからっ!」
 神楽vs沖田となるはずが、なぜかオッキー&パッチーの漫才になっている。
「あーぁ、どっかにヅラ落ちてないアルか、そしたら酢昆布もらえるのに。」
「いや、落ちてるもんでもないし、そもそもそんじょそこらにいるような人じゃないから。一応あの人指名手配なんだから。」
「じゃぁ、あそこの角はそんじょそこらじゃないアルか?」
「え”。」
 神楽が指差す三軒先の曲がり角。
 そこにいるのは、見紛う事なき黒い長髪の後姿と、そのとなりの白くて丸い物体。
「目立ちすぎだぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
 思わず絶叫する新八。その隣で、いそいそと沖田がバズーカを構える。
「「って何しようとしてんだーーーっ!」」
 そこへ、銀時と土方の、息の合ったかかとおとしが決まる。
「往来でバズーカぶっ放すなっ、また真選組に苦情くんだろっ?」
「そーだぞ総一郎くん、あそこは今川焼き屋さんの屋台があるところだ、今川焼き屋さんに迷惑でしょーがっ!」
「じゃ、桂があの角曲がったらいいんですねぃ?」
「無論。」
「無論なわけねーっ!!」
 自信満々にうなづく銀時に、土方のゲンコツが入る。
「わーっ、ちょっと、沖田さんっ!」
 再びバズーカを構えた沖田を、新八が腕に取りついて止めた。
「ここはほらっ、穏便に尾行なんてどうでしょうっ? 今撃っても逃げられちゃうじゃないですかっ。」
「尾行?」
 はっ、と沖田は鼻で笑う。
「んなことできりゃ、苦労はねーでさ。」
「山崎が一ヶ月かけてよく立ち寄る店を突き止めるのがやっとだったんだぞ。それもお前らのせいで潰されたがな。」
 弱気以前にはなから無理だと決め付けるような物言いに、新八は首をかしげる。
「それはやっぱり、気づかれて撒かれちゃうってことですか?」
「そうだったら、まだいいんだけどな。」
「?」
 土方の返答は、さらに判らなくなるものだった。答えを求めるように、新八の視線は銀時へと向く。
 その銀時はというと。
「んじゃ、行ってくるアルっ。」
「おーほどほどになー。」
 尾行どころか堂々と後をつけ始めた神楽に、手を振っていた。
「いいんですか銀さんっ?」
「サドマヨコンビはともかく、お前らならいけんじゃね?」
 そう言って銀時は、新八に耳打ちする。
「ヅラは神経図太いし、抜けてっとこあっから殺意とか害意とかなきゃ結構気づかなかったりしたぞ?」
「そうなんですか?」
「それで結構イタズラとか引っかかったしなー。あいつが見つけた秘密基地とかも、すーぐばれたしなー。」
「どんだけ昔の話なんですか。」
 とりあえず、腐れ縁のお墨付きはいただいた。それに勇気づけられ、新八も神楽とともに桂を追う。
「………随分と、自信ありげじゃねぇか。」
「のんきにオフ会に顔出すやつだもん、神経図太いか、元からねーかだろ。」
「ま、言われてみりゃそうでさぁ。」
 そう言葉を交わし、銀時らもさらに後ろから後を追う。
「言っとくけどな、万事屋。」
「あん?」
「お前らが思ってるほど、簡単じゃねぇぞ。」


 土方の言葉の意味は、すぐに知れた。

「あ、ごめんなさーい手が滑ってぇ。」
 花に水遣りをしていた娘さんからはバケツで水をぶっかけられ。

「あぁ、ごめんよ。布団が吹っ飛んでねぇ。」
 布団を取り込もうとしていたおばちゃんからは寒いギャグとともに丸めた敷布団を叩きつけられ。

「おおっと、ごめんよ。」
 ラーメンの出前中の兄ちゃんからは熱々のとんこつラーメンを岡持ちごとぶつけられ。

「うわーん、おかあさーんっ!」
 小学生の集団に迷子を訴えられ。

「うわっ、悪ぃな兄ちゃんたち。」
 植木の手入れをしていたおじさんからは松の盆栽を両手で投げつけられ。

「腰が、腰がぁぁぁぁぁっ!」
 通りすがりのご老人からはぎっくり腰ですがりつかれ。

 気づいたときには、桂の姿は見えなくなっていた。
「いったい何なんですかこの狙ったような展開はっ!」
「ていうかピンポイントで狙われたアルな。」
 水ととんこつ油でずぶぬれになり、布団で眼鏡をひん曲げられ、制服に松の葉っぱを刺した新八が叫ぶ。その横で神楽は、ぶつけられたとんこつラーメン餃子セットを堪能している。
「ま、よくあることでさぁ。」
「今日はまだ、バックしてきたトラックに轢かれてねぇからマシなほうだな。」
「そんなのまであるんですか………。」
 げんなりと新八はしゃがみこむ。
「ま、見失ったっつってもまだ近くにいることは確かだがな。」
「そうですね、そこら辺の人に聞いてみましょうか。」
 気を取り直して、通りすがりの買い物帰りの親子連れに、声をかける。
 目撃証言はすぐに得られた。
「こっちの角を曲がってったそうですよ!」
 半ば意地になった新八を先頭にして一行は進む。
「こっち曲がって、無効の信号の手前でこっちの路地に入って、」
「つーか狭い道じゃね? もう猫しか通れねーんじゃね?」
「この垣根を越えて、」
「完全に猫の通り道だな。」
「ここの壁の穴をくぐって、」
「少なくともエリーは無理アル。」
「でこっちを行くとどわぁぁぁっ!?」
「あー、そこはお役所が今年度の予算を使い果たすための意味のない道路工事してるところでさぁ。」
「………もっと早く言ってくださいよっ!」
 深く掘られた道路の穴にまっさかさまに落ちた新八の声が、あたり一面に木霊した。


 結局その後も桂の行方はしれず。
 一日無駄働きとなったが、とりあえず拘置所入りは新八の無駄な努力に免じて許してもらった。三千円の弁償と、魚肉ソーセージつき(マヨたっぷり)で。
「「「疲れた………。」」」
 一円玉三千枚を抱えて戻ってきた三人は、万事屋の玄関先で「やぁ。」と手を上げるうざい長髪と白い物体を見つける。
「どうしたのだ三人とも、ボロボロではないか。」
「「「誰のせいだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」
 そもそもの元凶を三人そろって殴り倒す。特に新八と神楽にいいようにぼこられた後、桂は、こんなこともあろうかとエリザベスが死守したお土産のひなまつりマシュマロと酢昆布を献上する。
「んで? おめーはいったい何しに来たのよ?」
 マシュマロ争奪戦のついでに桂の財布も奪われ、子供たちとペットたちが夕飯の買い物に出かけた後。下の「お登瀬」から借りたお米を研ぐ桂に、銀時は声をかけた。
「カスどもの制服を、手に入れたそうではないか。」
「………なんで知ってんだよ。」
「情報元は個人情報によって保護されている。たとえ銀時といえど、エリザベスの情報は渡せぬぞ。」
「いや、思いっきりばらしてるから。」
 銀時はソファに寝っ転がる。
 疲れた。ひっじょーに疲れた。
 その疲れた一日の極め付けがこれかと思うと、これ以上なくうんざりする。
「俺の変装コレクションに加えたい、ぜひ譲ってくれ。」
「や、あれまたボロボロになったから。残念でしたー。」
「なんだ、またか。本当にお前は物持ちが悪いな。お前がこんなでは、物を大事にする心が子供たちに伝わらんだろうが。新八君はお妙殿の薫陶があるからいいが、リーダーはお前が親代わりなのだろう。反面教師ではなく立派な教師になる努力を少しでもしたらどうだ? それでは二酸化炭素の排出を抑えることはできないぞ。この星のために、どうだ銀時、俺とともに攘夷を」
「だからなんで話がそこまで飛ぶんだよっ!」
 台所に立つ桂に、ジャンプを投げつける。狙いたがわずそれは後ろ頭に激突した。
「てか今度のことはおめーにも責任あんだからな。」
「何のことだ?」
 ジャンプを拾い、桂は問う。
 それに答えず銀時は、ジャンプを奪い返して桂に背を向けた。
 桂は首を傾げたが、何も言わず台所へ戻る。

 背中合わせのまま、無言の時が過ぎる。

 銀時はそっと、桂の背中を覗い見た。
 米を研ぐのに邪魔だからと羽織を脱いだその肩は、本来の細さを露にしている。肩の辺りでまとめられた髪も。俯いた後ろ頭から除く耳も。全部全部、見慣れたもの。


 桂の姿を正面からでなく、後ろから見ることに慣れたのはいつごろからだろう。
 気づいたときには、背中合わせに立つことに、違和感を感じなくなっていた。
 戦争が終わっても。
 桂のそばから離れても。
 振り向けばそこに、いつもその存在は感じられていて。
 彼の背中を、護っているのだと。
 新八や神楽や江戸の市民や、二人の間に互いの護りたいものがたくさん入り込んできて、それでもともに。背中合わせに護ってきたのだと。
 そう、信じていたのに。
「いつの間にお前は、俺ごと全部背負うようになっちゃったのよ………。」

 高杉のように、桂の眼差しの先に立つこともできない。
 坂本のように、桂の隣に立ち同じ方向へと目を向けることもできない。
 それでも桂と背中合わせに立つことは自分にしかできないと。それが、銀時の自負だったのに。

「俺は、お前に護られるために、後ろにいるんじゃねーんだぞ?」
「知っている。」
 独り言だったのに、応えがあった。
 お釜の中の分量どおりに水を張り、外側の水気を拭き取る桂の、やわらかな視線が向けられる。
 その視線から目をそらし。
「………うそつきー。」
 きれいな顔で嘘をつく男に、銀時は口を尖らせた。




                                ~Fin~
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by wakame81 | 2008-02-21 00:04 | 小説。  

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