お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

祭りのあとに・後

万&またパート、高杉パート、銀さんパートで三等分だったはずなのに、銀さんパートだけ異様に長すぎでした(爆)。万事屋、会話がよそにそれすぎ(笑)。





 ぴんぽーん。
「こんにちわー。桂ですけど、銀時くんいますかー?」
 うざいのが来た。
 居留守使おうかと思ったけれど、「酢昆布アルーっ」と飛んでいった神楽が、玄関を開けてしまう。
「あーあ、何やってんだよアイツは。食いモンにつられやがって。」
「銀さんは神楽ちゃんのこと言えないと思いますよ。」
 玄関では、楽しそうな神楽と桂の話し声が聞こえる。近づいてきたそれを、新八が席を立って出迎えた。
「こんにちわ、桂さん。」
「新八君こんにちわ。元気そうだな。これは土産だ、銀時以外で食してくれ。」
「って俺以外ってなんだよハブにしてんじゃねーよ。土産が甘味でそんなこと言うんだったら承知しねーぞ。」
「甘くはないかもしれんな、紫雲堂の胡麻団子だ。」
「充分甘味だろーが、何銀さんのけものにしてんだーーーっ。」
 顔面に蹴りを食らって桂が吹っ飛ぶ。いつもいつも飽きないなぁと、呆れたような新八の視線を感じる。
「お茶でも淹れてきますね。」
「あぁ、おかまいなく。」
「イチゴ牛乳忘れんなよー。」
「へがはひひへんがへーほー。」
「何言ってるんだか判らないよ。」
 こっちは個別でもらったらしい酢昆布をほおばりながらしゃべる神楽に律儀にツッコミを入れてから、新八は台所へ引っ込んだ。
「………で、何よ?」
 起き上がって向かいの客用ソファに座る桂に、銀時は尋ねた。
 だいたいの用事は見当ついてるためか、なんか居心地が悪い。
「鬼兵隊と、やりあったそうだな。」
「あー。」
 案の上だ。頭をぽりぽり掻きながら、銀時は次の言葉を待つ。
「その時、真撰組の制服を着たそうではないか。まだ持っているか?」
「新八と神楽のはあっけどな。俺のはボロボロになったんで捨てたわ。」
「貴様はどうしてそう物持ちが悪いのだ。たとえボロボロになっても、繕えばまた着られるだろう。それを簡単に捨てるとは何事だ、もったいないお化けが出るぞ。」
「出てたまるかそんなもん。てか、着るってアレ何に使う気よお前?」
「もちろん、真撰組に潜入するのに決まっておろう。本物の制服など、簡単に手に入るものではないからな。」
 何故かふんぞり返って言う。今更ながら、桂の頭の中身が判らない。
「おめーアレ着ても一発でばれるぞ? 隊長格の制服着たヤツなんざ、そういるわけでもないだろー?」
「そこはそれ、俺の変装術を活用すれば。」
「おめー直々にかよ、ばれるに決まってんだろーっ!?」
 テーブル越しに殴っておいた。そこへ、新八がお茶を持って戻ってくる。
 それと同時に、桂の土産は開封された。六本あった胡麻団子は、あっという間に残り一本になる。
「で、まさか、そんな話のためだけにわざわざ来た訳じゃねーよな? 万事屋銀ちゃんは暇じゃないんですーおめーのくだらない話につきあってらんないの。」
「桂さん来るまで思いっきり暇だったじゃないですか………って神楽ちゃん、その残り一本僕のだよっ?」
「早い者勝ちネ。それにいつテメーのだって決まったアルか、名前なんてどこにもないアルよ。」
「三人で六本あったら、普通一人二本ずつでしょっ?」
 新八が叫んでる間に、神楽は最後の一本を飲み込んでしまった。そしてまた、残っていた酢昆布の箱を開く。
「リーダー。しっかり噛まないと、喉につまるぞ。」
「ふがふぐっ。」
「あーあ、言ってる側から。」
 ため息をついて新八が、神楽の背中をさする。桂は「失礼するぞ」と一声かけて、勝手知ったる台所からコップに水をくんできた。
 その水も一息に飲み干して、「死ぬかと思ったネ。」と神楽は額の汗をぬぐう。
「………で?」
 親子のやりとりが終わってから、銀時は口を開いた。
「で?とは?」
「だーからお前の用事よ。まさか、制服もらいに来た訳じゃねーだろ?」
「そうだが。銀時、お前いい加減形から入ろうとする癖はほどほどにしておいた方が良いぞ。衣装をそろえるために無駄遣いしすぎだ。リーダーの食費やお登瀬殿に支払う家賃を費やしてどうする。」
「説教しに来たのかよっ!?」
 もう一回、テーブル越しに殴りつけた。ていうかテーブル邪魔だ、次からこれ投げつけるか。
「いや、そうではない。実は、電話を貸して欲しいのだ。」
「はぁっ?」
 銀時だけでなく、新八や神楽も眉をひん曲げた。
「何今まで偉そうに説教して、おめーが電話料金差し止められてんじゃん。」
「まさか、毎回のおみやげ代がかさんでるんじゃないですよね。」
「ヅラぁ、それじゃ次からは酢昆布持ってきてくれないアルか?」
「そうではない。うちからかけると、向こうが迷惑するのだ。俺とのつながりが公になっても彼奴は困るだろう。」
「アイツって、だれよ?」
「坂本だ。」
 げ、と銀時は顔をしかめる。
「でも、桂さんと坂本さんのつながりって、公じゃないんですか?」
「彼奴も攘夷戦争に参加していたのは知る人ぞ知る事だがな。一応、公然の秘密扱いなのだ。今でも俺と連絡を取っていると、余計な連中に知られるのはまずい。」
「てか、アイツにかけんの? うちから?」
「そうだが。」
「おめー電話代どれくらいかかると思ってんだよっ!」
 まだイチゴ牛乳のコップが乗っかっていたため、テーブルを投げつけるのは諦めた。かわりに、団子の箱の角で殴ってやる。
「そう長い時間はとらさん。それに、奴からかけてくる時は、いつも俺が払っていたぞ。」
「はぁ?」
「桂さん、それってコレクトコールじゃ………。」
「そう言えば、最初に知らぬ女子の声で、そのようなことを言っていたな。」
 さすが商人、やることがせこい。
 銀時は、変なことで感心してしまった。いや、あのバカにそんな知恵はない。おそらく、陸奥あたりだ。
「構わないネヅラ、酢昆布百個で引き受けてあげるネ。」
「てめ勝手に引き受けてんじゃねーよっ。」
「でも銀さん。僕ら今まで桂さんにたくさんおみやげもらったんですから、それくらいいいんじゃないですか?」
 大した時間じゃないって言ってるし。
 そういう新八を、銀時はジト目で眺めた。
「いや、金もそうだけど、バカ本と電話すんのってうざいんだよねー。」
 目の前にいるなら絶対バカをやるし、電話の先でもやるに違いない。目の前はウザくてしょうがないし、電話の先ならつっこみたいのにつっこめないという事態になってしまう。
「第一、なんの用よ、坂本に。」
「………………。」
 桂は、ちらりと新八と神楽のことを見た。酢昆布に夢中の神楽はともかく、新八は視線に気づいたようだ。
「あ、」
「新八ぃ。イチゴ牛乳おかわり。」
 口を開いて立ち上がりかけた新八の言葉を、銀時は制した。視線を送る。死んだ魚の目ではあったが、その奥のものを、新八は気づいたか、どうか。
「………はいはい。残り少ないんですから、控えてくださいよ。無くなっても知りませんからね。」
 そう言って台所へ向かった新八を、銀時は手をひらひらと振って見送った。
「銀時。」
 少し咎めるような口調で、桂は名を呼んだ。こっちは正確に、気づいてる。
 全く気にしてねーよ、と言いたげに、銀時は空っぽのになったコップを逆さまにして、最後の一滴をすすった。
「………行儀が悪いな。子供たちが真似したらどうする。」
「食べ物は最後の一滴まで大事にしなさいって、身をもって教えてんでしょーが。アレよ、ご飯の一粒にまで神様がいるのとおんなじよ?」
「それにしても、品がないぞ。反面教師としか思えん。」
 ため息をつかれた。
 そこへ、新八が戻ってくる。どうするかと思いきや、急須に新しく茶を淹れてきたらしく、桂と自分と神楽の湯飲みにお茶を注ぎ足した。そして、自分の定位置に座る。
 じろり、と桂に睨まれる。視線を向けられたのは自分でもないのに新八はびくっと肩をすくめた。当の銀時は、どこ吹く風だが。
「で? 坂本に何の用よ?」
 のんきな声に、桂はもう一度ため息をついた。諦めたらしい。
「………高杉が、動いた。」
「そりゃおめー、鬼兵隊は高杉のとこだろ? そこのヘッドホンの人の話を聞かないにーちゃんがいたぜ?」
「ヘッドホン………河上万斉か。」
 名のある隊員はすでにチェック済みらしい、その説明だけで桂は誰のことだか判ったらしい。
「鬼兵隊だけではない。彼奴自らが動いた。」
 銀時の眉が、ぴくりと動いた。
 隣で新八が息を飲む。神楽の咀嚼音は、いつの間にか消えていた。
「………でもアイツ、出てこなかったぞ?」
「見れば判るネ。あのチョウチョ、見なかったアルよ。」
「それがおかしいんだ。祭り好きの彼奴が、真撰組を潰すという大きな『祭り』に、高みの見物にすら来ないはずがない。」
 イチゴ牛乳を煽ろうとした手が、思わず止まった。
「祭りって………、人が死んだんですよっ?」
「騒ぎが起こる、という点では同じだ。」
 憤るような新八の言葉に、低く桂は応じた。納得していない顔だったが、それ以上つっこむ事ができず、新八は浮かしかけた腰を下ろす。
「………アレが、囮だってのか? 高杉は別に、何かをしていたって?」
「何かは、していた。」
 桂はお茶を一口だけすすり、息を継ぐ。
「俺の情報網に、引っかかってきた。探り、接触しようとしたが、ただ武器の密輸の場面にぶち当たっただけだった。そこに、彼奴もいたが、逃げられた。」
 斬ろうとしたのか。
 淡々とした口調に、銀時は余計にそう思う。
「密輸が囮なのか、真撰組への攻撃が囮なのか、あるいは両方とも囮なのか、判断がつかん。そこで、坂本に連絡を取りたいのだ。」
「………高杉の動向なんて、アイツだって知らねーだろ?」
「知りたいのは、高杉の事ではない。」
 まっすぐに見据えられる。銀時はため息をついて、両手を挙げた。
「へーへー。1秒につきシュークリーム一個で貸してやるよ。」
 新八はもちろん、神楽ですら張り詰めていた空気が、その言葉で一気に崩れ去った。
「銀ちゃんずるいネっ! 酢昆布200個ってさっきヅラと取引したの私アルよっ!」
「あんたら電話ぐらい快く貸したらんかいっ! それに神楽ちゃん増えてる、それ明らかに増えてるっ!」
「んなこと言って、星間通話がどれぐらいになると思ってんだ新八っ、天文学的数字だぞ、お前等の給料の半年分だぞっ!」
「てことは、電話貸したことにかこつけて、また僕らの給料踏み倒すつもりでしたねっ?」
「何アルか、また給料酢昆布アルか。現物支給はもう飽きたネ、たまには酢昆布の他にご飯ですよもつけるアルっ!」
「おめーは充分現物支給堪能してるじゃねーかっ!」
「………それで、電話は貸してくれるのか、くれんのか? ゴフッ。」
 始まった家族ゲンカを傍観していた桂の額に、神楽のぶん投げたコップ(イチゴ牛乳入り)が激突する。
 止める者がいなくなった(最初からいないという説もあり)ケンカが収まり、坂本に連絡が入るまで、あと何時間かかることか。
 全てを知るものは、誰もいない。




                         ~Fin~
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by wakame81 | 2007-10-08 22:12 | 小説。  

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