お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

めぐる季節。・前

竜宮編をふりかえっての話。銀さんと桂さんと。




 直前にあんなことがあったせいで、今年の敬老の日は、その手の事業が大した賑わいだったらしい。
 老人ホームに身内がいるヤツはこぞって顔を見に行き、行けないヤツも花だなんだと送りつけるのが多かったそうだ。
 隣の屁怒絽も注文の多さに嬉しい悲鳴をあげていた。
(ま、あんな目にあっちゃなぁ。)
 普段、自覚していなかった若さとゆーのがどんだけありがたいか、そして体力の衰えた老人っつーのがどんだけ大変か、身をもって知った銀時は思う。
 ………あれはきつかった。
 曲げっぱなしで腰は痛いし(悔しいことに真っ直ぐにならないのだ)、階段登りつめて膝も足も痛いし。最後には全力疾走したもんだから、もうガタガタだ。加えて高いところから落ちて、よく骨折らなかったと思う。これは、自分の頑丈さに感謝。
 そんなわけで、配送の仕事帰りの銀時は、ただいま筋肉関節その他の痛みと格闘中だった。肉体労働はほとんど新八に押し付けたにも関わらず。
 ちなみに同じく老化した神楽は、次の日には回復していた。夜兎、恐るべし。
「確かに種族の差もあると思いますし、銀さんの方が長い時間老化してましたけど、それだけじゃないと思いますよ。」
 連れだって家路を急ぐ新八は、そう口を挟んだ。
「それ以外の差って何よ。」
「それはもちろん。」
「年の差アル。」
 新八の言葉を神楽が先んじた風ではあるが、新八自身それを言うつもりだったことは、目付きが証明している。
「そんな大きな差じゃありませーん。銀さんまだピチピチの二十代ですー。」
「でももうすぐ三十でしょ?」
 不機嫌なツッコミに、銀時は顔をしかめる。
 これはアレだ、仕事全部押し付けられて怒っているのだ。
「仕方ないじゃーん。銀さん今体調悪いんだもーん。車の運転なかったら休みたいくらい体調悪いんだもーん。」
「別に怒ってませんよ? 僕は筋肉痛になっても明日には治りますから、銀さんと違って。」
「銀さんだって若いですー。端数切り捨てたら二十歳ですー。老いてなんかいませんー。」
「ダイエットに失敗した女子高生なみの言い訳アル。」
「アンタ竜宮城でかっこいいこと言ったの、全部台無しですよ。」
 わいわいと賑やかに家の前まで戻ってきた三人は、階段の下に見慣れた長髪と、見慣れたペンギンお化けを見つけた。
 銀時の顔が、うんざりと歪む。
「おお銀時、リーダーも新八くんも、遅かったな。」
「ただいま留守にしております。御用のあるかたはお引き取り願います。(銀時裏声)」
「銀時。いくら俺でも目の前に立ってそれが留守番電話かそうでないかは判るぞ。」
「ただいま留守にしております。御用のあるかたはお引き取り願います。(銀時裏声)」
「銀時。しつこく同じ事を繰り返しても無駄だ。」
「ただいま留守にしております。御用のあるかたはお引き取り願います。(銀時裏声)」
「………むぅ何度も何度も。まさか本当に、これはリーダーの留守番電話なのか」
「「「んな訳あるかぁぁぁっ!!!」」」 ごす。
『あぁっ! 桂さん!』
 派手な音とともに吹っ飛んだ桂に、エリザベスが追い縋る。
「何だ銀時。いるならいると最初から言えばいいのに。」
「うるせーんだよウゼエんだよせっかく人が無視しようってのにっ!」
「無視とは聞き捨てならんな。せっかく土産を持ってきたというのに。」
「土産アルかっ?」
 その一言に、神楽が反応する。
「どこアルかどこに隠しもってるアルか。」
「ほら、リーダーここに。」
 と、桂が取り出した風呂敷包みは、当然の事ながら潰れていた。
「銀ちゃんのバカぁぁぁぁぁぁぁっ!! せっかくのお土産潰すなんてサイテーアル、物のありがたみを判ってないネっ!!」
 神楽のハイキックが、今度は銀時に炸裂する。
「って、おめーだって思いっきり蹴飛ばしただろーがよ、俺のせいにすんなーっ。」
「銀時。リーダーの言うことはもっともだ。物は大事にせねば。戦時中の何もなかった頃をよもや忘れたわけではあるまい?」
「元はといえばおめーのせいだろーがぁぁぁっ!」
 二度目の蹴りが桂の顔面に激突する。風呂敷包みはその直前に、神楽によって保護された。
「もう、中身ぐちゃぐちゃネ。食べられないアルか?」
「いきなり道ばたで開くのはやめた方がいいよ。」
 新八の制止も聞かず、神楽は風呂敷を開く。
 中から現れたのは、木枠が粉々になった重箱と、その間からはみ出た黄色のかたまり。
「何アルか?」
「これって、おはぎ?」
「おはぎだとぉぉぉっ? 何だ、きなこのおはぎじゃねーか。」
「当然だ。あんこは糖分が多すぎる。中のあんこも、甘さ控えめに作ってあるぞ。」
「って、お前が作ったのかよ。」
 店の包装じゃなくてわざわざ風呂敷と重箱なあたり、それっぽい。
「形は悪くなったけど、何とか食べられるアル。」
「や、木ぎれが刺さると思うよ。」
「そんなもの、かみ砕いてやるネ。歯とあごをちゃんと鍛えて大事にすれば、おばあちゃんになっても入れ歯いらずアル。」
「8020運動か、さすがはリーダーだ。」
「たかがジジィになったくらいでヘバる銀ちゃんとは違うアル。」
「そう言えば、桂さんは体調大丈夫なんですか?」
「うむ。しっかりと揉みほぐしたからな。さすがに翌日はきつかったが、あれくらいでヘバっていては日本の夜明けなど望めん。」
 こいつも化け物か。
 考えてみれば、あの細さで銀時と同レベルの体力と耐久力をもつのだから、桂という男は空恐ろしい。
 そんなことをつらつらと思い返していた銀時の袖が、ツンツンと引っ張られた。
「?」
 振り返れば、桂の側にいたはずのペンギンお化け。
 ちなみに飼い主の方は、子供たちに腰痛体操について語っている。
「………あんだよ。何か用ですかコノヤロー。」
 まっすぐ見つめていると吸い込まれそうなので、明後日の方を向きながら銀時は呟いた。その視界に割り込むように、プラカードが出される。
『桂さんが、お世話になった。』
「………まー、苦労しましたけどね。漂流してからのアイツの奇行、党の連中には見せられねーシロモンだったぞ? 何、アレが党首でいいのあんたら?」
 しかも、老化ガス食らってからは、ただのボケ老人だし。
 自分のことはきれいに棚にあげ、銀時は答える。
『楽しかったと、言っていた。』
「あーそうだろうがよ。あんだけはしゃげばなぁ。」
『まるで、夏休みみたいだったと。』
「………へー?」
『忘れないと、言っていた。』
 もう一度、桂を見やる。
「季節の違いでぼたもちとおはぎを区別するだけではなく、他にもいろいろな区別があるそうだ。あんこでくるんだ物をぼたもち、きなこでくるんだ物をおはぎと言ったり。こしあんを使ったものをぼたもち、粒あんを使ったものをおはぎと言ったり。中の餅米のつぶし具合で区別する場合もあるという。」
「へー。さすがですね、桂さん。」
「名前なんてどうでもいいネ。そんな上っ面にこだわりすぎて中身が見えなくなったら人間おしまいアルよ。」
「リーダーは聡いな。大事なことをよく知っている。」
「いや、良いこと言ってるように見えて、この場合は『腹に入れば何でも同じ』と同意義ですから。」
 子供たちと、仲良く話をする姿。
 その控えめな笑顔に、むかついて。

「おい。」
 気づけば、その腕を取って。
「おめーちっと付き合えや。」
 知らず、低い声が出たが。

「何だ銀時。付き合えとは如何ほどの時間だ? 長い時間だったら取れないぞ、今日はこれから会合があるんだからな。」
 恐れる風情などこれっぽっちも見せず、桂は答える。
「んだよおめー、忙しいならなんでわざわざ家の前で待ち伏せしてんだ?」
「エリザベスが、挨拶をしたいと言っていたからな。律儀なエリザベスの心は、もう受け取ったのだろう?」
 銀時はエリザベスを振り返った。
 表情の全く読めない、つぶらな瞳。けれどエリザベスは、しっかりと頷いた。
 銀時を、後押しするように。
「あーさぼっちまえそんな会合。」
「そんな訳にはいかん。」
 厳しい眼差しで、桂は銀時を睨む。けれど今更、怖くなどない。
「どーせ、芸能関係のスキャンダルとかしか話さねーんだろ? だったら行く必要ねーじゃん、どうせお前、そっち方面疎いんだし。」
「疎いからこそ、会合に出る機会を多くして、情報を集めねばならんのだ。そんなことも判らないお前じゃあるまい。」
「てかマジで、スキャンダルの話しかしてねーのかよ。」
 わざとらしく、ため息をつく。
 それまで見守っていた新八が、ここで口を挟んだ。
「銀さん、桂さんだって忙しいんですから、無茶言うのはやめましょうよ。」
「あー、スキャンダルの話しかしない会合のどこが忙しいって? だったらうちで晩飯でも食ってった方がよっぽど建設的じゃねーか。」
「晩飯っ? ヅラのおごりアルか?」
 予想通り、夕食の話題に神楽が食いついてきた。桂に見えないよう、銀時はほくそ笑む。
「そだぞー。ヅラが今日晩飯おごってくれるってさ。」
「おい待て銀時っ!」
「やったぁ焼き肉すき焼きジンギスカン食べ放題アル~~~♪」
「ちょっ、リーダーっ。」
 桂が慌てる。
 神楽がこうなったら、桂は絶対に逆らえない。それでも無駄なあがきをしようと口を開いた桂の目の前に、プラカードが差し出された。
『今日くらい、いいのではないですか? 会合でしたら自分が出て、情報を集めてきますから。』
「しかし、お前だけ行かせるのも………。」
『大丈夫です、立派に名代を果たしてみせます。』
「エリザベス………。」
 感極まったように震える声で、桂は愛しいペットの名を呼ぶ。
「すみません、桂さん。うちもたまった家賃払わないとなんで、そうしてくれると助かります。」
 申し訳なさそうに言う新八の顔を、桂は見やる。
 神楽はすでに、焼き肉焼き肉とその気になっている。
「な? 食ってけって。」
「うるさい。………全く、一家の主ともあろうものが、子供たちに金の心配をさせるなど情けない。」
 憎まれ口を叩きながらも、桂は折れた。



                                      ~続く~
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by wakame81 | 2007-09-29 23:43 | 小説。  

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