お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

最後の夏休み・後

今の今まで、これがこんなに長い話だったとは気づきませんでした(爆)





「その前に、いいかしら?」
 様子を眺めていたお妙が、のんびりと手を挙げた。
「今ふと思ったんだけど、食材を準備するのって食事班なのかしら、それとも探索班?」
「確かに、あの班分けだとどっちとも取れるな。」
 お妙の質問に、九兵衛も同調する。
「明日以降は探索班の担当にもなるだろうが、さしあたって今日は食事班に任せるべきかと思う。探索班の帰りを待つわけにもいかないだろうし。」
「だったら、私は料理するしかできないから、釣りでもなんでも、食材手に入れられる人が要るのだけれど?」
「それは、俺か銀時が。」
「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
 慌てて俺は反対する。言うに事欠いて何口走ってんだこのボケっ。
「銀時。何か反論が?」
「何で俺っ? 何で俺がそこに槍玉にあげらんなきゃならないのっ? 貴い犠牲はテメェ一人でいいだろっ!?」
「尊い犠牲って何のことですか?」
 ぼきぼきと拳を鳴らしながらゴリラ女が微笑む。いや、それにびびってる場合じゃない俺っ!
 全治三ヶ月ですむなら恩の字、明らかに死に至る何かを食わされて死ぬよりは遙かにマシだっ!!
「そこまで嫌がる理由がわからんが………戦時中、野営するときに食材を山野から拾ってきた経験があるから、お前か俺のどちらかが適任だろうと思っただけだ。食べられるものかそうでないか、毒はないか。見極められる人間が食材確保に当たるのは当然ではないか?」
「そーゆー理由ならおめーに任せた、立派に散ってくれ尊い犠牲は無駄にしねーたぶんっ。」
「何を言ってるんだ?」
 ヅラの両肩に手を置いて任命すると、あの劇物の恐ろしさを知らないヅラは、きょとんと首をかしげながらつぶやいた。そして、ため息混じりに肩をすくめる。
「まぁお前がそこまで言うなら、俺が食事班に回るが。しかし銀時、仕事に貴賤はない。たとえ男子でも厨房に入らねばならぬ時はあるのだ。我が侭はいかんぞ。」
 戦時中の飯当番さぼったことねーの、おめーが一番よく知ってんだろっ。てかおめーよりも高杉よりも坂本よりも俺の料理が一番仲間内で好評だったの忘れたとは言わせねーぞ!!
 と言いたいのを、俺はやっとのことで我慢した。
 今ここでそんなことを言ったら、「なんだ実は料理をしたいのか?」と食事班に回されかねない。
「俺が食事班になるのなら、お前にはリーダーと共に探索班に回って欲しいのだが。」
「あ? なんで?」
「探索班には、この島の様子の他に、明日以降何か食べられるものなども探して欲しい。それに、危険が多い係だから、リーダーを守ってやって欲しいのだ。」
 ………まぁ一理あるな。
「えー、銀ちゃんいなくても大丈夫アルよ。群がるステゴザウルスくらい、私一人でマンガ肉に変えてやるネ。」
「神楽ちゃん、そんなに恐竜食べたいの? ていうかステゴザウルスは草食だから、群がるなんて事はないと思うけど。」
「リーダー、そう言ってやるな。銀時も恐竜の餌いや囮ぐらいには使えるだろう。」
「マダオなんか、餌にも囮にもならないアル。きっとブロントザウルスだって嫌がって食べないアルよ。」
「何言ってんだテメぇぇぇぇっ。じゃぁ隙あらば俺を食おうとする定春はは虫類以下ってことだぞっ!!」
「何言うアルか銀ちゃんっ! 定春はただ遊んで欲しいだけネっ!」
「いや明らかにアレは摂取しようとしているぞ動物性タンパク質をっ!」
「銀ちゃんなんか食べても糖尿病になるだけアルよ。定春は賢いから、そんなバカなまねしないアル。」
「糖尿病が伝染るかっ。ていうかまだなってねーぞ、予備軍なだけだっ。」
「予備軍ってわかってるなら少しは控えてくださいよ、イチゴ牛乳だけでどんだけエンゲル係数あがってると思ってるんですか。」
「酢昆布とドックフードの方が金かかってんだろ、イチゴ牛乳なんてかわいいもんじゃねーかっ。」
「酢昆布もドックフードも必要なものアルっ。それに今は半分くらいヅラから貢いでもらってるアル、経費削減に貢献してるアルよっ。」
「半分もらいもんでも残り半分だけでイチゴ牛乳一年分より金かかってんじゃねーかっ。」
「一年分なんてひどいアル、せめて11ヶ月分って言って欲しいアルっ。」
「「大してかわんねーじゃねーかっ。」」
「あーもしもし、三人とも。」
「なんだヅラぁっ。」
「ヅラじゃない桂だっ。」
 瞬間、見事なジェットアッパーが俺のあごに炸裂する。コノヤロー、再会時と比べて腕上げやがって。そのうちギャラクティカマグナムとかも撃てるようになるんじゃねーか?
「食事班のメンバーを変える。」
 その言葉に、俺はぎょっとする。まさか、やっぱり俺に振るんじゃねーだろうな?
「長谷川殿の立候補があったため、お妙殿と長谷川殿に任せたいと思うのだが。」
「「「立候補ぉ?」」」
 万事屋の三人の声がぴったりあった。
 まさか、あの捨て石に、自らなろうというバカがいるとは。
「いいんですか、長谷川さん?」
「まぁ俺も、こう見えていろんな職業やってきたわけだし、釣りでいいなら多少はできるぜ。それに、一応いろんな生物には詳しいから、あんたらほどじゃなくても食えるかどうかの区別はつくしな。」
 あーそう言えば、輸入管理局やってたっけ。ナマモノの検査とかもあるだろうから、戦時中にはいない、外来種とかも詳しそうだな。
「ま、そう言うことならいいんじゃない?」
「そうですね。せっかく立候補してくれたわけですし。」
「マダオ、お前の事は忘れないアル。」
「や、なんでそこで涙目に見つめられなきゃいけないの俺。そんな今生の別れみたいに。」
 これがマダオを見る最後になろうとは、俺たちの誰も気がつきませんでした………とモノローグつけたい気分で、俺は息を吐いた。
 何にせよ、最大の懸念はこれで片付いたわけだ。
「皆に異論がないなら仕方がない。長谷川殿はカーテン係を任せたいと思っていたのだが。」
「カーテンから離れてくれ。あんたも俺の人生のカーテン引かせたいのか?」
「いやむしろ自分で引いちゃってますから。」
 新八の小声のツッコミは、長谷川さんにももちろんヅラにも聞こえなかったらしい。ヅラはまじめくさった顔で、最後に残った九兵衛に向き直る。
「残るは君なのだが………えーっと、伊達くん。」
「いえ、独眼竜だからといって伊達ではないです。柳生九兵衛と言います。」
 そう言って九兵衛は、伺うようにヅラを見る。
「………お会いしたことは、あるのですが。」
「そうだったか? ………すまん、記憶にない。」
「まぁ、合コンの時はお前記憶失ってたからな。」
「そこまで不覚を取るほど、酒を飲まぬように心がけてはいたつもりだったが………そんなことがあったのか?」
「………や、説明すると長くなるからそれでいいや。」
 ゴリラな局長がいたことまで説明するのは面倒だった。またこいつに暴れられても困る。
 それはゴリラ女も同じか。面倒事が二倍って、どういうことよ。
「………まぁいい。それで九兵衛君。何か希望はあるか?」
 そう聞かれると九兵衛は、俺と新八の顔を交互に見て、やがて口を開いた。
「………寝床班で、お願いします。」
「いいの? 九ちゃん。」
「うん。新八くんなら、我慢できると思う。」
「つくづく失礼なヤツだなおめーはよ。」
 男嫌いのこいつなら、妥当な判断とは思うが、それでもむかつくもんはむかついた。一応俺たち、手を握った仲なんですけど?
「そうね、新ちゃんなら安心ね。」
「新八はへたれだから、二人っきりになっても何かあるような事はないアル。」
「………一応信用されてるってことですよね。喜んでいいんですよね。それほめ言葉なんですよね?」
 拳をふるふると震わせて、新八はつぶやいた。
 無害って思われんのが男として喜んでいいのか、俺だったらショック受けるけどな。
「なら、これで決まりだな。」
「決まりって、ヅラはどうすんだ。食事班は二人でいいんだろ。科学毒殺班か、カーテン係か?」
「ヅラじゃない桂だ。カーテン係を長谷川殿から取るのは無粋というものだろう。長谷川殿には申し訳ないが、カーテン係と兼用ということで。」
「………もういいよ、兼用で。ありもしないカーテンを引かせていただきますよ。」
 がっくりとうなだれる長谷川さんをよそに、ヅラは俺と神楽をまっすぐ見て言い切った。
「俺は探索班に回る。」
「えーうぜぇ。何で?」
「うざくない。言っただろう。探索班が一番危険な係だと。だが、俺とお前なら、何があってもリーダーを守れると思わないか?」
 まっすぐに。
 俺の目を見て、口の橋を持ち上げながら。
 自信ありげにそう言われて。

 ………俺に断れるわけねーだろ。

「へーへー。まったく、ガキとボケのお守りかよ。」
「ガキだなんて、ひどいアルっ。」
「ボケじゃない桂だ。」
 まぁそんな風にして、当面の方向性は決まった。
 蓋を開けてみればなんてことはない、やっぱりヅラが仕切る形で。


 たとえば戦時中も。
 誰がリーダーをやるかなんて話になると、たいていヅラと高杉の取り合いになった。
 が、戦の指揮とか戦術のことならともかく、補給だなんだという地味な内容になるとめんどくさくなるのか高杉は全部をヅラに丸投げした。
 補給のことならぼんぼんの坂本も頼りになったが、息抜きに全力を傾ける癖のあるバカはことある事に余計な提案をし、しかも実行に移すことが多く、とてもリーダーは任せられなかった。
 俺はと言えば、そんな頭を使うようなことはとても面倒くさくて。
 結局、軍で何かをするときに、計画するのも仕切るのも決定するのも全部がヅラって言うのは、必然的なことになっていった。
 戦時中だけじゃない。
 ガキの頃だって、思い出せばいつもリーダーだったのはヅラだったと思う。
 成績はいつも一番だったし、家柄のこともあるし、しかもその家を継いで当主になったんだから、そのあいつを差し置いて場を仕切ろうなんて度胸のあるヤツなんて、本当に高杉しかいなかった。
 あいつのリーダーやりたがるのは、やりたいからじゃなくて、自分がやらないとしょうがないって、あの時から思い続けてるからかもしれない。
 ふと、そんなことを思う。
 現に、今だって。
 あいつより年上の、人生経験豊富なやつなんて、きっといるだろうに。
 攘夷党であいつが党首張って、父親くらい年の離れたヤツがあいつに頭下げてんのは、別にあいつのカリスマ性とか、攘夷戦争時の英雄譚とか、そんなものだけが理由なんかじゃない。
 頼られたら、断れないんだあのバカは。
 そんでもって、なまじっかできちゃうものだから、余計に周りはあいつに頼るし、あいつはそれに応えようとする。
 ………本当に。
 無人島で一人っきりだからって、あそこまではっちゃけちまうほど、普段いろいろ抱え込んでんのか? 俺たちと合流したとたん、いつものテメェに、攘夷党党首の桂小太郎に戻りやがったくせに。
 それとも。
 砂浜に高杉の似顔絵描いて、鬱々してる姿を見なかったことに、安堵するべきなんだろうか俺は。

「ーーー貴様ときたら、いつもいつもくだらんグチばかりたれおって。そんなに現状に不満があるなら攘夷志士にでもなりな!! もぉ~。」
「なんで途中から勧誘に変わってんだよ。なんでお母さん口調なんだよ。」

 なぁ、ヅラぁ。
 こんな、俺たち6人以外誰もいない無人島なんだから。
 少しくらい攘夷から離れてもいーんじゃねーか?  




~Fin~
[PR]

by wakame81 | 2007-09-09 22:12 | 小説。  

<< あの約束の向こうで 最後の夏休み・前 >>