お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

ノーサイド:前

10日に上げるとかいっといて、遅くなってすみません(爆)。
桂+九ちゃん過去話。九ちゃんが6~7歳くらい? 





 僕はその人を知っている。


「若。」
 パパ上とおじいさまに怒られて、奥の屋敷の裏庭で膝をかかえていた僕を、探しにきたのは東城だった。
「戻りましょう、若。皆、心配してますよ。」
 落ちてきた鼻水をすすりあげて、僕はそっぽを向く。
「若。」
「やだ。もどりたくない。」
「若、そんな我が侭を………。」
 困ったように、細い目をたれているんだろう。そんな東城の言葉を、僕は頭をふってジャマする。
「だって、もどったらまた剣のおけいこだもん。」
 そしたら、また怒られる。
 柳生の跡取りなんだからって。もっと、強くなれって。
「むりだよそんなの。僕は女の子なんだもん。おじいさまやパパ上や、おまえみたいに強くなんてなれっこないよ。」
「妙殿は、女の子でしょう? ですが、とてもお強くていらっしゃいますよ。」
「妙ちゃんは、すごい人だもん。でも僕は………。」
 どうしてあんなに、人が強くなれるのかわからない。
 だからきっと、僕は弱くて泣き虫のままなんだ。
「若は、敏木斉様や輿矩様の血を引いていらっしゃいます。修行を積めば、きっとお強くなれますとも。………そうそう。」
 急に東城が、声のトーンを上げた。つい、僕は顔を向ける。
「今日のおやつは、貴雲堂のチョコまんだそうですよ。」
「ほんとうっ?」
 思わず聞き返した僕の、お腹の虫がぐ~~~~っとなる。
 そっぽを向いて口を押さえた東城を、僕はきっとにらみつけた。
「………失礼。それでは、参りましょう。」
 そう言って立ち上がった東城は、すっと手を差し出した。渋々、といった風に僕もその手を取って。そして、母屋へ戻る。
 いつも通りの一幕。
 けれど、その日は、特別な日になった。


 道場で、歓声があがった。
 母屋へ戻る途中だった僕は、ついつい道場の方を見てしまった。
「気になられますか?」
「べ、べつにっ。」
 ぷいっと顔を背けて、それからちらりと目だけ道場の方へ向ける。
 いつも、たくさんの門下生が上げるかけ声や竹刀の音がしない。静まりかえった道場。そこに、師範代の号令と同時に、二つの声が上がる。一人は西野。もう一人は、知らない。
「他流試合が、丁度行われているのですよ。」
 東城の言葉に、僕は彼の顔を見上げる。
「他流試合?」
「そう。練兵館です。ご覧になりますか?」
 頭を横にふろうとして、僕はためらった。
 見ないと、怒られるかもしれない。でも、見るのはいやだ。剣術は、怖い。
 でも。
 そこへ、再び上がる声。でも、歓声じゃない。なんだかおどろいたような。
「練兵館の修める神道無念流剣術は『力の剣術』とも呼ばれ、その一撃は重く、打ち所によっては相手を殺してしまいかねないので、他流試合は滅多に行わないのです。今日は、特別に場を設けてもらったものでして。」
 迷う僕を後押しするように、東城は説明をする。
「今日を逃すと、次はいつご覧になれるかは、判りませんよ。」
「………見たい。」
 東城の言葉に、思わず僕はうなづいていた。
 西野が出たということは、副将戦までもう終わっているということだ。僕らは走って、道場までたどりつく。
 ちょうど、大将の二人が構えた所だった。
 東城が僕のとなりにいるから、大将は北大路。相手は………。
 その相手が、防具をつけているのにとても細い体をしているのに、僕はおどろく。
「何ですと?」
 となりにいた東城が、小さい、けどとてもおどろいた声をあげた。中堅の胴衣を着た南戸になにか言い寄ってる。
「西野が負けたっ?」
「ちびのくせにすばしっこいんですよ。神道無念流は胴狙いに弱いからそう狙ったんですけど、捕らえることもできないで、一撃で。」
 南戸の声を聞いて、僕はあらためて練兵館の門人を見た。
 道場のはしにいて面をとった、副将の胴衣を着ているのは、まだ若い、目つきのするどい男。
 あの男が、西野を。
 そして、西野を倒したあの男よりも強い、練兵館の大将。
「始めっ!」
 師範代の号で、北大路が動いた。それよりも早く、練兵館の大将は北大路の間合いに飛び込む。
 一撃めが飛ぶ。何とかそれをはじいた北大路の面に、突き出された二撃めが当たった。
「なっ!?」
 門下生も、南戸や東城までもが目を見はった。ふっとんだ北大路が、床に転がる。練兵館の大将は、中段の構えをくずさないで北大路を見つめる。
「………審判。判定を。」
 だれもが黙りこんだ道場に、その声が響いた。声の主を目で追う。
 練兵館の、副将。
「め、面ありっ!」
 師範代の判定に、道場はみたびどよめきにわいた。
 ゆっくりと起き上がった北大路と向かい合って、礼をする。そして自陣にもどって練兵館の門人に迎えられた彼らの大将は、そこで初めて面を取った。
「………………っ。」
 その素顔に、僕は息を飲む。
 試合直後だっていうのに、少しも赤くならない、白い顔。
 手ぬぐいにまとめられた髪。
 すっと筋のとおった鼻に、きりっとした口元。
 まっすぐな、強い目。
 その人のきれいな姿に、僕はしびれたように動けなくなった。


「すみませんっ!」
 大さわぎの道場をぬけだして、僕は正面門へ向かっていた練兵館の門人達の、その中にいた大将へとそう呼びかけた。
「ん?」
 うしろ頭で結んだきれいな髪をゆらして、その人はふりむいてくれた。………おそろいの髪型だ、なんかうれしい。
「君は?」
「柳生九兵衛ですっ。おねがいです、おしえてくださいっ。どうしたら、そんなに強くなれるんですかっ?」
「え。」
 きょとんと目をぱちぱちさせてから、その人は腰を下ろして僕へと顔を合わせる。
「柳生、の姓を持つのなら、君は柳生新陰流の門下であろう。それが何故、源流は同じとはいえ他流派の俺に?」

「だって、女の人なのにそこまで強くなれるのはすごいことですからっ!」ぴきっ。

 あれ?
 何かが割れたような音に、僕は首をかしげる。
「あのー………?」
 何だか固まっちゃったその人にかけようとした声は、押し殺したような笑い声にかき消された。
「………高杉。」
「今更怒んなよ。柳生の坊やが驚いてんだろ?」
「………………。」
「子供の言うことだろうがよ、そう目くじら立てんな。」
 そう言う、確か副将の人をじろっと睨みつけて、その人は僕の方に向き直った。
「童。俺の剣に感激してくれたのは嬉しいが、俺は男なのだ。」

 ………………え?

「うそっ。だって、そんなにきれいな人なのにっ。」
「いや、嘘でも何でもなくだな、」
「本当は、あなたもどっかの道場をつぐために、男の人みたいにそだてられたんでしょうっ? 僕、ひみつにします。ぜったいにだれにも言いませんっ。おしえてくださいっ。」
「いや、正真正銘紛れもなく男なのだ。それが証拠に痛っ。」
「何余所様の家の庭で脱ごうとしてんだバカヅラっ。」
「ヅラじゃない、桂だっ! それに殴ることは無かろう。これは、何だか言葉だけじゃ信じてくれそうにないから確たる証拠を示そうとしただけではないか。安心しろ、上だけだ。下をはだけるつもりはないぞ。」
「たりめーだっ!」
 その人は副将の人に思いっきり殴り倒された。
 僕がぼーぜんと見ていると、「若?」って東城の呼ぶ声が聞こえる。まずい。
「こっち、きてくださいっ。」
「え、おい童?」
 その人の手を引いて、思わず僕は走り出していた。



                              ~続く~
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by wakame81 | 2008-01-14 20:45 | 小説。  

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