お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

歳寒三友

新年明けまして小説。「松子」ネタ。
桂幾風味でございます。てか幾松っちゃんがなんかツンデレに………(爆)

ちなみに、「さいかんのさんゆう」と読むそうです。byうぃきぺでぃあ






「あーーーーーーっ。」
 出前の帰りの信号待ちで、幾松はそう叫んでしまった。すぐに口を塞ぎ、辺りを見回す。同じく信号待ちの車や人が、きょとんとした、あるいはおかしなモノでも見るような顔で、こっちを見ている。
 しまった。
 幾松はバツの悪そうな顔で肩をすくめ、もう一度今見たモノへと目をやり。
「………あんのバカ………っ。」
 まったく気づかない体で四つ角向こうの横断歩道を渡り去っていくうざったい長髪と白ペンギンに、カチンと来た。
 左右の歩行信号が点滅する。続いて車道信号も黄色そして赤へと変わった。
 ウィンカーはすでに、直進から右折へと変えている。
 正面の信号が青へと変わった瞬間、幾松はバイクを発進させた。直進しようとする車の間をすり抜け、右前方の歩道へと迫る。
「………何やってんのよこのバカーーーっ!!」「げふっ!?」
 振り回した空の岡持は狙い違わず、長髪頭の後頭部を直撃した。


「大晦日にまた来るようなこと言っといて、何やってるのよアンタはっ? 大晦日どころか三が日までもう終わっちゃってるんだよっ? 約束守るっていう気はないのかいアンタにはっ!?」
「いやだから幾松殿、急な用事が急に発生した訳で、これは不可抗力というヤツなのだ。」
「言い訳禁止っ!」
 ラーメン屋「北斗心軒」の土間にちょこんと正座させられた桂小太郎とそのペットエリザベスを、幾松は一喝した。
「二日の朝にはアンタこっち寄ってるんじゃない、ちょこっと新年の挨拶していく時間もなかったっていうのかいっ?」
「いや、俺は寄ってないぞ。」
「だったらこれは、何だって言うのよっ!?」
 大きな音を立てて、カウンターのへりに幾松は手を叩きつける。手の下にあるのは、一枚の葉書。
「………年賀葉書、であろう?」
「誰からの。」
 近眼のように、桂は眼を細める。その鼻先に、件の葉書がびしっと突き付けられた。
「………俺から、だな。」
「そう。」
 幾松は、深く頷いた。
「それで、これが届いたのは一月二日よ。」
「うむ。郵便屋さんは勤勉だ。」
「一月二日に配達する郵便屋さんがどこにいるぅぅぅぅぅ!!」 ざく。
『あぁっ! 桂さんっ!』
 桂の額にざっくり刺さった葉書を、慌ててエリザベスが抜き取った。そうすると自然血は吹き出るモノで。
『桂さん、スプラッタになってますよーーーっ。』
「エリザベス、俺に近寄ってはいかんぞ。お前まで汚れてしまう。」
『桂さん、桂さんの為なら自分は血まみれになっても構いませんっ。』
「エリザベス………っ。」
『桂さん………っ。』
「えぇいうっとうしいっ!」
 べちっと血を吹き出し続ける額に、おろしたての台ふきが投げつけられた。
「いいからとっとと血を止めなさいっ。」
「幾松殿、何か怒っているのか?」
(平常心平常心平常心………。)
 あんまりな返答に思わず幾松は、こめかみに手を当ててそんな漢字三文字を呟いた。
 いちいちつっこんでいては、話が進まない。
「………アンタ、一月二日は全国どこでも郵便局は休みなの、知らないの?」
「そうだったのか。平日に休むとは、怠慢だな。」
「元日から働きっぱなしなんだからちょっとは大目に見なさいっ。じゃなくてっ!」
 縁が血で汚れた葉書を、もう一度桂の目の前に叩きつける。
「アンタが持ってこないで、誰が一月二日にコレを届けるっていうのっ!」
 ………………。
「おおっ。」
「おおっ。じゃないっ!!」
 思わず殴りたくなった拳を、すんでのところで押さえる。平常心平常心。
「だから、アンタが二日にうちを訪ねてきたのは知ってるの。だったらどうして、一声くらいかけていってくれなかったんだいっ?」
「すまなかった、幾松殿。」
 妙に神妙な、そして真っ直ぐな眼差しで謝られて、つい幾松は怯んだ。
「訪問したのが朝も早い時間であったし、俺にはすぐに行かねばならぬ用事があった。その後も訪問しようと思っていたが、思わぬ事や余計な狗共の邪魔が入ってしまってな。………いや、これらは皆、言い訳に過ぎぬ。」
 すっと、桂は手を土間についた。そして深く、その頭を垂れる。
「申し訳ない、幾松殿。」
「………わ、判ればいいんだよ。」
 思わずそう、答えてしまった。
 そして、ずるいと思う。
 そんな風にされてしまったら、怒ってなどいられないじゃないか。
「と、とにかく顔拭きな。で、今は時間あるの?」
「四時からバイトだ。」
 自然、二人の目は壁の時計へと向けられる。午後三時三十七分。移動時間を考えると、大した時間はない。
「じゃぁ、バイト前に一杯食べてくっていうのは無理だね。」
「申し訳ない。」
「正月限定ニシンそば、もう在庫ないからね。」
「ニシンそばだとっ?」
 目の色変えて、桂は食いついた。
「すまぬ幾松殿、明日、明日には必ず参る故、二人前取っておいてほしいっ! 申し訳ないっ。桂小太郎、一生の頼みだっ!」
 その必死な表情に、思わず幾松は吹き出す。
「幾松殿?」
「………いいよ。でも明日、絶対よ? 明日来なかったらもうお客さんに出しちゃうからね。」
「かたじけない。」
「それと。」
 深く頭を下げる桂に、幾松は葉書を差し出した。
 血に汚れていない、きれいな年賀葉書。
「アンタが来ないと、これ渡せないんだから。」
 桂はそれを受け取って、しげしげと眺めた。
 白と桃色で、かわいらしくねずみの絵が描かれている。それと、箔で押された謹賀新年の文字と、「ちょっとは危ないこと控えなさい」の、手書きのメッセージ。
 表に返せば、丁寧な筆遣いで、「桂小太郎様」と書かれている。
「年賀状をくれた相手には必ず返すの、これ常識でしょ? 何よりうちは客商売やってるんだから、これくらいの礼儀は当たり前なの。」
「幾松殿。」
 桂は、眼を細めて笑った。
「ありがとう。」
「………ふん。」
 そっぽを向く。それでも、細められた眼差しが追ってくるようで、思わず幾松はうろたえ、辺りを見回した。
 目にとまったのは、血で汚れた葉書。
「そ、そう言えば。」
「ん?」
「アンタ、去年も同じ図柄でくれたじゃない。何かこだわりあるの?」
 桂が幾松に送ったのは、「謹賀新年」の文字と、墨絵で描かれた松の絵のみの、シンプルなもの。めでたい日だというのに、華やかな絵も箔もない。
「侍たる者、必要以上に華美に走る必要など無い。」
「あっそ。」
 予想はしていたが、そのまんますぎる返答に幾松は脱力する。
「それに、松は好い樹だからな。」
「………そう?」
 眼を瞬かせて、幾松は桂を見つめた。
「確かに、松竹梅って縁起の良いものだけど。」
「縁起だけではない。」
 桂は笑みを深くして、頷く。
「松竹梅はもともと、寒中に色褪せぬ、また寒中に花開く植物として、清廉潔白や節操の象徴として、宋代の文人に愛されたものなのだ。それが日本に広まり、いつしか縁起の良いものの象徴となったわけなのだが。」
 視線が遠くなる。
 幾松の方を向きながら、もっと遠い、別の何かを見つめるように。
「松、という字を名に持った人は、やはり清廉潔白な人物が多い。少なくとも、俺の身の回りでは。」

 その眼差しの先に、その、彼の知る人を見ているのだろうか。

 まるで、もう会えない人を想うかのような眼差しに、幾松は息を止め。そして。
 不意に自分に合わせられた視線に、思わず顔を火照らせる。

 松の字を名に持つというなら。
 それは。今彼の目の前に。

「そ、そう言えば、警察庁長官も確か『松平』って名前よね。」
 うろたえたあまり、そう口にすれば。
「あれは違うっ!」
 食ってかかるように、否定された。
「アレはダメだ、『松の名前の人は清廉潔白な人の法則』から外れているっ! ていうか名前ではなく姓ではないか、アレは反則だっ、あの一族に生まれたら思いっきり恵まれている事になってしまうからダメだっ!」
 これでもかというくらい思いっきり否定する。その慌てた様子に、思わず幾松は声を立てて笑った。


『ところで桂さん、時間は大丈夫ですか?』
「「あ。」」



                           ~Fin~
[PR]

by wakame81 | 2008-01-06 23:06 | 小説。  

<< 君想ふ唄~1月8日~ 謝罪文。 >>