お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

二藍につむぐ

燃え上がる熱い何かを沈静させるには、吐き出すのが一番です。
てことで、第192訓ネタ。フルーツチンポンチ。

「君想ふ唄」以外でこの二人書いたの初めてなんですが(爆)。






「この期に及んで、まだ現実から眼をそらそうというのか。」
 二人がかりで足蹴にされながら、そう、そいつは言い放った。
「貴様らもうすうすと感づき始めているはず。最早何の情報も、何の手段もありはしない。」
 決して大きな声ではない。高らかに説いているのではない。
 けれどその声は、沖田と神楽の二人の暴行を止めさせ、唖然としていた近藤達の耳に染み渡っていく。
「ゲーマー星人を捕まえることは、もう不可能だということを。」
「バカ言ってんじゃねーよ。こんな事位で諦められるか。」
「そうだ!」
 土方の反論に、近藤は乗っかろうとした。指を桂に突き付けた、その袖から一枚の写真が落ちる。
 しまった!と。思ったときは遅かった。
 おめーがドライバーならぴったりじゃねーか。
 そう言って、松平が持ってきた見合い。
 写真をつい持ち歩いてしまったのは、やはり自分の中にも、うすうすとそんな諦めがあったからなのだろうか。
「………我々に今必要なのは、モンハンをやることでも、焼き肉屋で無駄に策を論ずることでもない。」
 嫌な。
 重苦しい空気の中を、桂の声だけが響く。
 反論する気力を、その場の誰も持ってはいない。
「ドライバーとして生きていく覚悟だ。」
 その後の沈黙を、破る者はいなかった。
 もう、戻ることのできない現実。
 手の届かなくなってしまった願い。
 失ったものが、大きくて。大きすぎて。その重さに、皆が耐えられないまま落ちる、いやな静けさ。
「………気持ち悪ぃや。」
 帰りしな、沖田がぽつりとこぼす。
 その言葉が、近藤の耳にいつまでも残った。


「いい機会なんじゃねーの?」
 戻ってすぐ、桂を牢につなぐ手配をした。細かい指示を土方に任せ、近藤は上司の松平にそれを報告する。そのついでに、見合いを受けることを伝えると、それまでめんどくさそうに話を聞いていた松平は、そう返してきた。
「攘夷の大物を捕らえたんだ、おめーもそろそろ、先のこと考える時だって事だよ。」
「先………?」
「そうさ。」
 面白いんだかそうでないんだか、判らない顔で、松平は雑誌のページをめくる。
「元々真選組は、桂を捕らえるための組織だったじゃねぇか。長年の念願が叶って、良い頃合いなんじゃねーの?」
「だがとっつぁん、まだ高杉や、他の過激派が。」
「別に、そいつら放っとけとも、真選組止めろとも言ってねーよ。ただ、おめーも組の他に、大事なモン作ってもいいんじゃねーのっつってんだろ。」
 どうせ、ドライバーになっちまったんだし。
 そう続けられた言葉に、近藤は顔を伏せる。
「結婚は人生の墓場とかゆーがな、実は意外とパラダイスだぜ近藤よぉ。見合いだのなんだの関係ねぇ、娶った女幸せにできねぇ甲斐性なしでもあんめぇ? 受けるって決めたんなら、そんな辛気くせぇ顔すんじゃねぇ。バブルス王女ん時みてぇなことやらかしやがったら、切腹だぞ。」
 励ましてんのか発破かけてんのか脅してんのか判らない言葉に、近藤は頷く。
 ドライバーとして生きていく。
 今の自分には、それしか残されていないのだから。


 土方も沖田も、ドライバーとしての道を歩き始めた。
 万事屋たちも、あの時桂が持ってきたチラシを元に、同じように第二の人生を歩き始めたらしい。偶然街で見かけたのだと、沖田が教えてくれた。
『ま、結構稼いでるらしいですぜ。』
「そうか………。」
 電話越しの報告に、近藤は息をもらす。
「お前らはどうなんだ、元気でやってんのか?」
『まーボチボチでさぁ。アイアンもパターもなしで、ドライバー一本で賞金王目指しますぜ。土方さんもまかないで出る飯がマヨネーズに合うって、言ってましたし。周りはさぞかしドン引きだったでしょーがね。』
 元気そうだ。
 ドライバーになっても変わらない沖田のペースに、何となくほっとする。
 そして、目を閉じて息を吐いた。
 これは、未練だ。
 ドライバーとして生きると決めたのに、まだあの場所に戻りたいと、奪われたものを取り戻したいと、思う自分がいる。
 桂のせいなのかな。ふと、そんなことを考える。
『そういや、何であん時気持ち悪かったんか、判りましたぜ。桂のせいでさぁ。』
 その名が沖田の口から聞かされ、思わず近藤は動揺した。
「………桂の?」
『そうでさ。』
 近藤の動揺に気づかず(気づくわけもなく)、沖田は続ける。
『違和感、だったんでさぁ。あの気持ち悪さ。』
「違和感。」
『あいつが、あんな簡単に諦めるのが、おかしいって気づいたんですよ。このご時世になっても、攘夷を諦めたりしないあいつがですぜ?』
 息を飲む。
 そうだ。
 天人の横暴に屈するなど、江戸の、日本の誰よりも、あってはならない男。
 その男の言葉だからこそ、諦めるしかないと思ってしまった。だが、そうではなかった。
 諦めるはずが、ないのだ。あの男が。
 そして。
『気づいたのは、桂のヤローが脱獄してからでさ。土方さんも言ってたんですけど、近藤さん。ひょっとしたら。』
 まさか、と思う。
「あのな総吾、実際ゲーマー星人の情報は全く得られなかったんだ。桂の言うとおり、現状を受け入れるしかなかった。それはお前も認めてるだろ?」
『近藤さん。』
 ありえないと思う。だって、今更だ。
 ついさっきまで、自分は見合いをしていたのだ。沖田だって土方だって、新しい人生を歩き始めている。
 それなのに。そんなのは都合よすぎだ。
 そう判っている、けれど。
「あぁでも、ひょっとしたらなぁ。」
 もしかしたらと思った途端。
 諦めきっていたつもりのものが、実はまだくすぶっていたのだと、自覚させられる。
 そしてそれは、沖田との電話を切ってから気づいた、一通のメールで大きく燃え上がった。


 標的発見せり。
 その言葉と、かぶき町にある一件の店舗の名前。
 罠かも知れない。からかわれてるのかもしれない。自分もそう思ったし、連絡を受けた土方もそう言っていた。
 本当だとしても、疑問だらけだ。
 何故、自分たちに教えるのか。どうやって奴らを見つけたのか。
 あの後も一人で奴らを追っていたのなら、どうしてあんな事を言ったのか。
 そんな疑問も文句も、待っていた桂の顔を見た途端、吹っ飛んでいく。
「桂ァァァァァァ!!」
「やめろ、今はその名を呼ぶな!! ………近藤ォォォォ!!」
「やめろ、今はその名を呼ぶな!!」
 メールを出した桂自身が、近藤達の到着に驚きを隠せなかった。
 何故信じたのかと、問われてもきっと、答えられない。
「何も言うな。」
 たとえどんな思惑が、こいつにあっても。
「今の俺はただのハンター。」
 信じられると、そう思ったから。
「「フルーツチンポ(ポンチ)侍Gだ!!」」





                          ~Fin~
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by wakame81 | 2007-12-04 02:56 | 小説。  

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