お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

始まりの夜

台風が来ています。呼んだのは誰だ、桂さんか高杉か?
付近の皆様は、どうぞお気をつけください。若布みたいに嵐の中海を見に行っちゃダメですよ(死)。

旧暦10月27日は、吉田松陰先生の命日です。旧暦なので、新暦でいうと11月21日なのですが。
銀魂では、桂さんとかもっさんとかの誕生日が、史実の人の旧暦の誕生日と一致してるので、あえて旧暦合わせで。

………最近不足している沖田分を補充してみたところ、わけわからん話になりました(汗)。






 燃え上がる炎を背負って、その男は真っ直ぐ立っていた。


「来る十月二十七日、戌威族大使館を襲撃す。これは、反撃の狼煙である。≪狂乱の貴公子≫」
 その犯行予告は、戌威族はじめ江戸に支配権を得た全ての天人に無視され、或いは嘲笑の対象となった。
 無理もない。
 徳川幕府が天人に降伏し、江戸にターミナルが建設され、反乱分子のことごとくが粛清されてから既に一年以上たつ。今更、天人の世に翻意を示そうなどと誰も考える訳がなく、また、それをなし得るなど不可能に思われていた。
「それが有り得るって?」
 試衛館師範・近藤勲が、亡き先代師範と懇意だった松平片栗虎との会談から帰って来てから、その会談の内容を告げられた土方と沖田は、信じられないという声を上げた。
「≪狂乱の貴公子≫だかなんだか知らないが、そんな得体の知らない奴が、天人の中でも武闘派の戌威に勝てるって、松平のとっつぁんが言ったのか?」
「土方さんも案外バカですねぃ。」
「何だとっ?」
 カっとなって腰を浮かしかけた土方を、沖田は冷めた眼で見やる。
「別に勝つ必要はないでしょう。特攻かけて自爆して、それで充分でさぁ。そんなことも判んねーのかバカは死ね土方。」
「とっつぁんがわざわざその程度の輩を気にかけて、近藤さんにまで話すか? テメーこそ何も判ってねぇなバカは死ね総吾。」
「死ね土方。」
「死ね総吾。」
「あーもう、何睨み合ってるの二人ともーっ。」
 罵りあいと化した会話を、慌てて近藤が止めに入る。
「俺も、まさかとは思うけれど、とっつぁんはやけに気にしててな。」
 そして、声を潜めて、顔を近づけてきた。
「近藤さん、息臭いでさぁ。」
「総吾っ!」
 そんな事を言いながら、二人も耳をそばだてる。
「このテロが成功したら、天導衆にかけあって、人間で構成された武装警察を組織するつもりらしい。」
「この前言ってた話か。」
「本気でやるんですかぃ、あの人は。」
 天人が力で支配する世になってから、治安組織は各星の大使館の自警団が行ってきた。が、所詮それらは、自国の防衛を第一の目的としている。江戸の治安を守るためのものではない。
 江戸市民のための警察組織の必要性を片栗虎は天導衆に訴え続け、それがなった暁にはお前達を推すと、かねてから近藤らに話していた。
「それが成功するってあの人に思わせるたぁ、≪狂乱の貴公子≫とやらも大したお人だねぃ。とっつぁんは素性を知ってんですかぃ?」
 近藤は、声を潜めた。
「詳しくは教えてくれなかったが………攘夷戦争の英雄らしい。もし、本人だとしたらな。」


 いずれお前達の敵となる男。その顔を拝んでこい。
 片栗虎からそんな指令を受けた三人は、朝から戌威族の大使館付近をたむろっていた。近藤などはあんまりそわそわしすぎて、テロリストと間違えられかけたが。
 恐ろしい獣の顔の戌威族と、その種族にふさわしい威容を持つ大使館、そしていつもより多い警備。何事もなく夜を迎え、これは断念したのだろうかと思われた、その矢先。
 いつ、どうやって仕掛けたのか、大使館内のあちこちで、爆音と共に火の手が上がった。
 館内は浮き足立つ。
 時を置かず、火消しやマスコミ、そして野次馬が押し寄せる。その間にも爆発が続き、そして。

 ぬばたまの髪を爆風にたなびかせ、その男は門の上に姿を現した。

 息を飲んだ。
 黒い戦装束、濃紺の羽織。そしてその髪。
 身に纏うは、夜よりも深い闇を思わせる、漆黒。
 なのにその肌は、恐ろしいほど白い。背後の炎に照らし出されて、紅く染まっている。まるで、夕陽に染まる雪のように。
 そしてその瞳。
 切れ長の瞳は炎の灯りを受けて、琥珀が燃えるかのように強く輝いている。
(これが………。)
 沖田は、息を飲む。

 これが。≪狂乱の貴公子≫。

「我こそ、桂小太郎。先の戦争において≪狂乱の貴公子≫と渾名された者なり。」
 男は、声を張り上げた。
 よく通る声。
 張りのあるその声は、沖田の耳を鋭く打ち据える。
「天人の脅しの前に、幕府はその刃を折り、我ら攘夷志士を国賊として売り渡した。けれど、我らの魂の刃は未だ折れず。」
 桂の足下、門へと続く塀に、一人の戌威の兵士がよじ登った。唸り声と共に、大太刀を握った豪腕が振るわれる。見守る江戸の民が息を飲んだ瞬間、桂の姿は一瞬ぶれ、次の瞬間、血を吹いて塀から転げ落ちたのは天人の方だった。
「今よりここに、攘夷を宣言する!」
 血飛沫を浴び、血に濡れた刀を掲げ、桂は叫ぶ。
 血にまみれているにもかかわらず、その姿は恐ろしいほど神々しかった。


 その直後。
 大きな爆発が起こった。音と煙は大使館が崩壊するかと思われたが、実際の破壊力はさほどでもなかったらしい。煙が夜風に吹き飛ばされて晴れた頃には、門の上に桂の姿はなかった。
 門から落ちた、戌威族の死体を、沖田と土方は見つめる。
 一太刀で、頸動脈を掻き切っている。
「………とっつぁんの言った意味が、よく判ったぜ。」
 低く、土方は呟いた。
 そこへ、戌威の兵士達がやって来る。二人を睨みつけて、死体を板戸に乗せ、館内へと運び込んで行った。
「アイツぁ、強い。あの狭い足場での体さばき、あの太刀筋。コイツは、強敵だな。」
「ダメですぜ、土方さん。」
 口の端を持ち上げて、沖田は言った。
 目を閉じずとも、思い返すことができる。
 あの剣。
 あの姿。
 あの声。
 そして、あの強い瞳。
 
「アレは、俺の獲物でさぁ。土方さんにも、譲りませんぜ。」

 あの男は、俺が斬る。




                         ~Fin~
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by wakame81 | 2007-10-27 19:04 | 小説。  

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