お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

ほしはうたう。

第6期ED「奇跡」記念………だったものを今更(爆)。もっさんと桂さん。
タイトルは、若布が敬愛してやまない、高屋奈月先生の「星は歌う」から拝借いたしました。………ていうか、中身も「星歌」第3話をオマージュしまくり(爆)。
「星歌」第3話と「奇跡」にEDが変わったのが同じ7月5日だけじゃなく、内容までシンクロしてたので、つい(爆)






「星っちゅーもんは、光ばあじゃのうてそれ以外にもこじゃんとのモノを吐き出しちゅうんじゃ。何しろ、水素とヘリウムが核融合起こしちょるからのー。」
「それはこの前聞いた。中心温度の高さの違いで、起こる核融合が違うのだったか? 確か書として残しておいたはずだ、見るか。」
「見のうてもわかるき。さすがヅラ。」
「ヅラじゃない、桂だ。それで?」
 一言も漏らさぬように視線を自分から外さないその姿勢に、坂本は笑みを浮かべた。
 久しぶりに訪ねた旧友の隠れ屋の、屋根の上。
 まだ春の浅い夜だが、星見酒じゃーと騒ぐ友人に、桂はため息をつきながらもつきあってくれた。
 昔の話から、互いの近況から、共通の友人である銀髪の男とそのファミリーの愉快な日常まで一通り話して、酒も尽きかけた頃になって、話題は宇宙のことへと移った。それも、情勢ではなく宇宙の在りようについて。
 こうして、桂に天文学を説くことになろうとは、攘夷戦争時代には考えられなかった。
 敵を知り…とは言うが、天人の軍用技術ならまだしもバックボーンに桂は興味など示さなかった。むしろ、拒否反応を起こしていたほどだ。
 戦後しばらく経っても治らなかった食わず嫌いではあったが、こうして治ってみれば、桂は熱心な生徒だった。彼が敬愛してやまない彼の恩師も、教え甲斐があったことだろう。
「出てるもんは星の質量や寿命によって細かく違うんばあれど、ゆうてみれば電磁波が吐き出されちょる。その電磁波をキャッチして、恒星間航海図が作られちゅうというわけじゃ。」
「ほう。」
 坂本は、天球図を取り出した。
 ターミナルで売られている、土産物だ。
 地球から見た、星の図。
 星と星との間に線が引かれ、さまざまな図形を表している。
「こがな風に星座が見えるのは、太陽系におるときばあじゃ。わしらが移動するき、見える星の位置も変わる。それを補うために、星の出すもんを利用した航海図ができたっちゅーわけじゃ。」
 見ぃ。
 そう言って坂本は、夜の空を指し示す。
「北斗七星じゃ。」
 桂にも、馴染みの星だった。
 夜戦の時、方向を指し示すのに、あの星をよく利用した。
「あいつらは地球からだとひしゃくの形に並んじゅうが、実際にゃてきばらばらの場所に存在する星なんじゃ。」
「………実感が湧かないな。」
「そうじゃろそうじゃろー。」
 星空を見上げる桂の横顔を、坂本は見つめた。
 目を少し細めて、口の端を軽く持ち上げて。
 戦中ではいつも睨むように星を見上げていた男が、丸くなったものだ。それを思うと、なんだかこそばゆいような気分になる。
「しかし、移動することで星の見えかたが変わるなら、航海図があっても現在地が判らなくなるのではないか?」
 桂の問いはもっともだった。
「いいところに気が付いたのー。さすがはヅラ。」
「ヅラじゃない桂だ。」
 ムッとした顔で訂正する桂に、坂本はからからと笑う。桂の顔がますます不機嫌になっていくのを見て、坂本は慌てて手を振った。
「星にゃ名前がついとるんじゃ。航海図にも、その名前で表示されるから、現在地が判らのおなることはない。」
「名前?」
「そうじゃ。もちろん全部の星じゃのうて、主じゃったモノにばあけんど。」
 そう言って、空を見上げた。
 つられて桂も顔を上に向ける。 それを横目にみて密かに笑った坂本は、けれど目的の星がこの季節には見えないことに気が付いて、頭を掻いた。
「あー………、例えば織姫と彦星あるじゃろ?」
「織女星と牽牛星か。」
「それが宇宙じゃー、ベガとアルタイルって名前じゃ。」
「なんだとっ!?」
 坂本の説明に、何故か桂はいきりたった。
「なんじゃぁヅラ、いきなり。」
「ヅラじゃない桂だっ! いや、天人の奴らは我等の呼び馴染んだ名を勝手に変えたというのかっ!?」
 成程、それで怒ったのか。
  怒りの意味を理解して、坂本は苦笑する。
「何がおかしい。」
「いや、相変わらずじゃの~と。」
 意味が分からなかったのだろう、憮然とする桂に、坂本は笑って口を開いた。
「天人がわしらの呼び方を知るがけに、つけた名じゃ。仕方なかろー。」
「しかし。」
「それに、わしらだって、星の名前を自分の読みやすいように変えちょる。織女星だって牽牛星だって、呼びづらいから織姫と彦星にしてしまっちゅうやお? 星間航行は向こうが先じゃ、向こうの言葉で専門用語を作ったばあじゃ。」
 正論で諭され、桂は押し黙った。
 相変わらず天人文化に抵抗はあるが、ステファンのことといい、態度は少しずつ柔軟になってきている。本当にいい傾向だ。
 宇宙へと発った時の懸念のひとつが間違いなく解消されつっるのを見て、坂本はほくそえむ。
「主じゃったとゆうたち、それこそ星の数ばああるもんやき、番号をつけられた星も多い。けんど、中にゃほりゃあきれえな名をもろーたヤツもあるんじゃ。」
「綺麗な?」
 坂本は頷いた。
「例えば織姫のベガな、ありゃあ『純白』という意味なんじゃ。」
「ほぅ。」
 桂が目を瞬かせる。感心している証拠だ。
「彦星のアルタイルは、『飛翔する鷲』という意味じゃ。あとヅラが知っちゅう星でわしが意味まで覚えてるのは………。」
 記憶をたぐる。
 その前に桂が空を指さした。
「坂本。ならあの星は解るか?」
「どれじゃ?」
 桂の指差す先に視線を向けるが、もちろん判るわけがない。
 ヨッと体を横に滑らせて、桂の右に密着させる。そうして見上げて、やっとその星が判別できた。
「ああ、ありゃあレグルスじゃ。」
「れぐるす? どんな意味なのだ?」
 振り向いた桂の髪が揺れ、坂本のほほをかすめる。仄かな、匂い。
「………確か、『小さな王』じゃったかぇ。」
「ならば、あの星は?」
 矢つぎばやに尋ねられた。
「ありゃあ、プロキオンじゃ。確か、『何たらのなんたら』だという意味じゃったかぇ?」
「なんだそれは。」
「わしだって、全部の星の名前を意味まで憶えちゅうわけがやないき。」
 桂は溜め息をついた。と思ったら、またすぐに空を指差す。
「ならば、あれは?」
「ありゃ? あがなとこにあがな星あったか?………なんじゃ、火星じゃ。」
 天球図と見比べて、坂本は答えた。
 桂はまだ懲りないらしく、空を見上げる。
「なら………あれは何という?」
「ええと。」
 何だったかのうと天球図を見る。
「おぉ、あった。アルファルドじゃ。意味は………。」
 思いだしたその意味を、言いよどむ。忘れたと誤魔化してしまおうか。
 そう考えた坂本の顔を、桂はまっすぐに射抜く。
「坂本。」
 誤魔化しが利かない。
 嘘をつこうとしていると、知っている顔だ。

「意味はな、『孤独なもの』じゃ。」

 諦めて、正直に坂本は告げた。
 桂は薄く口を開きかけ、けれど何も言わずにまた結ぶ。
 そしてまた、空を見上げた。

 視線の先には、他の星と離れて光る、朱の星。
 その瞬きに、誰を重ねているかなんて、尋ねるまでもなく判る。

「他にも、気になる星はないか? なんちゃー答えちゃるき。」
「なぜ………。」
 わざと明るい声音で言ったが、魅入られたようにその星を見つめる桂は、呟くようにそう答えただけだった。
「………あいつの周りに、目立つ星が見えないろう。あることはあるんじゃが、暗うて見えん。宇宙からもそうじゃ。ぶっちゅうように、見える。」
 まっことは、ちゃんと周りに星はあるんじゃぞー。
 そう、明るく言ってみても。
 桂の眼差しは、孤独な星から離れようとしない。

 夜風に、ぬばたまの髪が揺れる。
 そっと手にとって、指を滑らせてみた。するりと、なめらかに指から滑り落ちる。
 記憶と変わらぬ、長く美しい髪。
 それがこの前の秋、斬り落とされたことを、坂本は知っている。


 修羅道を征く彼に。斬る。と、告げて。
 自分のための正義を選んだ彼に。変わるな。と告げて。
 そして宇宙を選んだ自分を。許して。

 長くて遠くて苦しいだろう道を選んだ彼こそが。誰よりも孤独かもしれないというのに。


「………アルファルドはな、地球から177光年離れちゅう。」
 坂本の言葉に、桂は応えない。
「光の速さでアルファルドを目指したち、177年かかってしまう。けんどな。」
 右手を黒い髪の中に差し入れ、わしゃわしゃと掻き回す。
 何をする、とは言わなかった。逃れるように首をすくめて、眉をひそめて坂本を見やる。
 すぐに上へと引き戻されそうな眼差しを逃がさぬよう、坂本は小さな頭を潰すように押した。
「ほきもここへ、光は届く。」
 切れ長の瞳が、すっと見開かれた。
「さかしーもそうじゃ。こっちの光は、アルファルドへ届く。………光っちゅうのは太陽やけどな。」
 にかっと笑ってみせる。
 桂はさらに眉をひそめた。怒っているのではなく、困るように。
「………坂本。」
 坂本はさらに両手で桂の髪をくしゃくしゃにした。
 櫛を通せば桂の髪は、すぐにさらさらと元に戻ってしまうだろう。銀時も言っていたが、本当に羨ましい。

 それでもくしゃくしゃになった髪の向こうで。
 小さく。
 ありがとうと呟く声を、確かに坂本は聞いた。



                       ~Fin~

 
[PR]

by wakame81 | 2007-09-26 03:19 | 小説。  

<< 感謝感激あめあられ。 妊娠しました。 >>