お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

あしたはくるから・肆

中途半端なところで途切れます(爆)





「晋助っ、銀時っ!!」
 さっきまで意識がなかったとは思えない、小太郎の声が響く。反射と言うより野生の感と言いようがない勢いで、刀を振り上げる。鈍い衝撃がそれを受け止め、強いしびれが刀から右腕を通して体全体に伝わった。
 自分に斬りつけた男を睨む。さっき太郎に飛びかかられてたのとは違うヤツだ。闇に浮かぶ着物の形も違うし、何より発する気配が。
 ………このやろー、強い。
「ん? おい源助、明かりよこせ。」
 男は後ろの方へと声を放った。そちらを見れば、最初の男がいる。その足蹴にされているのは、晋助。
「………っ。」
 燃え上がった怒りに、目の前の男は鋭く反応した。構える姿に隙はない。こいつに斬りかかるなり、晋助に駆け寄るなりすれば、すぐに斬られる。
「テメ、このやろ…グッ。」
「晋助っ。」
 木に叩きつけられて、晋助は動かなくなった。小太郎の高い声が上がる。それは、何となく泣き声を連想させた。
「やめろっ。晋助にも銀時にも手を出すなっ。銀時、晋助と太郎を連れて逃げろっ。」
「バカかおめーはっ。こんなとこで何言ってんだよっ。」
 男から目を離さず、銀時は怒鳴った。
 源助と呼ばれた男は晋助から離れて、提灯を持ってこっちに来る。………二対一。目の前の男が手練れなのはわかっているし、もう一人は体が大きくて腕力も強そうだ。
 何より、あの小太郎をかどわかし、あの晋助をのした奴らだ。
 目の前に提灯をかざされる。夜目が利く分、急激な明かりに銀時は弱い。眩しくてつい閉じそうになる眼を必死でこじあける。
「この髪………。」
 男達が息を飲む。
「この餓鬼、天人か。」
 蔑みと、汚いものでも見るような視線がそそがれているのが、逆光に遮られながらもわかった。うるせー。そう悪態をつきたくなる。
「だまれっ。銀時はそんなんじゃないっ。あやまれ、銀時にあやまれぇぇぇぇっ!!」
「だーっ、おめーが黙ってろ、今それどころじゃねーんだからっ。ていうか空気読めっ。」
 縛られてケガもして動けない分際で、何を言うんだとばかりに銀時は叫び返した。
 心が高揚する。刀を握りしめた手が、腕が、体が熱くなる。
 一方で、頭のどこかは気持ちいいほど落ち着く。
 状況は変わってない。けれど。
(負けてたまるか。)
 強く思う。思える。
 次の瞬間。
「うあぁぁぁぁぁぁぁっ。」
 のされて倒れたはずの晋助が、木の枝を両手に握りしめて、男達の背後から殴りかかってきた。大声なんか上げなきゃいいのに、せっかくの奇襲は易々とかわされる。その襟首をつかもうとした男の手を、犬の大きな牙が噛みつく。
 聞き苦しい悲鳴と共に男の腕は振り回された。太郎は素早く身を離し、猫のような身の軽さで地に降り立つ。晋助も、銀時の側に並び立った。
 距離を取る男達を、二人と一匹で睨みつける。
 これで、二対二と一匹。だが。
 銀時は隣の晋助をちらりと見て、小さく舌打ちをする。  
「晋助っ。おまえ傷がっ。」
「うるせーだまれヅラっ。」
「ヅラじゃない桂だっ。」
 昼間巻かれた包帯は汚れてほどけ、そして泥だけじゃない赤が滲んできている。刀代わりに枝を構える手つきが、いつもより危うい。
「………銀時。」
 それでも強い声音で、晋助は口を開いた。
「テメェ、ヅラ連れて逃げろとかほざきやがったら、ころすからな。」        「晋助、むりをするなっ。傷が開いてるんだろうっ。それにその言葉づかい、おまえいつの間にそんな乱暴な口調を覚えたんだっ。」
「だからテメェはだまってろ。」
 落ちてくる包帯の奥から、深緑の瞳が男達を睨む。いっそ、射殺すような鋭さで。
「大丈夫かよ、晋助。」
「うるせぇ。テメェ、あんなふざけたこと抜かされて、俺に引き下がれってのか?」
 低い声に、銀時は唖然としかけた。
「無理するな二人ともっ。どうしても逃げないというのなら、せめて俺の縄を解けっ。俺にも奴らを殴らせろっ。」
「ちょっと動いただけで顔まっさおのヤツが何言ってんだよ。」
「そーそー。てかそんなヒマないの察しろってんだコノヤロー。」
 視線は男達から外さずに。
 助けに来たとは思えない悪態で。
 それでも、思うことは一つなのだと、当たり前のように理解する。

 あの男達は。
 小太郎をかどわかし。
 晋助を傷つけ。
 銀時をさげすんだ。

 絶対殴る。たたっ斬る。
 その遺志をのせて、まっすぐに飛び込んだ。抜いた刃を男の脇腹へと叩きつける。
 鈍い音としびれと共にそれは受け止められ、弾かれた。たたらを踏む銀時の頭に、振り下ろされる刃。
 今度は銀時が受け止めて、はじき返そうとした。が、男の力に押し負けそうになる。
 慌てて左手を刃に添え、全力で受け止めた。
 その胴を、男が蹴り飛ばす。
「ぐぅっ。」
「銀時ぃっ!!」
 蹴られた銀時は、小太郎の目の前に転がった。痛みをこらえてすぐに立ち上がる。たたみこもうとした男は、銀時がすぐに戦闘態勢を整えたことに目を見張り、一度立ち止まった。
 やっぱりこの男、強い。
 塾では一、二を争う強さの銀時が、そして腕力では年上の塾生も含めて敵うもののない銀時が、力で押し負けている。
 大人の男の、それも手練れの侍の強さを初めて身に味わって、銀時はざわりと、鳥肌が立つのを覚えた。
 怖くはなかった。
 幽霊とかお化けとかじゃないのなら、怖がる必要はなかった。
 斬ってもすり抜ける相手じゃない。勝つ方法は、必ずある。
 たとえば、腕力に自信のある自分が一番苦手なのは、小太郎や晋助の、速さに重きを置いた剣さばきだ。渾身の一撃をかわされ、懐に飛び込まれて一本を取られる。二人が銀時より小柄で体重が軽いからこそ、その戦術が有効なのだと、松陽は言っていた。
 ならば。
 自分より大きくて力のある目の前の男に、その戦法が通じるだろうか。
(やってみる、しかねーよな。)
 意を決して、再度飛び込む。
 男は刃を右から左に払う。身をかがめてそれをかわし、懐に飛び込む。そのまま突き出した剣が、男の左脇をかすめた。
 もう一撃。
 突き出した剣を引き戻しながら薙ぎ払う。今度はそれは戻された刃に阻まれた。むりに振り切ろうとせず、一度横飛びに飛んで距離を取る。
 いけそうだ。
 そう思ったとき。
「うぁぁぁっ。」
「てうぉおっ?」
 背後から重たいものがぶつかってきて、銀時は体勢を崩した。投げられた晋助だ。
「っておめージャマすんなよっ。」
「うっせぇ!!」
「馬鹿二人とも、自分の前を見ろぉぉっ!!」
 小太郎の、ひときわ甲高い声に二人ははっと前を見た。銀時の目に見えたのは、迫り来る刃。同時に、背中の晋助が息を飲んだのを感じる。晋助にも、大男の攻撃が迫っているのだ。
 かわさなければ。
 けれど銀時は一瞬ためらった。自分がかわせば刃は晋助に当たる。その一瞬の迷いが、避けるにも受けるために脚に力を入れるにも、致命的な遅れになった。



                                   ~続く~
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by wakame81 | 2007-09-09 22:01 | 小説。  

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