お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

この手に花冠があるならば

(お前を祝福してやれるのに。)

お久しぶりです(汗)。
えーっと、9月9日、当サイト開設記念日でした。何周年?
こないだ速攻で、生まれたネタです。そよちゃんとスイカ割りの回のネタです。ネタ自体はその週のうちに生まれて、書き上がったのが先週なのですが。
タイトルつけられなくてサイト開設日よりさらに遅れる事一週間(爆死)。

そしてその間には、ジャンプでは空知せんせーのスパーク新刊が恐ろしい事になっていたのでした……。
もっと早く、この話アップすればよかった(爆死)。









 真夏のくそ暑い中、ガキのおもりに付き合わされて。砂浜でもないのに埋められて、スイカ代わりに脳天狙われて。暴走したバカのせいであちこち走り回されて。挙げ句、あれだけ甘かったはずのスイカは、うまのふん並の不味さになっていて。
 これだけ、打ちのめされて、銀時たちは家路へとついたのだ。その、憩いの我が家の玄関に。
「遅かったではないか」
 そう、生温くなったスイカを片手にうざったいロンゲ野郎がいたら、全力で跳び蹴りぶちかましても、仕方ないだろう。



「で?」
 クーラーもない部屋で突っ伏す、うざい長髪に向けて尋ねる。広がる黒く長い髪は、暑苦しくて仕方ない。いっそ切れとかせめて束ねろとか、見る度に思う。本気で口にしたことはないのだけれど。
 ちなみに、部屋には銀時とこいつだけだ。ぬるくなった西瓜では手土産になるわけないだろうと、財布は神楽に強奪された。ちゃんと、言ったとおりに晩飯買って帰るんだろうな。新八がついているとはいえ、一抹の不安が残る。
 全部米と卵に消えたらどうしよう。
「まぁ、ご苦労様を言いに来たわけだ」
 体を起こして、桂が答える。さらりと肩から首筋へ滑り落ちる髪は、やっぱり夏のジメッと感と無縁そうに見える。
「つーかてめその頭いい加減なんとかしろよ。ヅラ取るとか」
「ヅラじゃない桂だ。あと地毛だ」
「つけてくんならボウズのヅラつけてこいっての」
「そんなもの被ったら、蒸すではないか」
「今のヅラのがよっぽど蒸すだろ。つーことは、やっぱ知ってたわけかよ」
 涼しい顔でうなづかれて、思わずもう一発殴りたくなった。
 ちょっと考えれば、当たり前のことだ。こいつが、攘夷党それも過激派の動向を、見逃すはずがない。
「知ってたんなら先に言えっての。余計な苦労したじゃねーか」
「したのだがな。なかなか電話が繋がらなかったのだ」
「はぁ? 着信履歴もなんもなかったぞ?」
「いや、確かに何度もかけたのだが」
 嘘じゃないぞ、と桂はケータイをつきつけた。履歴に並ぶ文字は、皆同じく。
「銀時(家電)て、うちにかけてきてどーすんだよっ。ケータイにかけろケータイにっ!!」
「無線など、傍受されたらどうするつもりだ」
「繋がるほう優先しろやぁぁぁぁぁっ」
 もう一度、殴り倒す。もう一度畳に突っ伏した頭を後目に、どっかりとソファに座った。疲れた、なんかいろいろと。
「まぁ万が一繋がらなくとも、お前なら大丈夫だろうと」
「事前情報があって覚悟しとくのと、いきなり巻き込まれるのと違うからっ。みんながみんなテメーみてーな神経図太いバカじゃねーからっっ」
 ぜーぜーと息をつく銀時の耳に、蝉の鳴き声が遠く響く。もう夕方だってのに、ジーワジーワと賑やかなことだ。さっさとカナカナ鳴き出せばいいのに。いつまでも暑苦しい。いつまでも動かない桂の、散らばった髪の毛も。
「あのバカが、また噛んでるってーのか?」
「今回は、違う」
 即答だった。
「後ろで糸を引いている可能性が、皆無なわけではないがな」
「でも言い切んの?」
「最近過激派の動きが活発なのは、奴とはあまり関係がない。今回の連中もそうだが、むしろ俺と近しい奴らが、このままではいかんと騒ぎだしてな」
 なにが、と、小さく尋ねる。今更慌てる奴らの、気が知れない。なんのための穏健派だ。
「茂茂公が、実権を握ったろう」
「それで?」
「ただの、糸の切れた人形かと思ったら、そうではなかったのでな。元からか、鯨の腹の中で何かがあったのかは知らないが。なあ青い妖精さん」
「誰がだよ」
 舌打ちひとつ、くらいでは忌々しさが消えてくれない。
「だいたい、条約締結のあたりからかな。そういった動きが大きくなってきたというわけだ」
「つーか、お前アレの裏で何やってたんだよ」
「俺ではないぞ?」
 やっと、桂は体を起こした。さっきと変わらない、涼しい表情。その口端が、小さく持ち上がる。
「情報と人脈を持った友人とは大事だな」
「似たようなもんだろ」
 あの黒もじゃが、誰のために裏で奔走しただろうかなんてことは、火を見るよりもはっきりしている。
「んで? なんか張り切って突っ走ってる奴らは、そーゆーこと何も気づいてないわけ?」
「気づいている奴らも、いるかもしれん。ただ、最近、言われるのだ」
 琥珀が、かすかに細められる。
 部屋に入り込む西日が、長い影を作り、部屋はセピアに染まる。

「悔しくないのか。或いは、報われなくてよいのか、と」
 
 天人の文化は生活に入り込み、蹂躙されるかと思われたささやかな日々はしぶとく生き残っている。侍の誇りは静かに息づき、この星の地位は少しずつ夜明けへと向かいつつある。
 けれど、途切れそうになったあの暗闇の中、それでも小さな火を灯しつづけたのは、誰だというのか。
 夜明けの景色を、ずっと望み続けてきたのは、誰だというのか。
「別に俺でなくとも、かまわんのだがな」
 そいつは、静かにそう語る。
「茂茂公だろうと、幕府の狗だろうと、お前だろうと、坂本だろうと。あの時立ち上がったように、市井の人々でもな。理想を正しく見据えてくれるなら、別に高杉でもいいのだ。俺でなくとも」
 朱金の光の中で、笑みはさらに、柔らかくなる。
 報われたいという願望が、ないわけではないのだ。ただ、それは必ずしも、名誉欲とイコールになるわけではない。むしろ桂は、英雄の名を恐れている。英雄の名が放つ光で、理想がかき消されてしまうことを。
 その理想ではなく、「桂が唱えるから」指示されるという、未来を。
「何度もそう説いたのだがな。それでは意味がないとばかり返されて。話が堂々巡りになって、だったらもう好きにしなさい俺は知りませんからねと言ったのが昨日のことだ」
「おかーさんかよ」
 背中を蹴飛ばす。どいつもこいつも、バカばっかりだ。突っ伏した背中に、それ以上何も言ってやれない、自分も含めて。
「たっだいっまアル~」
 とんとんとん、と賑やかな足音とともに、子供たちは帰ってきた。「今日はカレーアルヨ!!」とはしゃぐ神楽の後ろから、定春が背中に大量の米袋とカレールーと肉と人参とジャガイモとタマネギを背負ってやってきた。さらに、新八が駆け込んでくる。
「ちょ、落としてたよ神楽ちゃん! だから買いすぎだって!」
「四人分アル、これだけでも足りないネ! 明日の朝まで残しておくのが、カレーというものヨ」
「今の季節それ危ないからっっ」
「四人?」
「あ、エリーも呼びたいなら呼ぶヨロシ。新八のぶん減らせばイイネ」
「いや、あの、俺は」
「食べてくでショ?」
 きらきらした、空色の眼でそう言われ、桂は返答につまった。ぽかんとした後ろ頭をつかんで、前に押してやる。
「ちょ、銀時痛い」
「銀時くんの糖分があるならいいよ(銀時裏声)」
「銀ちゃん晩ご飯買ってこいって言ったから、それは買ってきてないアル」
「ちょ、神楽てめぇっ」
「じゃ、ヅラ手伝うヨロシ」
「神楽ちゃん、その前に手を洗わないと」
「新八はうっせーナ!」
 言葉こそうざそうではあったが、神楽は素直に洗面所に引っ込んだ。手の力を緩めて、無理矢理うつむかせた顔を上げてやる。さらさらと流れる感触が、手に優しい。
「……銀時」
「いーんでないの? あ、オバQ呼ぶなら早くしろよ。食い分なくなっても知らねーぞ」
 遠い日に、こうやって頭に触れた手を思い出した。そっと撫でてくれた手は銀時にはこそばゆすぎた。高杉は顔を真っ赤にしていた。そして桂は、満面の笑みで。その手を。
(ひょっとしたら、こいつのご褒美ってーのは)
 わしわしと、押しつぶすように髪をかき乱す。あの掌にはほど遠い、自分の手だけれど。
 それでも、ほんの少しだけでも。報われた、と思えるように。
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by wakame81 | 2012-09-16 09:59 | 小説。  

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