お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

僕と試合ってください

桂マイナーcpアンソロ、6月シティのコタ誕で発行しました。当分は、記事全部にバナーをはっつけておこうと思います。



アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については、こちらをごらんください。

今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手かinfoあっとまーくk-dokkin.daa.jpまでお願いします(爆)

通販も、再開してます。詳しくは、こちら。

虎の穴さんでも、アンソロ通販開始となりました。こっちにはノベルティついておりません。欲しい方は、ご一報ください。


台風は今瀬戸内海かな? 時速9㎞とかとんでもないのろのろスピードだそうで。関西、四国、中国地方の皆様大丈夫でしょうか?

さて。
3週間と一日遅れて、新八誕生日です(爆)。
途中からできた「桂さんを書かない」しばり、大変だけどやってみたら面白かった。しかし、うちのサイト的に需要があるのかどうか。
明日中には誕生石シリーズの幾松っちゃん、そして遅くとも月曜には近藤さんをあっぷしたいなぁ。しかし、七日のエリザベスが間に合わない。ネタ的な意味で。







 梅雨が明けたばかりで、急に強くなった日差しにバテそうな頃だったと思う。見切り品のワケギとタマネギと油揚げの他に豚コマ肉までゲットして、ルンルンと家路につく、そのさなかだった。
「あっれー、旦那んとこのメガネじゃねーかぃ」
「沖田さん」
 コンビニから出てきていきなりアイスの袋を破り出した真選組の切り込み隊長に、新八は足を止めた。神楽あたりが一緒にいたなら「オゥオゥ昼間っからアイスたぁいいご身分ですなぁ」といちゃもんの一つでもつけたかもしれない。新八一人だったのは、運がよかった。
「お久しぶりですね。休憩ですか?」
「まーな」
 袋をおざなりにコンビニのゴミ箱につっこみ、アイスをかじる。薄水色のそれは涼しげで、新八は思わず唾を飲み込んだ。
「あー暑ぃあちい」
 首後ろにかけていた麦わら帽子を被りなおした沖田の目はとろんとしていた。陰になった顔色が、新八の心のうちをざわりと不快に撫でる。
「大丈夫ですか?」
「あ、何がでぃ」
「いえ、」
 ただ暑いから、だけだろうか。そういえば先ほど、派手な大捕り物が行われていたことを新八は思い出す。
 シャクシャク。アイスを食べる手を沖田は止めない。けれどやっぱり、その姿に精彩がないなぁと思ってしまった。いや、神楽や銀時と比較するのはよくない。
「夏バテとか、最近多いみたいですし」
「みてーだなぁ」
「いや、沖田さんが」
 言って、新八は後悔した。余計なことを、と口を押さえる。
 一瞬その目に刃をぎらつかせた沖田だったが、すぐにそれは薄れた。視線は新八からそらされ、アイスがひとかけら口の中へ消える。
「別に、俺ぁ何でもねーぜぃ」
 良いとは言いがたい顔色のことについて、反射的に問いつめたくなった。かすめた逆鱗に今度こそ触れやしないかという恐怖がそれにブレーキをかけようとする。中途半端に開いた口をどうにかする前に、沖田が言葉を紡いだ。
「あんにゃろーにそれ見たことかとガキ扱いして笑われるような、無様なマネはしねーよ」
「え?」
 新八の頭にまず思い浮かんだのは、土方の鋭い顔つきだった。が、外見や立場とは裏腹に土方は情に厚いし、心配の裏返し以上の意味でそんな風に笑ったりするだろうか。
 かといって、近藤ではもっとあり得ない。沖田を笑うなどという度胸のある者など真選組には他にいないだろう。
 銀時…とも思ったが、沖田を積極的にからかう姿がどうもピンと来ない。神楽相手なら、沖田はもっと軽くあしらいそうだ。
 じゃぁ、と新八は考えこむ。口調ほどいやそうではなく、むしろ眩しい何かを見るような目で語る相手は、誰なのだろうか。もう一度、のろのろとアイスをかじる沖田に目をやる。
 次の瞬間。
「かーつらぁぁぁぁぁっ!!」
 いきなり沖田は走り出した。まだ半分近く残ったアイスを、見事なピッチングでゴミ箱に投げ捨てて、だ。
「待ちやがれぇぇぇぇっ!!」
 通りの向こう、隣に並んだ白ペンギンと同時に彼は振り向いた。一瞬持ち上がった口角が何かを呟き、そして身を翻して駆け出す。金を帯びた日差しに黒髪が舞うさまを新八はぽかんと見送り、そして先ほどまでの気怠さを感じさせない素早さで後を追う沖田を目で追った。
 声の張りも、きらきらと見開いた目も、人混みを鮮やかに抜け去る足も。まるで翼が生えたような残像を残して、切り込み隊長はその名を存分にひけらかして雑踏へと消えた。
「……えっと、」
 いきなり本性を現した狩人にざわめきが起こり、それが収まってからやっと新八は息を吐き出した。まだ目の奥に、今し方の光景がちかちかと瞬いている。
 確かに、あれは沖田の仕事だけれど。
「いや、仕事?」
 小さな子供が宝物を追うような輝きと、研ぎ澄まされた刃のような鋭さと、触れれば火傷するような熱をともにはらんだまなざしを、沖田に見るのは初めてだと思う。
 そこに込められた想いの名前を言い当てることはできないまま、ただ影だけが新八の中に焼き付けられたのだ。



 くすぶるように残り続けたそれが、吹き出たのはそれからまもなくのことだった。
 近づく新八の誕生日に、今年は志村家でご馳走は出ないのかと問い始めたのは神楽だ。スナックお登勢で昼飯をたかってもといお相伴に預かっていた折りのこと、弾む話は当然プレゼントのことに触れ、欲しいものはと聞かれて新八は息を飲んで銀時を見上げた。
「んだよ。言っとくけど金なんてねーからな。稼ぐたんびに巨大犬と飼い主の胃袋と、ゴウクツババァの懐に消えてくんだから」
「誰がごうくつババァだって? そういうせりふは溜まってる家賃きれいに払ってから言うんだね」
「あれっぽっちじゃご飯足りないアル。育ち盛りの胃袋なめんじゃねーゾ。な、定春」
「アン!」
 そのまま乱闘一直線の空気が満ちる。みんな慣れたもので、キャサリンは鼻で笑いながらたばこをふかし、たまに至っては「それでは源外様に相談してはいかがでしょうか。きっとお手頃な値段で改造を施してくださいます」などとあらぬ方向に話を持っていく始末だ。
「あの、つかぬことを伺いますが、改造って誰を」
「もちろん、新八様をです」
「なんでだぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「おや、お気に召しませんか? 新しい機能の追加は」
「イイジャナイデスカ、改造シテモエヨ。眼鏡以外ノ個性ツケテモラエバ最高ジャナイカ」
「そんな個性いらんわぁぁぁっ、僕は地味キャラとして銀さんたちを支えていくって決めたんですからね一応! それに僕の欲しいのはそんなんじゃありませんっ!!」
「では、何をお望みですか?」
 ことりと首を傾げるたまの後ろで、キャサリンは「どーせアイドルの写真集とかだろキモイ」とか暴言を吐いている。思わずカウンターを叩いて立ち上がり、神楽にぼっこぼこにされている銀時の襟首を掴んだ。
「銀さん! 僕と試合ってください!」



 そんなわけで。
 新八は木刀を持った銀時と向かい合っていた。
「おーい、まだやんの?」
「だ、大丈夫です…っ」
 息が上がる。面の中に篭もった熱が苦しい。同じように面と胴着をつけているにも関わらず、銀時は全然ばててないように見えた。
「新八ーなっさけないアル。もっとガツーンといくヨロシ」
「新ちゃん、もうちょっとよ。そのもじゃもじゃ頭に一発ガツーンと入れてやりなさい」
「そうだぞ新八くん! 顔面めがけて思いっきりガツーンといってやれ!」
「ちょっと、私の銀さんがそんな簡単にガツーンとやられるわけないじゃないのよっ。むしろ私と代わりなさい眼鏡! 銀さんにしばかれるのはこの私よぉぉっ!」
「うっせー黙ってろ外野ぁぁぁっ!」
「始め!」
 銀時が横を向いて怒鳴るのと同時に、号令が下った。ちなみに審判は、公平を期して近藤である。「ちょ、テメ」と銀時が慌てる隙に、新八は懐へ飛び込んだ。
 いや、飛び込もうとした。
「だぁぁぁぁっ! どこが公平だザケんなぁっ!」
 軽々と、繰り出した突きをバックステップでかわされた。最後の一歩が強く道場の床を踏む。その足に力が込められたのは瞬きよりも小さな間、気がつくと目の前に白髪頭と木刀が迫っていた。
「ぐ……!」
 ほとんど本能で動かした竹刀で、その一撃を受ける。腕が痺れて、竹刀を取り落としそうになる。一方で体がふわっと浮いたのを新八は自覚した。ちゃんと足を着けようとして、バランスを崩す。そこへ、上から木刀が降ってきた。
「面あり、一本!」
 近藤の声を遠く聞いた。どたっと、床に尻餅をつく。
「……ま、まだまだぁ…っ」
 張り上げた声は息切れでかすれていて、それ以前に足に力が入らなかった。立ち上がろうとしてもう一度、今度は顔面から倒れ込む。
 それでも新八は、銀時を見上げるのを止めなかったし、手から竹刀も離そうとはしなかった。
「新八……」
 呟いたのは、神楽だったろうか。小さな窓や入り口からは風は入ってこず、むせかえるような熱気が道場に篭もる。やかましい蝉の大合唱は、どこか遠い。それよりも今耳につくのは、ドクドクと収まらない心臓の音と、切れることのない荒い呼吸音だけだ。
「そこまで」
 近藤の声が、低く終わりをつける。「ちょっ…」抗議をしようとして新八はひどくむせた。咳に震える背中を、駆け寄ってきた妙がさする。
「こんど…さんっ」
「今日は、ここまでだ。また明日、いつでも挑めばいいじゃないか」
「でも……っ」
 もう一度、立ち上がろうとした新八だったが、面が転がる音に言葉を飲み込んだ。ぷはーっと息を吐き出した銀時は、次いで大の字になって転がる。
「ったく、こっちだってバテてんだよ、いい加減退けっての新八ぃ」
「銀さん」
「めんどいし、さっさと終わらせようとすりゃ普通の攻めには全部反応するし、フェイントには引っかかんねーし。しかもしつこいし。何ですか、ハンター試験のつもりですか。未来に帰るドラえもんに良いとこ見せたいお年頃ですか?」
 言い切ると、大きく息を吐き出した。胸が大きく上下する。その額からは、汗がだらりと流れ落ちた。
「まぁ銀さん、こんなに汗まみれになっちゃって! 冷やすと夏でも風邪を引くわ、私が拭き取ってあべしっ」
「おい神楽ぁ、おめーの服貸せや」
「いやアル。銀ちゃんなんか、雑巾で汗拭けばいいネ」
 己が身をハンカチとして汗を拭おうとしたさっちゃんを、一撃で道場の外まで蹴りとばす銀時は、どう見たって余力がある。対して自分は、省みるまでもない。
「……よくやった、新八くん」
 唇を噛みしめると、大きな手のひらが頭に置かれた。
「すみません近藤さん。新ちゃんに触らないでいただけます? 変態が伝染るといけないので」
「大丈夫ですお妙さん! 新八くんは俺にとって弟も同然、お妙さんが妬くようなことなど何もありませでぶ!」
「誰が妬いてるですって?」
 ぐーぱんちで張り倒されたが近藤はめげなかった。左ほっぺを押さえながら豪快に笑う。
「いや本当にいい試合だった! どんなにボコられてもあきらめない、立派なストーカー魂を持っている!」
「だから変態を伝染すなっつってんだろ」
「つーか」
 お妙によって近藤がボコられている間、銀時がやっと半身を起こした。汗は結局、自分の服で拭っている。
「なんでいきなり、こーゆーことやろうとしたんだよ」
「何でって」
 瞬きの合間に、沖田の横顔が浮かんだ。普段マイペースな彼の、目をきらきらとさせて走り出した顔が。
「……それは秘密です」
 ようやく強ばりの溶けてきた顔でそう笑う。
 面を外すと、ちょうど吹いてきた風が汗でべたついた髪を小さく揺らした。





                                      ~Fin~
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by wakame81 | 2011-09-03 17:25 | 小説。  

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