お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

かくれんぼ:上

急遽思いついて書き上げました。いや、被災した方達のために、まったくなってないような気もするんですが。

村塾時代の、まだ心を許してない銀ちゃんのお話。








 なんでこんなやつがいるんだよ。
 目の前の晋助はじめ、その取り巻きや塾の子供たちはみんなそういう顔をしていた。それを口にしたのは、さすがに一人だけだったが。
「俺がさそったからだ」
「だからなんでつれて来たんだよ」
「だって、大ぜいのほうがたのしいだろう」
 小太郎はそう、首を傾げてみせた。何かを言おうとして晋助は口を開きかけたが、結局口を尖らせるだけに終わる。
「あのさー」
 小太郎の後ろでその様子を眺めていた銀時は、やおら手を挙げた。みんなの視線が一斉に集まる。
「俺やっぱ、帰ろっか?」
「なんでだ」
 あからさまに小太郎が眉を寄せた。なぜか晋助も、口をさらに尖らせる。
「なんでって、俺がいないほうがいいんだろ」
「そんなわけないだろう。みんなだって、銀時といっしょのほうがたのしいに決まってる」
「おまえ、ここまで来といていま今さらかえるのかよ」
 帰れって言ったのはちびすけじゃん。とはさすがに言わず、別の言葉を口にする。
「だって、俺かくれんぼなんてしたことないし」
「だったらなおさらだ」
 小太郎の手が銀時の手をぎゅっと掴んだ。ありゃりゃ、と顔を上げれば、予想通り口どころか眉までつり上がった晋助と目が合う。
「何ごとも、初めてなのはいいことだ。それまで知らなかったいいことを、知れるんだから。なれるまで俺がいっしょにやってやるぞ」
 さぁじゃんけんだ!と小太郎は振り返る。何人かが晋助の顔色を窺っているが当人はそれに気づいた様子はない。
「初めてでも手かげんしないからな。ぜったい負けない」
 どうやらやる気のようだ。それをきっかけに、みんなで輪になる。
「じゃんけんで、負けたものが鬼になるんだ」
「鬼?」
 きょとんとしている間にじゃんけんは始まった。この人数で決まるのかよ、という呟きとは裏腹に、けっこうあっという間に鬼は決まってしまう。やいやいとみんなははやしたてながら、その子の側を離れ、寺の境内に散った。
「いーち、にーい、」
「銀時、俺たちも早くかくれよう」
「かくれんの?」
「そうだ。そして鬼に見つかったら負けなんだ」
 そういう遊びか。頷く銀時の手を、小太郎は引っ張る。そういえばさっきから、手はつながれたままだ。
「お寺の中に入ったらだめ。それと、外に出るのもだめだ。さがす場所が広すぎるから」
「あのさ、」
「うん? まだわからないことがあるのか?」
 きらきらした眼に見つめられて、銀時は口ごもった。後ろで、鬼の声が二十を数える。
「あれ、なんで数えてんの」
「五十まで数えてから、さがしにくるんだ」
「はあ」
 隠れ場所を探す小太郎の、結わいた髪が揺れる。それを眺めながら銀時の耳は、数える声が四十を越えたのを聞いた。まだ隠れてない何人かも、きゃいきゃい言いながらあちこち走っている。
「なぁ、かくれられなかったらどーすんの」
「そのときは、」「もーいーかい」
 割り込んだ鬼の声に、小太郎は振り返る。
「まーだだよ」
 そう返すと、鬼はまた一から数え始めた。
「ちゃんとかくれおわるまで、まってくれるんだ」
「へぇ」
 他の子たちは、あらかた隠れ終わったようだ。鬼の声が十五を越える。小太郎は、まだ隠れる場所を見つけ出せない。
「何やってんだよ、ヅラ」
「ヅラじゃない、桂だ。みんながもう先にかくれてるし、二人いっぺんだと」
「じゅーく、にーじゅう。もーいーかい」
 まだ、と返そうとした小太郎の口を手で覆った。すぐ近くの、お稲荷さんの鳥居をくぐって小さなお堂の裏に回る。
「もーいーよぉ」
 誰かの、答える声がした。なるほど、これが合図かと頷いていると、小太郎が小さく名を呼ぶ。
「ここじゃすぐ見つかってしまうぞ。回り込まれたら丸見えじゃないか」
「だいじょーぶだって」
 鬼はきょろきょろとあたりを見渡すと、本堂へ走り出した。階段の裏へ見て、誰もいないのを確かめると床下を覗き込んでいる。
「利助、みーっけ!」
 ややあって、床下から見つかった子供が出てきた。鬼はそのまま、ぐるりと本堂の裏へと行ってしまう。
「よし、いくぜヅラ」
「ヅラじゃない桂だ。行くってどこへだ」
「本堂のゆか下。いっぺんさがしたから、もうさがさねーだろ」
 這い出ようとして、右手が何かに引っかかった。つながっていたのは小太郎の手で、そういやそうだったっけと振り返る。
「おいいくぞ。それがだめなら手ぇはなせよ」
「だめじゃない、おどろいてただけだ」
「え?」
 そばに大きな木の多いお稲荷さんのお堂は、昼間でも陰に覆われている。その中で、小太郎の眼はきらきらと輝いて見えた。
「すごいな銀時! 俺はそういう作戦、ぜんぜん思いつかなかった。俺だけじゃない、晋助やほかのみんなだって」
 そのきらきらは見るに耐えなくて、銀時はそっぽを向く。「おら、いくぞ」ぶっきらぼうな声はひょっとしたら小太郎を怒らせたかもしれない、と思ったが。
「うん!」
 見なくてもそのまなざしの目映さが想像つく。そんな声で返事をされてしまった。顔が見れないのをごまかすように、走りだそうとする。
「銀時、小太郎、みーっけ!」
「あ。」
「あ。じゃねーよ、おまえがモタモタしてっからだろバカヅラ」
「バカヅラじゃない桂だっ」


 見つかっても最初じゃなければ、次の鬼という罰はないらしい。それな見つかる順番は関係ないじゃんと銀時は思ったが、どうやら最後まで隠れていられるほうがステータス的なものが強いらしい。
 まぁとにかく、見つからなければいいわけで。
 そんなつもりで繰り返してきた「鬼が一度探した場所に隠れよう作戦」だったが、ついに晋助の逆鱗に触れてしまった。
「ずるすぎるぞ銀時。次はおまえが鬼やれよ」
 そうだそうだーとみんなにも言われてしまっては、小太郎もかばいきれなかった。まぁ遊びだし、と銀時は小太郎をなだめて鬼に回った。なぜか当然のような顔で、小太郎もついてきたが。
「鬼って、一人でやるもんじゃねーの?」
「だが、銀時ははじめてなんだろう。鬼のやり方も教えてやろう」
 二手に分かれるとかいうズルをしなければ、ということで、晋助も頷いてくれた。その結果、引き続き手つなぎ続行中である。
「にじゅいち、にじゅに、にじゅさん、にじゅーし、」
 眼を閉じたままの頭に、小太郎の声が響く。よく通る声だ。それでいて、こんなに近くで聞いているのにうるさいと感じない。普段はあれだけ、やかましいと思っているのに。
 声は次第に、終わりへと近づいていく。もうちょっとゆっくり数えてやれよ、みんなだって隠れきってねーだろ。そんな心とは裏腹に、小太郎はついに「もういいかい」と大声を上げた。
「もーいーよ」
 早ぇよ。その呟きは、小太郎には聞こえていなかったようだ。手を、強く引っ張られる。
「いくぞ、銀時!」
「へいへい」
「返事ははい、だろう」
「何だよ、おかーさんかよおまえは」
「お母さんじゃない、桂だ」
 見渡す限り、頭隠して尻隠さずな連中はいない。さてどこだろう、と小太郎もあたりを見渡している。
「ヅラ、こっち」
 銀時は手を引いて、さっさと歩きだした。まっすぐに、本堂の床下を覗く。
「やっぱいたぞ。ほら」
「え? あ。」
 見つけた!と名指しで叫ぶと、その子は頬を膨らませて出てきた。
「なんだよ、なんでまっすぐこっち来るんだよ。見てたろ、銀時」
「見てねーけど、おまえさっきからずっとここにかくれてるだろ。ちなみに今日で五回目な」
 言われて、その子は黙り込んだ。鬼になる前から、他の子たちがどこに隠れようとしてるのか、小太郎に手を引かれながらずっと見てたのだ。見つけるのなんて、たやすい。
「すごいな、銀時! 初めてなのに、おまえはもうかくれんぼの王様だ!」
「やめてくんない、そーゆーちびすけ怒らせるような呼び方」
 それからあっと言う間に全員を見つけだしたので、やっぱりブーイングの嵐になった。ふしぎなことに、一番わめくかと思った晋助が口を尖らすだけで、ブーイングには参加してこなかったのだけれど。




                                       ~続く~
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by wakame81 | 2011-03-20 17:43 | 小説。  

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