お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

DingDong:後

小ネタのはずだったのに……。

補足。ちび銀拾われてまだ数か月につき、先生にも小太郎&晋助にも気を許してません。んでもって、晋助のほうもまだ「なんだこいつ」としか思ってないかんじです。仲良くなるのは、半年あとくらいかな







時っ」
 奥に行列ができていて、その半ばで大人に紛れて手を振る子がいた。隣の子がばっと列を離れる。銀時を先に見つけた子も後を追うように、こっちに走ってきた。
「先生、こんばんわ! あけましておめでとうございます!」
「はい、明けましておめでとう、晋助」
「先生、銀時もあけましておめでとうございます」
「小太郎も、明けましておめでとう」
 ね?と松陽は目配せをしてきた。そんな得意そうな顔されても、少なくとも晋助はつないだ手を見てあからさまにむっとしているのだけれど。
「先生も銀時も、鐘をつきにきたのですか?」
「そうですよ。二人とも、早いですね」
「「はいっ!」」
 誉められた晋助の、得意そうな顔といったら。少なくとも銀時には、暖かい布団を捨ててまで、誉められたいとは思わない。
「銀時、どうしたんだ元気ないぞ」
 小太郎が顔を覗きこんできた。盛り上がってる二人ぷらす松陽に胸の内を明かすほど、銀時も空気が読めないわけではない。ただ、これだけは大丈夫だろうと、「寒いんだよ」と口にする。
「何だよ、だらしないな」
 銀時以上にもこもこと着膨れした晋助に言われたくはない。言い返すのも面倒で口を閉ざしていると、小太郎が手を冷えきった頬に伸ばした。
「銀時、ほっぺたがすごい冷たいぞっ。大丈夫かっ?」
「うわっ、何だよ」
「こするとあたたかくなるぞ」
 両のてのひらで顔をつつまれる。胸が跳ねたのは一瞬、小太郎は思い切り強く銀時の頬をこすりあげた。
「いだっ、いだだだだだぁっ」
「おい、小太郎っ」
「暴れるな銀時、今あっためてやるから」
「やめろってっ」
 晋助と二人がかりで小太郎を引き離す。頬が、痛くて熱い。
「なんだ、せっかくあたためてやろうって思ったのに」
「いらねーよっ」
「そ、そんなんやってもあたたまらねーだろっ」
「じゃぁ、どうしろというんだ」
 小太郎にじっと見つめられ、晋助がたじろぐ。それじゃ、と助け船が出てきたのは、もちろん銀時の後ろからだった。
「早く並んで、鐘をついていらっしゃい。それから、向こうの神社で甘酒でもいただきましょう」
 三人同時に、眼を瞬かせて松陽を見上げた。すぐにうなづいたのは小太郎と晋助で、銀時は戸惑って三人を見つめる。
「酒、飲んでいいの?」
 きょと、と三人の眼はまぁるくなって、最初に松陽が眼を細めた。
「そう。酒粕を使っていますけれど、子供も飲んでいいんだよ」
「あたたまるぞ! ちょっと、変な味するけど」
「小太郎! 先生のおっしゃったことがふまんなのかよ」
「先生のおっしゃったことにはさんせいしてるぞ。でも、甘酒が変な味なのは本当じゃないか」
「けちつけてるようにしか聞こえない!」
「そうじゃない。銀時は初めて飲むんだろう? だったら、ちゃんと教えておかないとびっくりするじゃないか」
「ふふ、」
 柔らかな声が、二人をなだめる。
「小太郎、あまり変な味変な味と言うと、作ってくれた人に失礼ですよ。でも、銀時を心配してくれたのだね」
「先生」
「晋助も、小太郎の気遣いを判ってくれるかな。でも、私をかばってくれたのは嬉しいよ」
 ありがとう。
 ひそやかな声に、二人とも顔を見合わせた。小太郎はまっすぐに、晋助はちょっとバツが悪そうに笑う。
「それでは、並びましょう。銀時も」
 つないでいた手が離れ、背中をそっと押される。
「行こう、銀時!」
 空いた手をすかさず小太郎が握った。そのまま行列の最後へと引っ張られる銀時に、晋助が松陽を振り返りながら続く。
 本堂にのぼる階段の前を右にそれると、鐘突き堂がある。その近くには墓地もあって、かがり火にそとばがゆらりと浮かび上がる。
「……っ」
「どうした銀時、寒いのか?」
 小太郎の手を握り返すと、首を傾げられた。またほっぺごしごし攻撃を受けたくもなし、けれど真実など言えるわけもなく銀時は口ごもる。
「? おかしな奴だな。ま、いっか」
 にっこり笑うと小太郎は手を引っ張った。よろめく体を受け止めて、抱きしめられる。ためらう銀時を、小太郎はぎゅっと押された。
「づ、ヅラ?」
「ヅラじゃない桂だ。何をやってるんだ、お前もおし返してこないか」
「は?」
「おしくらまんじゅうだ。あたたかくなるぞ」
「何やってんだよ」
 ぶすくれた声で、晋助が後ろに並ぶ。
「あぶないだろ、小太郎」
「そうか。……晋助、先生は?」
「よばれてった」
 たき火のそばの大人たちのうち、何人かはもう顔を真っ赤にしていた。その中に、松陽も混ざっている。
「先についていらっしゃい。甘酒ももらっておいで、ってさ。先生といたのは俺たちなのに」
「しかたあるまい、先生もおいそがしいのだ」
「わかってるけど」
 晋助は口を尖らせたままだ。その腕を、小太郎がとった。
「え?」
「お前もくっつけ、あたたかいぞ」
 ぎゅ。
 銀時を挟み、晋助の肩に手を回す。くっついた小太郎からも、背中の晋助からも、強い熱を感じる。
「ちょ、」
「ば、はなせこたろぉっ」
 銀時より先に、晋助が手をふりほどいて逃げた。片手で銀時の手をつかんだまま、小太郎が晋助を捕まえる。
「はなせ、じゃない。お前、あたたかくしないとまた風邪をひくだろう」
「ひかねーよ、こんなに着てるんだからっ」
 じたばたと暴れる晋助の手が、後から並ぼうとした大人にぶつかりそうになった。あわてて二人とも、動きを止める。
「おとなしくならべ、晋助」
「小太郎だろっ?」
 それでも晋助は、銀時ではなく小太郎のとなりに回り込んで並んだ。
「こっち来たら銀時が寒いだろ」
「おしくらまんじゅうはもうしないからなっ」
「だから、くっつけと言ってるだろう。銀時も」
 引っ張られて銀時もそばによった。晋助が、露骨にいやな顔をして小太郎に叱られている。自分だって、こんな風にべったりしたくはないけれど、仕方ない。小太郎が怒るし、それに。……いや、寒いわけではないのだけれど。
「銀時、おすなよ」
「ヅラがひっぱるんだよ」
「ヅラじゃない桂だっ」
 妙に居心地の悪いくっつきあいをしているうちに、順番は回ってきた。鐘突き堂の真下で聞く鐘の音は、頭まで割りそうなほどに響く。
「じゃ、行くぞ」
 真っ先に、小太郎が入っていった。ちょっと覗いた中は真っ暗で、外のかがり火から急な階段が見える。明かりの端で、こもや木材が静かに転がっている。
「おい」
 ちょっと後ずさった銀時を、晋助が押し退けた。そのまま中に入って階段に手をかける。
「俺はお前を、みとめないからな」
 緑色の眼が振り向いた。強くつよく、まっすぐに銀時を睨みつける。
「今年はぜったい、お前に勝つからな」
「……は、」
「手ぬきなんかしたら、怒るからなっ」
 答えも待たず、晋助はさっさと階段を昇っていった。誰もいなくなった鐘突き堂の入り口で、銀時は階段をただ見つめる。
「今年、だって」
 小さな呟きを、呼ぶ声がかき消した。見上げれば階段の上から、小太郎の顔が見える。後ろには、晋助も。
「早くのぼってこい。これがおわったら甘酒だぞ!」
「……わかったよ」
 まるで梯子のような階段を、昇る。二階の床から顔を出すと、小太郎が満面の笑顔で迎えてくれた。
「ほら、打つぞ」
「早くしろよ。さきにやるぞ」
 二階には三人しかいない。晋助はもう、綱を握っていた。
「これを突くと、ボンノウがしずまるんだ」
 小太郎がささやく。晋助は大きく振りかぶって、棒を思い切り鐘にぶつけた。低く鈍みのある音が大きく響く。
「しんすけっ、音おおきいっ」
「わるかったなっ」
 次は小太郎が綱を取った。これも大きく振りかぶって、大きく打ちつけようとして、その手前で小太郎が思い切りこけた。鈍く、濁った音がこもる。
「こたろぉっ。だいじょうぶかっ?」
「うっわぁ~いたそう…」
 板の床に真正面から顔をぶつけた。おでこは真っ赤になっている。
「だいじょうぶだっ。それより、いい音だったろ?」
「や、どーだろ」
「小太郎、それよりおでこまっかだ!」
 騒ぐのは晋助で、当の小太郎は平気な顔で銀時を促した。後ろ髪引かれながら、銀時は綱を手に取る。
「つか、おりて冷やさなくてダイジョブ?」
「だいじょうぶだっ」
 自分が突くまで聞きそうにない。ため息をついて、tなを見る。思ってたよりも細い。それにつながれた丸太は、大きく、太い。軽く振ってみる。やっぱり重い。
 ゆっくり後ろへ引いて、力を抜いて綱を前へ振る。緩やかな弧を描いて棒は、鐘を打った。軽く、澄んだ音が響く。
「えっと、」
 これでいいのか?と振り向く。迎えたのはやっぱり、小太郎の笑顔だ。
「すごいな銀時! きれいな音だったぞ、これでボンノウもはらえたな!」
「え、あ」
「なんだよ、俺だって本気だせばあれくらいきれいに音だせたぞ! 見てろ、もう一回」
「こら晋助! つくのは一人一回だろ」
 立ち上がる晋助の袖を小太郎がつかむ。頬を膨らませながら晋助は、鐘ではなく階段へと向いた。
「いいか、来年は俺のほうがきれいについてやるからな!」
「行こう、銀時」
 晋助に続いて、小太郎も階段に足をかける。
「銀時」
 もう一度声がかけられて、銀時も階段へ向かった。
「お、早いな」
「あ、うん。なぁ甘酒ってそんなヘンな味なの?」
「お前、ボンノウはらってもらったんじゃなかったのかよ…」
 次、とか来年とか。
 まだぴんとこない言葉だけれど、二人の口から聞くそれは、なんだかくすぐられるような響きだった。




                                 ~Fin~
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by wakame81 | 2011-01-03 12:13 | 小説。  

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