お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

DingDong:前

あけましておめでとうございます。旧年中は超低空飛行サイトでした。今年は、仕事と隊長と相談して、もうちょっと上昇気流に乗ってみたいと思います。よろしくお願いします!!

とりあえず、今年最初の更新は村塾のお正月てか大晦日?てか新年です。おととしに除夜の鐘をつきに行ったときに、思いついたネタでした(遅)。

いろいろあって、帰省中の三日間、これしか書けなかった……。←さっそく低空飛行







 今日は、夜更かしをしてもかまいませんよ。
 むしろ推奨する勢いで、拾い人はそうのたまった。いつもは、寝ない子は大きくなれないと早めに寝かしつけようとするひとなのに、どういう風の吹き回しか。
「ほら、銀時。おそばができましたよ」
 こたつ布団にくるまってうとうとしていた銀時は、その声に起こされた。師の両手は、ほかほかと湯気を立てる何かを乗っけたお盆を抱えている。
「……さっき食ったじゃん」
「あれはあれ、これはこれです。さ、起きて起きて」
 こたつ机の上に、小さなお椀が置かれる。湯気の下から見えたのは。
「……おかゆ?」
「おそばです。年越しそばというんですよ」
 どう見たって、灰色のとろとろしたものにしか見えない。そばがきだったらまだそう見えたのに。
 師はうきうきした声で、良いことが長く続きますようにとかいろんなことを話している。長くねぇ、そう呟いて、銀時は箸でそれをすくい上げた。
 二本の細長い棒の先から、灰色のそれはつるつると滑り落ちていく。
「長くもなにも、ゆでくずれて短くなってんじゃん」
「気のせいですよ」
 言い切りやがった。
 幸い、においは普通ののそばで、どうやら食べられそうだった。恐る恐る口に運んでみても、やばい感じはしない。今回は銀時は作るのを手伝わなかったけど、何とかなったようだ。
「……食いづらい」
「まだ鍛錬が足りないようですねぇ」
「なに、これ食べるのもサムライってゆーやつのツトメなわけ?」
 料理を作るのは信じられないほど苦手な松陽だったが、このそばがきもどきはびっくりするほど器用に食べている。侍の努めというよりおまじないですよ、と笑うが、とてもそんな、一般人が気軽に食べられるようなものには思えない。
 ずるずる、椀を持ち上げてすすっていると、不意に遠くから音が聞こえてきた。低く、それでいてどこか堅い高音も混じっている。お寺の、鐘の音だ。明日はおめでたい日で、今夜はそれを迎える特別な夜だと聞いていた。不安に、銀時は眉をよせる。
「あ、除夜の鐘が鳴り出しましたね」
「じょや?」
「そう。大晦日の深夜から元旦にかけて、鐘をついて新しい年を迎えるのです」
「あ……」
 誰か死んだんじゃなかったんだ。ほっと息を吐いたのを、ばっちり見られたからなのか。
「鐘を突きに行きましょうか?」
 井戸も氷を張りそうな夜に、松陽はそうのたまったのだ。


 寒いから、とはんてんから襟巻きから雪でもないのに足には藁長靴まで着込まされた。
「もこもこして動きづらい」
「でも、暖かいでしょう?」
 松陽も似たような格好をしている。そうして家を出たとたん、二人して寒さに震え上がった。むき出しのほっぺたに冷たい空気が突き刺さる。わずかの時間の間に寒さは痛みに変わって頭全体を揺さぶる。
「寒いですねぇ、銀時。笠と手ぬぐいも持ってくればよかったかな」
「だったら、外に出なきゃいいじゃん」
 あたたかな布団も火鉢もあるのに、好き好んでこの寒い中家を出る必要が判らない。呼ばれたとか、そんなんでもないのに。
 松陽の家も村から里山へと引っ込んだところにあるけれど、お寺も同様だ。片手に提灯を、片手に銀時の手を握った松陽は、ゆっくり村への道を下り、そして丘を上っていく。道すがら、新年のいろんな話をしてくれた。白い息を、夜の風が散らす。
「あ、松陽先生」
「これはこれは、こんばんわ」
 お寺へ近づくに連れて、同じように揺れる提灯が増えてきた。たいていは大人たちで、淡い光の端に銀時の白い髪が映るのを見て、簡単な挨拶をするとさっさと離れてしまった。
「おやおや。みなさん急いでますねぇ。私たちも早く行かないと、鐘が突けないかもしれないね」
「先ちゃく順なの?」
「そうですよ」
「だったら、」
 無理に俺まで連れてこなくてもいいのに。呟きのほとんどは口の中に隠したつもりだったのだが。
「銀時に、突かせてあげたかったんですよ」
 ひろいびとはそんなものなど簡単に見つけてしまった。
「私が連れ出さないと、君は億劫がって鐘突きをしなさそうだからねぇ」
「でも」
 提灯は、増える一方だ。そのどれもが、一定の距離をおいてこちらに近寄ってこない。松陽はいつも、たくさんのひとに囲まれてるのに。
「そうやって君を隠し込んでしまったら、いつまで経っても君はトクベツなままじゃないですか」
 時折、そう銀時が人の輪から外れようとするたびに、口にされた言葉だ。いい加減、聞きあきたよ。俯いて呟くと、松陽は小さな笑い声をあげた。
「それに、小太郎や晋助がきっと来ているよ。それなのに、君を留守番させたと知ったら、私が怒られるじゃないですか」
「そうかぁ?」
「ほら、つきましたよ」
 石段を、ぶら下げられた提灯が照らす。秋祭りでも見た光景なのに、どこかうすら淋しい感じがする。人の気配はするし話し声だって聞こえてくるのに、一緒に響いてくる鐘の音のせいだろうか。
 狭くはない境内は、かなりの人で賑わっていた。真ん中から少し離れたところでたき火が焚かれ、その周りに人が集まっていた。暖かそうな光と熱は強く人を引きつけて、その誘惑から銀時は眼をそらした。
 消した提灯を手に、松陽はあたりを見渡す。その口が「あ、」と呟く前に、声は響いた。
「松陽先生、銀時っ」



                       ~続く~
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by wakame81 | 2011-01-03 12:08 | 小説。  

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