お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

ある晴れた日に:4

これで、ラストでーす。

リク大会最後の話も、これで終わりました。閉会式は、また後日-。







 地平線へと傾いた太陽の紅い光は空の青と混ざり合って、天空は淡い紫色に染まる。既に起こっていたものも、起こりそうで未遂に終わったものも、場外乱闘は一応の収拾を見せた。相変わらず白いの2匹に囲まれてゴキゲンの桂もといキャプテン・カツーラの母を真ん中にして、大人たちはまだ続くメインバトルを見守る。
 やがて、金属質なメロディが、遠く響いてきた。
「あら大変。もうこんな時間? 戻ってお店に出る準備をしなくちゃ」
 最初に立ち上がったのは、妙だ。まだ座ったままの弟を、名を呼んで促す。
「破亜限堕津も溶けちゃったかしら。まぁいいわ、また冷凍庫に入れれば良いわよね」
「神楽ちゃーん、帰るよー?」
「うっさいアルっ。こっちはまだ終わってないネっ」
 さすがに妙の手前、駄眼鏡とかは言われなかったものの、素っ気ない返事だった。新八は、仕方ないとため息をついて立ち上がる。
「おい総悟っ。いつまでも遊んでんじゃねぇっ」
「うっせー死ね土方アル(鈴村裏声)」
「総悟テメぇぇぇぇぇぇっ」
「今のはチャイナの台詞でさぁ」
「小説で文字ばっかだからってごまかすんじゃねぇっ。第一、『(鈴村裏声)』って思いっきり書かれてたろっ」
 しかし、こっちも付き合ってはいられない。伸びたまんまの近藤を負ぶさり、あとでセッキョーだと言い置いて土手を上がる。
「妙ちゃんが帰るなら、僕も帰ろう」
「いいこと、お妙さん。次こそ銀さんの妻の座は誰か、思い知らせてあげるわ」
「妻でも刺身のツマでも、お好きになさったらどうかしら」
 口々に帰りの言葉を述べながら、皆帰途へつく。立ち上がったまま神楽を見やっていた新八も、土手の上まで登った妙に呼ばれて、のろのろと歩き出した。
「じゃぁ、桂さん。神楽ちゃんをよろしくお願いします」
「うむ。それと、桂じゃないキャプテン・カツーラの母だ」
「はいはい」
 そして、河原には、当初の三人と2匹だけが残された。空から地の狭間へとさしかかった夕陽は、驚くような早さで沈んでいく。紅く燃える光源が姿を消すと、薄闇はすぐに迫ってきた。
「……どうしたアルか。動きが鈍ってきてるアルよ。もう疲れたアルか」
「てめーこそ、拳の威力が落ちてるぜぃ。誰もいなくなって、さびしくなったかよ」
 互いに距離を取り、睨みあう。隠そうとしても息が上がり、構える拳が下がろうとする。さっきから、きゅるきゅると腹が鳴っている。沖田に聞こえない程度の小ささなのが、せめてもの救いだ。
 これ以上長引くと、こっちの胃袋が保たない。これで決める、と、もう一度握りしめた手に力を込める。むこうも、これを最後にするつもりなのか、ゆっくりと息を整え始めた。
 刀には、まだ手を伸ばさない。
 まだ、神楽を侮るつもりか。最初は憤りを感じたそれも、体力を削り合った今は思考がどこか麻痺をしているのか、ただ冷ややかに見えるだけだ。それが原因で沖田が負けるのなら、ザマァミロだ。
 お互いの呼吸を合わせ、踏み出すタイミングを計る。やはり動くのはまったく同じタイミングで。
「それまで」
 だから、割り込んだ桂が沖田の蹴りと神楽の拳をそれぞれ受け止めるのも、同時だった。
「……ヅラっ」
「二人ともそこまでだ」
 二つに束ねたままの髪が揺れる。それだけだ。二人の攻撃を片手で受けて、桂は微動だにしない。
「ジャマするアルかっ」
「時間だ」
「ヅラっ」
「銀時から、電話があった。『今日の夕飯当番おめーなんだからとっとと帰って飯作れや。卵かけご飯は却下』だそうだ。デザートがどうのこうのとも言っていたが、それは無視していいと思う」
 大きな右手が、神楽の拳をそっと押し返す。左手もそうだったのだろう、沖田が足を収めた。
「でも、ヅラっ」
「リーダー。やるべき務めはちゃんと果たすのが、真のリーダーというものだぞ」
 桂の身体は完全に神楽へと向き直る。覗き込む眼は柔らかいくせに、有無を言わせない何かを感じて神楽は口を尖らせた。
「沖田も」
「……ちぇっ」
 あちらも大きな舌打ちをするが、素直に一歩下がったのが、背の高い羽織り越しに見えた。そういえば、態度ほど声音には不服そうな様子が窺えない。
「リーダー」
「……判ったアル。ただし、リーダーに命令した罪は重いネ。今夜はうちでご飯食べてくヨロシ。もちろん、晩飯代はヅラもちアル」
「いや、俺は今夜、会合が」
「そんなのブッチアル!」
 リーダー命令が聞けないか!と脅すと、桂は「ルージャ」と頷いた。まだ、不満は残るけれど、ひとまず収めておいてやる。
 とりあえずの収拾がついたことを察して、定春とエリザベスも駆け寄ってきた。甘えるようにすり寄ってくる愛犬の首に、神楽も顔を埋める。思えばこの子の散歩だったのに、全然かまってやれなかった。
 エリザベスは、『消えろ』『このカス』とプラカードを振り回して、沖田を追い払おうとしている。桂がそれを宥めて、そして「帰ろう」と促した。
「あ! そういえばかしわ餅!」
『ちゃんと、自分が持っている』
「このまま持って帰ったら、銀ちゃんに取られるかもしれないアル」
「案ずるな。リーダーの分は手出しせぬよう、俺がきちんと言い含めておこう」
「それでも、食べちゃうのが銀ちゃんネ」
 思い出したら、盛大に腹の虫が鳴いた。眼を瞬かせてから吹き出す桂に一発肘鉄を食らわせてから、背中を押して土手を駆け上る。
 ふと、視線を感じた。振り向くまでもない。ペット2匹は神楽と桂の前にいる。そして、その視線が自分じゃなくその前に注がれていることにも、気づいてしまった。
 そういえば、バトルに割って入ったあと、桂は殆ど沖田と目を合わせていない。眼と眼で通じ合うのもシャクだが、こういうときに後ろから襲いかかるのがドS王子というものではないか。
 振り向くと、沖田はさっきと変わらない場所に立ったままだった。思っていたより柔らかなまなざしに、ドキリと肩が跳ねる。
「リーダー?」
「……アイツ、不意打ちなんてしてこないアルか」
「それはないだろう」
 推測口調のくせに、やけにきっぱりと言い切られた。薄闇の中、深みを増した琥珀は、沖田ではなく神楽にちゃんと向けられているのに、何故か不安になる。
「今の沖田には不意打ちなどしたくともできないだろうし、それに、できたとしても、それをよしとしないだろうよ」
「何で、そう思うアルか」
「その限界まで、奴の体力をリーダーが削り取ったということだ」
 最後の攻撃を止めた理由は幾つかあるだろう、そのうちの一つに神楽は思い当たってしまった。
 庇われたのが自分だったら、もちろん怒る。ふざけるな、と思う。沖田は庇われた神楽を、その程度と思うだろう。
 それなのに、今自分が沖田に思うのは、小馬鹿にするような感情ではない。むしろ、その逆で。
「…………ヅラっ」
「うわっ?」
 助走をつけてその背中に飛びついた。わざと広く見せている身体が、勢いに揺れる。
「私、めちゃくちゃくたびれたアル。陽の光浴びすぎたネ。責任持って、うちまでおんぶしてくアル!」
「るーじゃ」
 少し笑うように、声は揺れていた。落ちないように両手が神楽の身体を支える。首にしがみつけば、鼻に入り込む匂いはどこか懐かしい気がした。
 あてつけだと知っている。こんなことしか思いつかない自分のガキっぽさを痛感する。それでも。
 自分が子供なのは紛れもない事実で、だからその特権を少しだけ振りかざしたっていいだろう。
 勝ち誇りたいのか何かをごまかしたいのか判断つかないまま、振り返った。
 神楽が舌を突き出すのと沖田の指がその目を引っ張り下げるのとは、やっぱり同時だった。




                        ~Fin~
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by wakame81 | 2010-05-07 23:41 | 小説。  

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