お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

ある晴れた日に:2

かしわ餅とか言ってるのでお気づきの通り、本当は5月5日までにあげるつもりでした。うわぁん遅刻-。

おかしい、リクは「沖VS神」なのに。どうしてこうなった??







 放った弾丸に飛び散った赤は、沖田の血ではなく放られた小瓶だった。神楽の近くで弾け散ったタバスコに身を引く隙に、沖田は前方ではなく斜めへ走る。向かう先で定春が唸り声を上げた。
『桂さんには指一本触れさせん!』
 空を裂くプラカードの一撃を飛びのいてかわし、沖田は手を伸ばした。無造作に放られていたバズーカを掴み、でんぐり返って身体を起こす。肩の上で構えられたそれが火を噴く前に神楽は距離を詰めようと走る。僅かの差で沖田が速かった。発射された砲弾を、傘で明後日の方向へかっ飛ばす。
「何事だ?」
 轟音が大気を震わす中、その声はしっかりと神楽の耳を打った。攻撃をたたみかける足を止めて振り向く。
「リーダー、それに沖田?」
 琥珀の瞳が見開かれて、こっちへと向けられていた。さっきより声もぼんやりとしてはいないし、顔色も確かだ。それにほっと息を吐いた刹那、至近距離で風が唸った。
「リーダー!」
 沖田が横薙ぎに払った砲筒を、傘で受ける。腕に響く衝撃は神楽もだが、沖田も同じだろう。ほんのちょっとだけ顔をしかめて、視線が僅かに土手の方へと流れて、それから沖田はにっと笑った。
「リーダー、沖田も何をやっているのだ。エリザベス、これは一体」
『桂さん、実は』
「ヅラは黙って見てるアル!」
 大きく叫び、砲筒を払いのけた。沖田がたたらを踏みながら下がり、そして砲口がこちらを向く。再び火を噴く前にバズーカを蹴り飛ばす神楽の、軸足を狙って払い蹴りが飛ぶ。バランスを崩しながらも両手を地につけて飛び退り、起き上がった沖田と睨みあう。
「マジで、やる気みてぇだなぁ」
 ほんの少しだけ、眉を下げて沖田は笑った。
「せっかく、見逃してやろうかと思ってたのに」
「見逃すって何をアルか。ヅラをこれ以上追っかけ回すことアルか?」
「んなわけねーだろぃ。てめーが桂を庇ったっつー事実に決まってんだろ」
 はっと鼻で笑って見せた。真上ではなく少し斜めから照らしてくる日射しが、やはり鬱陶しい。角度によっては沖田が見えづらくなる。ほんのちょっとだけだけど。
「まがりなりにも、江戸を騒がすお尋ね者だぜぃ」
「そんなの、関係ないネ。リーダーが部下を護ることの、何がおかしいアルか」
 まっすぐに立ち、告げる。
 沖田はもう一度笑って、違いねぇやと口にした。


 先に気づいたのは、やはり新八だった。橋の上から、影の落ちる土手の下を覗き込むと、姉の妙も右に倣う。
「……やっぱり、神楽ちゃんだ。それに沖田さんも」
「何をしてるのかしらね、二人仲良く」
「や、どう見ても仲良さそうじゃないですよ」
 更に視線を巡らすと、白ふわと白まるに挟まれるようにして、長い黒髪も見えた。
 姉弟は顔を見合わせて首を傾げる。こうしていても、何が起こっているのか知ることは出来ない。このまま放っておくには微妙な取り合わせに、二人は土手を降りた。
「む、新八君にお妙殿。こんにちわ。こんなところまで、散歩か?」
 近づくと、桂は首を伸ばすようにしてこっちを見た。愛しのペットと肉球ふわもこに挟まれて、ついでに定春の喉を撫でさすってご機嫌の桂は、まとう空気までほんわかして見える。まさに、五月あたまのあたたかい空気と風に相応しい。
「こんにちわ、桂さん」
「こんにちわ。いえ、散歩じゃないんですのよ。破亜限堕津の買い出しなんです。隣町で特売があったので」
「そうか、それはご苦労様」
 のんきなやりとりに、危うく新八は上京を忘れそうになる。引き戻したのは、神楽がどこからともなく放置自転車(というには錆びまくっている。明らかにゴミである)を引っ張り出して沖田に投げつけ、かわされてそれが川に落っこちた水音だった。
「そうだ。それより、これ、どういうことなんですか?」
「どう、とは」
「なんで、神楽ちゃんと沖田さんがバトルしてんのかってことですよ」
 しかも、神楽は傘を閉じたままだ。今はやや長くなった橋の影の下にいるとはいえ、フットワークの軽い二人のこと、いつ日射しの下へ出るか判らない。というのに。
 問われた桂は首をことん、と傾けた。目を瞬かせるさまは、やっぱりどこかのんびりといている。
「俺もよく判らんのだ。気づいたら、既にああでな」
「は?」
 思わず抜けた声を出す新八の向こうでは妙が、『殺れ』だの『刺せ』だの『ぶっ潰せ』だの、物騒なプラカードを振り回しているエリザベスと話し込んでいる。
「あら、そういうことなら」
「姉上、何か判ったんですか?」
 今の言葉が本気にせよ嘘にせよ、こうなった桂から話を聞き出すのは難しい。そう新八は判断して、姉の会話に割り込む。
「今度、お店に来てくれるからサービスしてほしいって」
「何こんなとこで営業してんですかぁぁっ。それより、この事態がなんなのか、判ったんですかっ?」
「真選組(カス)許すまじ、だそうよ。判るわぁ、世の真理よね」
 ダメだ、こっちも当てにならない。かといって、桂に顎をくすぐられて気持ちよさそうに眼を細めている定春に聞くこともできない。「わんじゃこりゃぁぁ」を捨ててしまったことを、新八はあれから数年初めて後悔した。
「……桂さん、逃げないんですか?」
 かといって、このままにしておけない。なんでこうなったのかは判らないが、沖田が桂を追っているのなら今のうちに逃げてしまえれば、二人を止められるかもしれない。……のだが、せっかくの提案は不思議そうな顔で受けられた。
「どうしてだ」
「え、だって、今ならきっと逃げられますよ。沖田さん、神楽ちゃんと戦うのでいっぱいだろうし」
「それは、できんのだ」
 きっぱりと言い切られ、今度は新八が不思議そうな目で桂を見つめる。
「リーダーに、黙って見ていろと言われたのでな。最後まで見届けなくてはならない」
「いやそれ、そういう意味じゃ……」
「なら、なんなのだ? いかに俺でも、おはようからお休みまでリーダーを見つめ続ける訳にはいかんのだ」
「らいおんですかぃっ。ていうか、どこまで神楽ちゃんを見守ってくれるつもりなんですかっ」
「無論、リーダーだけではない。大人は、すべからく子供の成長を見守るべきものなのだ」
「そうっ! 喩えていうなら、俺がお妙さんをおはようからお休みまで見守るがごとくっ」
 突如湧いた四人目に、場の空気が一瞬にして固まる。
 新八の思考は、完全にフリーズした。いや、頭は一生懸命、事態の把握と桂を逃がし、かつ近藤にも不信を持たれないようにするにはどうしたらいいかを模索して処理事項の多さにいわゆるハングった状態になった。
「おや、みんなどうしたんです? というかそういえばそこにいるのはかつべぼらっ」
 打開したのは、やはり妙である。ついでに新八の思考の渦も打ち砕かれて、はっと我に返る。
「って、うわぁぁぁぁ、近藤さんんんっ? 姉上これ死んじゃったんじゃないですかぁぁぁっ? なんか白目むいてるどころか、頭血止まりませんよぉぉぉっ?」
「案ずるな、新八君。俺はこの手の死体などたくさん見てきた。今更驚くに足らん」
「アンタはなんの心配してんですかぁぁぁっ」
「う、う…ん、お妙さん……にげてください……いまなにものかがしゅうげきを……」
「ほぉ、これだけの傷を食らって生きているのか」
 顎に手を当てて桂は頷き、新八はほっと胸を撫でおろした。とりあえず応急処置だけして、あとはいかようにもごまかせるだろう。
 と、その前に妙が近藤を背負いあげた。
「姉上?」
「新ちゃん。破亜限堕津をちゃんと冷凍庫に入れておいてね。私はこれを、冷凍庫に永久保存しにいってくるから」
「ちょぉぉっ?」
 ぐったりとして動かない、大きな体を軽々と肩に担いで振り返った姉の顔は、菩薩像のような笑みに満ちていて、逆にそれが恐ろしく感じられる。
「ちょ、姉上本気ですかっ?」
「本気よ。だって、いくら保冷剤入れてもらったとはいえ、今日みたいに暑い日だとすぐ溶けちゃうじゃない? 破亜限堕津」
「いや、そっちじゃなくてっ」
「じゃ、お願いね」
「いや姉上ぇぇっ。それやったら死体遺棄ですよ、犯罪者ですよ僕らもう戻れませんよぉぉぉっ? そうだ、沖田さんっ」
 今ならまだ、いつものことで済ませられる。それに、一石二鳥とはこのことかもしれない。
「近藤さんが、大ピンチなんですっ。早く助けて、屯所でも病院でもつれてってあげてくださいっ」
「あー?」
 近藤さん、の一言が聞いたのだろうか。神楽の右手を掴み己の右手を掴まれ、互いに両足を蹴りにそなえて牽制させたままのいわゆるサウザンドウォーズ状態から、「ん?」と顔を上げた。
「どうしたんでぃ。こちとらチャイナにお仕置きするのに忙しいんでぃ」
「私にぶちのめされる、の間違いアルっ」
 視線が逸れたのを見逃す神楽ではない。ふ、と体の力を抜き、沖田の押す勢いにあわせて後ろに倒れる。背を丸めて右足を沖田の腹に添えて、巴投げが繰り出された。もちろん沖田もおとなしく投げ飛ばされるわけがない。くるっと回って受け身をとって立ち上がり、すぐさま体を起こそうとする神楽に回し蹴りを見舞う。
「沖田さんっ。そんなことしてる場合じゃありませんってばっ。このままじゃ、近藤さんが冷凍庫にっ」
「へーぇ。姐さんと二人で、愛を永遠にするために永久氷壁で心中ですかぃ。やるなぁ近藤さん、ひゅーひゅー」
「成る程、今は水に飛び込んでではなく、氷に飛び込んでの心中がナウいのだな」
「アンタは黙っててください桂さんっ。沖田さん、そんなんじゃなくて、」
「だとしたら、近藤さんも本望じゃねーんですかぃ。あのひとが選んだ道だ、俺は止める権利もねぇや」
「沖田さーーーーんっ」
 だめだ、沖田も神楽も、妙も止められない。狼狽える弟を後目に、妙は土手を登ろうと足を斜面にかける。その前に、小柄な影が立ちふさがった。
「……妙ちゃん」
「あら、九ちゃん?」
 いつになく険しい顔に、妙も足を止めた。新八も、いやな予感に息が詰まるのを感じる。
「どうしたの、恐い顔して?」
「……こんな形で、妙ちゃんと争いたくはなかった」
「え?」
 すっと、九兵衛は両腕を広げる。迎えるというより、行く手を塞ぐような形に、妙は首を傾げる。
「九ちゃん?」
「そのゴリラと愛の永久冷凍保存なんて、僕は認めないっ」
 どーいう勘違いだ、いやこれは近藤にとって救いの手になるだろうか。新八は固唾を飲んで様子を見る体勢に入り、妙はちょっと、と声を高くした。
「愛なんてそんなの、冷凍保存しにいくわけじゃないわよ。ただこのゴリラを永眠させにいくだけで」
「しかし、シベリアは危険だ」
「行くのはシベリアじゃぁないのだけれど」
「シベリアでも雪山でも、吹雪吹きすさぶ極寒の地で男女が二人遭難するということは、お互いを暖めあって愛をはぐくむ、えーとふらぐ?という奴だ。仮に妙ちゃんにそんなつもりがなくても、何が起こるか判らない。そんな危険なこと、僕はさせられないっ」
「ちなみに、そのフラグとやらを九ちゃんはどうやって知ったのかしら?」
「東条が前に言っていた」
 あの変態糸目、具体的なこと吹き込んでやがったらブッ殺す。妙が背負った怒りの炎がメラメラと音を立てていることに、どうやら正面の九兵衛は気づかないようだ。ただ、真剣な面持ちのまま、一歩踏み出す。
「さぁ、妙ちゃん。そのゴリラをこっちに渡してくれ。僕が、いや柳生一門が責任を持って、東部動物公園に引き渡してくる」
「九ちゃん、そんなんじゃ生温いの。前に、旭山動物園まで送り込んだことはあるけれど、性懲りもなく帰ってくるのよ。こう、冷凍睡眠にかけて22世紀に送り届けないといけないの」
「しかし、妙ちゃんにそれをさせるわけにはいかない。さぁ、」
 もう一歩、踏み込む。が、はっと顔色を変えて九兵衛は後ろへ飛び退った。直後、今まで立っていたところにクナイが突き刺さる。
「何者だっ」
「……祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、恋路の邪魔者必滅のことわりをあらわす」
 漂うは、平家物語の一節と、腐敗もとい発酵した大豆の臭い。橋の欄干の上にその影は現れた。
「さっちゃんさんっ」
「こんにちわ。メス豚さっちゃん参上」





                        ~続く~
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by wakame81 | 2010-05-07 00:34 | 小説。  

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