お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

桜三景

4月4日、高桂中心オンリーの、攘夷喫茶合わせの新刊ですよー。

52p、お値段300円になりますー。
通販は、後ほど。とりあえず、出るよってことだけお知らせです。言いたくて仕方ないらしい。



春だ! 桜だ! 紅桜だ!!のノリです。いろいろと、やらかしました。
R15です。 中学生以下のお嬢さんは、お手にとってはいけませんよー。……いや、期待されるほどのものじゃないんです、ただ、書いてる人間がいたたまれなくなったんです(爆)。


続きに、サンプルですー。







~壱の章~

 行く道をまるで遮るかのように覆い尽くしていた雪が、日の経つ事に太ももから膝、脛までその量を減らしてきたのは、隠れるようにしてきた山から下りてきたためか、それとも月日は正しく刻まれているからなのか。
「春になるにつれ人里へ降りてくる…か。熊じゃあるまいし」
「どうした、高杉」
 踏み出した一歩をそこで止めて振り向いた男に、別に、と返す。前を行く桂との距離はほんの数歩、こっちから手を伸ばせば頭の上で揺れる尻尾に簡単に手が届くし、その逆もしかりの、僅かな隙間だ。それでも小さな呟きとかちょっとだけゆるめられた歩く速さだとか、そんなものを敏感に感じ取られるのは。
「面白くねぇ」
「何だ、疲れたのか?」
「そうじゃねぇよさっさと行け。それとも俺が先に行ってやろうか?」
「お前は後ろでいい」
 細い筆で一息に描いたような眉が僅かに吊り上がっているのはいつものことだ。きっぱりとそう言いきると、桂は再び前を向いた。
 雪が枝から落ちる音、溶けて迸る小さなせせらぎ、気の早い鳥の羽ばたきやさえずりなどが、遠く耳に届く。冬の間積もり積もった雪に閉じ込められていた音が、解凍と同時に溶け出してきているようだ。
「そろそろ、探せばフキノトウくらい見つかるかもな」
「何だ、腹が減ったのか?」
「空腹なんざとっくに通り越したぜ」
「む、それはいかんな」
 探すか。
 もう一度こちらへ向けられた顔は、眉の止せ具合も閉じられた口元も、さっきとまったく変わらない。ノリ気なのかそうでないのか判断しづらい(むしろ後者としか思えない)表情から正しく意図を読み取るのは、もう得意の域を通り越している。
「見つけたところで、苦くて食えやしないだろうけどな」
「好き嫌いを言っている場合ではなかろう」
 桂はきょろきょろと辺りを見回して、少し太い幹を持つ木の根元まで歩くとそこの雪を踏み固めた。その上に、着ていた深緑の羽織を広げる。
「おい、ヅラ」
「ヅラじゃない桂だ。高杉はここで休んでいろ」
「休んでろ、じゃねぇよ。テメェ一人で見つけられるわけねぇだろ」
「そんなことはない。途中で意識を失って倒れるお前を探す方が骨が折れる」
「その言葉、そのままそっくり返してやろうか」
 わざと喉を震わせて嗤ってやると、桂の眉がぴくっと跳ねた。無言で近寄ってきて腕を掴み、即席の休憩場所へと引っ張られる。



~弐の章~

 夏の盛りを一緒に過ごしたのだから、どうせなら盆も一緒に。互いが相手を自分の領域で過ごさないかと誘いかけはしたものの、どちらも簡単な言葉で断られた。
 都の千年の栄華は炎によってむりやり終わりを迎えさせられ、幾つかの伝統も共に途絶えた。川床のように、中には復活を目指す動きもないようだが、山の中腹を炎で彩る送り火は、無理だろうと思う。伏見は水の都だ。
 水上を静かに流れていく炎の煌めきも嫌いではないが、今年はなぜか敬遠したい気分になった。桂もいない一人旅を、予定を大幅に遅らせてのんびりと帰京する。
「晋助さまぁぁーーー」
 出迎えたのは、眉尻をこれ以上ないほど下げまくった部下の顔だ。高杉が旅から戻ると、来島また子はいつもこんな声を上げる。
「お帰りなさい、高杉さん。すいません、もっとかわいくて小さな子のお出迎えがよかったですか」
「何を言ってやがんだ」
 ひょっとこのような読めない顔で、さらに読めないことを言う。懇意にしている旅籠の玄関先で、二人の出迎えは殊更目立った。笠をまた子に押しつけ、さっさと二階へ上がる。
「お前等だけか。似蔵は」
「高杉さんが江戸へお発ちになってからすぐに、いいバイトが入ったとかで。今は江戸です」
「へェ」
 橋田屋嘉兵衛という名を、口の中で確かめる。細い階段を上がりきるころに持ち主の老人に思い当たって、ククと喉を鳴らした。わざわざ伏見から馳せ参じた人斬りに、あの狸はどれだけの獲物を用意してくれるのか。
「いろいろと、お届け物が届いています。すべて、部屋に」
「あぁ」
 開けろ。顎でしゃくられてまた子が開いたふすまの向こうには、成る程少なくない数の荷が並べられていた。まず使いなれた煙管盆に向かった。黒塗りの箱に据え付けた火入れから炭火を拾い、火皿に押しつけて煙をくゆらす。吐き出された紫煙の一すじほども、興味を視線に乗せず、端から送り主を改める。
 多くは、高杉と懇意になりたい連中からの付け届けだった。今や、高杉の名は過激派攘夷志士の代名詞でもあるように語られている。違ぇだろ、その呟きを紛らわせるように、煙管の口から煙を吸い込む。
 毛色の違うのは、まず一つ。主に江戸で活動している河上万斉からの暗号は、送り主を確かめて隅の文机に放った。
 それからもう一つ、余計な装飾のない、上品な和紙に包まれて、送り主の名のない包みがある。止め跳ねをきちんと几帳面に綴った筆跡は忘れようがなかった。



~参の章~

 ひらひらと、白い羽根のような雪が舞い落ちる。もう、何度目になるのか。やっと春の気配を漂わせてきたというのに、また街は薄く白く、化粧を重ねる。
「おおう、ひやいなぁ。お、何かと思えば雪やか!」
 羽織った洋風の上着だけでなく顔まで真っ赤に染めた男の声は、やたらと響いた。まだ宵の口とはいえ、賑やかな花街のざわめきを雪は吸い取るように静けさに変えていく。その空気を楽しんでいた高杉は、じろりと部屋の中を睨みつけた。
「酒じゃ-、誰か酒持ってこーい! ん? 何じゃぁ晋坊、ほがな怖い目をして」
「その呼び方止めろっつったろ、バカもじゃ」
「あっはっはー、冗談じゃ冗談。やき抜くの止めてー」
 頭上に振り下ろされた真剣を白羽取りの要領で止められる。へらりと笑った顔に舌打ちをして刀を引いてやった。
「最近のおんしは、冗談通じのうてめぇるなぁ」
「判ってンなら言うな」
 鞘に納めて、窓際へ戻る。灯された明かりの多い街だが、それがなくとも雪は闇に隠れることなどできなかっただろう。風は殆どなく、頼りなげに落ちてくる雪は容易く手の上に捕らえられた。感触を確かめるまでもなく、水に溶けてしまったが。
「開けてたら、寒くないか?」
「別に」
「強がりじゃのぅ晋坊は……嘘嘘、寒さに強い高杉先生かっこいいー」
「思ってもいねぇ軽口叩くんじゃねぇよ」
 やっぱり斬るか。切りかけた鰐口は、障子を開けて賑やかに入ってきた女達によって遮られた。頼んだ酒がどんどん運び込まれる。艶やかな、朱や紅の着物の裾に坂本が縋って留まることをせがむが、女達は優雅に笑ってさっさと退室していった。
「うぇぇ~ん、待ってくれぇ~。一緒に飲はやよぉ~」
「うぜェだけだろ」
「そりゃ、高杉はそうろうけどー。この街におるんだし、いつでも好きなときにお姉ちゃんと飲めるろうけどー。わしは久しぶりに地球に降りてきたんじゃ、ちっくとくらいいいちやー」
「だったら別の席でやれ」
 しっし、と犬相手のように手を払うと、口を尖らして坂本は起き上がり、お銚子から酒を注いだ。すぐに口をつけず、窓枠に腰を掛ける高杉の元へ寄り、お銚子を持ち上げる。促されるまま高杉は盃を出し、酒を受けた。
 口をつけたのを見届けると、そそくさと部屋の中へ戻り、大げさなほどに身を震わせる。ついでに酒を半ば零しては慌てて口をつける姿は、もう滑稽以外の何者でもない。
「あーうー、まけてしもうたぁ。勿体ないのぅ」
「自業自得だろ」
 この部屋に、女を呼ばないのも。高杉の趣味を反映させてか或いは別の意図か、とにかく坂本が手配したことだ。こっちは何も言ってはいないのに。
「やけど、淋しいやか。雪降ってくるとは思わなかったし、おかげで何か静かだし」
 なぁ、とサングラスの奥の目が笑った。
「何か、弾かんか?」
「何をだよ」
「高杉先生の小唄を、久しぶりに聴きたいの~」
「持って来てねぇ」
 すげなく断ると、坂本はがっくりと肩を落とした。高杉の言葉が真実か、確かめようともしない。信用するほどこの男は間抜けではない、おそらく思いつきだけで、どうでもいいのだ。
「どがなじゃったか、ヅラにも教えてやりたかったがやきなぁ」
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by wakame81 | 2010-03-22 23:34 | オフライン。  

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