お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

海の底の月を拾う:2

アルコール入れて終電で帰ってきたのに、電車の中で寝まくって、眠気が吹っ飛びました。ううむ。

リクの続きです。たぶん、4まで行きます。……簡潔にまとめるってゆーのをいい加減会得しよう自分。






「「………………」」
 数瞬ほどの睨みあいの後、思わずため息がこぼれ落ちた。
「つーか何やってんのバカヅラ」
「馬鹿でもヅラでもない、桂だ。何をやってるかだと。見れば判るだろう隠れんぼだ」
「そーゆーことを聞いてんじゃねぇよっ」
 生ゴミ用ポリバケツからにょきっと出された頭をはたく。勢い余ってバケツは倒れ、桂は中から転がり落ちた。銀時が更に何か言う前に、バケツを元に戻し、いけないいけないと中に戻る。
「だーから何やってんだお前はっ。あのバカ達から逃げてんだろ、何だってこんな、見つかったら袋の鼠みたいな場所に隠れてんだぁぁぁっ」
 こんなことなら回り道などせず、真っ直ぐ家に帰るんだった。言い訳を考える時間稼ぎのためにわざわざ遠回りして、ゴミ捨て場に不法投棄された雑誌の束からジャンプとエロ本をリサイクルしようとして、ついでに何やら不審なポリバケツの蓋なんか開けるんじゃなかった。頭の隅でちくちくというか、爪がささくれているような感覚なんか、無視してしまえばよかった。
「見つからなければいいだけのことだ。まさか奴らも、こんな袋小路の隅にあるゴミ捨て場に潜んでいようとは思うまい」
「思わないのはお前が常識から遙かにすっ飛んだ行動をしているからだからねっ。誰もこんな、生ゴミ専用ゴミバケツなんて開けようと思わないからねっ。つーか臭っ、ヅラ臭っ」
「ヅラじゃない桂だ。多少の臭さは我慢しろ。貴様それでも侍か」
「侍関係ねぇぇぇっ!」
 もう一度、今度はかかと落としをキメて、中の人を沈没させる。ついでに蓋をしてエロ本を縛っていた紐でぐるぐる巻きにしようとして、中から蓋が飛んだためにそれは失敗した。
「銀時、蓋を縛ってしまっては、このゴミ捨て場を利用しているご近所の皆さんに迷惑だろう」
「そっちかよっ。てか、お前一人なのかよ」
「見た通りだ。それとも、何やら一般人には見えないものでも見えるのか?」
「みみみ、見えるわけねーだろ、いたとしてもこんな生ゴミ臭いところに好き好んで入るバカにくっつくヤツなんていねーよっ」
「なら、今は俺一人だ。いや、お前もいるか」
 蓋を頭に被り身を屈めてると、桂の姿は隙間からほんの少し覗くだけになる。端から見たらただの怪しい人だよなぁとため息をこぼす。
「つーか、白ペンギンは?」
「うむ。今日はちょっと、別行動だ」
「てかお前、」
 ケガは、と問う声を飲み込む。飛空戦艦の上で高杉とやりあってから十日足らず、桂が行方不明になってからやっと二週間ほどだ。船の上での大立ち回りなど、冷や汗が止まらなかった。腹を刺され更に傷を負った自分と、互角の動きだったのだから。
 それが、たった二週間で完治するはずもない。現に、さっきの屋根の上での動きは。
「お前なに、一人で出歩いてんの」
「いつもは一人ではないぞ。今日はたまたまだ」
 出歩いていることは否定しなかった。さっきから胸の奥でくすぶっているものが喉までせり上がって来て、衝動のままにバケツを蹴り飛ばそうとした時。
 ばたん、と桂が蓋を閉めた。おい、と取っ手を掴んで蓋を持ち上げようとすると、中から押さえられる。
「離せ銀時」
「何だってんだよ」
「奴だ」
 はっと振り返る。人の行き交う通りの向こうに、黒い隊服がはっきりと見えた。それと薄茶の髪と、口から膨らませた風船ガム。パチンと風船が割れて覗いた眼は、確かにこっちを見ていた。
「あっちゃぁ。よりによって厄介なヤツが」
「銀時、上手いことやって誤魔化せ」
「って何で俺がっ?」
「今は彼奴とやりあう時ではない」
 何が、と問う前に、桂は黙り込んだ。すぐに、「あっれぇ?」とテンションの低い声が通る。
「旦那じゃねぇですかぃ。何やってんでさぁ、こんな臭いとこで」
 袋小路の入り口で、沖田はポケットに手を突っ込んだままこっちを見ている。板塀にポリバケツを押しつけるようにもたれ掛かりながら、銀時はへらりと笑ってみせた。
「何ってリサイクルだよリサイクル。昨今はみんな、すーぐ物を捨てて新しいのにしちゃうじゃん? 資源だかなんだか知らないけど古い本もすぐにゴミに出しちゃってさ、それじゃいけないと思う訳ですよ銀さんは。まだ使えるもんならきちんと使う、自分じゃ使わないなら誰か必要とする人に譲る、これが正しい日本のもったいない精神だと思うんだよね」
「へー、で、どんなのありやした」
 近づいてくる。細い路地にはあまり太陽の光は入ってこない。薄暗い中、逆光を背負った沖田の表情は読みづらい。てか、元からコイツは判りづらいのだ。
「うーん、銀さん的には女子高生のコスプレとかちょーっとイマイチなんだよねー。犯罪犯してる気になるじゃん。どうせコスプレするならナースとかさ、看護婦さんとかさ、看護士さんとかがいいんじゃないかと思うんだけど」
「どっちも同じでさぁ。んで、その女子高生モンてのはどんなのですかぃ」
「沖田くん、今何歳?」
「事務所発表だと十代後半ですぜ」
「そんなあやふやだったらダメだなぁ。十八禁に引っかかっちゃうよ。今は未成年にあまり刺激の強いものを見せちゃいけない風潮じゃん? 書く方も気を使うわけよ、どこまで書いたらR18になるんだって」
「それは書く側の、表現の自由を守る権利と自己責任に関わってくるんじゃねぇですかぃ」
「そこがまた難しいところでさぁ」
 肩を竦めてみせる間にも、沖田は近づいてついには銀時の持っていた雑誌をのぞき込むまでになった。未成年はダメですー、と、片手で押しやる。
「てかさ、沖田くんは何やってんの。さぼり? いけないなぁ多串くんに言いつけちゃうよ」
「心配しなくても、ちゃんと仕事でさぁ。人を追ってやしてね」
 桂を。
 わざとらしい、ゆっくりとした発音で言われる。……大丈夫、眼は泳がない。ポリバケツの蓋を押さえる手は震えたりしない。
「旦那、見やせんでしたか?」
「さぁ、アデラ○スかリ○ブ21あたりに行けば見つかるんじゃない?」
「そんなとこに用があるみたいには見えやせんけどねぇ。あぁでも、髪短くされたのは気にしてんのかな」
 え、と聞き咎める前に、沖田の視線はポリバケツに落ちた。
「旦那旦那。これくらいの大きさのポリバケツなら、人ひとり隠れることくらい簡単だと思いやせん?」
「どうだろうねぇ小っちゃいんじゃね? 寺子屋も行ってない子供ならともかくさ」
「これくらいなら俺だって余裕でさぁ。手、どかしてもらえやせんかね」
「何開けるつもり? これ生ゴミバケツじゃん、開けたら臭いじゃん。ゴキブリがわらわらわらーーーって出てきたらどうすんの、ご近所に迷惑だよ?」
「人の住むところにゴキブリは付き物でさぁ」
「いやでもね、ってちょ、沖田くんっ?」
 止める間もなかった。数歩下がったと思うと、沖田は大きなスイングをつけてバケツを思いっきり蹴飛ばしたのだ。バケツは吹っ飛び、奥の土壁にぶつかって粉々に砕ける。中から転がり出る人影が。
「……あれ」
 ない。バケツの元あった場所をよく見ると、隠れていた板塀の下部分が四角く切り取られている。
「…………あっらー、猫の通り道かねぇ」
「これだったら成犬のチャウチャウだって通れやすぜ」
 ばらばらになったゴミバケツは、既に元の形をとどめてはいない。こっちにも穴があったかなんて、すぐには判らないだろう。それにしても、中身が空っぽでよかった。生ゴミが散らかったら精神的にも良くない。
 沖田は、板塀の向こうを覗きこんでいる。
「何、そこ行くの?」
「さーて、どうしやしょうかね」
 そう呟くと沖田は、屈めていた腰を伸ばして、うーんと背伸びする。それから通りの方へと向く。
「こんな猫道追っかけてもめんどくさいし。今日はここまでにしときやす」
「あら、ホントにさぼりモードじゃん」
「それに、今桂見つけてもどうしようもないし」
 背を向けた沖田は、一歩歩きだした。二歩めを出そうとして、足を止める。
「今はまだ、やりあう時じゃなさそうなんで」
「え?」
「んじゃ、お騒がせしやしたー」
 手をひらひらさせながら沖田は去っていく。
 腹の奥で何かが、ちりちりと引っ掻いている。それは未だ発散されない苛立ちに、石炭のように燃料を与え続けている。
「……あの、バカヅラ」
 もう人の気配のない塀の四角い穴に向かって、低く舌打ちを漏らした。


 それから何日か、桂の姿を見ない日が続いた。電話も言付けもないし、こっちから連絡を取ろうとしてもつかない。街中をぶらついても見かけないし、捕り物にも行き遭わなかった。
 神楽の不平不満がピークに達する直前、仕事が入った。家の中でヅラヅラ言ってるよりは気分転換になっただろう、収入があってご飯ですよと卵も買い込んで、久しぶりに機嫌のいい子供たちを連れて日の暮れなずむ中、家路へとつく。
「これで久しぶりに、ちゃんとしたご飯が食べられるアル」
「ちゃんとしたっつってもおかずは生卵とご飯ですよだけだけどね。栄養バランス良くないけどね」
「何か文句があるアルか、銀ちゃん」
「べっつにー。どうせだったら粒あんかけた方が栄養バランスいいのにと思ってるだけですー」
「余計に悪いですよ。炭水化物と炭水化物じゃないですか」
「バッカお前、それは焼きそばパンに対する侮辱だぞ。大阪の人たちにケンカ売ったも同然だぞ?」
「あーあ、新八にはもう、ビリケン様と食い倒れ人形の呪いがかかったアル」
「何それ、僕は別に、ご飯とお好み焼きを一緒に食べる週間をけなした訳じゃないよっ?」
「この呪いを解くには、今日の晩ご飯にイチゴパフェを」
「つ・け・ま・せ・ん!」
 食事当番新八の強固な守りは生半可なことでは崩せないようだ。けちーけちーと口を尖らせる銀時の足が、不意に止まった。後ろから子供達が背中にぶつかる。
「ぶわっ。何ですか銀さん?」
「どうしたアルか。あんみつでも出歩いてたアルか?」
「神楽ちゃん、それはさすがに」
「悪ぃ」
 両手にぶら下げていた買い物袋を新八に押しつけ、銀時は走り出す。ちょっとー!と上がる声に「先帰ってろ」と
叫び、人の流れをかき分けて走る。夕方の人の海の中、見え隠れする背中はこっちに気づいている風もなく、ひょいひょいと歩いていく。
(つーか、どこへ)
 最初はとっ捕まえてやろうと思っていた相手が、一人で、足取りも確かに進んでいるのが気になって、やがて銀時は足を緩めた。見失わない距離を保って、後を追う。
 やがてターゲットは電車に乗った。慌ててポケットから小銭を取り出し、同じ車両に乗り込む。朝のラッシュ時とは比べ物にならないとはいえそこそこ混んでいるおかげで、向こうはまだこっちに気づいた様子はない。ぼんやりといった風情で、窓の外を眺めているのを、網棚から拾った新聞に目を通すふりをしながら見張る。
 そうして、港近くまで辿りついた。



                                  ~続く~
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by wakame81 | 2010-02-07 01:50 | 小説。  

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