お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

海の底の月を拾う:1

サイト海藻もとい改装どころか、木曜のアニメすらまだ見れてない若布です、こんばんわー。あ、今朝だ。おはようさんー。しかも、今日はこれからお出かけなので、アニメ見るの明日ですぜ(しくしく)。

なので、まだ書き途中ですが、こっちを先にアップすることにしましたー。

リク「沖田がからむ銀桂(現代ベース)、大人げない銀さん」
時期で言うと、紅桜直後です。映画を待てませんでした、とゆーか、予告にやられました。


今週のジャンプ銀魂。
高杉と桂の字、くせはあれど強弱のつけかたというか、そんなんがすごい似てません?(によによ)






 海上の空を飛ぶ船から飛び降りれば、当然行き着く先は海の上だ。風の計算はばっちりだったはずだとか何とか、そんなもの全部、落ちてしまえば言い訳でしかない。
「ちょ、しがみつくな銀時っ」
「うっせー、俺が泳げねーの知ってんだろっ、何とかしろバカヅラっ」
「バカヅラじゃない桂だぶぶぶぶぶぶぶ」
 パラシュートの綱をさっさと解けとか、そんな理性的な判断がつく余裕すらない。水を吸って重たくなった傘が、桂と銀時を海の底へと引きずり込もうとする。空気を求めて顔を出せば、波が上から覆い被さってくる。
「ぶはぁっ。お前ちゃんと泳げよっ」
「貴っさまこっ、泳げっ。たりっ本願かっこの馬鹿銀時っ」
 ぎん、銀時。咳きこみながら、何度も名を呼ばれる。ちゃんと呼吸しろという抗議も届かない。波に何度も声を詰まらせて、しゃくりあげるように声を裏返らせて。
 駆けつけたのは、エリザベス率いる桂一派の小舟だった。浮き輪をかけてまず桂が引っ張りあげられ、それから銀時に浮き輪が投げられる。伸ばされる腕は一本もない。
 別にいいけど判ってたけどっ、と胸の内でぼやきながら甲板に上がる。
「そうか」
 出迎えたのは、まだ掠れた桂の声だ。毛布を羽織って、顔を青白くして、ペットと何か話をしている。
「あの戦艦も、かなりの被害を受けたろう。最悪、囮として使い捨てて構わん。真選組の追跡から逃げきることを優先させろ」
「しかし、桂さん」
「あの船には、莫大な投資が」
「同志の命は、金では買えん」
 きっぱりとした声に、狭い甲板が静まり返る。
「資金は、また稼げばいい。だが、同志一人を失うということは、我らの志を広め伝える者がいなくなる、引いては日本の夜明けから一歩遠ざかるということだ」
 桂はゆっくりと、部下達を見渡す。仕込み羽織を脱ぎ捨てた背中は、毛布越しにも小さくて細い。それが、ガタイがよくていい歳をしたおっさん達を、統率している。
「我らの目指すのは武力による攘夷ではない。だからこそ、命を粗末にしてはならない」
 後ろに立つ銀時が垣間見たのは、強くまっすぐな瞳だ。戦の前、仲間を鼓舞する時、いつも見ていた眼だ。
(さっきまで、あんな顔してたくせに)
「我らも陸へ戻ろう。進路は任せる。ただ、港にいるだろうリーダーと新八君に、連絡を入れてくれ」
(何だって、お前は)
 その時感じた気持ちの名など、銀時は知らない。ただ、むしゃくしゃして、衝動のままに手を伸ばす。いつもなら長い黒髪を掴むはずの手は、何にも触れず空中をさまよう。それが更に、苛立たしくて。
 桂の頭に、渾身の力を込めた拳骨を落とした。


 久しぶりに戻ってきた我が家は、どこか懐かしい。特に冷蔵庫のいちご牛乳とか、いちご牛乳とか、戸棚に隠した非常用のチョコとか。
「て、おーい。いちご牛乳一本無くなってんぞ。どーゆーこった」
 颯爽と冷蔵庫に直行した銀時から不審そうな声をあげる。答えたのは、いそいそとテレビをつけた神楽だ。
「エリーにあげたアル。銀ちゃんが仕事さぼってどっか行くからネ」
「さぼりじゃないでしょ、あれも仕事でしょっ」
「エリーは喜んで泣いてたネ。それだけで、甲斐性なしのマダオの胃袋に収めるより価値があったアル」
「いやあの回想、喜んでねーだろ。どう見たって違うだろっ。つーかこれ、この後飲んだのかあの白ペンギン」
「結局飲まなかったから、あとでスタッフがきちんといただきましたネ」
「おめーかぁぁぁぁぁぁぁっ」
「二人とも暴れるんだったら片づけ手伝ってくださいよっ」
 洗濯機を回してきた新八が叫ぶ。が、そんなことで白夜叉と夜兎が止められるはずもない。喧嘩する子猫のように、二人はごろごろと居間から廊下へと転がり出る。
「ちょっとっ! うるさいってんだよアンタらはっ」
 そこへ、がらりと戸が開いた。現れたお登勢から雷が落ち、銀時と神楽は正座させられる。
「何やってんだいアンタらは。戻ってきたと思ったらいきなり騒ぎだして、近所迷惑なんだよっ。そもそも、帰ってきたってのに大家に挨拶もなしかい」
「留守の間も家賃毟りとるような強くつババァにする挨拶なんてねーよ。どうせ顔出したところで、家賃の請求だろ?」
「ほほーう。留守を守ってやった大家にありがとうの一つも言えない口はこれかい?」
「いひゃいいひゃい、うひょひぇふあひはほう」
 むにーと伸ばされたほっぺたを放して、お登勢は「それより」と話を変えた。
「アンタ達宛に、荷物を預かってるよ」
「マジでか」
「取りにおいで」
 ひゃっほぉぉぉぅっと神楽がまず階段を駆け降りていく。新八が走って追いかけ、大人二人はゆっくりと万事屋を後にする。
「しっかし、物好きもいたもんだねぇ」
「何が」
「アンタ相手に、物贈ろうなんているとは思わなかったよ。それも山ほど」
「銀さんの人徳を舐めちゃぁいけないなぁ。これでも正義と糖分の味方、みんなの銀さんですよ?」
「だから、物好きだっていうのさ」
 にべなく言って、お登勢は先にのれんをくぐった。後に続いた銀時の耳に、歓声が響く。
「うっわーーーっ。酢昆布が段ボール一箱もあるアルっ。これで一週間くらい酢昆布食べ放題ネっ」
「一週間でこれ食いつくす気っ? いくら神楽ちゃんでもお腹痛くするよっ?」
「平気アル、こんなもんでやられる私じゃないネっ。あ、こっちの箱は渡鬼のDVDアル、キャッホォォォウっ」
「眼鏡ニハ手紙ヨ。物ハ何モナイヨぷぷー」
「笑うなぁぁぁっ」
「何の騒ぎ……」
 確かに酔狂というか何というか、神楽にここまでの大荷物を送ってくる奴など、そうはいない。新八宛の手紙を覗き見てみると、彼のぶんは志村家に送る、との旨が書道の手本になるような、まっすぐな文字で書いてある。銀時には真似できず、こうやって角張ってるから漢字は難しく思われんだ、丸くしてやりゃ親しみも湧くじゃんと屁理屈をこねたものだ。
「何これ。何考えてんのアイツ」
「貢ぎ物アル」
「紅桜のことで僕らのことを気にかけてくれてたから、だったらこれが欲しいって頼んだんですよ」
「あっそ……」
 善は急げのつもりか、どうせだったら遅れてもいいからちゃんと顔出して謝れ誠意が感じられない。第一、自分へはどうした。
「銀時には、これ」
 奥からお登勢が長い物を持ち出してくる。喜んだのもつかの間、包装紙にはばっちりと、北海道の土産物屋のロゴが入っている。
「これ、俺が頼んだ通販の奴じゃん。他には?」
「さぁ」
 素知らぬ顔で、お登勢はタバコを取り出した。火をつけて深く吸い込み、紫煙を吐き出す。
「アンタにはこれだけだよ、銀時」
「何だよケチくせーなバカヅラ」
「ねぇ、ヅラ何か言ってなかったアルか? 今度はいつ酢昆布持ってくるかとか」
 袖を引っ張る神楽に、お登勢はタバコを灰皿へと置いた。
「ヅラって、時々アンタを訪ねてくるお侍かい? いや、これ持ってきたのはそいつじゃなかったよ」
「へ?」
「何カ見タコトモナイ男ダッタヨ。宅配便デモナク、何人カデ持ッテキタケド」
「???」
 神楽と新八が首を傾げる。はぁーと息を吐いて、銀時は頭をがしがしと掻いた。
「何考えてやがんだ、あのバカ」
「え、それって桂さんじゃないってことですか?」
「私の留守に、何こそこそやってるアルかアイツは。水くさいネ、リーダーをなんだと思ってるアル」
 やっと意味が飲み込めた新八は眼を瞬かせ、神楽はぶーっと頬を膨らます。
「オ前ラノ顔ナンテ見タクナカッタンジャナイデスカ」
「何言うアルかこの化け猫ぉぉぉっ。私とヅラのぶっといキズナも知らないでぇぇっっ。私とヅラは、一生酢昆布を貢ぎ続けますと誓いあった仲ネっ」
「チョチョチョ頭揺レル揺レルれるれるれる~~~」
 萌え度のかけらもない猫耳ホステスが、ぶんぶんと振り回される。嵐のような神楽の頭を、「うるせぇ」とぐーではたいた。
「止めるな銀ちゃん、こいつは今私とヅラを侮辱したアルっ」
「だからうるせぇっての。病み上がりの頭をこれ以上疲れさせないでくれる?」
「ていうか痛かったネ、今のツッコミはめちゃくちゃ痛かったネっ」
「お前が騒ぐからだろー。自業自得という言葉を覚えなさい」
 尚も神楽はぶーぶーと不平を言う。本調子じゃない頭にこれはきつい。
 思わず、手加減をしそびれてしまうほどに。


 悪いことは続くものである。
「ていうかさ、毎日行くとそりゃ玉は出ないよ判ってるよ運は水物だよ。だからビギナーズラックってゆーもんがあるのも知ってるよ。なのに何で、久しぶりだってのに全然出ないんだよコノヤロー。パチンコ運使い果たしてないよ、銀さんご無沙汰だよ? それなのにサービスする気もなしですか。サービスサービスゥってゆーのは大ボラですか」
 しかし出ないものは仕方ない。仕事もないし、家にいてもふてくされた神楽がヅラはヅラはとうるさいし。小遣い稼ぎも兼ねてのパチンコ巡りは見事に不発に終わったわけで、摺った今夜の晩飯と明日の朝ご飯のぶんの言い訳を、考えなければならない。
「道を歩いてると雪を積もらせたお地蔵様が……うーん違うな。道を歩いてると罠にかかった鶴がいて逃がす代わりに罠の持ち主に財布を……これも違うな。ていうか、ヅラが顔見せりゃぁ神楽も静かになるんだから、全部ヅラのせいだよなぁ、パチンコ負けたのもスロット出ないのも」
 銀時としては正当な言い分なのだが、何故か子供達はそれを認めてくれはしない。街中早くもクリスマスムードが漂い始めている。まだ一ヶ月以上もあるってのに。そう考えると、巨大ケーキを買うという名目の立つクリスマスのうきうき気分も、銀時の心を晴らしてはくれない。
「道を歩いていると行き倒れたフランダースの犬が……違うな。道を歩いていると」
「かーつらぁぁぁっ」
「歩いていると屋根の上からヅラが」
 はっと立ち止まるのと、爆音が響くのとはほぼ同時だった。振り返ると何軒か向こうの通りから、悲鳴やざわめきが波のように伝わってくる。そして、屋根の上に。
「ふははははは、貴様等芋侍に捕まるような俺だと思うてか」
「うるせぇ今日こそ年貢の納め時だっ。第二波、発射っ」
 火線が迸り、空中で破裂する。広がったのは魚でも捕るような大きな網だ。成る程これなら人家への被害は少ないだろう。が、発射時の爆音がうるさすぎる。これでは市民に安心など与えられない。それが証拠に、突然始まった大捕り物に、街の人たちは我先にと安全なところへ走り出している。
(見ろ)
 ばたばたと、人々が逃げまどい向かってくる。そう多くはない人数だが集団で走ってくると、道のど真ん中に立つ銀時を避けようという気もなくなるのだろうか。何人かが肩に腕にぶつかり、とってつけたような謝罪を残して通り過ぎる。
(こっちを見ろ)
 屋根の上で逃げ回る桂から銀時のいる場所まで、どれくらい離れているのだろうか。自分と同じほどある背丈は、今は親指ほどにしか見えない。薄い青の羽織をはためかせて、飛んでくるネットをひらひらとかわしている。走りづらいだろう瓦屋根の上で、まるで舞うようだ。
 それに合わせて、風にたなびくようにいつも揺れる、揺れているはずの髪が。
(こっちを見ろ、ヅラ)
 この距離だと、ただの黒い頭にしか見えない。常ならぬ違和感を醸しだしながら、それでも銀時にはあれが桂だと判る。この距離で、なお。
(こっちを見ろ。ちょっとでいいから)
 そうすれば、桂にも自分が判る。まだ途切れない群衆の中にいて、それでも逃げるのではなくただ立ち止まって視線を送る銀髪の男が誰なのか、はっきりと気づくはずだ。
(こっちを見ろってんだバカヅラっ)
 念が通じたのだろうか。黒い頭が動き、白い顔が見えた。琥珀の眼も柳のような眉も筋の通った鼻も引き締められているだろう口も、ここからは見えない。けれど、確かに感じた。一瞬だけれど眼が合った。
 次に銀時が見たのは、懐へとつっこまれた手だった。
あ、と思う間もなく、桂の周囲で爆音と白煙が巻き起こる。ついでに屋根からぽろぽろと何かが落ちて、爆竹のような音に悲鳴が続いた。
 風が煙を吹き飛ばす前に、銀時はきびすを返した。どうせ屋根の上が見えるようになる頃には、そこで逃げ回っていた人影など消え失せている。
「あのバカヅラ……っ」
 頭をがしがしと掻き毟っても、込み上がってくる苛立ちを誤魔化せそうになかった。



                                ~続く~
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by wakame81 | 2010-02-06 07:40 | 小説。  

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