お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

Star Puzzle March:2

オールキャラでいくつもりが、土方、沖田、出張りすぎ-。特に沖田、自重しなさい。ここぞとばかりに副長いぢりしすぎです(笑)。







「うむ、薪運びご苦労」
「てか何の用だザキ」
 ぎろり、と睨まれて、山崎は身を竦ませる。「べべべべ別に今回は、ミントンもカバディもしてませんからっ」と前置きし、咳払いをして言葉を続けた。
「近藤さんなら、さっき見ましたよ」
「何っ!? どこでだっ」
「銀八先生に、女子の手伝い行くように言われてました。だから、家庭科室かと」
「よっしゃぁでかした山崎っ! 桂、あとでちゃんと近藤さんに謝ってもらうからなっ」
 だから俺のせいじゃ…とぼやく声も無視して、土方は土埃を立てて走り去っていった。その後ろ姿に、沖田がこっそりあっかんべーを向ける。
「なんだ、近藤は下準備班に入るのか。そしたら俺とエリザベスだけか?」
「薪運び終わったら、俺らも手伝」
 そこまで言いかけた山崎は、慌てて口をつぐんだ。
「ん? どうした」
「や、俺ミントン班手伝わなきゃなんで、沖田さんが手伝ってくれるんじゃないのかなーーーっ」
「ミントン班なんてあっただろうか……」
「や、桂さん真面目に考え込まなくていいです」
 首を傾げる桂の肩を、新八はぽん、と叩く。いくらツッコミ担当でも、沖田の牽制には恐ろしくてつっこめない。
「しかし、女子全員でかかっても下準備班は大変なのか。役割分担間違ったかな」
「まー、切ったりするのはともかく、家庭科室からこっちに運んでくるまで大変ですからねー」
「そうか」
 桂は納得したようだった。ちょっとだけ、新八は胸をなで下ろす。食材に手をつけさせると果てしなく危険もとい不安なのが若干一名いるから、その一名を邪魔するもとい意識をそらすためにストーカーが遣わされたなど、弟として口に出したくはない。
「沖田君っ。遊んでないで、さっさと自分の作業に戻ったらどうなのかねっ?」
 ブロックを積む手を止めず、遠くから叫ぶ声がする。肉体労働が思い切り似合ってない。まさかあのひとのこーんな姿を見るなんてなー、と、新八も山崎も思う。
「桂君の邪魔をしても仕方ないだろう。土方君はどこへ行ったっ?」
「サボリでさぁ、伊東さん」
「まったく、しばらく見ないうちに随分と不真面目になったものだな。君も早く戻って来たまえ」
「へーい、今ザキが行きやすから」
 え”。という顔を山崎が向けるが、それを気にかける沖田ではない。早く行けよとばかりに背中を蹴飛ばす。山崎にしてみれば土方も怖いが沖田も充分に怖い。伊東からまた色々言われるだろうが、どS王子のお仕置きに比べたらまだマシだ。
「担当をちゃんと決めたのに、意味がなかったな」
 肉付きの悪い桂の頬が、かすかに膨れあがる。学級委員長として何度もミーティングを仕切った身としては、面白いばかりではないだろう。
「ま、3Zは自分ルールで生きる連中ばっかりだからねぃ」
 アンタが言うな、という言葉を、新八は辛うじて飲み込んだ。


 若干一名の危険要因を孕みながらも行われた女子による食材の下ごしらえは、銀八の機転によって無事に完遂された。近藤という、尊い犠牲と引き替えにして。
「いーやっ、俺はこの程度では諦めんぞぉっ。お妙さんの手料理を食べるまではぁぁっ」
 げしっ。
「あら、外でもゴキブリが出るのね。いっそ、火にくべて灰と化してしまいましょうか」
 菩薩のような笑顔とは裏腹な言葉に、風紀委員が慌てて近藤を運び出す。妙のそばから離されても、皆から必死に呼びかけられても返事がない。ただのしかばねのようだ。
「姉御ぉ。私、ゴキブリいぶして作ったバーベキューなんて食べたくないアル」
「神楽ちゃんが言うんだったら仕方ないわね」
「お妙ちゃん。僕は、お妙ちゃんが作ったモノならたとえゴキブリをいぶしたものだとしても食べてみせる」
「まぁ、逞しいわぁ九ちゃん」
「九兵衛さん、止めた方がいいです。腹壊すだけじゃすみません、命に関わります」
 眼鏡をいぶされそうになりながら、新八は肉を引っ繰りかえす。これくらいでいいかなーと思い皿に取ると、後ろから妙が覗き込んだ。
「もうちょっと、火を通した方がよくないかしら? 生の部分が残っていると、食中毒になりかねないわ」
「お妙ちゃんの言うとおりだ。新八君、もっと火を通すべきだ」
「九兵衛さんのお願いだとしても、それは聞けません」
「お願いじゃない。脅迫だ」
「包丁は家庭科室にしまってきてくださぃぃっ」
 肉を焼くのも命がけである。「新八ーまだかヨー」と文句垂れながら焼き上がった肉を片っ端からご飯に乗っけてかっこむ神楽はまだかわいい。自分も他の男子のところに行けば良かった、いや、ここで自分がいなくなると、妙がまた暗黒物質を錬成してしまう。それを差し入れに持ってこられたら3Zは全滅する。
「ヅラ-。そっちは肉焼けたアルか?」
 そんな新八の葛藤をさっさと無視して、神楽は肉を漁りに行ってしまった。幾つか積み上げたかまどの一角では、桂が伊東とともに、焼けた肉を皿に取り分けている。
「あ、ちゃんと焼けてるアルな。よしよし」
「駄目だぞリーダー」
 伸ばされた箸を、桂はやんわりと止める。口を尖らせる神楽の前で、伊東が皿を取り上げてしまった。
「何するアルかけちー」
「けちじゃない、桂だ。これは、裏庭にいる猫さんへのお土産にしようと思ってな」
「ねこ?」
 神楽の目がきらきらと輝く。桂君、と伊東が小声で制するが、桂はお構いなしに言葉を続ける。
「時々見かけるのだ。首輪もなかったし汚れていたから、おそらく野良の猫さんなのだと思う。なので、見かけたときには餌などやっていたのだ」
「ヅラぁ、何でそれをリーダーの私に言わないアルか」
「すまん、リーダー。だが、学校で猫に餌をやっていると知れると、また風紀委員がうるさかろうとな。秘密は、誰かに話したらその時点で秘密ではなくなるからと、伊東が」
「…………ふーん」
 神楽の顔は桂から伊東に向けられた。眼を細めて、と言っても「にっこり」というかわいらしいものではない。ニヤリというか何というか、とにかく太々しい顔で笑う。
「……何かね、その顔は」
「ヅラと僕との二人だけの秘密アルか? いやらしーなー」
「べっ、別にいやらしくなんかないぞっ」
「だって、お前も風紀委員なのに、取り締まらなくていいアルか?」
「な、何の罪もないいたいけな猫を、どうして取り締まれというのだっ。かわいそうじゃないかっ」
 どもりながら耳まで真っ赤にしている理由を問い質してもよかったが、伊東はともかく猫が絡んでは桂も敵に回しかねない。餌をやるときには自分も連れて行けという約束をかわして、神楽はそれ以上の追求を止めた。代わりに桂の皿からホタテを奪う。
「何だヨこれ冷たくなってるアル」
『自分が皿に入れたのですが、桂さんたら猫の餌確保に夢中で』
 そう言いながらエリザベスは、桂の皿に新しいホタテやイカを乗せていく。
「エリザベス。気持ちはありがたいが、煙には気をつけろよ。匂いが移るからな」
『大丈夫です桂さん』
「そうネ。どうせもう加齢臭ばりばり染みついてるアル、これ以上臭くなってもおんなじネ」
「どーせだったらファブリーズでもかけやすかぃ?」
 いきなり、にゅっと突き出されたスプレー缶が飛沫を吐き出した。慌てて避ける間もなかった。エリザベスの顔面に、それはまともに降りかかる。
「沖田君っ。何をしているんだ君はっ」
「臭い対策ならこれかなーと」
「火のあるところでそういうものを使うんじゃない、危ないじゃないかっ」
 仁王立ちで怒る伊東の後ろでは、真正面から食らったエリザベスがケホケホと咳き込み、桂に背中をさすられている。
「あ、失敗した」
「何が失敗しただ。これは没収!」
「てか、何しに来たアルかっ。言っとくけどここの肉とホタテとイカとニンジンとカボチャと椎茸とご飯は全部神楽様のものアル、お前にやるようなものはないネ!」
「んじゃ、玉ネギもーらい」
「それもダメアルっ」
 煙を上げるかまどを前に、沖田と神楽が睨みあう。均衡を破ったのは沖田の方だった。ほらよ、と、後ろ手にしていた皿を取り出す。
「あーーーーっ。まだお肉がこんなにたくさんっ」
「向こうから持って来たんでさぁ。余りそうだったんでねぃ」
「仕方ないアル。その四分の三を私にくれることを許すアル」
「取りすぎだろぃゴークツ女」
「誰がゴークツアルか」
 目をつり上げつつも、沖田が皿を置いて肉や野菜を並べていくのを、神楽はそれ以上止めはしない。愛しいペットに無体を働かれた桂も、横目で沖田を睨むがそれだけだ。ため息をつきつつ、伊東が口を開く。
「しかし、こんなに持って来て良いのかね」
「いーんじゃねぇですかぃ。どうせ向こうは殆ど人がいやせんし」
 ほれ、とトングの示す先を見れば、土方が一人で肉を焼いている。そばの皿は、こんもりと黄色い山ができあがっていた。
「つーか何でみんな、わざわざそっち行くんだ。狭ぇだろっ」
「アンタがせっかくの肉を生ゴミにするからでさぁ」
「総悟ぉぉっ」
「……成る程」
「それは仕方ないアル」
 なるべく土方の方を向かないように、伊東と神楽は肉の焼け具合を見守る。『あっち見ちゃいけませんよ』というエリザベスの忠告に首を傾げていた桂は、不意に「あ」と声を上げた。
「長谷川さん」
「え、マダオ戻ってきたアルか?」
「あぁ。土方の方に」
「「「「なにぃぃぃっ!!??」」」」
 四つの声が重なった。今の、野太い声は誰だろうと考え込む桂をよそにそっちを(黄色い山が目に入らないように気をつけながら)見てみると、確かに頭に包帯を巻いた長谷川がひょこひょこと土方の近くに腰を下ろしていた。
「あっれー。何でここ空いてんだ? まぁいいや」
「マダオ、ダメアルっ」
「そっちは劇物発生してる危険地帯でさぁ」
「戻って来たまえ長谷川君、命を無駄にしたいのかっ?」
「お前ら何言ってやがるっ。特に総悟っ」
「え、何なんのこと? あ、ヅラっちもこっちおいでよ。空いてるよー」
「……呼ばれたが、どうしたらよいだろうか」
「ダメネヅラ、あっちに行っちゃ死んじゃうアルっ」
『絶対いけません、お願いです桂さん』
「今回ばかりはチャイナと同意見だぜぃ。行って生きて帰ってきたヤツぁいねーんだ」
「そうだ。長谷川君のことは諦めろ」
「いい加減にしやがれぇぇっ」
 怒鳴る土方の手元で、肉が香ばしい煙を上げる。
「あ、焦げちゃう焦げちゃう」
 のんきに肉をつまみ上げ、タレを探そうと彷徨い始めた長谷川の目が、一点で止まった。すなわち、土方のすぐそばにある、マヨをうず高く盛り上げた取り皿。
「………………うーん……」(ばったり)
「長谷川さんっ」
「え、ちょ、おい長谷川さんっ? 何で倒れてんだ、まさかさっきやられた頭の傷が……!」
「今回、俺ってこんなんばっかり……(がく)」
 慌てる桂、土方、その他ギャラリーを横目に、神楽たちは重い息を吐く。
「マダオもバカアル、空いてる場所なんかにこだわったせいで……」
「貴い犠牲その2ってヤツでさぁ」
「我々がもっと早く彼に教えてやっていれば……っ」
 とにかく、そのままにしてはおけない。が、うかつにマヨ成分が充満する危険地帯に近寄って二次災害を引き起こそうというものが3Zにいるはずもなく(桂は救出に向かおうとしたが皆に阻止された)、土方が安全地帯まで長谷川を引っ張ってきて、それから保健室送りとなった。
「そんなことやってたら、肉が焦げちまったぜぃ」
「お焦げ部分をこそげ落としたら、何とかならないだろうか」
「止めた方がいいと思うぞ」
「しかし、勿体ないではないか」
「だったら猫にでもやりゃぁいいんじゃねーか」
 低い、喉の奥で笑うような声は桂の後ろからした。はっと、全員が振り返る。不機嫌そうに肉をマヨまみれにしていた土方も、それまで屍だった近藤も、目を見開いて顔を上げた。もちろん、銀八も。
「お前…………っ!」
「よぉ」
 左目を眼帯で覆った顔で、細い肩に体重を預けながら、高杉晋助は口の端を持ち上げてみせた。



                       ~続く~
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by wakame81 | 2010-01-13 00:37 | 小説。  

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