お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

かみさまのいうとおり:5

キリの良いところで区切ろうとすると、ページ数が中途半端に8まで行きます(爆)。なので、読みづらいの覚悟で詰めさせていただきましたー。







 ジャーマンスプレックスを炸裂させて、妙はコホンと咳払いをする。
「罰として、今日は桂さんご飯抜きです。さ、新ちゃんも神楽ちゃんも朝ごはんにしましょ。卵焼き、今温めなおしますから」
 途端、子供たちの顔が引きつった。
「え、姉御が作ってきたアルかっ?」
「そうよ。新ちゃんが、今日食事当番じゃないっていうのに料理するっていうものだから。出勤までまだ時間があるし、お昼もお夕飯も作りおきしてくからね」
「ちょぉぉぉぉぉぉっっ」
 慌てて神楽は妙の袖に縋りついた。ちなみに新八は、諦めモードである。
「姉御、そんなん悪いアルっ! 姉御も忙しいのにっ」
「大丈夫よ。近頃うちでも新ちゃんばっかりが作ってたんだもの。たまには腕を震わせて。実は、すごく楽しみにしてたのよ」
 妙まで連れてきたのはその為か。戦場に生きる猛者の、血に飢えた眼を一瞬新八に向け、すぐに妙に向き直る。作る気満々の妙を止めるのは至難の業、ならできうる限り被害者を増やして、自分のダメージを薄めなければ。
「あ、姉御っ。ヅラにまで食べさせないのはさすがになんでもかわいそうアルっ。せっかくの姉御の手料理なんだから、ご飯あげるべきネ」
「でも神楽ちゃん」
「姉御が怒ってくれただけで充分ネ。私もう怒ってないアル。ヅラだって、知らないでやったんだし、許してあげるアル」
「そう? 神楽ちゃんが言うなら仕方ないわね」
 これで何とか致死量ダメージは免れた。あとは、桂の取り分を多くすればいい。大丈夫桂なら死なないだってヅラだもん。神楽の顔は安堵にほころび、新八もほっと胸を撫で下ろす。桂(in銀時)も、そもそも何で怒られているのかそこからまったく判ってないのだがとにかくご飯にはありつけることだけは理解して、さすがはリーダーと頷いている。
「あ、新八君。ご飯は炊けているから」
「知ってますよ、昨日帰る前にタイマーセットしておいたのは僕ですからね」
「成る程、新八君だったのか。俺はてっきり、どこの小人さんかと」
「んなわけないでしょーが」
「こらヅラぁ、私の可能性は無視アルか。戦力外通知かコノヤロー」
「それじゃ、あとはお味噌汁と、お魚も焼きましょうか?」
 機嫌を直した妙が、台所のドアを開ける。さて腕を奮うわよ、と気合を入れて回されていた腕が、ピタリと止まった。
「あ、お妙さんお早うございます! ご飯も炊けてますし、味噌汁ももう少しで沸騰しますから! あとは、漬物とデザートにバナナですかなはっはっはあぶわっ」
「銀さん、にはあとで言うとして、新ちゃんも神楽ちゃんも、掃除はちゃんとしなくちゃだめよ。ゴキブリがすぐ沸いてくるから」
「いやそれ連れて来たのは姉上」
「何かしら、新ちゃん?」
「いえいえいえ何でもないですそうですねお掃除気をつけますハイっ」
「じゃ、とりあえずコレ捨ててきてもらえるかしら?」
 と顎で指し示された、フリルエプロンを着たゴリラもとい近藤を、新八は困った顔で見つめる。ちなみに神楽は、妙がゴキブリの「ゴキ」まで言ったところで敵前逃亡を果たしている。
 鼻と口から血を流したままの状態で捨てるのも悪いが、しかし妙の命令である。どうしたものかと視線を巡らす新八の耳に、低い呟きが入った。
「……近藤……」
 はっと顔色を変える。そうだ、今は桂がいるのだ(外見銀時だが)。ばれたらややこしいことになる。やっぱり捨てるかと思い切る直前、がばっと巨体が起き上がった。
「万事屋ぁっ? お前、何て格好をしているっ」
「あ。」
 そういえば、上半身亀甲縛りのままでした。
「キサマぁぁぁっ、お妙さんの前でそんな、そんなハレンチな格好おおっ。お妙さんの天使のような純粋な眼を汚らわしいもので穢すつもりかぁぁぁっ!」
「いえこれは深い?事情があるんですっ」
「問答無用、今ほどいてやるっ。そんな格好でお妙さんをムラムラさせようなんざ、許さんぞぉぉぉっ!!」
 鬼の形相で飛びかかる近藤を、桂(in銀時)はひらりとかわした。近藤もさるもの、逃げ回る銀時(中身は桂)を追って手を伸ばすものの、上半身の使えない状態で桂(in銀時)はフットワークだけでその手から逃げる。狭い台所、新八もいるし妙など近藤の作ったものを全部捨てて新しく作り直しているというのに、その邪魔になることもない。
 いや。
「待てぇぇぇい万事屋、逃げるな、お妙さんの邪魔になるだろぉぉっ」
「アンタが邪魔じゃああああっ!!」
 ラリアットが炸裂し、近藤は壁にめり込んでノックアウトする。妙はぱんぱんと手を払うと、壁から近藤を引っこ抜いてゴミ袋につめて新八に押し付けた。
「さ、ゴミ収集車が来る前に出してきちゃって」
「姉上、今日はゴミ収集ない日です」
「いいから捨ててきなさい」
 ぽいっと台所から放り出される。仕方ない、腐っても真選組局長、外に出しておけば脱出するだろう。そう割り切り、ずるずるとゴミ袋もとい近藤を引っ張って玄関に向かう。と。
 がらがらがら。
「すいやせーん、うちの局長来てやせんかー」
 ぴんぽーん。
「あのー。せめてドア開ける前にチャイム鳴らしてもらえませんか?」
 まずいのが来た。しかも沖田の後ろから、火のついてないタバコを咥えながら土方も現れる。後ろを振り返りそうになるのを、新八は堪えた。桂(in銀時)は奥にいる。二人の目的は今目の前にいる近藤だ。ここで引き渡して速やかにお引取りいただければ。
「んで、何やってんだ万事屋その格好は」
 最初鋼色の眼を見開いて、次に眉と眼を潜めて、ついでにごしごしとこすって、それからこめかみに手を当てて顔をしかめる土方に、はっと新八は振り向く。
「それはこっちの台詞だ。何で貴様らがここにいる。とっとと出て行け芋侍」
「って何で出てきてんですかぁぁぁっ!!」
 慌てて近藤の入ったゴミ袋を放り出し、桂(in銀時)に駆け寄る。
「誰か来た気配がしたのでな。ところで新八君、これほどけないのだが。解いてくれないだろうか」
「あーはいはい解いてあげますから奥行っててくださいっ」
 早いところ桂(姿は銀時だが)を奥へ引っ込まそうと新八は焦る。が、その前に、沖田が割り込んだ。
「へー、こいつぁいい縛り具合だ。この縄の張り具合、結び目の位置に硬さ、素人が見よう見まねでやったモンじゃねぇ。まさにプロの仕事だ」
「何で見ただけでそれが判るんですか沖田さん」
「おっと、ほどくのはまだだぜ。後学のために、もうちょっと見せなせぇ」
 それこそ犯罪の重要な証拠を検分するような眼で、沖田はまじまじと銀時(中身は桂)の身体を戒める縛り目を見つめる。新八は気が気ではない。桂(in銀時)も、わずかに身を引く。茶の瞳に、緊張が走る。
「旦那ほどのドSにここまでの縛りを施すとは、只者じゃぁありやせんね。どこのどいつの作品ですかぃ?」
「それを知ってどうする」
「俺も、サドの星から来たサド王子とまで言われた男。Sの覇道を歩むヤツが他にいるなら、顔でも拝んでみてぇんでさぁ」
 何だったらリベンジ手伝いやすけど、と笑う沖田を、桂は「そんなつもりはない」と一蹴する。
「たとえつもりがあっても、貴様ら芋侍の手を借りる気などない」
「ちぇー、残念」
 残念だとはちっとも思っていないような、さっぱりとした顔で沖田は笑った。
「たまには、俺が旦那に貸し作るのも楽しそうだったんですけどねぃ」
 銀時(中身は桂)の白銀の眉が、小さく寄せられる。
「……貴様程度に、貸しを作るような相手ではないぞ」
「判ってまさぁ。ま、気が向いたら作られといてくだせぇ。そしてついでに」
 ニっと口端を持ち上げて、口を耳に近づける。
「土方のヤローをぶっ潰す計画に協力してもらえれば」
「聞こえてんぞ」
 ゴチン、と遠慮のない拳骨が、明るい茶の頭に落ちた。
「痛ってぇ。何しやがんですかぃ土方さん」
「何しやがんですじゃねぇっ。何恩売るつもりで万事屋抱き込もうとしてんだっ。そもそもお前らが手を組むとろくなことが起こりゃしねーんだよ、離れろっ」
「何でぃ土方さん、ヤキモチですかぃ気色悪い」
「そうなのか芋侍。気色悪いな貴様こそ離れろ」
「阿吽の呼吸を発揮しまくんじゃねぇっ」
 鋼の瞳がじろりと睨みつける。沖田も、そして桂(in銀時)ももちろん恐れ入るようなタマではない。が、ふと土方は瞬きをした。顎に手をあて、首をかしげて銀時(中身は桂)を見つめる。
「……何だ」
「いや、何だか」
「じーーーっと見つめあいなんかして、気持ち悪いですぜ旦那も土方さんも」
「そうだ、気持ち悪いぞ芋侍」
「それだ」
 大きな声をあげて、土方は手を打った。
「オメェと沖田の息の合い具合が、いつもと違う。いつもはもっと、怒涛のように言葉を畳み掛けるじゃねぇか。ドSコンビの名に相応しいほどのネチっこさが今日はねぇ」
「ネチっこさの差が判るなんて、アンタ相当なドMですねぃ。いっそ、M方M四朗って改名したらいいんじゃねぇですかぃ」
「しねーよ俺はMじゃねぇっ。したとしてもMはマヨネーズのMだっ。それより」
 改めて、土方は銀時(中身桂)に向き直る。
「いつものネチっこさがマヨ作ってる間に赤唐辛子を横からぶち込むようなやりかただとすれば、今日のオメェは一刀両断に叩っ切るような、その後みじん切りでタマネギを細かくするような、そんな感じだ」
「いや土方さん、喩えがよく判りません」
「なんて言うか、」
 そこで土方はしばし考え込み、やがて口を開いた。
「…………桂が俺たちをののしるみてぇな」
「あっ!!」
 咄嗟に新八が大声を上げた。皆の視線が集中する、その刹那、沖田が土方を睨むように一瞥する。
「そうだ土方さん、沖田さんも近藤さんを探しに来てたんですよね。すいませんここなんですっ」
 いつも以上に声を上ずらせながら新八は玄関に放り出されていたゴミ袋(ちなみに昔大江戸で使われていた、今は使用禁止の黒不透明)の口を開けた。は?と眉をひそめた土方だが、すぐに中にナニが入っているのか察し、大股で駆け寄る。
「ちょ、近藤さんっ、なんてひでぇ姿にっ」
 妙がしっかり口を閉じて輪ゴムで密閉したために、既に酸欠状態で顔が真っ青通り越して土気色である。白目まで剥いて、まるで窒息死体そのままだ。
「てめぇ万事屋、何て事しやがるっ」
「ゴミだ、ということでな。捨ててこいとの達しを受けたので」
「……のヤロっ!」
 土方が動く。桂(in銀時)は平然と待ち受ける。もちろん縛られたままだ。新八が割って入る間どころか、目で追うだけでいっぱいだった。腰の鞘から白刃が迸り出る、その瞬間。
「おっと、危ないですぜ」
 沖田のかけた足払いが、きれいに土方に決まった。横槍をまったく想定してなかったのか、土方は受け身を取り損ねた。顔面直撃だけは辛うじて堪えたが、派手な音と共に床に激突する。
「今ここですべきなのは、旦那斬ることじゃありやせん。近藤さんを病院に連れてくことだと思いやすが。いかがでしょう土方さん。おーい土方さん? 死んじまいやがりましたか土方コノヤローそのまま三途の川渡っちまえ」
「頭の上に乗りながら言う台詞かぁぁぁっ!」
 沖田を頭に乗せたまま強引に起き上がった土方は、ぎりっと銀時(中身は桂)を睨みつける。同じ高さにある眼を少しだけ上目遣いに、何かを見極めるようなまなざしを一瞬送り、やおらゆっくりと息を吐いた。
「今日は急ぎだ、見逃してやる。次会ったときは覚えてろよっ」
 袋の中から引っ張り出した近藤を肩に担いで、土方は出て行った。後から沖田も続く。敷居をまたぐ直前で振り返り、じっと桂(in銀時)を見つめた。
 ちょっとだけ眉をひそめて、訝しんでいるというよりどうしよっかなと悪戯を思案しているような顔で、けれどそれはすぐに、人好きのする笑顔に変わった。
「んじゃ、また。あ、渡しそびれたけどこれ土産ですんで」
 ぽいっと放った紙袋を新八が受け取る。桂(in銀時)が見据える中、沖田は手をひらひらさせて姿を消した。




                        ~続く~
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by wakame81 | 2010-01-04 22:42 | 小説。  

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