お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

かみさまのいうとおり:3

おかしい、書いても書いても終わらない……三が日中にあっぷするはずなのにー。
入れ替わり銀桂、まだ銀さんのターンからスタートです。







 プラカードをハイキックで叩き割る。周りの人たちが何事かとこちらを、しかもさっきより遠巻きにして見ているが、あとの祭りだ。そして看板を割られた当の本人は、平然たる顔で裾から新しいものを取り出した。どうでもいいが、しまい込む場所を考えて欲しい。オッサンのすね毛たっぷりの生足なんか見ていてちっとも楽しくない。
『できなくともやってもらう。幸い、今回は桂さんをよく知る人物も同席する。そいつにフォローを頼むから安心しろ』
「安心できねーよ。つーか、その程度でフォローできるなら俺っつーかヅラがいなくてもいいんじゃね?」
『そんなわけにいくか。それとも、桂さんのふりもお前はできないか?』
「あんな電波のふりなんか俺どころか誰にもできるわけねーだろ。どこから受信してんだ、M38星雲か、それとも惑星ウロボロスか?」
『普段あれだけ腐れ縁をアピールしているくせに、その程度か』
 銀時(in桂)より一回り高いところから見下ろしてくるつぶらな瞳が、フフンと小馬鹿にしたように笑う。売り言葉に買い言葉だと理解する前に、やってやろーじゃねぇと口走っていた。
「万事屋銀ちゃん舐めんじゃねーぞ。秘湯っつーんなら山のご馳走出るんだろーな、蕎麦だけだったら許さねーぞ。それと江戸に戻ったらパフェおごれよ、一日につき十個な」
『今の身体で食べても、桂さんの栄養にしかならないと思うが』
「いーんだよ、味わうのは俺の魂なんだから」
 ジャンプの禁断症状は、何とかして抑えよう。そう開き直った銀時(in桂)は、ちょうどやってきた汽車に乗り込む。当駅始発で、誰も座ってない向かい合わせの席をエリザベスと二人で占拠する。出発まであと五分お待ちください、という呑気なアナウンスを聞き、どうせだったら駅弁食いたいなぁと呟いてから、ふと頬杖をついていた手から顔を上げた。
「そういやさ、これも一応お前らの活動の一環なんだろ」
『一応とはなんだ。大事な活動だ』
「そーいうのにさ、部外者の俺が首突っ込んでいいわけ」
『仕方ないと、さっき言っただろう』
「いや、てかさ。重大機密というか」
『漏らすようなタマなのか』
 出発を告げるチャイムが鳴った。屋根のない駅では音が大気に拡散して、気の抜けたソーダのように聞こえる。ドアが閉まり、がたんと車体が揺れ、銀時(in桂)は危うくバランスを崩しそうになった。
「んなわけねーだろ。クライアントの秘密は死んでも守りまーす。業界での常識だろーが」
『桂さんがそれを理由にお前を仲間に引き入れようという心配なら、無用だ』
 揺れる汽車の中だというのに、エリザベスは器用に文字を綴る。淀みがなくて、却ってよそよそしいくらいだ。
『桂さんは、そんなことを望まない』
「……知ってんよ」
 頬杖をつき直して、窓の外を見やる。民家はまばらで、畑や森が主だ。起伏の多い土地だけれど、江戸よりもずっと空が広い。そんな気がするのは、この身体に引きずられているからなのだろうか。


 15時半。
「うむ、労働というのはやはり心地よいものだな」
 爽やかに汗を拭い、出してもらった茶へ手を伸ばす。煤払いの後だけあって身体は埃っぽいが、きれいに掃除をした後は心も清々しい。小春日和に相応しい仕事だ。
「ポカリのCMばりの爽やかな一時装ってますけどね桂さん。こっちは全然爽やかじゃないですからね。てか、アンタのしたことって埃撒き散らしただけですからね」
「煤払いなのだ、撒き散らすのは仕方あるまい」
「限度ってもんがありますよっ。何だって、あとはちりとりで取るだけのものをホウキで思いっきり吹き飛ばすんですかっ」
 おかげで最初からやり直しじゃないですか、と、桂(in銀時)以上に煤まみれの新八が怒鳴る。やる気がない銀時も面倒だが、やる気だけが有り余っていても仕事の効率が上がらない、いや余計に厄介なのだと、知りたくなかった。神楽も一緒になって埃を撒き散らして遊ぶものだから、新八の苦労ばかりが増えていく。
「怒ってばかりいても仕方がないぞ新八君。少し休憩したらどうだ。手を洗っておいで。……いや、手だけでは足りないやもしれんな。いったいどう掃除したらそんなことに」
「アンタらのせいでしょうがぁぁぁっ」
 そんなこんなで、元から一日仕事だろうと思っていた、お寺の煤払いは予想以上の重労働となった。桂(in銀時)のぶんまでお茶請けをもらった神楽は上機嫌だが、新八のHPの現象具合が著しく酷い。開始時間が早くなかったら、今頃まだ終わらなかっただろうと思う今は夕暮れ時である。
「今日もよく働いたなぁ」
「久しぶりに腹一杯ご飯食べられそうアル」
「それはよいことだ、リーダー。よく働くからこそ腹もよく空き、睡眠もしっかり取れる。これが、健康的な生活の第一歩だ」
「ヅラー、今日卵かけご飯どんぶりで食べていいアルか?」
「うむ。いっぱい食べろ。野菜もな」
「ちなみに今日の稼ぎで、先月分の家賃と光熱費払わなきゃいけないですからね。忘れないでくださいよ二人とも」
「そうだ、蕎麦も準備しよう。リーダーが野菜をいっぱい食べられるように、かき揚げ天蕎麦にしよう」
「マジでか。誕生日みたいアルっ! だったらケーキもつけるアル。もちろんホールネ、カットケーキなんてしみったれたもんは神楽様の胃袋には合わないネ」
「そうだな。今日はリーダーはよく頑張ったから、ご褒美だ」
「話聞けよ」
 普段とは違って気前の良すぎる万事屋の主(外見だけ)の腕に、神楽はぶらさがって離れない。いつもは銀時と神楽の互いの照れが邪魔しあって見ることができない光景だけに、本当に仲の良い親子に見える。そう思うのは新八だけではないようで、商店街を行くとあちこちから声をかけられた。
「おや、今日は仲がいいねぇ」
「一稼ぎできたのかい、銀さん」
「どうせだったらその稼ぎ、ウチで落としていきなさいよ。いいコいるよ」
「銀さーん、安くしとくよ、うちの店寄ってかないかい」
 その声の一つひとつに、普段眠そうな目をした男は控えめだけど柔らかい笑顔を返していく。若い娘やきっぷのいい奥さんたちはあら、と夕日の照り返しを受けたかのように頬を染め、おやじさんたちはヒュー、と口笛を吹き、ありゃぁ絶対イイヒトが、とにやにやと笑う。
「あ、銀さんじゃん。どうしたのご機嫌そうで」
 道に座り込んだまま呼び止めたのは、長谷川だった。師走も間近な夕暮れ時、日の沈んだ空の下で作務衣一丁に素足に草履という暖かいとはいえない格好である。
「何、一稼ぎしたって本当? いーなぁ銀さんは。普段金ない金ないっつっても仕事はちゃんと入ってくんじゃん」
「羨ましがるならちゃんと探してくださいって。日雇いとかでも何にもならないんですか?」
「いろいろ探してるんだけど、こればっかりはねー」
 そう言う長谷川の手には空の酒瓶が握られていて、顔もどことなく赤い。じと目で新八がそれを指摘すると、「寒いからこれで身体を温めてたんだよー」と苦笑混じりに返された。
「言っときますけど、今日の稼ぎは家賃と光熱費に消えるものですからね。長谷川さんにおごる余裕はありませんからね」
「何だか今日は冷たいね、新八君」
「そうだぞ、どうしたのだ新八君。今日のお蕎麦に長谷川さんもお呼ばれするくらい良いではないか」
「アンタがそうやって、神楽ちゃんだけじゃなく長谷川さんまで甘やかそうとするからでしょーが。マジでこっちは余裕がないんですからね」
「そうアル。マダオにご飯やったら家までくっついてきて離れないアル。庭先で目を潤ませてきゅーんきゅーん泣き続けて、飼うしかなくなるアル。ちゃんと面倒見切れないなら、拾ってきちゃダメ、これ鉄則ネ」
「神楽ちゃん、マダオは犬と違うよ」
「そうだぞリーダー。長谷川さんには残念なことに肉球がないのだ」
「そう言う問題じゃ……」
 新八はそう反論しようとするも、まさに捨てられた犬のような目で長谷川がきゅーんきゅーんと鼻を鳴らしているのを見てツッコミを引っ込めた。桂(in銀時)まで、ちょっと目を潤ませているし、銀時の外見でやられると非常にうっとうしい。
「んじゃさ、ご飯おごったりしなくていいから、お金貸してくんない。ちゃんと返すから」
「アンタのどこに借りた金返す余裕があるんですかっ。だったらとっととサラ金返してちゃんと働ける身体になりなさいよっ」
「どこって、ほらそこ」
 そう指さされた先には、派手な音楽とじゃらじゃらいう金属音を流しながらぺかぺかキラキラしている場所で。
「銀さんもこないだすっちゃったって言ってたじゃん。どう、リベンジに」
「ちょ、長谷川さんっ」
「借りは返さなくちゃいけないじゃん。ね、ね?」
 指を曲げた手のひらを見せて左右に回す独特の仕草をしながら長谷川は銀時(中身は桂)を誘う。同じように手を動かしながら、首を傾げていた桂(in銀時)はろくな抵抗もせずパチンコ屋に連れ込まれ。
 数十分後。
 ビギナーズラックというのはあるのだなぁと、新八は妙な感想を覚えながら、玉を吐き出し続ける桂(in銀時)の台を眺めていた。
「すげーや銀さん、バカづきじゃんっ! なぁこれちょっとだけ分け」
 伸ばされた手を、神楽が掴む。
「ふざけんじゃねーヨマダオ。部下の稼ぎはリーダーのものアル。これは全部、酢昆布とご飯ですよに交換するアル」
「え、そんなぁぁ~~~」
 とっくに持ち玉をすった長谷川が、悲痛な叫びを上げる。とにかく、すごい稼ぎだ。運というものは恐ろしい。
「でもこれで、桂さんにパチンコ癖がついちゃったらエリザベス先輩とか部下の人たちに殺されそうだよね」
 苦笑しながら新八は、桂in(銀時)へと眼を向ける。と、ちょっと必死の形相で、玉の出口を塞ごうとしている姿が目に入った。
「あ、丁度良い新八君。これ、止まらんのだがどうすればいいだろうか。故障かもしれん、店の人を呼んできてもらえるか?」
「これは玉がいっぱい出るもんなんですっ、押さえてたら逆に壊れちゃいますっ!」
 慌ててどけさせると、今までよりさらに強い勢いで玉が流れ落ちる。慌てて店の人を呼んでドル箱持ってこさせて、積み上がったものを景品(主に神楽の希望通りに酢昆布)と交換して、一部は長谷川にあげて、一行はパチンコ屋を後にした。
「これでしばらく酢昆布に困らないネ、キャッホォォォォゥゥゥっ」
「いやー悪いね銀さん、カップ麺とかおごってもらっちゃって」
「うむ」
 腕組みしたまま重々しく頷く桂(in銀時)に、新八はふと心配になる。長谷川もそれに気づいたようで、サングラスがずり落ちるのも構わず白ふわな前髪に覆われた顔を覗き込んだ。
「ひょっとして、怒ってる?」
「いや、そうではない。ただ、残念なだけだ」
「残念って、何がですか?」
「てっきり、銀の玉を五個集めれば、金の玉と交換できると思ったのに」
「いやそれチョコボールと違いますから」
 冷静に突っ込む新八と違い、長谷川はギャグと受け取ったようだ。いやー銀さん上手いこと言うねぇとひとしきり笑って背中までばんばん叩いて、上機嫌で去っていった。
「てか、すっかり暗くなっちゃいましたね」
「うむ。早く帰らないと、定春殿が心配するやもしれんな」
「そうアル! お腹空いたってきっと泣いてるかもアル」
「それは大変だ」
 柔らかい笑みに、新八は息を飲んだ。銀時はもちろん、桂のこんな屈託のない笑みもそうそう見れはしない。けれど今日は、余程機嫌が良いのか、さっきからにこにこしっぱなしだ。
 銀時の肉体に入っていることで、攘夷からも完全に解放されているのだろうか。
(だったら、もうちょっと……)
 仕事の苦労は三割増しだけれど、悪気があってのことではない。桂(in銀時)にあう仕事もあるだろう。
「リーダーリーダー、定春殿はあまりの寂しさにお帰りなさいのハグをしてくれるだろうか」
「定春の全力でそれやられたらアンタ死にますよ」
「そうか、死ぬほどのハグ(肉球つき)かぁ……」
 前言撤回。心なしかではないほどに染まった顔の気色悪さに、新八は強くそう感じた。
 とっとと元に戻ってくれないと、自分の身が保たない。



                                ~続く~
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by wakame81 | 2010-01-03 00:58 | 小説。  

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