お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

少年よセカイを開け:4

これでラストです。ここから、フラグ編の話になります。
甘さが足らないというか、コーヒーに砂糖ちょびっとだけ入れてかき混ぜなかったような糖分配合はいかがなものか。

拍手いろいろ頂いてます、ありがとうございますー。
お返事はまた後日で(ぱたり)








 昔の事件のファイルをめくる。せっぱつまった頭でこじつけた報告書は、今こうして読むとずいぶんと矛盾に満ちていて、笑えてきた。
 日付は二年前の夏、伊東鴨太郎の乱のすぐ後だったことをようやっと思い出した。
 あの動乱で、沖田はしくじった。にわかにやってきた沖田にすべての手の内をさらすほど、伊東も愚かではなかった。鬼兵隊が裏にいることに気づくのに遅れ、近藤を危険にさらし、それでも一人で何とかなると過信とヒロイズムからなる単独行動は、結局伊東はじめ多くの隊士を失わせ、近藤を深く傷つけた。
「ご苦労様です、沖田隊長!!」
 鬱陶しいのが書庫に顔を出す。半分うんざりしながらも、出された顔が六角事件の真相を知る、ただ一人だったことにほっとする。
「六角宗春が死したのは沖田隊長のせいではない!! あれはっ…」
「ほっとけ。そいつは問題じゃねェんだ」
「ほっとくってまさか隊長、その娘つかまえもせずに野に放したんですか? (中略)自分我慢出来ないっス!! 沖田隊長の潔白を証明してきます!! (中略) 全部正直に話してきます!! もう我慢できません!!」
「ほっとけって言ってんのが聞こえねーのか」
 前言撤回、やっぱりうざいだけだ。少し脅して黙らせてみたが、余計なことに口を噤んだだけで、うざいことに変わりはない。
 汚名とか父親を死なせたことを気に病むとか、そんな大層なことではないのだ。
 同じようにたった一人ですべてを背負おうとした男に興味を引かれて、護ろうとしたものを最後まで護らせてやっただけだ。自己満足かもしれないと、薄々気づいてもいる。
 だが、どうせ乗りかかった船なのだから、最後までやり通す。ただ、それだけのことだ。


 せっかくの決意空しく、一人で背負おうとしたものはみんなの手を借りるはめになってしまった。しかも、万事屋のチャイナ娘を巻き込むという、最悪の失態つきで。
 旦那らのお節介も、考えもんだよなぁ。
 半死状態では警らもままならない。さぼろうか迷う中、舞い込んだ手紙がせめてもの救いだ。いや、沖田が護り通したわけじゃないから、やっぱり失態か。
 それでも少しは浮上した気分で、ケーキ屋に寄る。こういう時は土方をいぢるに限る。チャイナ娘のせいで失敗した「ケーキにタバスコ作戦」を仕込み、では実行のために屯所へと戻ろうとした沖田は、数歩進んだところで足を止めた。
 真夏には暑苦しい、黒の法衣が雑踏の向こうに佇んでいる。手のしゃく杖が涼しい音を立て、笠の下から緩く束ねられた黒髪が流れる。まっすぐに沖田へ向いていた僧は、くるりと背を向けた。
「待っ」
 早足ではない、けれど人混みをするりと抜けていく後ろ姿を追う。大通りから細い路地へと入った先で、彼は沖田を待ちかまえていた。
「……桂」
 呼ぶ声に、笠が外される。二週間ぶりだろうか。続けざまに失態を見られている身としては、懐かしいどころではない。踏み込めば手に届く距離にいるのに、すごく遠く感じる。
「思っていたより元気そうではないか。多少は凹んだものかと思っていたが」
「……そっか。創界党のことも、全部知ってたんだな」
 大きく息を吐き出す。日陰とはいえ夏の午後のこと、熱された空気は淀み、深く吸い込んでも気怠さは薄れることはない。
「いつから、真相に気づいてたんでぃ?」
「知ってどうする」
「好奇心を満たしたいだけでさ」
 期待していなかったが、桂はゆっくりと口を開いた。
「六角屋の主人を斬ったのが誰かということなら、未だ知らん。知る気もない。彼が創界党と通じていたことなら、当時からな」
 まぁ当然だ。沖田自身その事実を、後からとはいえ掴む事ができたのだ。それを黙っていたのは、誰かに気を使ってくれたのか。
「それで、何の用でさぁ。まさか、最後まで筋を通せなかった俺を笑いにきたとか?」
「まぁそんなところだが」
 地味に凹んだ。澱のように体内に溜まっていく重い何かをせめて桂に悟られないよう、琥珀の眼をまっすぐ見返す。
「そもそもたった一人でどうにか、というのが間違っているのだ。貴様が一人で動こうとするから万事屋も首を突っ込むし、当然真選組も動く。他人が思い通りに動くなど考えるほうがおかしい。人が一人でできることなどたかが知れている。できることとできんことの見極めがつけられぬようでは、まだまだ貴様は童のままだ」
 正論ではある。が、だからこそ神経を逆撫でされる。いっそ斬りかかったら逃げられて、それで終わりにさせるかなイヤイヤそれだとまたガキ扱いされるだけだ、と口の中で呟いていた時だった。
「ま、ぎりぎり及第点といったところか」
 耳を疑う。へ、と間抜けな声が口から漏れる。眼を瞬かせてから、驚きを隠せなかったことを後悔した。
「もちろん、貴様一人の評価ではないが」
 くすくすと、笑い声があがった。まるでなだめられているような眼に、我に返る。
 今、自分は誉められたのか?
「かといって、慢心せぬことだ。いや、そうする要素などどこにもないか」
「……桂っ」
 それでは、と口に上がりかけた言葉を遮る。言うだけ言って終わりにしようとしていた桂の眼が、軽く瞬きする。
「ご褒美よこせや」
「ご褒美? やるほどの事はしてないだろう」
「及第点って言ったろ」
「言ったが。褒美などもらってどうする」
「がんばったヤツには褒美ってのがセオリーだろ。とにかくよこせやケチ」
「ケチじゃない桂だ。で、分不相応にも何が欲しいというのだ」
「てめーのキス」
 暑さで頭のどこかがぼんやりしていたのもあると思う。ねだったところで適当にあしらわれて終わりだ。そう思ってた、のに。
 あったはずの距離が、一瞬で埋められた。そうと気づいたのは、唇に何かが触れた時だ。柔らかく、少しかさついてる、一年ぶりの感触。
「これで、満足か」
 離れようとする腕を掴む。今度こそ桂の眼が見開かれる。ちょっとだけ胸が空く満足感を味わいながら、もう一度その唇に触れる。
「おき、」
「乗ったのは、そっちでさぁ」
 口づけながら囁いた。
 あれっぽっちで、足りるわけがない。



                                      ~Fin~
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by wakame81 | 2009-12-03 00:52 | 小説。  

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