お知らせ

●6月24日の東京シティに、桂さんお誕生日二日前企画のアンケート本を作ります。つきましては、皆様にアンケートをお願いします。名付けて、「銀魂キャラクターなりきりアンケート「ヅラに誕生日プレゼントを用意しよう」です、よろしくお願いしまーす。
●桂マイナーcpアンソロ、2011年6月シティのコタ誕で発行しました。
●アンソロ本文に、誤字を発見しました。
お取り替え、てか修正については こちら をごらんください。
今現在、修正関連のお知らせはhotmailには届いておりません。「送ったけどやぎさんに食べられたっぽいよ!」という方がいらっしゃいましたら、拍手か こちら までお願いします(爆)

学園HEAVEN!?:前

まだラストまで行ってないのですが、リク一つめ。
「同学年の銀桂、高三パラレル。同級生の女子にモテモテの銀さんと、下級生(男女問わず)にモテモテの桂くんの、苦難の日々」
ラブってコメろとは誰も言われてません(爆)。








 目を開けると、広い割に明かりのたぐいが見当たらない白い天井が目に入った。ゆっくりと、息を吐く。胃の中をぐるぐると掻き回すような感触は引いていたが、まだ気持ち悪さが拭えない。
「……うぇぁー……すっかりだまされた……」
 寝返りを打つ。動かされた衝撃に、胃がまたぐるりと回る。せり上がるえずき、は、来なかった。
「あ、目が覚めた?」
 ベッド周りを覆うカーテンが音もなく開かれ、淡い光が射し込む。顔を出して柔らかく笑うのは、ここ銀魂高校の保健室の若い主人だ。
「少しは顔色良くなったみたいだね。薬、飲めそう?」
「んー」
 そろそろと体を起こす。にっこりと笑って日輪は一度姿を消し、水の入ったコップと錠剤を持って再びカーテンをくぐった。
 歯に凍みない程度に冷やされた水は、疲れはてた喉に心地よい。錠剤と合わせて一息に飲み込む。体の中に澄み切った冷たさが染み渡っていき、胃のぐるぐるを静めていく。
「あー、美味ぇ」
「あんまり勢いよく飲まない方がいいよ」
「わーってるよ。なぁ、いちご牛乳ない?」
「あるわけないでしょ」
 こつん、と小さな手が拳骨を振り降ろす。睨む目は、優しく、強くまっすぐに銀時に向けられる。日輪が男子生徒だけでなく、女子にも慕われる所以の一つだ。
「あーしっかし、ひでぇ目にあった」
「大目に見てあげてよ。あの子が誰かのためにお菓子を作るなんて、今までなかったんだから」
 あぐらの上に頬杖をつきながら銀時は、笑う声にむすっとした顔を向けた。
「焚き付けたのは、あんただろ」
「せっかく作るなら贈ってみれば、って言っただけよ」
「そーゆーのを焚き付けたっつーんだよ」
「悪い気は、しなかったでしょ?」
「いや今思いっきりしてるんだけど。そりゃもうはらわた煮えくり返るどころか、ひっくり返ってるんだけど」
 黒目がちの瞳はすべてを見透かしそうで、銀時はさりげなさを装いながら目を反らした。
 まぁ、普段は勝ち気で男を寄せ付けない鋭い目が真っ赤に染まり、居心地悪そうにもじもじしながらラッピングされたお菓子を渡されるのは、悪い気はしなかった。調理実習での余りものという、サランラップに小さなリボンをかけただけの簡単な包みの中のカップケーキも、トッピングのない素朴さが美味しそうに見えたのだ。
 もちろん、それが外見だけのものであったことは、今銀時が保健室にいる事実が物語っている。
 完全な、油断だった。いつも差し入れとして押しつけられるのが消し炭だったり納豆まみれだったりするもんだから、普通の外見と言うだけで可食物だろうと思いこんでしまった。
「これから、あいつからのも危険物扱いにしなきゃなぁ」
「あら、そんなこといって。いいじゃない、いつも美味しいものは本命からもらってるんでしょ?」
「あいつがんなタマかよ」
 というか、知ってて月詠をけしかけてくるのが恐ろしい。お菓子に対する冒涜のような味とは違う、ひんやりとした何かが胃に落ちるような感覚に、思わず腹の辺りを押さえた。


「銀さぁぁぁぁんっ」
 そのまま最後の授業まで保健室で過ごし、HL終了を見計らって戻ってきた銀時を迎えたのは、熱烈なハグだった。正しくは、飛んできたハグをすっと右に避けてかわした。
「あぁん銀さんたら照れ屋さんっ。人前だからって遠慮しなくていいのよ、いつでも私を抱きしめてぇっ」
「……えーと、チェンジで。」
「そうやって、私の目の前で他の女と乳繰りあったりして、見せつけようっていうんでしょう。銀さんが他の女とあんな事やこんな事……いいわ、燃えるじゃなぁぁぁぃぃっ!」
 我が身を抱きしめながらもだえるさっちゃんをスルーして、銀時は自分の机へ戻る。授業が終わった後の教室は騒がしい。「死神」とまで呼ばれ恐れられる学園の女番長からのプレゼントに、冷やかす声がかけられる。それらを適当に流しながら、机の中のおやつをカバンに詰め込んでいそいそと立ち去ろうとした銀時の前に、立ちはだかる影がいた。
「あら、ずいぶん元気そうじゃない。カップケーキに当たったくらいで保健室行きした人とは思えないわぁ」
 カバンを抱え立ち尽くす銀時の額から、汗が流れ落ちる。まだ教室の入り口じゃない。回り込めば廊下には出られる。が、蛇に睨まれた蛙のように銀時は動けなくなった。
「保健室行きしたからこそさっさと帰るんですー。わかったらどけやコラ」
「私は別に邪魔してるわけじゃないわよ、銀さん?」
 にーーーっこりと、立ちふさがる影…お妙は首を傾けて見せた。きれいな笑みは日輪とも重なり、彼女をマドンナと慕う男子も少なくはないが、内面を知っているとこれほど恐ろしいものもそうはないだろう。この笑顔のままに、壁すら粉砕する腕力の持ち主なのだ。余計な一言が原因で、どれだけ死線を越えそうになっただろう。思い出すだけで、胃袋がまたぐるぐると回り出す。
「……すいませーん、マジでまた腹痛くなってきたんで、早退させてくださーい」
「天罰が当たったんじゃないの?」
「てんばつ?」
「そう」
 お妙は腕組みを解いて、一歩歩み出た。銀時の後ろにいたクラスメイトはわたわたと側を離れる。
「かわいい恋人がいるのに、女の子からプレゼントもらって鼻の下伸ばしてるんだもの。雷に当たって火だるまになって地割れに落ちないのが不思議なくらいだわ」
「……まさか、今までのおめーの作ったもんも、そういう呪詛が」
「なんのこと?」
「イヤベツニ」
 口は災いの元、だ。今彼女の拳を受ければ、間違いなくあの世逝きになる。
 それにしても。最近、お妙は自分に厳しくなった気がする。目の敵にされてるというか、女の敵扱いされてるというか。それはいいというか、仕方ないんだろうけれど。
「……女って怖ぇー」
「なんですか?」
「イヤベツニ」
 というか、いつまでこうやって足止めされるんだろう。この胃のぐるぐる回る状況をさっさと何とかしてほしいものだが、クラスの誰も女帝に関わろうとはしないようだ。薄情なヤツラ、と、自分も部外者だったら同じ事をするだろう事実を棚に上げていたところ。
「お妙ちゃん」
 割り込んだ救いの声は、傍観してたクラスメイトのものではなかった。
「……何をやってるんだ?」
「あら、九ちゃん」
 幼なじみの登場に、妙はあっさりと銀時に構うのをやめる。
「ちょっと、害虫駆除的なものをね」
「害虫? ゴキブリでも出たのか? 大丈夫かお妙ちゃん、怖かっただろう?」
「平気よ。今時ゴキブリが怖いくらいで一家を守るなんてできないもの」
 さすがはお妙ちゃん、と眩しいものでも見るような目をしていた九兵衛は、ふと銀時のほうを見やる。そういや、お妙が銀時に惚れてるという噂が立ったときは思い切り睨まれていたなぁ。そんな思い出にまた胃がでんぐり返りをし始める。
「じゃ、帰ろうか?」
「そうね。行きましょ。ゴキモドキなんか放っておいて」
 また何か面倒が起こるかと構えたが、女帝と戦乙女はこれ以上銀時に構うつもりはないようだ。あれだけやっかみかけといてゴメンの一言もなしか、という思いは沸き上がる前に消しておく。これ以上邪魔されないうちに、と改めてドアへと向かう銀時の前に。
「できたわ銀さん、お口直しにどうぞ(はぁと)」
「いらんわぁぁっ、てかまだ引きずってたのかよそのネタっ」
 納豆まみれの口を突き出して眼を閉じるさっちゃんに、ハイキックが決まる。
「つーかストーリーの本筋離れまくってんだけどっ。寄り道しまくってんだけどっ。何で俺が進行役なんだよ、ツッコミ出せツッコミっ」
 大股で廊下を歩き、トイレを経由して二つ隣の教室のドアに手をかける。引っ張る前にそれは横にスライドし、骨ばった体とブレーキもなくぶつかった。
「痛っ」
「ってぇ~。んだよ今日は厄日か? おーいヅラー」
「ぶつかった挙げ句無視かテメェ」
 襟首つかまれて後ろを向かされた。目線のわずか下から、鋭い緑の視線が突き刺さる。
「なんだ、晋ちゃんじゃん。ちっさくて見えなかったわー」
「下手な喧嘩の売り方だなぁ銀時。いいぜ、言い値で買ってやっても」
「んー、んじゃ三丁目の太田さんちに回しといて」
「テメ……ヅラならいねぇぞ」
 意趣返しのような台詞に、銀時の足が止まった。改めて教室を見渡してみると、ホームルーム後すぐには帰らずたむろしている十人弱がいるくらいで、その中に飽きてもいいほど見慣れた長髪が見当たらない。
「ちょ、アイツどこ行ったんだよっ? って待てこら高杉帰るなっ」
「別に俺に喧嘩も用もねーんだろ?」
「だーっ、わかった悪かった無視してゴメンナサイ晋ちゃんっ」
「晋ちゃん言うんじゃねぇ」
「んで、ヅラどこ行ったんだよ」
「さぁ? 帰ったんじゃね?」
 ふふん、と。(背が低いくせに)こっちを見下ろして笑う高杉に、珍しく本気でムカっ腹が立った。何より、「知っているけど教えない」という態度が癪に障る。
「んなわけねーだろ、さっさと教えろや」
「約束してた訳でもねぇんだろ。何で、嘘だって思うんだ?」
「ありえねーだろ、絶対ぇ」
 確かに約束はないとはいえ、桂が銀時に黙って先に帰ると言うことも。
 高杉が、桂の行く先を知らないということも。
「……フン」
 今度はつまらなそうに鼻を鳴らして、高杉は緑色の眼を細める。
「ヅラならさっき、ガキに連れられてったぜ」
「ガキ?」
「そこからどこに行ったかは、俺も知らねぇ」
 確かに、面倒見の良さから後輩に慕われる桂とはいえ、わざわざ三年の教室にまで来て拉致していくのは限られてる。あのバカ、甘やかすからだ。とは、これまた人のことを言えない銀時の心の呟きだ。
「暢気にしてっと、横からかっさらわれても知らねぇぞ」
「わーってますよ」
 ペチャンコのカバンを肩に担ぐ高杉を追い越すようにして、銀時は教室のドアをくぐる。目指すは、二年の教室だ。


 二年の教室が集まる一般棟三階は、一つ下の三年フロアとは比べものにならないほど活気に満ちていた。半分以上がそれぞれの教室に残り、数人のグループで固まってなにやら頭をつきあわせている。何だっけ?と首を傾げながら、拉致犯人のいる教室へと向かっていた銀時は、聞き覚えのあるような声に呼び止められた。
「坂田センパイじゃないですか、どうしたんですか?」
 通り過ぎた教室にいたのは、どこかで見たような、地味な顔の後輩だった。どこかで。たとえば、同学年のゴリラとかマヨラーとか今探してる拉致犯人の後ろあたりに。
「……えーと、ナカサキくん?」
「山崎ですセンパイ。どうしたんですか、こんなとこで?」
「いや、ちょっとね」
 教室の中に入り込む。あ、坂田先輩だーとささやく声があちこちで上がるが、銀時は見向きもしないで山崎の側へと近寄った。四つほどくっついた机に広げられてるのは、ここら辺ではあまり見ないお菓子と、紅葉に彩られた神社仏閣の写真だ。
「あ、修学旅行のレポートか」
 確か一昨日まで行ってきてたはずだ。昨日の休みを挟んで、今日からレポートまとめか。
「マジメだねー。一週間くらい期限あんだろ?」
「まぁ、早いに越したことないですし」
 同じようなことをいう。去年、スパルタでレポートを仕上げさせた班長のクソマジメな顔を思い出す。
「んで、ずっとココに?」
「そうですけど」
 同じ机についていた、数人の後輩を見やる。ついでに八橋をつまみ食いして、そこにいるはずのもう一人の姿がないことに目を細めた。
「そーいや、総一郎くんは?」
「総一郎じゃないですよ。沖田さんは日直で、ノート返しに行ってるはずです」
 時計を見る。なんやかんやでホームルーム終了からもう40分は経っている。
「……ふーん?」
 やっぱり奴か。もう一度机の上に眼を落とした銀時に、山崎が小さく息を飲んだ。他の生徒たちは気づいた様子はない。普段、沖田と一緒にいるからこその観察力か。
「総一郎くんがサボるとしたら、どこだろーねぇ?」
 確か、剣道部だったはずだ。クラブハウス……いや、他の人間の出入りがあるだろう。空き教室、それか、自分だったら。
「んじゃな。ジャマしたな」
「あ、はい」
 素直で鈍い後輩たちからお菓子をせしめて、教室を出る。早足で廊下を行く、目立つ外見の先輩に、すれ違う何人もが振り返る。彼らがどんな眼でこっちを見ていたかなんて、気にする余裕などない。階段に辿り着いてからは足の運びはさらに速まった。二段飛ばしで駆け上がる。四階、一年のフロアを越えて、さらにその上。屋上へ。
 駆け上ろうと踊り場を回った途端。
「てぇーーーいっ」
「ちょわっ?」
 正面から靴の裏が飛んでくる。脊髄反射でかわすと、靴には黒ズボンと学ランと薄茶の頭がついてきた。



                              ~続く~
[PR]

by wakame81 | 2009-11-18 22:56 | 小説。  

<< 学園HEAVEN!?:後 第283訓。 >>